今回3つのパターンを紹介しますが、⑴、⑵の先生に依頼すると残念な結果と迷走が待っています(弁護士名は仮名です)。   (1)交通事故経験の少ない弁護士:甘利先生

 患者の言う事と医者の診断書を信じすぎる傾向にあり。   (2)そこそこ経験がある弁護士:石原先生

 必要無い検査や画像鑑定を行い、結局は事故との因果関係を的確に立証できない傾向。    (3)秋葉事務所の場合

 多くの被害者さんは悲惨な結果になってから、やっとセカンドオピニオンで秋葉事務所に来ます。「相談が遅すぎて手遅れ」と、涙で枕を濡らすこともあります。    それでは、これらの顛末を追ってみましょう。  

肩腱板損傷の取り組み、2つの典型例と秋葉の対策

 ※「後遺障害が取れたら、またご連絡下さい」と言う弁護士は論外とします

 

(1)交通事故案件の経験少ない甘利弁護士の場合

 診断書を見て、「腱板損傷」を最初から丸ごと信じます。「肩関節の可動域制限が1/2ですので、後遺障害は10級10号が見込めます!」と息巻きます。今後、請求する慰謝料や逸失利益を計算して、「これは利益の大きな案件だ」と張り切ります。

 しかし、自賠責の等級は「非該当」、もしくは大サービスで「14級9号」となるはずです。腱板損傷で10級取り、3000万を超える慰謝料が貰えると、期待させた依頼者:枝野さんから散々責められて・・面目立たずに委任解除となります。または、引っ込みがつかなくなった甘利先生は、軽薄な診断書一枚を持って裁判に持ち込みますが、有効な立証などできようもなく青色吐息、画像所見は相手損保の顧問医の意見書から否定され、負けは必至となりました。毎度お馴染みですが、裁判所の和解案にすがり、「この辺で手を打つよう」必死に依頼者の説得にかかります。結局、低額の和解(実際はボロ負け)=最初から裁判の必要などない結果(獲得額)となります。

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 肩腱板損傷に関する相談、ご依頼をまんべんなく頂いております。早期からの相談であれば、等級認定を含めた対策を誤ることはありません。それは、弊所の実績ページの通り、あらゆるパターンを経験しているからです。

 一方、不慣れな事務所に依頼したばっかりに等級が付かず、迷走状態になっている被害者さんも多いものです。最近も某掲示板から直リンされた(?)のか、アクセスが多いので、その記事を加筆修正の上、再掲示します。

 今日から3回の元記事は専門家にも好評のようです。多くの方に参考となれば幸いです。そして、できれば、ご依頼もお待ちしています。  

医師の診断名は絶対ではない?

 交通事故で肩の痛みから腕が上がらず、肩関節の可動域制限が残った被害者さんの相談を100人程度、受けてきました。その中で、無事に機能障害、もしくは神経症状が認められた被害者さんは実績ページの通りです。    ⇒ 上肢(鎖骨・肩)の等級認定実績    しかしながら、一方で非該当や、肩関節の可動域制限がありながら神経症状の14級9号止まりの被害者さんが多数存在するのです。私達は初回相談の段階からMRI画像を確認していますので、等級はほぼ想定通りに収まります。したがって、早くから相談の被害者さんに関しては心配ありません。問題は画像所見の不明瞭な方の場合です。とくに、治療先で「事故との因果関係が不明瞭」ながらついた診断名に難儀しています。これが肩のケガの場合ですと、多くは以下の診断名になります。  

 肩腱板損傷(不全損傷 部分損傷)  

 肩腱板断裂(不全断裂 深層断裂)

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 普通の道路で起きる交通事故だけではなく、構内事故の相談・受任も多い秋葉事務所です。

 フォークリフトの場合でも、構内のみならず一般道を走行するには自賠責保険の加入が必要です。つまり、自賠責があるなら私達の仕事になります。後の弁護士の賠償交渉の前に、後遺障害等級を固める準備ができるのです。

 足指の可動域制限が見逃されるのは、毎度のことです。さらに本件の場合、骨折後の骨変形と違い、軟部組織の腫脹では、14級を超えられないジレンマも抱えました。これら立証の基本は変わりませんが、前任弁護士の無策と、不完全な診断書の修正・追記に再三追われる結果となりました。

 とどめは、初回審査で画像の精査をしていないような判断が返ってきました。地区審査では、一々顧問医に画像を観せて意見を求めていないのでしょう。難しい案件になると、立証側に二度手間の負担を強いることになるのです。さらに、本件自賠責の担当者も意地悪、いえ、厳しかった。担当者によっては、もう少し融通利かせてくれるものですがねぇ。   初回審査(地区審査)の精度・・私達の苦労は絶えません  

14級9号・14級8号⇒11級9号:母趾基節骨+第5趾中足骨 骨折 異議申立(60代男性・東京都)

  【事案】

市場の構内を歩行中、後方よりフォークリフトの衝突を受け受傷したもの。転倒の際についた肘は肘頭骨折、車輪でひかれた右足は足甲部に圧挫創と醜状痕、小指側の中足骨の骨折と足の親指(母趾)の骨折となった。 続きを読む »

 秋葉事務所では、鎖骨の等級認定は100%! 取りこぼしはしません。    来月より、金澤は事務所を卒業し、北海道に戻って治療者兼医療調査員として再出発することになりました。今までのご愛顧、誠にありがとうございました。

 東京での最後の仕事は鎖骨変形の立証でした。もはやルーティンとなった作業を丁寧に進め、12級をしっかり確保しました。この調子で、北の交通事故被害者に対しても頑張ってもらいところです。      皆様、大変お世話になりました。札幌でも頑張ります!   

12級5号:鎖骨骨折(40代女性・東京都)

【事案】

徒歩にて通勤中、信号の無い交差点で前方不注意の車に衝突を受ける。鎖骨を骨折し、プレートにより固定するも、患部の痛み・可動域制限に悩まされていた。

【問題点】

相談を受けた時点で、事故から約2年が経とうとしていた。その為、肩関節可動域制限が3/4を超えており、機能障害の獲得は難しかった。可動域の回復は嬉しきことではあるが、事故から6ヵ月の時点で可動域を測定していたら・・3/4以下の状態、つまり12級6号の認定となったかもしれず、やや悔しさが残った。

【立証ポイント】

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 被害者は自らの被害、痛みを大層に言うものです。やはり、他覚的症状、つまり、医師の診断内容が審査上重きをなすことは当然です。

 しかし、医師の判断が不正確で審査側に伝わらない、あるいは診断そのものを間違えることだってあります。その点、14級9号「局部に神経症状を残すもの」は、症状の一貫性と信憑性から認定の余地があります。ガチガチの証拠(医師の診断書)のみで判断するわけではなく、被害者の主張に耳を傾けてくれるのです。つまり、自前の主張をいかに構成するか、立証側の力量が問われます。

 今回の再申請でも、私達の努力に加え、自賠責の柔軟な判断に助けられました。なにせ、医師の微妙な診断で等級から遠ざけられ、その後もことごとく協力を拒まれたのですから。

不利な状況でも私達は簡単に諦めません!  

非該当⇒14級9号:上腕骨小結節部剥離骨折(10代女性・千葉県)

【事案】

自転車で横断歩道を渡り始めたときに、信号無視の自動車に衝突された。直後から全身の痛み等、強烈な神経症状に悩まされる。 続きを読む »

 醜状痕の12級以外は、微妙な症状ながら14級が揃いました。

 すると、後の賠償交渉では、醜状痕12級の逸失利益(喪失率14%)は、顔を商売にしていない一般の方では簡単に取れません。顔のキズで減収あるいは、それに相当する損害の立証が課されるからです。

 14級9号「局部に神経症状を残すもの」についても、裁判上の相場は喪失率5%で5年間です。痛み・不具合はあくまで自覚症状なので、証拠的に弱い面があります。

 その点、本件は嗅覚障害で14級相当を確保、検査結果という証拠を伴っています。したがって、逸失利益は67歳まで請求したいところです。

 また、14級9号と言えど、複数ありますので、その苦しみは倍増しています。逸失利益はそれを反映した増額を期待したいところです。弁護士先生には頑張ってもらいたいと思います。

複数の14級の場合、相場通りでは損害の実状に合いません!     14級9号:眼窩吹抜け骨折(50代女性・埼玉県)   14級9号:舟状骨骨折(同)   続きを読む »

 昨年から続く上肢の筋断裂と神経損傷、これも2例目の症例でした。いずれも、金澤が担当しました。

 筋断裂と筋移植、正中神経の挫滅と切除、デブロービング損傷と皮膚移植・・・骨折のない上肢では、弊所の最重傷例です。

 上肢・下肢の各関節に複数の機能障害が残る場合は、それぞれ何級か事前に予断することが大事です。設計図通りに立証作業を進める必要があるからです。

 後は医師と十分に打ち合わせの上、各関節の計測を入念に行います。手指・足指の機能障害の場合、多くの診断書では完全に計測・記載されていません。指一本一本の計測は大変に面倒なのですが、等級を取りこぼす結果=数百万円の損になるかもしれません。   医師との意思疎通が大変でした  

6級相当:上肢 屈筋腱損傷 + 正中神経損傷(30代女性・神奈川県)

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 交通事故を契機に、肩関節の不調を訴える被害者が後を絶ちません。むち打ち・腰痛の次に多い症状かもしれません。    多くの場合、むち打ちを契機とした、いわゆる頚肩腕症候群の範ちゅうに入ると思います。40~50代が圧倒的に多く、若年層はほとんどいません。中高年ともなれば、体が硬く、頚椎にも年齢変性がみられ、首から肩にかけて過緊張の状態になっています。交通事故外傷以前に、中高年の4人に1人は何等かの症状を持っていると言えます。

 さて、毎度、賠償問題となるのは、これらの症状が事故を原因とするものか否かです。保険会社は受傷の状況に不自然がなければ、およそ3か月の治療は容認します。しかし、それ以上となると・・「打撲・捻挫でいつまで通っているの(怒)」とは言いませんが、治療費打切りを切り出してきます。通常、打撲捻挫の類は消炎・鎮痛処置をすれば、1か月もすれば軽快するものです。3か月でも十分、それ以上は長過ぎると思うわけです。これは、単なる”保険会社の払い渋り”とは言えません。

 しかし、3か月でも症状が治まらない被害者さんは、確かに一定数存在します。さらに、その一定数からも大きく2つに分かれると思います。一つは、頚椎捻挫から頚部の神経症状が発症したタイプです。これは単なる捻挫を通り越して、上肢のしびれを代表に、様々な不定愁訴(頭痛や吐き気、肩の重だるさ、その他不調でなんだか調子悪い)が半年から数年続くことになります。肩関節も痛みから動かさないので、関節が拘縮し可動域制限が残る方も含みます。これを、「90°までしか肩が挙がらない! 肩腱板不全断裂ですから!」と、10級10号の診断書を提出したら・・自賠責保険の怒り(非該当)を買うこと必至です。絶対に10級を認めないと思います。    このような被害者さんは、痛みの継続をもって、後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の認定を受け、その賠償金を得て、長期間の治療・リハビリに備えるべきと思います。この程度(と言っても200万円~)で手を打つべきなのです。治らないからと言って、いつまでも保険会社と戦争すべきではありません。この解決の流れを作ることが私達の仕事でもあります。    もう一つのケースは、事故受傷を契機に頚部や肩の痛みは当然として、肩にそれ程のダメージがないであろう受傷状況から、「どんどん肩が挙がらなくなった」人です。先の説明、神経症状の一環とも思えず、いわゆる四十肩・五十肩、老化による自然な肩関節周囲炎の症状そのままです。この場合、事故受傷により、その衝撃から発症してしまう不幸なケースもあれば、実は事故前から不調だった、あるいは事故後から拘縮が進むケースですから、ケガと言うより年齢変性・運動不足による疾病に近づきます。事故との因果関係について、保険会社は当然に否定します。肝心の医師も判断に困ります。それがわかるほど、現代の医学は進歩していません。そして、賠償問題に関わりたくないので、患者と距離を置きます(逃げ出します)。

 単なる打撲・捻挫、挫傷の類で、「肩が半分までしか挙がらなくなったのは事故のせいだ!」と保険会社と対峙しても、その争いは自賠責保険の後遺障害審査はもちろん、裁判でも負けると思います。骨折や脱臼、棘上筋断裂で手術でもしていれば別ですが、ズバリ、証拠がありません。その点、この問題をさらに複雑にするのが、医師の診断名です。半分も肩が挙がらないことのみをもって、「肩腱板断裂(損傷)」の診断を下してしまうのです。画像検査もなしに確定診断?は軽率に過ぎますが、そもそも町医者の先生に、MRI画像を正確に読影して頂くことなど高望みなのです。

   独り歩きを始めた診断名(診断書)ですが、賠償問題で保険会社と争う段階になれば、「肩腱板断裂」→「肩腱板不全断裂」→「肩腱板損傷の疑い」と、だんだん自信喪失、薄まっていきます。本来、慎重な医師であれば、予想的な診断名を口にしません。肩関節の専門医にコンサル(紹介)します。その専門医も安易に断定しません。問診・徒手検査を経て、MRIやエコー検査の画像を基に丁寧に診断を下します。そして、たいてい「年齢変性による肩関節の拘縮ですね」となりますが。    このように、中高年にとって、事故外傷と(年齢変性による)諸症状の切り分けこそ、交通事故解決の宿命と思います。私達は日夜、被害者さん・保険会社・医師の3者の交通整理をしているようなものです。    かく言う、私も肩の痛みに悩まされています。私には無縁と思っていた(根拠のない自信)五十肩になったのでしょうか? この件はまた、後日レポートしたいと思います。  

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 次に、指を曲げることができなくなった、または伸びたまま硬直した状態、伸展拘縮も検討します。曲がらなくなった理由は一つではありませんが、屈筋腱損傷を前提に考えます。これも基本知識から。

 

(2)屈筋腱損傷の基礎解説 手の掌側にある屈筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されないので、手指を曲げることができなくなります。切創や挫創による開放性損傷、創のない閉鎖性損傷、皮下断裂がありますが、圧倒的に前者です。屈筋腱の損傷では、同時に神経の断裂を伴うことが高頻度で、そんなときは、屈筋腱と神経の修復を同時に行うことになり、専門医が登場する領域です。

手指の屈筋腱は、親指は1つですが、親指以外では、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2つです。親指以外で、両方が断裂すると、手指が伸びた状態となり、まったく曲げることができなくなります。

深指屈筋腱のみが断裂したときは、DIP関節だけが伸びた状態となり、曲げることができません。しかし、PIP関節は、曲げることができるのです。

屈筋腱損傷の治療は、手の外傷の治療のなかで最も難しいものの1つで、腱縫合術が必要です。年齢、受傷様式、受傷から手術までの期間、オペの技術、オペ後の後療法、リハビリなどにより治療成績が左右されます。治療が難しい理由には、再断裂と癒着の2つの問題があります。オペでは、正確かつ丁寧な技術が求められ、オペ後の後療法も非常に重要となります。

(3)DIP関節の伸展拘縮と屈曲拘縮、どちらかで14級7号は認められるのか?

 労災の認定基準では、以下の通りです。

 14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 MCP(指の根元)やPIP(第2関節)は1/2までしか曲がらなくなった場合で用廃と、労災・自賠責共に基準とされています。

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 多くの指の認定例を誇る秋葉事務所でも、まだ未経験の部位・症状があります。今後、それらの受任と実績を待つとして、自賠責・労災の認定基準を明確に把握しきれないケースについて、最新の認例実績をもとに解明していきたいと思います。

 指のケガを検索、秋葉事務所に引っかかった方は、どしどしご相談下さい。初の相談例であっても、指にまつわる経験則は抜きんでていると思いますので。     【1】 DIP関節における機能障害の等級認定は?

 DIP関節は指の一番先の関節です。根本の関節(MP)、中間の第二関節(PIP)、親指の場合は(IP)・・これらの機能障害、欠損の認定基準は上の一覧表を見れば、容易に判断できます。しかし、細かい症状で悩むことがあります。最初に取り上げるのは、第1関節(DIP)の障害です。機能障害としての認定基準、例えば可動域制限などは明記なく、14級7号が唯一明記されています。   「14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」    このような障害の代表は、いわゆる「突き指」で第一関節が曲がったまま固まった状態でしょうか。多くは、伸筋腱か屈筋腱の損傷を原因に、そのまま長期間装具固定した、あるいは放置した結果、関節が拘縮してしまった状態です。こうなると、手術での改善も時すでに遅しに感じます。

 この後遺障害で秋葉が感じる謎は、「屈伸できなない=硬直」は当然として、では、「伸ばすことはできるが曲げることはできない(伸びたまま)=伸展拘縮」、逆に「曲げることはできるが、伸ばすことはできない(曲がったまま)=屈曲拘縮」、これらも14級7号に該当するのか?です。 まずは、基礎解説から(交通事故110番より)。   (1)伸筋腱損傷の基礎解説   指を上から見たときの解剖図

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 というのも、10年前位は、診断書の数値通りの認定が容易だったと思います。しかし、近年、後遺障害申請数は増加の一途、また、ネット情報の伝搬から可動域を装う詐病者や、それを示唆する業者の影響からか、より厳しく可動域制限を審査するようになったと感じます。

 そもそも昔も今も、審査基準に照らせば、関節の機能障害における可動域制限は、骨折部位・様態と症状固定時の癒合状態から、「物理的に曲がりが悪くなった」原因を必要としています。つまり、画像所見で判断しています。また、計測の正確性も見ています。医師の書いた診断書の記載内容は絶対ではなく、常に審査側の判断・解釈に委ねられているのです。

 本例の骨折箇所と骨折様態から、癒合状態が良好ながら、それ程可動域の数値は疑われないものでした。すると、後は正確な計測だけです。関節可動域の回復のために一生懸命な理学療法士先生には頭が下がる思いですが、ケガの苦しみに見合った等級を残したいものです。シビアに計測をして頂きました。

理学療法士先生の気持ちはわかります   

12級6号:上腕骨頸部骨折(60代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で道路を走行中、後方から前方不注意の車に追突を受ける。肩関節内で上腕骨を骨折し、救急搬送された。6ヵ月間のリハビリに励むも、可動域制限が残った状態で症状固定となった。

【問題点】

今回の件では、症状固定前に何度か病院へ同行、リハビリにも立ち会っていた。理学療法士の技術と尽力から可動域は回復傾向に。改善は何よりではあるが、毎回一生懸命に可動域拡大訓練の後に計測をするので、12級6号の基準「4分の3」を超えてしまう懸念があった。

もう一点は、幸い良好な骨癒合から、可動域制限を否定される可能性があった。

上記2点を対策しなければ、機能障害を否定される。 続きを読む »

 手首には8つの手根骨があります。よく折れるのは決まって舟状骨で、転倒で手をついた際に折れるケースを数例経験しています。しかし、他の骨は初です。

 この手の骨折はレントゲンでは不明瞭で、CTやMRIで判明することが多くなります。もしくは、橈骨や尺骨、中手骨が折れた際に、ついでに発見される傾向です。舟状骨はじめ、単独の手根骨骨折は、確定診断が遅れるのです。

 本日は埼玉へ病院同行、その画像を主治医医と一緒に観ることができました。確かに珍しい部位かつ、微細な病変部でした。レントゲンでは済まない、精密な画像検査が望まれます。普通は見逃すか、発見に時間がかかりますが、なんとご自身で調べてCT・MRI検査を依頼・・結果、珍しい骨折を発見しました。本来、秋葉事務所がやるべき仕事を先に進めて下さったのです。

 実は、本件依頼者さんはベテランの損保代理店さまでした。目の付け所と検査手配はさすがです。    毎度、骨折を予想して検査を促す立場としては、(残念ながら?)楽をさせて頂きました。後遺障害につながるかは、今後の骨癒合と回復具合ですが、解決までしっかりフォローしていこうと思います。

 

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 本件では、珍しく認定等級の見通しを外しました。もちろん、すべての障害を漏らさず網羅した申請なので、等級を取りこぼすことはありませんが・・。

 人体の関節の機能障害では、その可動域制限が認められるには、医学的に(物理的にと言った方が?)関節が曲がらなくなる理由が必要です。最たるものが関節内骨折です。変形の具合によっては、関節の動きを邪魔するからです。ですので、関節部から離れた骨折、その関節の可動に影響ない癒合状態では、可動域制限は疑われるのです。

 また、骨折が関節に直接及ばなくても、腕や脚の骨折でその骨癒合を待つ間、関節を動かさないでいると、やはり、曲がりが悪くなります。しかし、その可動域制限は2次的な症状と判断され、「リハビリ不足」のレッテルから、後遺障害と認めないのです。例外として、関節を動かす神経が断絶した場合、その神経麻痺を原因に認める場合があります。    頚椎はじめ脊椎の可動域制限は、その可動をつかさどる部位でなければ否定されます。例えば、腰椎破裂骨折の場合、第4~5腰椎がひどく破壊されれば、もしくは3椎体以上にまたがる固定術で固定されたら、腰椎の可動域制限があって然りとなります。それが、第1~2腰椎では、”腰の曲がりに影響しない”と判断されます。横突起が折れた程度では、これも同じです。

 以上が、非公表ながら自賠責の認定基準であると把握しています。

 本例の場合、基準通り、頚椎の横突起は頚部の可動に影響しません。では、椎間関節は可動域に影響するのか?・・これが本例から判明しました。文字から椎間関節は、関節内骨折の響きがありますが、「頚椎部の運動障害」の根拠となる部位としては重要視していませんでした。神経症状狙いのところ、普通に可動域を主治医に記載頂き、審査に付しました。結果は以下の通りです。   これも貴重な認定例になりました  

8級2号:第7頚椎横突起・椎間関節内骨折(40代男性・東京都)

  【事案】

自動車の後部座席に搭乗中、交差点で信号無視の自動車の側突を受け、自動車が横転したもの。頚椎、鎖骨を骨折、頭部は硬膜下出血、顔面は切創、以後、強度の神経症状が続いた。

...

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 秋葉事務所がもし「他事務所との違いは何ですか?」と聞かれたら、こう答えるでしょう。  

 「画像を観てから提出しています」

   後遺障害の仕事は、単に診断書などの書類を集めるだけではありません。等級認定を決めるのは画像です。審査側の自賠責調査事務所は、とりわけ受傷時と症状固定時の骨や靭帯の状態に注視しています。私共、申請側もそれに倣っています。まさに、本件は癒合状態が等級認定の決め手となりました。

 秋葉事務所では、これまで医師が見落とした画像所見を指摘、診断書に追記頂くことが何度もありました。これは、決して医師に勝るなどと自慢しているわけではありません。医師は限られた時間で患者に接し、治療上に影響のない骨片程度の確認の為に、画像を隅から隅まで観る時間などありません。何より、自賠責や労災の認定基準など守備範囲の外、あくまで治療に尽くすのが医師の役割だからです。その点、医師任せでは等級を取りこぼす危険性が潜んでいると言えます。

 また、画像を観ない、理屈ばかりで後遺障害等級の経験少ない事務所に任せてしまうと・・本件のようなケガでは、その障害は無かったことにされるかもしれません。   お手柄の金澤 「レントゲン再検査して良かった!」  

14級6号:第5指PIP関節脱臼骨折(30代女性・静岡県) 

【事案】

交差点にて横断道路を歩行中、前方不注意の右折車に衝突を受ける。転倒した際、小指を脱臼し負傷。事故から6ヵ月目、相手保険から打切り打診があった段階での相談となった。

【問題点】

受傷した小指は、可動域制限あるも、13級6号「1手のこ指の用を廃したもの」に届かない数値だった。残るは靭帯損傷か神経症状の残存か・・選択は厳しくなった。

【立証ポイント】

左小指の軟部組織状態を精査する為、急遽主治医にMRIの紹介状を貰うよう手配。MRI撮影後、本人から画像のコピーを速達で送って頂き確認。軟部組織に異常が無いと判断し、症状固定の日取りを調整した。

無事、医師面談も終わり、上出来な診断書が完成した。過去撮影したレントゲン画像もコピーをして頂き、補強できる医証が無いか確認したところ、受傷初期の画像に遊離骨片(脱臼の際に折れた骨のかけら)のような影が映っていた。 続きを読む »

 普通、ホームページでは華々しい成功の記録を誇示するものです。集客・宣伝ですから、それは当然のことです。しかし、秋葉事務所の姿勢は異なります。

 HPで実績をUPして10年を超えますが、そのアクセスを分析すると、全国の交通事故被害者さんはもちろん、弁護士・関連業者のアクセスが半数を超えると思われます。ネット情報とは言え、一定の信頼から秋葉事務所の実績を参考にして下さっているようです。多少なりとも被害者さんや同業者さんの役に立っていること、これは人助けに通じる名誉なことだと思います。

 このシリーズ、あえて人には見られたくない認定例も隠さず紹介してきました。失敗例もきっと誰かの役に立つはずです。

多くの経験値を誇るも、まだ未経験の症例や知らない事も多いのです  

12級5号:肩峰骨折・肩鎖関節脱臼(10代男性・千葉県)

  【事案】

自転車で交差点右折の際、左方よりの自動車と衝突、転倒したもの。右肩の激痛から、レントゲン検査したところ、肩甲骨の肩峰が骨折、数日後、転院先で手術(鋼線での固定)となった。  

【問題点】

肩関節、挙上の回復が進まなかった。就職を控えている事情から、リハビリ通院を続けることなく、抜釘後に症状固定とした。計測値は10級レベルであった。一応、肩関節に隣接する骨折であること、肩関節が下方転位していることを理由に、この数値で申請をかけた。肩峰骨折後の肩関節・機能障害、新たな挑戦である。   続きを読む »

 多発骨折と言っても、癒合さえすれば問題を残さない部位があれば、深刻な後遺症となる部位もあります。傷病名が複数の場合、その整理をしながらの作業になります。症状固定時に残る後遺障害等級を想定した設計図を描くこと、これが専門家の仕事です。

 本件は、諸事情から回復が進まず、症状固定まで時間がかかりました。2年を待ちましたが、なんとか取りこぼしなく、設計図通りの認定を得て、弁護士に引き継ぎました。十分な逸失利益獲得へ準備は整いました。

 症状固定まで2年、大過なく認定へ   10級10号、12級5号:鎖骨骨折(30代女性・千葉県)   10級11号:足関節脱臼骨折(30代女性・千葉県)   続きを読む »

 本件は、降車の際の転倒ですから、自損事故と言えます。それを助けてくれた人身傷害保険様々です。ですから、普通に傷害保険に請求する感覚となります。しかし、妥協できないのは、後遺障害です。この等級次第で、保険金が桁違いとなることがあります。したがって、基本通りに立証作業を進めます。その点、本件は秋葉事務所にご依頼下さって正解でした。

 また、保険金提示に対しても注意が必要です。人身傷害保険の特徴は、治療費や休業損害の実額だけでなく、慰謝料と逸失利益が計算・支払われます。約款上、慰謝料は入通院日数からの計算式、等級ごとの定額が明記されています。これは約款通りの提示となります。しかし、逸失利益は自由度が高いもので、年収または平均賃金から計算され、喪失率や喪失期間も担当者判断です。この計算で、いかようにも調整が可能なのです。

 本件の場合も、比較的高齢から、「もう隠居でしょ」と勝手に判断されて、最初は低い提示でした。しかし、復職を果たしている事実、まだ数年は労働が見込める点から、ご家族が交渉しました。結果、数十万円も増額しました。もっとも、加害者のいない事故で、助けてくれた保険会社相手にゴリ押しは遠慮したいところ、それなりの交渉で手を打つよう、アドバイスしました。   人身傷害も丁寧に申請すべきです  

人身傷害12級6号 :橈骨遠位端骨折(60代女性・神奈川県)

【事案】

停車後、降車の際に転倒し、手をついて手首を骨折したもの。

【問題点】

骨折後にわずか変形癒合があり、手首の動きがギリギリ12級の数値を示していた。ただし今回は相手がいない事故なので、相手保険会社や自賠責は使えない。相手がいる事故であれば自信をもって12級を狙いに行くのだが、相手のいない事故で自身の保険会社に請求する上で、強交渉は遠慮がち。

【立証ポイント】

まずは手首の状態を確認する為3DCTを撮影、次に本人の診察時に病院へ同行し、レントゲン記録や治療記録等も確認した結果、14級を確実に抑えつつ、12級も狙える内容にする方針を固める。2回目の病院同行前にその3DCTの打出しを作成した。その打ち出しを主治医に提示したものの、変形癒合の判断までは難色を示す。あくまでも本人は治療結果に満足をしている意思を伝え、対保険請求としての意見を求めなんとか記入頂けた。

その他、診断書に12級妥当となる情報をカルテから引っ張って記入頂いた結果、12級の判断を頂いた。

ちなみに、人身傷害の保険金提示では、毎度のことだが逸失利益の少額示など、支払い渋り、否、厳しい査定が続いた。納得のいかないご家族の粘り強い交渉から、70万円近く増額となった。場合によりますが、人身傷害保険も交渉次第なのです。

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 慣れない用語が含まれますので、先に解説します。    ○ 肩関節炎・・・中後年の肩の痛み、腕が挙がらないなどの症状の多くは、いわゆる「50肩」、加齢による肩関節周囲炎の診断が多くを占めます。処置として、最近ではヒアルロン酸注射が多いようです。本件の場合は、肩にケナコルト注射を打ちました。これはステロイド系に属し、肩関節腔内に注射して炎症を抑える効果を期待します。   ○ 医療過誤・・・(いりょうかご、 Medical malpractice)とは、治療行為における誤りによって患者に被害が発生すること。医療ミスともいう。   ○ 医療賠償責任保険(医師賠)・・・医師が加入する、医療過誤など患者に賠償責任を負った場合、その賠償金を肩代わりする保険です。主な支払い項目は以下の通り。   ① 法律上の損害賠償金

法律上の損害賠償責任が発生した場合において、被保険者が被害者に対して支払責任を負う損害賠償金

※ 賠償責任の承認、賠償金額の決定についてはあらかじめ保険会社の同意が必要となりますのでご注意ください。   続きを読む »

 自賠責保険の後遺障害認定基準は、労災の制度から派生したもので、公表されている文言を見ると、その基準はほとんど同じです。ただし、基準はあくまで労災基準に「準じたもの」で、「まったく同じもの」ではありません。公表されてはいませんが、労災と違う自賠責保険のルールは諸々存在しています。

 以前、TFCC損傷で14級9号を取った後、労災で12級13号が認められた件で、弁護士から「自賠責も12級にならないかな?」との相談を受けました。よくある論点なので、「またか・・」と思いつつも、診断書・画像を預かり検証しました。画像所見上、TFCC損傷は微妙で弱く、手術もしていない。また、手首を酷使する仕事上、経年性の疑いも残る。この場合、労災は甘く12級、自賠責は14級どまりが結論なのです。結局、依頼者の希望に抗しがたく、その弁護士さんは再請求するも14級は変わりませんでした。

 このように、自賠責と労災の基準の違いは存在します。逆に、自賠責が有利で12級も、労災では14級となる件もあるのです。経験を重ねた事務所はそれを知っています。   これも自賠責と労災の認定基準の違いの一つです  

労災12級6号:TFCC損傷(30代男性・山梨県)

  【事案】

原付バイクにて一時停止中、左方から早回り右折してきた車に衝突され受傷した。直後から右手のしびれ、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

手術を受けたものの、症状が改善しないとのご相談を受けた。詳細を伺うと、既に事前認定にて14級9号が認定されており、その結果に納得していないご様子であった。後遺障害診断書、診断書・診療報酬明細書を確認すると、可動域も12級を逃しており、手術の内容も関節滑膜切除術で、理屈上は改善しているはず。12級への異議申立が通る可能性はほとんど無かった。

【立証ポイント】

よくよく事故の詳細を伺うと、通勤災害であることが分かった。自賠責は難しいが、労災で12級認定を獲得する方針で進めることとなった。

基本、12級にするためには、画像所から立証が必要なので、画像鑑定を依頼し、鑑定書とともに自賠責に申立てたが、結果は想定通り14級9号のままであった。

その後、労災にも全ての資料を提出し、労災顧問医の面談に臨んだところ、治癒日(自賠責の症状固定日に合わせたため、面談よりも1年以上前)よりも手関節が拘縮しており、可動域の数値は左右差3/4となった。労災では、現状の数値と診断書上の数値、どちらを採用するのか結果を待っていたところ、面談時の可動域制限を認めた12級6号認定となった。通常、症状固定日よりも数値が悪くなることはほとんどないが、本件では、自賠責の後遺障害診断時に、痛みをこらえて可動域計測に応じたため、正しい数値の計測ができなかった事情が存在する。 ...

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 医師は後遺症、つまり、治せなかった症状について、じっくり時間を割いて診断書を書いてくれるものでしょうか?    普通、医師は後の賠償問題に興味はありません。立場上、治すことが仕事です。本音を言えば、目の前の患者さんを診ることが優先、診断書に時間を割けないのです。その後遺障害診断で、もっとも面倒なのが関節の計測、それも手指・足指の計測程、時間がかかるものはありません。自ら丁寧に計測して頂ける先生に出会えたら幸運です。また、理学療法士さんに計測を指示する先生も多いものです。理学療法士さんも、医師の指示とあれば、せっせと計測してくれます。ただし、リハビリの場面で、指を対象とするものは圧倒的に少なく、慣れない手つきとなります。

 指を丁寧に計測して機能障害の等級を確実にする、これこそ私達の出番です。かつて、相談会で手首や肩の関節で等級認定を得ながら、指を取り漏らしている診断書を何枚も見ました。それも、交通事故専門を謳う弁護士先生に任せていながら、です。

 やはり、後遺障害の仕事は「経験」です。手指・足指の障害を受任したことのある事務所を選んで頂きたいものです。     指1本1本の計測は大変です  

6級相当:浅指・深指屈筋腱断裂、手根筋腱断裂、皮膚欠損(60代男性・埼玉県)

【事案】

信号のない交差点の出合い頭、一時停止無視の車に側面衝突される。被害車両は横転し、右腕が車の下敷きになり受傷。利き腕に腱断裂を伴う広範囲のデグロービング損傷により、用廃レベルの状態に。

【問題点】

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