最近、とある依頼者さまの検査でサーモグラフィーを実施することになりました。お馴染みの赤~緑色に温度変化を観る画像検査です。最近では、コロナ対策として病院の入り口に体温を計るカメラがありますが、これはサーモグラフィーの応用で、スポット放射温度計と呼んでいます。

 サーモグラフィーは様々な症例に使われますが、多くは抹消神経障害や血流障害を観察するものです。どこの病院でも設備があるものではありません。来週あたりに紹介状を得て、患者さんに撮ってもらおうと思います。
 
(1)サーモグラフィーとは

 簡単に言いますと、赤外線(放射線)温度カメラを用いて皮膚表面の温度分布を測定し、画像表示したものです。この検査は末梢の循環障害検査などに用いられています。
 
(2)標準値(温度)は?

① 手指:31.1〜33.7℃ 手背:31.8〜34.2℃

② 大腿:32.6〜35.4℃ 下腿:32.6〜35.8℃ 

③ 足首:32.0〜35.4℃ 足背:32.0〜34.6℃
 
 通常、皮下脂肪の多い部分の温度は低く、皮下脂肪の薄い筋肉質の部分では温度が高くなります。また、手指、足趾先端は、血管運動が他の部分に比べて高度であるため、温度変化が大きく、左右差が出やすくなります。四肢の場合、左右対称で、左右差が0.6℃以下が正常とされています。

< 参照:『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信 >
 
 
 この検査機器、大学病院にしかないと思いきや、意外と個人開業医でもできたりします。かつて、むち打ち患者で上肢~手指に神経症状が残った患者さんのエビデンス(医学的な証拠)として、熱心に検査をして頂いたお医者さんがおりました。面白いので自賠責の後遺障害申請に検査画像を提出しました。

 結果は・・当然に14級9号止まり。やはり、自賠責では検査結果として重きを成していないようです。