確固たる画像所見がないと、いくら脊髄損傷・頚髄損傷と診断名が並んだところで、14級9号に落とされるのが自賠責の認定基準です。本件の画像所見が弱いが故、非常に厳しい立証作業となりましたが、自賠責は鬼ではなかったようです。画像に固執せず、全体像から12級が容認されました。
また、連携弁護士による賠償交渉は、相手と自分の保険会社が一緒であることを突いて、本来15:85程度の過失割合ながら、0:100にしました。この理屈、わかる人にはわかるのですが・・。
人身傷害の請求をする弁護士を選ばねければ数百万円損しますよ
その理由 👉 ときに「人身傷害保険への請求が交通事故解決の最大の山場」となる ① 全額回収ならず
12級13号:頚髄損傷(50代男性・神奈川県)
【事案】
二輪車で交差点を直進中、右方から一時停止無視の自動車と出合い頭衝突となった。直後から四肢が動かず、しびれが重篤であった。以後、長期間のリハビリを余儀なくされた。
【問題点】
頚髄由来の神経症状は徐々に軽快に向かうも、握力低下、巧緻運動(手のグーパーが異常に遅い)、感覚麻痺と冷感、排便障害など、症状は多肢にわたった。一方、頚髄損傷の決定的な画像所見「頚髄の高輝度所見」がなく、14級に落とされる懸念があった。
症状の重篤度を丁寧に主張する為、後遺障害診断書以外に添付する意見書等が重要となった。その添付書類は2院へ合計7枚に及んだ。とくに、相手保険会社から先んじて依頼された書類を見ると、症状が不足かつ不正確に記載されており、その修正に駆られた。ところが、その医師に8カ月待たされることに・・。
【立証ポイント】
催促を重ね、ついには再度の医師面談にて修正版の記載に至った。そして、7枚の意見書が功を奏し、画像所見は「脊柱管狭窄による頚髄圧迫」をよりどころに12級にして頂いた。
【賠償交渉での成功ポイント】
本件では、被害者に過失分の減額があり、仮に相手保険会社との交渉で裁判基準の満額を勝ち取ったとしても、自身の人身傷害では、裁判基準からの過失分支払い額を拒否されることが予想された。約款上、交渉ではなく裁判をしなければ、裁判基準の額を認めてくれません。連携弁護士は、裁判上等の姿勢で強交渉を続け、結局は相手保険会社が折れて、過失減額なしに支払うという異例の展開になった。
その理由ですが・・加害者と被害者双方の保険会社が同一社です。これは、保険会社のお財布が一緒となります。裁判にて結局は過失分も満額で支払うことが予想されるので、交渉で払ってしまっても同じことになり、裁判は単に時間の無駄と判断されたのです。これら、保険会社の機微を知っているか否か・・・弁護士の経験と約款理解が左右します。残念な弁護士は、賠償交渉だけやって、人身傷害の回収(数百万円)をしてくれません。人身傷害の回収こそ、交通事故弁護士の実力が如実にでるのです。