昨日は神奈川方面の病院同行でしたが、帰りに横浜の社会保険労務士事務所に寄りました。

 このS先生は20年来の付き合いです。労災関係の手続きにおいていつもアドバイスを頂いています。昨日も、労災請求はもちろん、士業関連の会社組織や周辺情報など、食事中も話が尽きませんでした。

 社労士も税理士も企業の顧問契約が取引の屋台骨ですが、ただ社会保険や税金の手続きをするだけではありません。企業経営に対するコンサルティングが必須の業務、重要な情報提供となります。その中で新しい分野の勉強が話題となりました。それは企業向けカウンセリングです。S先生も来月から継続的にこの研修を受けるそうです。

 企業向けカウンセリングとは・・・近年、労使共に、心の悩みを訴えるケースが激増し、それに対する精神的なケアーが必要になっています。例えば経営者は平素、経営上の悩みを顧客、取引先、また家族にすら言えない立場にいることが多いと思いますが、出入りする税理士や社労士は関係上、意外と話がしやすいと言えます。したがって顧問の税理士・社労士が積極的にカウンセリングに乗り出すことは自然な流れと言えます。また、企業に勤める従業員に対するケアも欧米の大企業なら専門のカウンセラーが存在しますが、日本の、ましてや中小企業に常駐しているわけもありません。増加するカウンセリングの需要に士業の活躍が期待されている背景が浮かび上がります。

 S先生も「会社が潰れるのも困るが、社長に自殺されたら悲惨。取引先が減るだけじゃない・・・」と。クライアントさんの不幸を実際に経験したそうです。

                  

  行政書士、弁護士で交通事故業務を扱う場合、交通事故相談より「カウンセリングが必要なんでは?」となってしまうケースに出くわします。体を病むと心も弱るのは自然なことで、精神的なケアが必要な被害者さんも多いのです。 日頃の業務、直接的な知識、技術の習熟に追われて、新しい勉強が追いつきませんが、今後必要となる学習分野であると思います。

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 前日の懇親会の疲れか、地味なテーマのせいか2日目は静かな幕開け、「高次脳機能障害」を丸一日集中講座です。

 この一日全4コマの講師は不肖私が務めさせていただきました。この1年間で高次脳機能障害の被害者対応は2ケタ。必然、最新の認定内容や判例、現在進行中の案件・情報を開陳です。

  ← 少しドヤ顔です     

<1時限目>

・高次脳機能障害とは

・立証ビデオによる実例紹介(3 件)

・等級認定と裁判におけるビデオ提出の効果     <2時限目>

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 2/25-26 東京 ベルサール丸の内 にて「交通事故・後遺障害認定実務講座」を開催しました。

 NPO法人交通事故110番と全国の協力行政行政書士・MCが集結、船井総研さんの協力での大研修会となりました。今月の2日間、3月の2日間の合計4日間のプログラムで、のべ50人を超える弁護士先生が参加します。

 内容を紹介します。

<1日目>

1、交通事故と後遺障害

・ 「弁護士事務所の抱える問題・課題、取組、連携体制について」

  川崎先生 (よつば総合法律事務所)

・ 保険会社の対応について  山崎先生(茨城:行政書士)

・ 行政書士事務所の対応について   佐井先生(神戸:行政書士) 

2、外傷性頚部症候群  宮尾先生 (NPO交通事故110番)  

・ 深部腱反射の実演 亀井先生(MC)

・ 12級認定について 杉本先生(MC)

このようにイントロダクションから多方面の先生の講義が続き、会場の熱気はすごいものでした。そして各論解説の1発目、後遺障害最大勢力である「ムチウチ」がスタート。どの弁護士事務所でも「ムチウチ」の相談者の対応に苦慮が続いています。食い入るように腱反射の実演に見入ってました。そして今まで判然としなかった14級と12級の認定基準の違いや、認定までの必要な検査を把握して頂けたようです。きっと弁護士先生の被害者対応力の向上になったと思います。

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 小雪舞う青物横丁、前日から会場入りです。厳寒期の首都圏相談会、今回は夕方から研修会の打ち合せに備え8名に絞っての受付です。

 今回の相談者も相変わらず医療対応に難渋している方が多かったようです。症状に無関心な医師、診断力のない医師、必要な検査を怠る医師、そして迫る保険会社の治療費支払いの打ち切り。

 被害者もこのような状態で漫然と治療を受けた結果、途方に暮れて相談にやってくる方もおりますが、自己の置かれている状況に危機感を持ち、早めにいらっしゃる方も増えてきました。

 受傷早期なら必要な検査をする、転院する、保険会社への適切な対応をとる等、修正が容易なのです。

 つまづきもなく順調に進めることができれば、私たち協力行政書士のお手伝いは必要なく、無料相談で済みます。

 しかしながら賠償交渉に関しては弁護士対応が必須です。被害者直接交渉では保険会社も自社の基準以上支払う気はありません。保険会社の基準と裁判の基準では2~3倍の開きがあるのです。これでは弁護士が交渉せざるをえません。また紛争センターでもある程度裁判基準に近づきますが、専門的な知識はもちろん大変な時間と労力がかかります。紛争センターにおいても弁護士に任せることができればベターと思います。

 しかしながら交通事故を扱う弁護士もすべての先生が適切な対応をしているわけではありません。残念ながら半分以上は問題があるように思います。某損保会社の人身事故担当者から聞いた話ですが、

①仕事をしないで報酬を取った? これはつい最近の実例です。高次脳機能障害被害者を担当している保険会社担当者に被害者側の弁護士から委任通知書(「これから私が被害者に代わって交渉します」という宣言)が届きました。しかしその後一向に賠償金請求の話が来ません。紛争センターや裁判の話もなく、3か月たってもナシのツブテ。仕方ないので保険担当者がある程度増額して賠償金の提示書を作り、弁護士に送ります。そしてその弁護士は何の反論もなしに「その金額でいいです」と。まるで待っていたかのような返答です。  これでは何のために被害者は弁護士を雇ったのか?私の試算では逸失利益およそ1千万円は戦わずして捨てたと思います。さらに問題なのは、この弁護士は何もしない(委任通知書〒しただけ)で報酬をせしめたことです。

②毎度、和解で逃げる?

 被害者の代理弁護士が勢い込んで訴訟を起こしてきました。「中心性脊髄損傷」が後遺障害等級として認められなかった事を不当としての訴えです。しかし実際の「中心性脊髄損傷」は歩けないほど重篤な症状です。何故か医師は軽々とこの診断名を持ち出します。実際は「損傷の疑い」程度なのだと思います。このような軽薄に使われる診断名であることを保険会社の顧問医師、顧問弁護士はよく存じています。裁判では山のような脊髄損傷を否定する医学的な論文、反論を準備して待ち構えています。  対する弁護士は主治医が軽薄に書いた診断書のみを持って法廷に臨みます。まるで丸腰で戦場へいくようなものです。案の定、第一回弁論で真っ青になり、コテンパンにやられて恥をかく前に「和解」(裁判官の斡旋で手打ち)を選択します。最初の勢いはどこへ行ったか、被害者に「勝ち目がない、ここらで手を引く」よう説得を始めます。

 これはダメな弁護士の例ですが、保険会社担当者曰く「4割の先生方が①、半分以上が②ですね」。つまりほとんどの弁護士が保険会社担当者からなめられています

 だからこそ、被害者は交通事故に精通した真の意味での「先生」を探さなくてはならないのです。

 このテーマについて私たち協力行政書士も取組中です。後日発表しますのでお楽しみに。

                      首都圏会議の卓上・・後遺障害の解説には解剖学的なアプローチが必要です 

 

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 今日は午後から都内に移動、夕方から打ち合わせ、明日の月例相談会に備えます。

この交通事故戦略会議も無料で実施していますが、この「無料」について少し考察してみましょう。

まず「無料相談」は2つに大別できると思います。

  1、自治体が福祉として行うもの、弁護士会等が奉仕活動として行うもの、保険会社が窓口対応するもの

2、弁護士事務所、行政書士事務所が初回面談無料としているもの

 1は税金や団体の活動費から費用がねん出されており、ボランティア的な活動といえます。  自治体が主催するものは現役の専門家が担当するとは限らず、退職者、有識者が話を聞いてアドバイスを行います。30分以内等、時間的しばりもあります。交通事故に携わって20年、この相談で満足した被害者を見たことがありません。  弁護士会、保険会社も踏み込みが今一つです。あくまで無償での対応ですからあたりさわりのない回答、対応です。相談者も無料だから・・・とがっかりして帰ります。ボランティアでは限界があるので、ある程度仕方ありません。

 2は本音を言うと、有料で受任する前提として、弁護士、行政書士が依頼者を見極めるために行っています。また他事務所との競争から初回を無料としているようです。  そして解決へ向けて、納得のいくプランニングをしない(できない)で契約か謝絶の判断をする先生も多いようです。実際、釈然としない対応を受けた被害者が後を絶ちません。

 最近あった例では・・                                       

(例1) 自転車による加害事故で受傷した。某弁護士法人に無料相談したところ、

    「相手に自賠責保険がないのでお受けできません」ときっぱり。

(例2) 〇〇弁護士事務所の無料初回面談にて、橈骨神経麻痺の後遺障害について相談、

    医学的なことは「ごにょごにょ」(わからない)、「法律的にはこうです」(専門用語びっしり)     まったく患者の知識についていけず、法律論で煙に巻くような・・・。

(例3) ある行政書士に等級の見込みを相談したところ、

    「何級がとれるかはわかりません。でも着手金無料ですからとりあえず契約しましょう」     とりあえず契約? しっかりと方針を決めないのに契約ばかり勧めるのはちょっと、ですね。

   私たちの相談会には既に上記のような対応をされて困っている方が大勢来ます。

 そして具体的な解決プランを示すと、皆さんは明るい顔に変貌して帰途につきます。

 毎回「本当に無料でいいのですか?」と困惑している方がいます。

 しかしすべての方がアドバイスだけで完結できるわけではありません。引き続き専門家のフォローが必要な場合、行政書士や弁護士の手にゆだねる必要もでてきます。その場合、相談者の希望により限定的に対応しています。それは本当に(お金をかけても)手助けが必要な方だけでよいと思います。決して受任を前提に誘導したり、無理に契約を勧めることはしません。

 単なる法律相談、利益目的の無料面談とは違うのです。

 本当に困っている被害者さんには違いがわかるはずです。

 ご予約の皆さん、明日はよろしくお願いします。

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先週、交通事故業務を行う行政書士を「立証型行政書士」と「赤本行政書士」と2分類し、依頼をする上で選考の助けになるチェック表を記載しました。

では弁護士選びは?先週面談した相談者さんも「どの弁護士がいいのか正直わからない」と。やはり相談先選びは被害者さんにとって最初の難関です。

事故直後でどうしたらいいのかわからない、医師の診断や後遺障害の認定に不安がある、このような場合、まず立証型行政書士でよいと思います。しかし、死亡事故や、後遺障害の認定等級に納得済み、あとは交渉のみの場合は弁護士です。

ちなみに事故の初期に相談に来られても、損害の程度や後遺障害の有無が未確定なので弁護士は直ちにやるべき事がないので、多くの先生は「等級が取れたらまた来て」との対応になります。

弁護士の仕事は、被害者の代理人となって相手(相手保険会社)から賠償金を取ることです。その典型的な流れは以下のようになります。

1、相談を受け、被害者と委任契約を結ぶ

2、相手(相手保険会社)に賠償金の請求書を送る

3、相手の返事の内容によって、

① そのまま交渉を続けて示談する

② 交通事故紛争センターに持ち込み、斡旋を受け解決する

③ 裁判を起こす。

a.

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 昨日は大宮(埼玉)~千葉~銀座(東京)と3県移動で病院まわりでした。首都圏は交通の便もよく、一日で3~4か所訪問することが可能です。つくづく 法律家<実務家 です、この仕事は。

 さて年始の業務日誌にて「立証型行政書士を名乗る!」なんて抱負を語りましたが、これについて仲間内やクライアントさんから反響がありました。

 「秋葉さんは後遺障害を立証するのが仕事なのですね。ではそれ以外の交通事故を扱う行政書士先生とどう違うのですが?」

 「立証型ではない行政書士は何型なのですか?」

 ・・・このような質問が付されての反響です。  お答えします。

「立証型行政書士」・・・後遺障害の認定を主たる業務に据え、医証の獲得・収集を行い、紛争を未然に防ぐ、もしくは潤滑な賠償交渉の下準備をして弁護士に引き継ぐ、予防法務の専門家。

 では、それ以外の交通事故業務をする行政書士とは ・・・ 異議申立て、書類による賠償交渉、紛争センターのサポートを主たる業務にしている紛争介入型です。しかし「紛争」という言葉は弁護士法72条に触りますのでこの呼び方は不本意でしょう。私はこう呼ぶのが適当かと思います。

            「赤本行政書士」

 赤本とは日弁連交通事故損相談センターが毎年出版している「損害賠償額算定基準」(2800円)の通称です。この本に慰謝料や休業損害、過失割合など交通事故の賠償請求に必要な相場、金額が裁判基準で記載されています。東日本の弁護士はこれを見て賠償額を計算し、賠償交渉をします。

 被害者より依頼を受けた赤本行政書士も同じく加害者側保険会社の提示に対し、この本で損害賠償額を計算し、請求書を作ります。当然ながら保険会社の基準による提示より2~3倍の額になります。この基準は裁判だけではなく、首都圏の交通事故紛争センターで採用されています。したがって保険会社は裁判や紛争センターに持ち込まれるなら、この赤本の基準100%は認められなくとも、保険会社基準から引き上げざるを得なくなります。  仮に後遺障害14級の場合、保険会社は最初130万程度の社内基準の提示をします。対して赤本行政書士は赤本満額の330万の請求書を作成します。交渉自体は被害者本人がこの請求書を手に進めます。このように陰に隠れて書類交渉の結果、230万位で示談・解決するパターンをよく見ます。もしくは被害者自身、会社を3~4回休んで紛争センターに通い、斡旋案260万位で解決を果たします。  被害者は100~130万円のUPです。そして「先生のおかげです」と言って成功報酬20%=20~26万を支払います。

 この赤本行政書士を選択するポイントは、物損事故や軽いケガ、後遺障害の等級認定に心配がない、自分で交渉したい、賠償額は保険会社提示を上回れば地裁基準満額にこだわらない・・・このような被害者さんのニーズに適していると思います。

 対して、後遺障害の認定に不安がある、医師の診断に不安がある、より高度な書類を作成したい、賠償額は赤本満額を目指し、納得のいくよう堂々と専門家に交渉してもらいたい・・・この場合、立証型行政書士+弁護士の利用をお勧めします。  双方に報酬を支払っても、赤本行政書士利用より最終的に手にする賠償金額は多くなるはずです。

 交通事故相談や、後遺障害を検索すると実にたくさんの行政書士HPがでてきます。行政書士を選ぶ際、どちらのタイプの行政書士が自分のニーズに適しているのか?

 比較表を作ってみましたので被害者さんもチェックしながら見極めて下さい。  (参考になるかな?あくまでステレオタイプの分類です。あしからず)

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 前日に書いています。月曜は事務所を6時に出発、平塚の病院へ。その後横浜地方検察庁に寄って、夕方は事務所に来客2件です。ふぅ~。

 事故報告や相談など電話が殺到する月曜日ですが、なんとか対応していきます。移動中は携帯にでられない場合もありますので予めご了承下さい。

 先週の金曜日は行政書士会越谷支部の研修でした。講師は弁護士坂本先生です。行政書士の「代理」についての解釈は新鮮でした。

AさんとBさんで商談があるとします。

 Aさんの代理で行政書士がBさんに契約を持ちかけることは、民法でいう「意思表示」です。

しかし、Aさんの代わりに行政書士が自らの判断でBさんと契約してしまっては「代理権」行使です。

代理の意味も日常の言葉使いと民法上の定義では違いがあります。ここがまさに民法の勉強度が問われるところです。

 したがって、民法上の代理権行使でなければ、行政書士も相当の範囲で仕事ができるはず、との持論が続きます。    講義後の懇親会でも話は尽きません。「紛争性のある問題が仕事として利益性が高い。」、そして「しっかり民法を勉強するように」等々・・・。いろいろなヒントを与えてくださいました。    弁護士以外の各士業にはどこまでの「代理権」が許されるのか?学術上ではある程度整理できますが、実務上、法解釈はやっかいです。なぜなら3人いれば3通りの解釈が生まれる場合があります。商売上重なる部分があれば、例えば離婚業務や交通事故業務など、弁護士会としては代理権のない行政書士を排除する動きがあります。やはりこのような業際問題は全体的な働きかけ、行政書士会がきちんと有力学説を用い、理詰めで調整してくべきだと再認識しました。  まず個人としてできることは民法の勉強でしょうか。 

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 5回にわたって交通事故業務に関わる、弁護士、行政書士、保険会社について解説してきました。自分をアジテーターとは思っていませんが、それぞれの深部に踏み込む意見になったと思います。

 そろそろまとめに入らなければなりません。やはり語りたいのは交通事故業務に取り組む者の矜持です。

 交通事故を生業とする者にとっても、まず自身・家族の生活や事務所経営、営利追求が仕事のベースであることは言うまでもありません。しかしある日突然事故に遭い、理不尽な生活を強いられた被害者にとっては弁護士も行政書士も、そして保険会社も頼るべき・すがるべき存在です。その被害者にとって最適な方策でそれに答えることこそ、フェアな取引であり、誠実な契約であると思います。(それができないのなら他へ紹介しましょう。だから連携体制やネットワークが重要なのです。)

 昨日も書いたように、「皆それぞれの立場、それぞれの都合」を優先させてしまったら被害者は浮かばれません。

 例えば行政書士が、なんとしてでも賠償交渉を業務の中心として取組たいのなら、司法試験をパスして弁護士になればいいのです。代理交渉ができない行政書士が代理権獲得や業務拡張を大義名分に、業務のグレーゾーンに勇み足をするべきではありません。業務拡大や他士業との業界調整は行政書士会(団体)で運動するべきテーマであって、実際の業務上で被害者を弁護士との業界争いに巻き込む道理はないはずです。

 そして藁をもつかむ思いの被害者のみなさんにも警鐘します。盲目的に誰彼かまわず相談することで安心するのではなく、厳しく相談者を見極めていただきたいと思います。まったく自分に非のない事故に遭った悲劇の被害者だからと言って、自動的には誰も助けてくれません。事故と向き合って克服していくのは自らの行動からです。誰が一番自分に合った解決方法を提示してくれるのか?誰がパートナーとして一緒に戦えるのか?これを決めるのは被害者自身です。

 そして私たちが目指すところは・・・

 あらゆる交通事故解決の総合コーディネイトです。  昨日までの考察で示す通り、弁護士も行政書士も部分の専門家であり、その部分での活躍を生かすべきです。そして保険会社は敵対する壁ではなく、加害者に代わり、急場の助けと最低限の補償をしてくれる大事な存在です。  それらを有機的に結び付け、被害者にとって間違いのない道順を示すことが総合コーディネートです。

 具体的には、

1、事故直後、治療費、休業損害について相手保険会社との調整を図り、最適の治療環境に落ち着かせること。

2、事故状況、警察の届け出内容のチェック。物損事故扱いの場合で通院が長期にわたるなら人身事故扱いへ切替え。

3、労災や健康保険等、公的保険、その他加入保険や救済制度の吟味。

4、物の損害やその他被害の確認と請求。過失割合に争いがあるなら刑事記録や証拠、資料の取り寄せ。

5、病院の治療内容や検査内容が合わなければ転院を考慮する。

6、後遺障害診断に向けての検査計画の立案。間違いのない診断書の作成に漕ぎ着けさせる。

7、自賠責保険に被害者請求を行い、後遺障害等級を確定させる。

8、最適な賠償交渉について手段選定 → 直接交渉か代理人交渉か?示談か紛争センターの斡旋か裁判か?

これらについて道順を示し、適時修正するコーディネーターたることが必要と思います。この過程で弁護士や行政書士、病院、専門医、保険会社、お役所がそれぞれの役割を果たしてくれればOKです。多くの弁護士は1~7、行政書士は1~6までは場当たり的なアドバイスのみで何もしないのが現状です。

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 昔おばあちゃんに言われた言葉・・・「人のふり見て我がふり直せ」。私自身が昨日まで語ったような問題のある業務をしていないか?常に自問自答しながら業務にあたっています。自分の立場や都合優先で業務をしないよう、より勉強、経験を積む事はもちろん、上記のような総合コーディネートが可能なネットワーク作りに勤しむ毎日です。

   来週は都内で行われる弁護士勉強会に参加します。最近は研修、講習の機会が増えています。きっと志を同じくする先生に出会えると思います。                 

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問題のある業務シリーズとなってしまいました。今日はケーススタディで考察を進めます。

  <実例 3> 保険会社との直接交渉は有効か?

 交通事故の保険・賠償金の基準は大きく分けて以下3分します。

 自賠責保険基準 < 任意保険基準 < 裁判基準 ① 自賠責保険の支払基準については定額がほぼ明示されています。

② 任意保険基準は平成10年の保険料率の自由化以降、各社独自基準となっています。しかし各社大差なく旧基準を準用しているようです。

③ 裁判基準と呼べるような明確な基準はありませんが、弁護士会の「赤い本」「青い本」などが有名で、実際に用いられています。

 保険会社は当然、任意保険基準で提示してきます。しかし3か月以内の通院のケガではほぼ自賠責保険の基準と変わりがありません。単なるムチウチやちょっとした捻挫、打撲がこれにあたります。自賠責保険の範囲で支払が完了すれば、実質保険会社の支払は0円です。なるべくこの0円で押さえたいのが営利企業の本音です。  しかし後遺障害を残すケガなど賠償金がかさむ場合、会社の持ち出しが増えるので減額に必死となります。この理屈が被害者への低額な賠償提示となるわけです。  

 では保険会社と交渉する3者を見てみましょう・・・ (1) 交渉事に長けた被害者Gさん

  保険会社にあの手この手で理屈を持ち込み、賠償額の引き上げ交渉を本人が直接したとします。しかし保険会社の内部的な運用規定(代理店はおろか部外の社員でさえ見せてくれなかったです)で若干上乗せするにとどまります。裁判基準と同じ額を求めても例外(特殊事情です、例えば大型代理店やスポンサーの圧力、ヤクザ)などを除いてほとんど跳ねつけられます。裁判基準レベルは望むべくもありません。

 車屋さんで新車購入の際、「粘りに粘って(最初からある)値引き枠を引き出して満足!」と似ています。     (2) 次に交通事故専門をうたう行政書士のH先生

 この先生は自ら作った渾身の賠償請求書や判例、資料を持ち込んで交渉してみます。この分野には弁護士より精密に勉強をしている強者が存在します。素晴らしくよくできた賠償提示を行って成果を上げているようです。しかしその額が裁判や紛争センターの斡旋案を上回るものではありません。保険会社もこの交渉に応じる理由は、紛争センターに持ち込まれて裁判基準に近い額を取られるなら、その7~8割程度で手を打とう、といった時間短縮のための打算です。

  したがって、このH先生は被害者に保険会社との示談は裁判や紛争センターと比べ、2~3割少ないことを被害者に明示しなければなりません。紛争センターでは解決まで平均4か月を要します。この失った賠償金と4か月を天秤にかける相談が必要です。裁判の場合は半年~数年です。

 しかし、裁判になっては弁護士先生に報酬が発生するので、行政書士自身としては自らの報酬が減ります。ですので被害者に「早期解決」を説いて保険会社と示談し、増額した分から報酬を受け取ります。もしくは昨日の実例(交通事故業務について考察 4)のように、陰で紛争センターに介入、増額分から報酬請求します。

 はぁ~(ため息)。誠実に仕事している先生の方が少ないような・・・  

(3) 今度は弁護士法人のJ大手事務所が乗り出します

 全国組織で大勢の被害者を救っています。後遺障害等級が高ければいいのですが、14~12級程度に数か月もかけていられません。スピード解決&大量処理が命です。ですので被害者が保険会社と争いたくて門をたたいたにも関わらず、この保険会社と裁判基準の7~8割で妥協的示談をしてしまいます。スピード解決=被害者の利益ですが、もらいそこなった賠償額を被害者に明示したのか疑問が残ります。

 法律屋さんどころか法律ディスカウントショップのようです。このやり方も一概に問題とはいえず、紛争処理の一形態として社会的に有用かもしれません。あまりに合理的ではありますが・・・。      どうでしょう?結論を急ぐわけではありませんが、

 すべてそれぞれの立場で、それぞれの都合で事故が処理されていませんか?  

 もちろん、裁判や紛争センターを利用せず、保険会社との交渉がベストのケースもあります。最近の例では相手保険会社の担当者が何を血迷ったのか高齢者に高めの逸失利益や介護費用を提示したケースがあります。これは裁判で厳しく審議されては大幅に減る危険性のある項目です。また公務員で休業補償や傷病手当をたくさんもらった方に保険担当者が休業損害をまともに提示したケースです。これも裁判では賠償金から間違いなく引かれる項目です。・・・つまりお粗末な保険担当者により、裁判を避けることも得策となることがあります。

 その辺の臨機応変な判断がプロには望まれます。  

 明日はいよいよ結論です。

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前回は弁護士の実例でした。今度は行政書士の実例について触れたいと思います。

 行政書士で後遺障害の立証から賠償交渉まで、事故の解決までトータルな活動をしている先生がおります。2年前はその取組について実際に研修を受けたり、執筆された書籍を熟読したり、またその先生と直接お話をしたり・・。

 しかし、一抹の疑問、腑に落ちない点が澱のように心に残ったこともありました。

 それは行政書士が交通事故を解決するのは限定的な部分であって、賠償交渉に出しゃばり過ぎるのではないか?結果として被害者にとって最適な選択とはなってないのではないか?です。また実例で説明します。  

<実例1> 紛争センターに介入したおかげで・・

  後遺障害の認定12級を取れたFさん。それまで適切なアドバイスと自賠責保険の請求手続きをしてくれた行政書士Gさんに感謝しきりです。そして最終的に保険会社に赤本(弁護士会が編集している裁判判例から割り出した支払基準)で賠償金額を計算し、Fさんに賠償金請求書を持たせました。「これを紛争センターに持って行って、○×△こう交渉しなさい」とアドバイス。そしてFさん、月に1回合計3回の出席で斡旋案が提示され、無事交渉は成立しました。

 ただしその際、紛争センターの斡旋弁護士から「この書類誰に作ってもらったの?行政書士?いくら報酬を払うの?」と怪訝な顔で聞かれたそうです。そしてその斡旋弁護士はこう締めくくりました。「僕が苦労してあなたのために保険会社から弁護士基準の賠償金を交渉してあげているのに、なんでその行政書士に何十万も払うの?その報酬は払う必要はないよ!」。そう言われたFさんもびっくりです。

 確かに斡旋弁護士さんは「保険会社の基準で決まっていますから」と言いビタ一文賠償金を上げてくれない保険担当者相手によく話をまとめてくれました。行政書士の持たせた賠償金請求書と関連する証拠書類のおかげで話が早く進んだことは認めますが、それによって賠償金が上がった実感はありません。なぜなら斡旋の手順は斡旋弁護士が赤本の基準で斡旋案を計算し、減額主張をする保険会社との調整をする、といった流れだからです。  中には保険会社寄り?のような斡旋弁護士もおりますが、正義感や被害者救済意識の高い弁護士先生もたくさんおられます。このような先生にはいつも感謝しております。

 もうおわかりですね。書類を作って持たせたことで劇的に賠償金が上がったわけではないのです。紛争センターに同席して交渉をしてくれるならまだしも、紛争センターの廊下までの付き添い?・・・情けないと思わないのでしょうか。

 これは弁護士と違って代理権を持たない行政書士の限界を表します。代理権がないから同席して直接交渉ができない。したがって中途半端な賠償交渉を行う。これは行政書士法と弁護士法の間隙(グレーゾーン)でなんとか仕事しようとしているに過ぎません。

 もちろん中には紛争センターに行って独自に解決を図りたい被害者もおります。そして相場が知りたくて行政書士に書類作成を依頼することもありうることです。問題は斡旋弁護士の言うように、あたかも自分の仕事で賠償金を吊り上げたように姑息に報酬を得ることです。  これでは被害者さんも行政書士に騙された気分になってしまいます。事実そのような話を頻繁に聞きます。

 現在、東京の紛争センターでは行政書士立ち入り禁止が徹底されています。また利用者に対し「行政書士へ依頼していないか」と厳しく聞いています。

 交通事故業務から行政書士を排除する・・・このような流れを作ったのは紛争センター介入型の行政書士本人なのです。

   明日も実例を重ねます。

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 昨日までの話・・

1、行政書士も交通事故を業務とするものがいます。まだ認知度は低いと言えます。

2、交通事故のほとんどが 保険会社vs被害者 の構図となっています。しかし被害者は苦戦必至です。

● では、被害者に代わって保険会社と対するは・・・もちろん弁護士です

 「いざとなったらやはり弁護士」、この認識は十分に行きわたっています。しかし同じ弁護士でも「交通事故業務が実務上できる弁護士」と「資格があるから法律上可能な弁護士」に2分すると思います。そして前者はかなり少数です。

 興味深いデータがあります・・・    昭和48年に7000件を超えた交通事故損害賠償請求訴訟ですが、昭和49年3月に示談交渉つき保険が発売されるや、翌年には訴訟件数が1000件を切りました。以後示談は保険会社vs被害者本人 の構図が主流となったのです。

 つまり保険会社は、抜群の商品開発力で様々な保障・特約を作り上げ、弁護士から交通事故の経験則を奪い取りました。  近年、訴訟件数も5000件超に回復していますが、全国の弁護士の数からすると、めったに交通事故訴訟は扱わない?といった結果になります。もちろんほんの小数である交通事故業務に特化した事務所がこの多くを受任していますので、ほとんどの弁護士は交通事故訴訟の経験が得られない状況です。交通事故に不慣れな個人事務所が知人から交通事故裁判を持ちかけられも、本来は断るべきなのです。

 実例を挙げます。

<実例1> 和解するくらいなら・・・

被害者Aさんは交差点で車同士で衝突、大ケガを負いました。脛骨、腓骨(すね)の骨折です。後遺障害は11級が認められました。  しかし自分にも過失があり、相手の保険会社が提示する賠償額は30%減額されたものです。

 提示額は・・・既払い額を除いた損害額は約1000万円、過失割合は 自分30:相手70 なので受取額は1000万円×70%で700万円です。

Aさんは悔しくて訴訟をしようと弁護士を探しました。そして知人の紹介でB弁護士に依頼しました。その弁護士は交通事故を年2~3回扱っているようです。

B弁護士は受任し、過失割合について裁判で20:80の主張を展開しました。請求額は約3000万です。

 相手保険会社も顧問弁護士をたてて、類似判例をドーンとだしてきて過失割合の正当性はもちろん、顧問医の意見書で医療上の見解を展開、さらにAさんの収入面について厳しく指摘が続きます。対するB弁護士も昨夜一生懸命勉強した資料を提出して応戦します。

 そして裁判所から慰謝料を少し上乗せした和解案が提示されました。それからB弁護士は何故かAさんに「私の尽力で賠償額を2倍にしました!これ以上争っても時間がかかるので和解しましょう」と説得を始めました。Aさんも自分の弁護士が言うのだからその方がいいのだろうと和解に応じました。

 結果、和解の賠償額は2000万円、過失割合は変わらず2000万円 × 70% で Aさんの受取額は1400万円です。 しかしここから弁護士報酬が支払われます。すでに着手金で100万円を支払い、報酬で140万円です。

 元々保険会社の提示で示談だったら700万円です。裁判で1400万円になりましたが、弁護士費用を差し引くと1160万円です。なんか釈然としないAさんですが、一応460万円増えたので良かった結果になります。

 しかしこの業務は問題山盛りです。

① 過失割合は30:70から変わらないので、争点から言ったら負けです。徹底的に争う気がないのなら最初から20:80は困難と説明すべきです。最初から和解ありきで20:80の気鋭を上げただけ?のように感じてしまいます。

② これは後遺障害11級のケースです。過失割合を徹底的に争わないのなら、交通事故紛争センターの利用も考慮すべきです。和解で用いられた基準同様の赤本基準でざっと計算するとやはり損害額は2000万円位なり、紛争センターの斡旋案が仮に赤本の8割程度の1600万円で、ここから過失分30%を引かれても1120万円になります。そうです、和解案と大差ないのです。紛争センターの無料斡旋弁護士の方が、よりいい数字を引きだす可能性すら感じます。

③ 脛骨・腓骨の骨折で11級が妥当だったのでしょうか?後でわかったのですが、この方は完治後も足首と足指の曲がりが悪く、リハビリしても改善しません。軽度ですが腓骨神経麻痺の可能性大です。この場合足首10級、足指12級で併合9級の芽がありました。 過失割合ばかりに目が行って、争点を間違えています。11級→9級となると受取額は1000万円程増えます。過失分10%の200万円程度を争っている場合ではないのです。医療立証を行い、異議申立→裁判、という道筋を取るべきだったのです。

④ あと、最低これだけは説明すべきです。判決まで争った場合、相手から弁護士費用、賠償額の10%程度が認められます。(最近は和解でも若干認定されるようになりました)。さらに事故日からの遅延利息金、賠償額の年利5%(この低金利の世の中で!)が加算されます。Aさんにこの説明をした上で和解と決めたのでしょうか?

 これは特異な例ではありません。保険代理業20年を通じて経験した交通事故裁判は全件 和解でした。判決まで争う例は極めて少数なのです。このB弁護士も勝ち目がないのを承知で、報酬の為に和解前提で受任したのでは?と疑ってしまいます。そして当然ながら百戦錬磨の保険会社の担当者や顧問弁護士、顧問医と戦えるだけの経験則を持っていません。                      続きを読む »

 相変わらずコンピューターと格闘中です。一部システムの不具合に苦戦しています。  昨日からの続きです。  

● 交通事故のほとんどは保険会社と被害者の交渉・示談で解決している事実があります。

 これは社会的にみて、紛争の拡大を未然に防ぐという良識のもとに保険会社が大活躍しているわけです。その行為は「示談代理」ではなく、「示談代行」をしているという解釈にもとづくものです。報酬を得て代理交渉ができるのは弁護士のみと弁護士法72条規定されていますがその例外でしょうか。

 しかしこの交渉ですが、交通事故を専門とする会社組織 vs 初めて事故に遭った一般人 ではあまりにも力量に差があります。ご自身で必死に勉強して交渉している方もおりますが、ケガで体力的・精神的に弱っている被害者には酷な現実です。   さらにこの交渉は被害者にハンデが大きいといえます。それはそもそもお金を握っているのは加害者側保険会社です。一生懸命交渉しても、保険会社が「それは払えません」と言えば交渉はどん詰まりです。そこから保険会社の内部規定の範囲で譲歩を引き出しても、裁判での判例や弁護士会の基準から程遠い額です。

 最近の質問にも、「どうやったら裁判に近い額をゲットできますか?」が多く寄せられます。

 これは保険会社の回答のままお答しています。

 「弁護士を立てるか交通事故紛争センターを利用して下さい」。

 やはり一般人との交渉額はここまで、それ以上は弁護士が介入しないと応じない、又は紛争センターにて渋々歩み寄り・・・保険会社の実に割り切った判断が存在します。  

● 何がなんでも裁判基準ではない?    物損事故や軽微なケガ、通院3か月程度の場合・・・ご自身で保険会社と交渉して保険会社の基準で解決したとします。それが裁判基準より低い額であったとしてもその差は莫大ではありません。その差額の請求の為に法律家を有償で雇っても実利は低いと思います。さらに早期解決&即入金といったメリットもあります。印鑑を押せば保険会社は実に素早く支払ってくれます。払えなくて夜逃げ、行方を眩ます、なんてことはしません。これは加害者本人との示談では起こりうる話です。

 そのような意味では保険会社さまさまです。足を向けて寝れません。  

 さらに明日へ 

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 丸一日コンピューターと格闘中です。記事だしが甘い日々が続きます。  

 交通事故業務について少々・・

● 行政書士と交通事故業務

 現在お役所にて行う証明・届出・許可・申請手続きもシステム化が進んでいます。行政側も簡単な手続きは自宅のパソコンからネット上でダイレクト申請を行うことに取り組み中です。審査が厳しいものは窓口対応が絶対ですが、簡便な営業許可、建築許可は今後ネット申請が主流化すると思われます。

 行政書士の仕事の70%はこの許可申請の代理です。その他、相続、離婚、交通事故など民事も業務に加わります。許可申請も民事もすべて行う事務所が多いですが、私のように交通事故のみに特化した事務所は少数派かもしれません。それでもここ数年、交通事故や離婚を専門に扱う事務所も増えたようですが・・

 アピール不足か行政書士による民事業務はあまり知られていません。

 そもそも代理権を持たない行政書士ができることは限定的です。弁護士と違い、依頼者に代わって相手と交渉ができないのです。しかし弁護士が積極的にやらないので、社会的な需要から行政書士が受け皿となっていたようです。特に相続の分野は行政書士が活躍しやすい業務と言えます。それは相続の97%が訴訟とならず、協議で解決しているからです。「相続手続きは行政書士へ」との社会的認識がより広まるとよいと思います。

 しかし「交通事故は行政書士へ」と言うには多少言葉が詰まります。何故なら交通事故の94%は被害者と保険会社との交渉・示談で解決しているという保険会社のデータが存在します。

 つまり、ほとんどの事故は保険会社の提示する基準で(円満かな?)解決されている、ということです。

 明日は保険会社を中心に話を進めます・・・システム変更は今週いっぱいかかると思われます      ← 埼玉県会の交通事故業務アピール用ポスター

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 今朝は6時30分に事務所を出たため、日誌のUPが遅れました。鎌倉方面で、大船からモノレールに乗りました。

 さて、ADRの続きです。弁護士会や保険会社や地方自治体が主催するもの以外に行政書士会のADRがあります。

 裁判をする程ではない些細な紛争ついて、行政書士が解決のお手伝いをすることがよくあります。簡易裁判所の代理権をもつ司法書士は当然に140万までの訴額に対し代理解決が可能です。また労使間のトラブルでは社労士などが実質仲介を行って解決しています。正式な代理権をもたない士業が代理を行う、仲裁に乗り出すことが事実上存在しています。もちろん非弁行為で違法です。しかし弁護士過疎地である田舎では必要悪として仕方ない、暗黙の了解?とされているのでしょうか。

 そこで行政書士会はADR機関を主催し、「ADRの範囲内で当事者の代理人として、行政書士に代理・弁護をさせること」を目標として、紛争代理行為の合法化を計画しています。民事上一定範囲の代理権を取得するという、行政書士の宿願に近づくためです。  行政書士の業務範囲拡大と社会的地位の向上はすばらしいことです。反対する行政書士はいないと思います。

 しかし、私は若干の不安を感じています。それは制度を作る事を目的として、その機関や権利が誰の為であるかを置き去りにしていないか?です。 それはADRによる解決がそれほど実効力を持たないのではないか、と思っているからです。

 例えば簡易裁判所の調停の成立率ですが、民事調停に限定すると30%に満たない地域がほとんどです。調停が成立しない=第3者を交えた話し合いでも解決できなかった・・・。これはつまり仲裁・斡旋の失敗です。裁判所がやっても調停をまとめるのは大変難しいのです。    では交通事故の場合、おなじみの紛争センターでは・・・

 平成22年度の集計で、依頼件数8666件中 → 和解成立7036件 =成立率81.2% 

 調停成立率30%との差はなんでしょうか?

 簡単です。それは紛争センターには斡旋者である嘱託弁護士の斡旋案に一定の拘束力があるからです。  保険会社は斡旋案を尊重することになっています。被害者寄りの斡旋案でもイスを蹴る事はしません。渋々ですが歩み寄ります。これは保険会社と紛争センターが被害者救済を実践している事実として賛辞すべきです。

 しかし、調停では 仲裁する裁判官=あくまで話し合いの仲介者 で、当事者のどちらか一方が斡旋案を蹴ったらおしまいです。  

 斡旋・仲裁機関は裁判ほどの強制力を持たないとしても、一定の拘束力がなければ、もめごとをまとめる力は乏しいのです。    話を戻します。私はADRの成功はこの拘束力にかかっていると思います。

 紛争中の方が当事者同志の話し合いで解決できないので、ADRを利用したとします。しかし和解成立率が2割ではどうでしょう? 調停員を交えて話し合ったとしても、「相手がイスを蹴ったら終わり」だったら・・・利用者をがっかりさせるだけです。調停の民間版では社会に根付く制度には成りえないのではないかと思います。

 将来、弁護士・司法書士・行政書士がローヤー(法律家)として一つの職種に統一する構想があります。その前置としてADRの代理権獲得を推進することは、「まず形を作る」ことを急務としているように思えます。  しかし利用者の利便、社会的存在意義、紛争当事者救済 の志がないと、「とりあえず制度ありき」になってしまいます。

 「仏像彫って魂入れず」 とならない事を願っています。  

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 最近「ADR」ってよく目にしませんか

 民事上のもめごと、たとえば相続分割、離婚、貸金回収、契約トラブル、傷害事件などが起きた時、どうやって解決を図っているのでしょうか?

 ほとんどは裁判とならず、当事者同士の話し合いである示談で解決が図られています。もちろん交通事故もその範疇で、保険会社との示談が圧倒的です。「全交通事故の94%は保険会社が解決しています!」と保険会社の社員から聞いたことがあります。

 示談はあくまで当事者同士で完結します。そこに第3者が仲介・斡旋を行うと、これを紛争処理機構と呼ぶことになります。

 紛争処理は裁判所が主催する調停がよく知られています。当事者に裁判官を交えて話し合いをするものです。ちなみに離婚裁判は調停前置が条件です。(調停前置とは、「裁判を起こす条件は、まず調停をやってから」です。)  交通事故では「財団法人 紛争処理センター」がお馴染みです。他に「日本損害保険協会 そんぽADRセンター」、「日弁連 交通事故相談センター」、自治体が主催する交通事故相談・斡旋窓口も存在します。

 それらは広くADRのカテゴリーに入ると思います。ではADRとは何か・・・

 ADRとは Alternative Dispute Resolution の略で、訳すると 「裁判外紛争解決手続き」です。訴訟手続によらない紛争解決方法を広く指すもので、紛争解決の手続きとしては、「当事者間による交渉」と、「裁判所による法律に基づいた裁断」との中間に位置します。   ADRは相手が合意しなければ行うことはできず、仲裁合意をしている場合以外は解決案を拒否することも出来きます。アメリカ合衆国で訴訟の多発を受けてできた制度で、アメリカから日本に輸入された制度です。  紛争が多発し、裁判が追い付かないアメリカならではの制度ですが、日本でも裁判によらない細かな紛争のスピード処理に期待を込めて続々と出現しています。

 行政書士会でもADRの認可が目下最大の取り組み課題のようです。町の法律家である行政書士が斡旋機関を主催し、もめごとを解決します。将来的にはこのADRの中での弁護士になるべく、ADR代理権の獲得を視野に入れています。  

 ADRやこれら紛争処理機構について少し意見展開したいと思います。明日に続きます。 

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 おはようございます。毎度のことですが、交通事故相談で「相談者自身の保険契約を精査すること」、これを忘れないようにしています。  

<実例>

 自転車で走行中、交差点で自動車と出合い頭で衝突し、足を骨折しました。そして自分にも事故の責任を指摘され、相手との過失割合が10:90となりました。結果として最終的に賠償額から10%削減されて支払われることになりました。 

 「悔しいです・・なんとか0:100にできませんか」  

★ ポイント1

 しかし、必死になって過失割合の交渉をしなくても、ご自身が契約の自動車保険の人身傷害特約でその削減分を請求し補填することが可能です。これは自動車との事故であれば、契約自動車に乗っていない場合、歩行中や自転車搭乗中でもOKなのです。

 ※ ただし「搭乗中のみ担保特約」となっていれば、契約自動車搭乗中に限定されます。   通販型の保険はこれが多いので注意です。  

★ ポイント2

 この自身契約の自動車保険ですが、自分が契約していなくても、「同居の親族」の誰かが契約していれば、保険が適用されます。

★ ポイント3

 さらに、被保険者(保険が受けられる人)の欄に「同居の親族」だけではなく「別居の未婚の子」が記載されていませんか?この別居の未婚の子とは、通学のために別居に下宿している子などが代表例です。しかし、学生に限らず、独身の40歳OL一人暮らしも範囲に入ります。このOLさんが東京で交通事故でケガをして、なんと!九州の実家の親の自動車保険が使えるケースが有り得るのです。

※ 「別居の未婚の子」に年齢制限はありません。婚姻歴無のみが条件です。  一度結婚し、離婚して独身になってもダメです。ですので18歳で結婚し、19歳で離婚バツ1となった人は、未成年であっても「別居の未婚の子」から外れます。なんか腑に落ちませんが、保険約款が民法の「成年擬制」の条項に準じているためと思われます。

<民法第753条>

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

民法上、未成年でも婚姻すれば成年と同じように行為能力者とみなします。男子の場合18歳、女子の場合16歳になると婚姻をする事ができますが、婚姻によっても成年に達したものとみなされます。これによって親権者の同意を得ずに単独で法律行為が可能になります。この効果は離婚しても消滅しません。つまり、法律上20歳で大人ですが、未成年でも1度結婚したら大人と扱う、ということです。

  ★ ポイント4

 この「別居の未婚の子」の解釈は他の特約や保険でも共通です。

・ 弁護士費用特約   ・ 無保険車傷害特約 ・ 個人賠償責任保険 ・ 家族傷害保険(共済)      <まとめ>   保険適用に気付かずに請求漏れが多いと推測します。請求しなければ保険会社は払ってくれませんので。また、弁護士や行政書士に相談しても、その先生方が保険に精通していなければ見落とします。

事故相談で必ずすること・・・「自身の保険契約を洗い直す!」です。

  

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11. 精査受診  ( 3ヶ月~症状固定 ) 

 検査へ同行します。場合によってはメディカル・コーディネイターを派遣します。

 初めての病院は何かと不安なものです。必要があれば病院へ同行します。特にMRI等の画像診断の場合、読影医や技師との打ち合わせが重要です。ピンポイントでヘルニアの突出や脊髄損傷の病変部を捉える、又は頭蓋底骨折や肩甲骨骨折、靭帯損傷など、受傷直後で見落とされがちな症状を描出するためです。                 

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6. 自動車保険の請求  (受傷 ~ 症状固定)

ご自身の自動車任意保険をチェック、請求のサポートをします。

① 搭乗者傷害保険、人身傷害保険、自損事故保険 ② 弁護士費用特約、その他特約

 ご自身ご加入の任意保険をチェックします。実際請求漏れが実に多いのです。それに気付かない専門家は失格です。ましてや保険会社や代理店が見落とすのは大問題です。

 原則以下のようにチェックして下さい。

・ 自分から追突等をしてしまいケガをした被害者(自らの過失が100%で相手からの自賠責保険が全くおりない)、崖下転落などの自爆事故 → 自損事故保険 人身傷害特約 ・ ご自身にも事故の責任(過失)がある → 人身傷害特約 ・ 他の自動車、歩行者、自転車で自動車事故にあった場合   → 人身傷害特約(車外危険担保) ・ 契約自動車に搭乗中 → 搭乗者傷害保険 ・ 弁護士や行政書士に依頼する場合 → 弁護士費用特約

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「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

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