最近、基本的な問い合わせ、質問が多い傾向です。私達にとっては日常業務の基本でも、被害者さんにとっては、生まれて初めて遭遇する交通事故かもしれません。当たり前ですが、被害者さん達にとって、基本的なことであっても難関となる問題です。

 後遺障害の定義について、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)
 

 後遺症と後遺障害は、同じようで違います

 
 自賠法に規定されている後遺障害認定基準の詳細は、公開されていません。現状、労災の認定基準を基本として参照し、経験則に基づく違いを把握するようにしています。
 
 一般に馴染みのある言葉は「後遺症」ですが、後遺症=後遺障害ではありません。 一般的にケガは、一定の期間、治療を続けて回復を目指すことになります。しかし、すべてのケガが完治に至るわけではありません。手足の欠損は当然として、治療が完了しても症状が残ることがあり、これら残存する症状は、後遺症と呼ばれています。
 
 では、「後遺障害」とは何か・・自賠責保険で認定された後遺症のことです。 交通事故による後遺障害は、1~14級、140種の後遺障害が35系列に分類され、自動車損害賠償保障法に細かく規定されています。労災の規定に準拠したものですが、100%同じではなく、わずかの違いがあります。ただし、後遺障害の認定基準に関する詳細情報は開示されていません。
 
 後遺障害ですが、上位等級となれば、就労復帰も実現できない深刻な状態ですが、10~14級の中には、5年も経過すれば、限りなく元通りとなるモノも、数多く存在しているのです。
 

 
 常識的には、後遺障害といえば、植物人間や手足の切断を連想しますが、保険のプロである皆様は、「一生を棒に振ってしまうモノだけが後遺障害でない」ことに、認識を新たにする必要があります。