被害者は自らの被害、痛みを大層に言うものです。やはり、他覚的症状、つまり、医師の診断内容が審査上重きをなすことは当然です。

 しかし、医師の判断が不正確で審査側に伝わらない、あるいは診断そのものを間違えることだってあります。その点、14級9号「局部に神経症状を残すもの」は、症状の一貫性と信憑性から認定の余地があります。ガチガチの証拠(医師の診断書)のみで判断するわけではなく、被害者の主張に耳を傾けてくれるのです。つまり、自前の主張をいかに構成するか、立証側の力量が問われます。

 今回の再申請でも、私達の努力に加え、自賠責の柔軟な判断に助けられました。なにせ、医師の微妙な診断で等級から遠ざけられ、その後もことごとく協力を拒まれたのですから。


不利な状況でも私達は簡単に諦めません!
 

非該当⇒14級9号:上腕骨小結節部剥離骨折(10代女性・千葉県)

【事案】

自転車で横断歩道を渡り始めたときに、信号無視の自動車に衝突された。直後から全身の痛み等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

事前認定とはいえ、骨折案件で整形外科にしっかりと通院していたにもかかわらず非該当であった。精査してみると、画像を見落としたのか骨折について否定されており、常時痛ではないという点(他覚的所見欄に「運動時痛」との記載)が原因のよう。

また、MRI検査を実施していないにもかかわらず「足関節靭帯損傷」という診断がされており、医師のレベルの低さという点から、全体的に診断内容に信頼がなかったのかもしれない。

【立証ポイント】

症状の一貫性、常時痛を主張すべく、主治医に診断書を依頼しに同行したが、診察・診断書記載を拒否された。なんでも「保険会社若しくは調査事務所から回答書が届いた場合にのみ対応している。」という理由であった。

そこで、本件の骨折を発見した医師(当時とは違う病院に転勤していた)を追いかけ、相談したところ、快く協力してくださることとなった。しかし、またしても後日になって病院事務員から(理由の説明なく)「診断書を作成することはできない」との連絡があり、新たな医証を入手することができなかった。

医師の協力が得られない中、剥離骨折部を目を皿に探して骨折箇所の打出しを作成、これに受傷直後の生々しい写真打出しを新たに提出、更に自覚症状や日常の困窮点を細かく記載し補強した。

審査に半年を要したが、なんとか14級9号認定を得た。医師の判断はさておき、被害者の主張が認められた。