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 方法としては、①自賠責保険の場合、②任意保険の場合、に分けられます。

 今回は①自賠責保険の場合あげてみたいと思います。
 

① 自賠責保険の場合

 (1)被害者請求(16条請求)

 加害者が自賠責には入っていても、任意保険に入っていなかったり、仮に任意保険にも入っていたとしても、被害者の過失が大きく、相手の保険会社が一括対応してくれなかったりする場合もあります。

このような場合に、治療費が膨大になり、治療を受けたりすることが困難であることがあります。被害者が治療や交通事故による損害賠償を受けるために、自賠責は16条で被害者が加害者の加入している自賠責に対して、請求できるようにしました。

 これまでは、後遺症(後遺障害)の申請段階での説明を主にしてきましたが、後遺症(後遺障害)申請以前に被害者が実質的に治療費を回収できるようになっているのです。但し、この手続きは後遺症(後遺障害)の申請と同様、審査に時間がかかります。迅速に治療を受けたい場合には、以下の(2)仮渡金請求の方法もとることができます。
 
(2)仮渡金請求(17条請求)

 この請求は、賠償金支払い前に、治療費や生活費、葬儀費等が必要な被害者が請求するものです。この請求方法も、上記(1)の被害者請求と同様、加害者が任意保険に入ってない、または、被害者の過失が大きく、加害者の任意保険会社が一括対応をしないような場合に有効です。

 急ぎお金が必要なときには、以下の通り、治療中でも一時金を請求できます。(1)被害者請求と異なる特徴として、死亡や一定の傷害があった場合に、診断書さえあれば診療報酬明細書や治療費の領収書がなくても支払われるという迅速性があげられます。一定の場合に支払われる金額は、以下の通りです。

① 死亡の場合:290万円

② 傷害の場合

A:入院14日以上で、かつ治療に30日以上を要する場合や背骨等の骨折で脊髄を損傷した場合。→40万円
B:入院14日以上を要する場合や上腕又は前腕の骨折の場合。→20万円
C:上記以外で治療11日以上を要する場合。→5万円

 詳しくは ⇒ 自賠責保険の請求形態について

 仮渡金請求は被害者請求と比較して迅速に進められますが、被害状況がはっきりしている場合には、被害者請求を並行して進めることもできます。

 ただし、最近では、任意保険の特約の発展(人身傷害保険等)により、仮渡金請求を利用せずに治療費等を確保できるので請求の機会は少なくなっているようです。