ご存じの公金返還拒否問題・・・山口県阿武町での新型コロナに伴う住民税非課税世帯への臨時特別給付金10万円を、対象の全世帯相当分の計4630万円を誤って1世帯に振り込み、回収できなくなっている事態。

 間違って4630万円が振り込まれた男性は「お金はすでに動かし、もう戻せない」と主張しており、返還を拒否の態度を鮮明にしました。そこで阿武町は、弁護士費用を乗せた5115万と返還までの年3%金利の民事訴訟を起こしました。それに従い、返還拒否者の名前は非公開だったものの、氏名が公表されることになりました。

 この民事訴訟の主な法的根拠は「不当利得返還請求権」(民法703条)となります。民法の初歩で習います。誤って得たお金を返すことは道徳ですが、法的にも返す仕組みは構成されています。しかし、現実社会において、この訴訟でお金を無事に取り返すことはかなり困難です。よくある例として、利得者が「使っちゃってもうない」で済んでしまう現実があるのです。すると、請求者は「本当に使って無くなったのか?」を調べなければならないのです。これまた事例では、利得者は「ギャンブルで全部すっちゃった」と決まり文句で回答します。実は現金を隠しているのかもしれませんが・・。つまり、回収は大変なのです。
 

 昔のことを思い出しました。私の直接のお客様ではなかったのですが、かつて支払い部門の担当者が、誤って100万円位?の傷害保険を支払ってしまい、その回収に四苦八苦していました。保険会社の保険金支払いはその金額が大きくなる程、支払い部門の担当者→主任→センター長→支部長と、段階的に稟議を通すことになります。実に慎重です。なぜなら、間違って支払った保険金が絶望的に戻らない事を知っているからです。その点、阿武町はじめ、役所の公金の扱いは甘いなぁと思うのです。
 
 さて、全国からお尋ね者扱いとなった山口県の利得者さんですが・・このままお金を得たとしても、今後の就職や不動産購入はじめ、様々な場面で信用性ゼロの人生となるはずです。日本にはいられなくなります、5000万円程度のお金で人生を棒に振るのか・・私は金額の問題のような気がします。 かつて日本の公務員が公金を横領、それを貢がせて、まんまとチリに持ち帰ったアニータさんはお金を返さず逃げ切ったのでしょうか? (チリでは貢がせ成金キャラとしてタレントになったそうです。) これは数少ない成功例ではないでしょうか。