win (2)加害者側の任意保険への直接請求権の行使について (物損の場合)

 治療費等、人傷の場合には、被害者請求や人身傷害特約を利用することで早期解決できるので、直接請求権の行使は現実的ではありませんでした。しかし、「直接請求権」は約款をみてみますと、人傷だけではなく、物損にも行使できる旨が記載されています。現在では普段の生活で自動車をよく利用される時代です。自動車の修理費は、人によっては治療費や慰謝料以上に強く求められることもあります。

 物損の場合、自賠責が適用されず、被害者請求はできない。また、人身傷害特約も物損には適用されません。加害者が物損の修理費を払いたくなく(経済的に支払えない場合もあります)、しかも自分の保険会社を利用しようともしない場合、泣き寝入りしてしまいます。そこで、相手方の任意保険会社に直接請求することを約款で認め、このような場合に泣き寝入りせずに物損解決ができるようになっております。

 この点、直接請求権を行使するための要件は、前回述べた内容と同様です。

 人傷の場合と同様、その中で最も現実的な方法は、「③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合」とみています。他方で、物損の場合、人傷の場合と異なり、賠償額の算定は比較的容易です。よって、前回述べた、「① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合」の方法も理論上できそうです。

 しかし、実際に①の方法を利用するとしても、弁護士に依頼しても受任してくれない可能性があります。何故なら、物損は人傷よりも多くの場合、賠償額が低いため、結果として弁護士の報酬が低くなり、弁護士を使うことが現実的ではなくなるからです。すると、物損のみの交通事故の場合、被害者自身が裁判等をすることになることも視野に入れなければなりません(本人訴訟)。

 なお、物損額が60万円以下であれば、少額訴訟という制度を利用でき、仮にその額を超える場合でも140万円を超えないのであれば、簡易裁判所で訴訟をすることになります。いずれも、端的に言えば、事件の早期解決を図れる点で共通しております。これらの制度については、裁判所や弁護士によく相談してみてください。

 この論点を含む、物損の直接請求権については、ボスがメインブログで、ストーリーを絡めて詳しく解説しておりますので、ご参照ください。  ⇒ 「事故の相手が保険を使ってくれない」  

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 今月、等級認定の見通しや過失割合から、保険金を得ることが非常に困難な相談が数件入ってきました。

 今迄は成果の見込めない案件は謝絶させて頂いていました。成果が見込めない、もしくは報酬に見合わない成果の場合、代金をいただくこと自体が躊躇われます。しかし、中には誰かがお手伝いしなければ埒があかない案件もあります。そのような件は限定的ながら受任すべきなのです。そこで問題となるのは事務所の経営体力や受任体制です。その点、弊事務所ですが、案件が集中して処理しきれない時期がおよそ4年続きましたが、ようやく陣容が整いました。

 事務所の経営、人員が疲弊するような体制では謝絶も致し方ないと言えます。しかし、現在、若手の育成が進んだ秋葉事務所では、組織的な対応によって、さすがに「報酬なし」というわけにはいきませんが、利益薄くとも受任することが可能となりました。今まで以上に多くの被害者さんを助けることができます。つまり、受任の間口が広がったことになります。

 元々、難しい案件に燃えるタイプと自認しております。他事務所で「難しい・・」と言われた被害者の皆様もご相談をお待ちしています。”交通事故に詳しい事務所・日本一”を目指し、日々勉強を積んで準備しております。  bm05_navy_s  

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 顔の痛みや痺れの後遺障害を追う場合、頬骨の癒合に問題あれば12級13号、癒合良好であれば14級9号とざっくり予断ができます。仮に癒合が良好ながら顔面神経麻痺で12級とするには、相当の所見と筋電図検査による異常値が必要です。

 本例は神経症状としては14級止まりでしたが、頬を骨折した箇所の傷跡がしみとして残ったものです。女性にとってこれは大問題でしょう。(男性でも!)

 しっかり写真を添えて申請、醜状痕の認定に結びつけました。   

12級14号・14級9号:頬骨骨折 外貌醜状痕・神経症状(40代女性・神奈川県)

 【事案】

バイクで直進中、対抗自動車が駐車場に入るため右折してきて衝突、顔面と左大腿骨、両恥骨を骨折した。大腿骨は骨幹部を骨折、プレート固定後、抜釘を待って症状固定とした。

【問題点】

顔面の頬骨の癒合は陥没等無く、まずは良好。しかし、しみのような瘢痕が残存した。    kaizou 【立証ポイント】

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 障害等級の中でも「歯」は最も計算が複雑です。おなじみの加重障害の計算となるケースが多いからです。ただし、単純に差し引きする計算となりません。昨日書いた記事のままでは誤解の恐れがあるため、修正、少し詳しく説明し直します。なぜなら私、たったいま歯医者さんでブリッジを行ってきたばかりなのです! sika7

<基本的な用語> 1.対象の歯を削り、人工物で補った・・・補綴(ほてつ)

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 今年も顔面のケガの受任が多くありました。出発点は頬骨骨折、眼窩底骨折、下顎骨骨折が診断名となっていますが、後に痛みやしびれの残存を三叉神経障害として判断する場合や視覚・嗅覚・味覚の障害、歯牙欠損、そして醜状痕などが認定の対象となります。

 後遺障害全体からは少数例ですが、秋葉事務所では毎年多くの依頼をいただいています。  

14級9号:頬骨骨折(30代男性・神奈川県)

事案】

被害者は歩行者で道路を横断中、左方よりの自動車に跳ねられ受傷。右足首(距骨)、顔面(頬骨)を骨折した。 20101209_2-300x237

【問題点】

足は整形外科、顔面は形成外科、そして、噛み合わせに不安を残すため口腔外科と3科を受診した。各科の医師はそれぞれ後遺症に対する認識が違うため、後遺障害診断書を科ごと3枚に分けた。

頬骨は癒合状態よく、陥没(変形・転移)を追うことに。

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 ご覧の通り、この秋、実績ページを再編集、図入りで観易いページに改変しました。

 一応の改変を行いましたが、今後も引き続き、各部位のページに簡単な解説を加えていきます。

 さて、仲間内からも「マニアックすぎる」「実際に被害者さんが観ているのか?」といった批判もあります実績ページですが・・。「薬」を例にとります。薬にも即効性のあるもの、長く服用して効果が現れるものに二分すると思います。実績ページは正に後者です。長年の蓄積から傷病種が増えて、結果としてご自身の後遺症についてネット検索している閲覧者さまからのヒットが多くなるでしょう。また、依頼者の後遺症案件に取り組んでいる法律家の皆様にとっては正にライブラリー、何かと参考になるはずです。効果は遅延性のものであり、尻上がりに成果が期待できます。

 閲覧だけでも光栄ですが、さらに、秋葉事務所にご依頼をいただくきっかけとなれば、何より嬉しく思います。

 人体およそ2000に及ぶ後遺障害から、現在でもおよそ150種の実例がUPされています。たくさんある交通事故・後遺症関連のホームページを見渡しましたが、これに及ぶページは見当たりません。もはや、「後遺障害の実例種類日本一!」を謳っても叱られないかもしれません。

 他のHPのほとんどが傷病名の解説に終始しています。解決した実績となると、むち打ちの受任歴ばかりで、たまたま年に1度あるかないかの高次脳機能障害を誇らしげに発表することが精一杯のようです。その他の部位もまばらに数件です。決してむち打ちを軽視しているわけではありませんが、実際に受任した傷病種類がわずかでは専門性に疑問がつきます。

 交通事故や後遺症を解説する情報はネットに溢れかえり、どの弁護士、行政書士、関連業者さんのすべてが専門家を名乗っています。よく観るとほとんど同じ作りのホームページです(同じ業者から雛形を買っているのがすぐにわかります)。果たしてその専門家さん達はホームページに載せている解説に見合う経験則を持っているのでしょうか? その知識・理論を裏付ける行動ができるのでしょうか? 依頼してみなければ実力はわかりません。「先生、そのケガを実際に受任した経験は?」と聞いてみれば、恐らく口ごもるでしょう。何より、被害者さんにとって専門書を写しただけの知識はもう十分ではないでしょうか。

    実績ページの継続・改変を通じて、秋葉事務所は開業以来の精神である「机上の理論ではなく実績で語る」姿勢を再確認した次第です。この先何年も、皆様のお役に立つページであり続けたいと思います。

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 本件は脚を自動車のタイヤに2度ひかれて(1度ひいた後、何故か加害車両がバックし、もう1度ひかれた・・)脚はめちゃめちゃです。骨折の癒合はもとより、皮膚や筋肉の組織の移植・再生に大変苦労したのです。

 自賠の基準で用廃を追っても関節の可動域は12級止まり、醜状痕も12級以上の基準はなく、後一つ押し上げられなかった。このような公の制度の基準で測りきれない後遺症は個別具体的な事情として、後の賠償交渉に委ねるしかない。自身が弁護士ではないことを最も悔いる瞬間です。

「後は頼むぞ、連携弁護士!」 20140508_7

併合11級:脛骨腓骨開放骨折・足関節内果骨折・下肢醜状痕(30代女性・長野県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、後方からの左折ダンプカーに巻き込まれた。右脚下腿をひどくひかれてしまった。 脛骨は癒合、腓骨は偽関節で癒合せず。さらに、下腿の剥脱創の形成のために植皮術を行った。

【問題点】

相談会にいらしたときは症状固定の段階であった。早速、会場で計測したところ、足関節は12級7号の可動域制限、膝は12級を逃すか否かの微妙なレベル。医師面談を急ぐ必要があった。 続きを読む »

 交通事故110番他ネット情報の功罪、それは被害者側に一定の知識を供給することになった一方、罪の方ですが、相変わらず可動域制限を装う被害者が散見されます。ひどいと交通事故・行政書士までそれに加担するような仕事っぷりです。毎度、口を酸っぱくして言っていますが、可動域制限の判定は画像次第なのです。

 本件は間違った誘導を軌道修正、結果的に後の賠償金も減らすことなく仕上げました。秋葉事務所は正しい調査と成果を両立します。 ROMkeisoku 

12級13号:脛骨近位端骨折(60代男性・埼玉県)

【事案】

道路を歩行横断中、左方よりの自動車に跳ねられ脛骨を骨折、プレート固定とした。

【問題点】

連携弁護士よりの相談内容は「膝の可動域制限が12級7号のレベル(4分の3以下制限)だが、主治医による膝の可動域計測では正常値に近い」とのこと。改めて私も計測したが、どうも過度に曲がらないようにする演技のよう。骨癒合状態からも医師が正しいと思った。

【立証ポイント】

被害者には可動域制限は諦めさせ、プレートを抜釘していない状態から正座が出来ない等、細やかに症状を主張して「機能障害ではない障害」として医師の理解を得ることにした。医師面談で計測値から7号を逃すも、それら症状をまとめて13号を期待する診断書を作成した。さらに、膝の外側にプレートが出っ張っている様子が伝わる写真も添えた。 ...

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win (2)加害者側の任意保険への直接請求権の行使について

 自賠責保険で、治療費等を回収する方法として、被害者請求を説明しました。上記タイトルの直接請求権とは、端的に言えば任意保険会社版の被害者請求です。つまり、交通事故の被害者が加害者の任意保険会社に直接、治療費等を請求することです。

 通常、交通事故があった場合、加害者が自分の任意保険会社に対応をお願いすることで、一括対応をすることになります。ただ、交通事故の当事者はあくまで、被害者と加害者です。加害者側の任意保険会社が勝手に被害者に治療費等を支払うことはしません。契約者である加害者から連絡がなければ積極的に支払う義務もありません。この点、加害者が「自分が悪く無い事故なのに責任を取りたくないから保険を使わないよ」と言って、被害者に治療費はおろか、加害者自身の任意保険会社にも連絡しないことがあります。

 この様な不都合を回避するために、被害者は加害者の任意保険会社に直接請求点を行使して治療費等を回収できます。しかし、直接請求権による方法はあまり現実的ではありません。治療費を被害者自身で賄うことが困難な被害者にとっては特に言えます。その原因は、直接請求権の要件の厳しさにあります。

 直接請求権を行使するための要件としては、以下の通りです(ある損保会社の約款を参考にしました)。

① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合

② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合

③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合

④ 法律上の損害賠償責任を負担すべきすべての被保険者について、次のア.またはイ.のいずれかに該当する事由があった場合

ア.被保険者またはその法定相続人の破産または生死不明 イ.被保険者が死亡し、かつ、その法定相続人がいないこと。    これらの中で、最も現実的な方法は、③の方法ではないかとみています。 ①の方法は、治療中で全体の被害額が確定していない状態であることから、裁判がやりづらいこと。 ②の方法は、加害者が任意保険会社を使用しないと言い張っている状況等で現実的に同意するわけがないこと。 ④の方法は、加害者が死んでしまったレベルでなければなりません。    繰り返しますが、以上の要件を満たすための手続きはとても厳しく、面倒です。これらの手続きをするのであれば、自賠責に被害者請求をする方が現実的です。最近では人身傷害保険が普及しているので、本人もしくは家族に加入がないか探して人身傷害に請求するケースが多くなりました。

 自賠責は対人事故に適用されますが、物損は適用外です。これに対し、直接請求権は物損でも利用できます。次回は、物損で自動車の修理代を回収することとからめて説明します。  

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 サッカー選手にとって職業病、MCL(内側側副靱帯)損傷です。

 膝関節の動揺性について、最近はニーラックスなる測定器もあるようです。しかし、自賠責の判定はストレスXP(レントゲン)が絶対です。医師によるとニーラックスはあくまで簡易的な計測器で、正確な数値を出すには難しいと聞きました。

  main  インデックス有限会社さまHP写真より(購入を検討しますね)  

12級7号:内側側副靱帯損傷(30代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進、対抗右折自動車と衝突、転倒した。左膝の内側側副靱帯を損傷、歯も3本破損した。

【問題点】

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 続いて、足指の用廃=2分の1の可動域制限に至らずとも、疼痛の残存で評価されたものです。

 本件のように気付けばよいですが・・・骨折までしながら14級すら取らずに示談してしまっている被害者さんも多いのではないでしょうか。  

14級9号:中足骨骨折(30代男性・山梨県)

【事案】

自転車で直進走行中、後方より自動車の追突を受けて転倒した。脳挫傷、頚椎捻挫、顔面挫傷、そして第5趾の中足骨を骨折した。

【問題点】

ケガに比し回復は良く、深刻な後遺症が残らなかった。それでも12級を追い、少なくとも神経症状の14級をしっかり確保する必要がある。 c_g_l_86【立証ポイント】

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 可動域の計測で「指」ほど敬遠されるものはないでしょう。専用のゴニオメーター(写真の下 事務所内では三節棍などと呼んでいます)も使いづらく、小型のゴニオメーターで計測しています。

 今日、明日と足指の障害を取り上げます。

kansetu_4 上から大、小、そして三節棍?  

14級8号:中足骨・基節骨骨折(50代女性・神奈川県)

【事案】

横断歩道を横断中、自動車に足をひかれ、第4趾の中足骨と第5趾の基節骨を骨折した。

【問題点】

お医者さんが最も面倒がる足趾(足の指)の計測である。医師面談ではやはり協力的ではなかった。 続きを読む »

 プレート固定による骨整復の進歩から、近年、長官骨の変形は少なくなったと言えます。骨折部に張り付けるプレート、スクリューの形状・種類も増え、余程ひどい骨折(もしくはヤブ医者)じゃなければ変形癒合は起きません。 c_g_l_27  ↑ 医師の最悪例(変形の結果、脚が外側に開いてしまったのに・・)    本件は被害者さんの自覚症状から回旋変形を模索した結果、珍しく認定を得たものです。変形は逃すだろうと予想していましたがやってみるものです。  

併合11級:大腿骨骨折(40代女性・神奈川県)

【事案】

バイクで直進中、対抗自動車が駐車場に入るため右折してきて衝突、顔面と左大腿骨、両恥骨を骨折した。大腿骨は骨幹部を骨折、プレート固定後、抜釘を待って症状固定とした。

【問題点】

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win

 今回は②任意保険の場合をあげてみたいと思います。

 ②任意保険の場合、(1)被害者自身の任意保険と、(2)加害者側の任意保険、とに分けられます。

(1)被害者自身の任意保険の場合について

 被害者が契約されている保険特約で、後遺症(後遺障害)の申請前、申請中段階でお金が欲しい場合にご確認して頂きたいものとして、A:搭乗者傷害保険、B:人身傷害特約、C:無保険車傷害特約、が主にあげられます。

A:搭乗者傷害保険について  これは、簡単に述べますと、保険契約した自動車に乗っているときに交通事故に遭った場合にお金が支払われる特約です。また、これは保険会社によって傷害一時金と改名されています。死亡、後遺症(後遺障害)で等級が認められたりした場合にも支払われますが、傷害の場合、後遺症(後遺障害)で等級申請する前の段階でも支払われます。

 怪我の部位、症状によって支払われる金額が変化しますが、基本的に通院に数が5日以上になった場合に支払われます。なお、損保ジャパン日本興亜の最新の約款では、人身傷害特約内に搭乗者傷害保険の内容が収められております。

B:人身傷害特約について  人身傷害特約については、別の記事で説明しました。この特約も、保険契約した自動車に乗っているときに交通事故で死亡、受傷した場合にお金が支払われる保険です。Aの搭乗者傷害保険との違いは怪我の部位、症状によって支払われる金額が変化するわけではなく、実際にかかった費用が(支払限度額は契約で定めます。5000万円の契約が多いようです。)支払われる点にあります。

 怪我が重く、しかも、加害者が自賠責のみしか入っていない(最悪、自賠責にも入っていないこともあります)場合、実際にかかった治療費全額が手に入らない場合に大変有効な特約です。

C:無保険車傷害特約、  この特約についても、別の記事で人身傷害特約との比較の際に説明しました。これは、死亡と後遺障害に限定されますが、交通事故加害者が保険に入っていない場合や、保険に入っていても被害者への支払が不十分であったり、まったく支払われなかったりする場合に、不足分の金額を被害者自身の保険から回収するものです。Bの人身傷害特約と同じく、加害者が自賠責のみしか入っていない場合や、自賠責にも入っていない場合に有効な特約である点で共通しています。

 実際の運用も、B:人身傷害特約とほぼ同様の流れになりますので、保険会社によっては一時期、人身傷害特約と一緒になったり、独立したり、と変遷がありましたが、現在ではどちらか一方のみを適用し、もう一方は適用しないという流れが主流になっています。

※なお、近日中にメインブログで東京海上日動火災の最新約款についてボスがまとめる予定です。その中には無保険車傷害特約についても触れますので、お楽しみにお待ちください。

 人身傷害特約と無保険車特約のどちらを適用するかは、別の記事でも触れましたが、前者は被害者に過失があった場合にも満額獲得できるのに対し、後者では請求者の過失が反映されます。また、人身傷害特約の場合、多くの契約が5000万円程度であるのに対し、無保険車傷害特約の場合、基本的に2億円~無制限です。 よって、過失の有無やその重さ、怪我の重さも加味した上で、どちらを適用するのかを決めることをお勧めします。  

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 現在、HPの改定を進めています。事務所の陣容も変わり、今までのような秋葉のマニアックかつ独白型ではなく、広く閲覧者さま、とくに被害者の皆様に訴えかけるものに変容させなければなりません。

 そもそもHPは宣伝・集客媒体であるはずです。ところが当HP、管理者が自由闊達に語るパーソナルなブログのようでした。これでは本来、相談先を探している被害者さんに対して求心力が乏しいと判断しました。事実、話を聞いてみると弁護士・行政書士等同業の皆様からのアクセスが多いそうです。他のHPやブログでリンク・引用されていること自体、まことに光栄ですが・・。

 来年には大幅な改編を予定していますが、年内はマイナーチェンジを加えたいと思います。まずは最大の売りである「実績ページ」そして、4人揃った「プロフィール」を改変します。今日はページに使用するパイロット写真(ボツ写真集?)を先行紹介します。

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA  スタッフ紹介用

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA続きを読む »

 先週の土曜日は東京相談会でした。新進気鋭の弁護士の参加を得て、後遺障害と賠償交渉、二つ局面に国内最高の対応を実現していると自負しております。

 しかしながら、例年に比べ今年は参加者が減少傾向です。他の弁護士事務所を見ても首都圏各県の中規模事務所は交通事故の相談・依頼が軒並み減少、70%減もあるようです。やはり大手法人事務所のネット攻勢により、業界の趨勢は決したかに見えます。それでも長年の伝統でしょうか、東京相談会は盛り返しを見せています。今月は20名に迫る勢いでした。

 しぶとく継続できるのも参加される相談者さまのおかげです。これは口コミもあり、また、他の相談会に参加された方、既に他の事務所に契約された方の盛況も、このセカンドオピニオンでまざまざと実力の差を感じたからに他なりません。 

 交通事故の知識は法律、医療、保険など他肢に渡る天井知らずの世界です。大勢の相談者さんを励みに驕ることなく、日々精進していきたいものです。

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 本件は足関節の立証はおまけ作業、顔面で悪戦苦闘した記録です。これは頭部・顔面の障害で改めて紹介したいと思います。  

12級7号:距骨骨折(30代男性・神奈川県)

【事案】 被害者は歩行者で道路を横断中、左方よりの自動車に跳ねられ受傷。右足首(距骨)、顔面(頬骨)を骨折した。 c_h_17-2 【問題点】

足は整形外科、顔面は形成外科、そして、噛み合わせに不安を残すため口腔外科と3科を受診した。各科の医師はそれぞれ後遺症に対する認識が違うため、後遺障害診断書を科ごと3枚に分けた。

足関節は歩行には問題が無いくらい回復したが、機能障害、つまり12級7号の数値の確保がミッション。

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 秋も深まり、今年の残り日数を数える時期になりました。まだ投稿していなかった下肢をシリーズで整理したいと思います。実績ページの改造・充実に併せ、珍しい案件ももらさず紹介していきたいと思います。全国の後遺症を検索している皆様に引っかかることを祈って。  

併合11級:両大腿骨骨折(80代女性・埼玉県)

【事案】

自転車後部座席に同乗中、その自動車がセンターラインオーバーして対抗自動車に正面衝突。ほぼ100:0の事故。運転手は死亡、同乗者もそれぞれ骨折等ケガを負った。中でも本件の被害者は4本の手足すべて骨折した。

【問題点】

高齢のために骨癒合に時間がかかった。可動域は回復傾向であるものの、自力歩行が不能、車イスとなる。それでも自賠責の基準上では手足の機能障害から等級を重ねるしかない状況。 kurumaisu3賠償金については運転手の任意保険(対人賠償)に請求した。被害者にとって運転手は親戚かつ好意同乗(みずから進んで乗せてもらった)、そして故人のため、裁判上のやり取りを避けたい意向があった。

【立証ポイント】

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win   方法としては、①自賠責保険の場合、②任意保険の場合、に分けられます。

 今回は①自賠責保険の場合あげてみたいと思います。  

① 自賠責保険の場合

 (1)被害者請求(16条請求)

 加害者が自賠責には入っていても、任意保険に入っていなかったり、仮に任意保険にも入っていたとしても、被害者の過失が大きく、相手の保険会社が一括対応してくれなかったりする場合もあります。

このような場合に、治療費が膨大になり、治療を受けたりすることが困難であることがあります。被害者が治療や交通事故による損害賠償を受けるために、自賠責は16条で被害者が加害者の加入している自賠責に対して、請求できるようにしました。

 これまでは、後遺症(後遺障害)の申請段階での説明を主にしてきましたが、後遺症(後遺障害)申請以前に被害者が実質的に治療費を回収できるようになっているのです。但し、この手続きは後遺症(後遺障害)の申請と同様、審査に時間がかかります。迅速に治療を受けたい場合には、以下の(2)仮渡金請求の方法もとることができます。   (2)仮渡金請求(17条請求)

 この請求は、賠償金支払い前に、治療費や生活費、葬儀費等が必要な被害者が請求するものです。この請求方法も、上記(1)の被害者請求と同様、加害者が任意保険に入ってない、または、被害者の過失が大きく、加害者の任意保険会社が一括対応をしないような場合に有効です。

 急ぎお金が必要なときには、以下の通り、治療中でも一時金を請求できます。(1)被害者請求と異なる特徴として、死亡や一定の傷害があった場合に、診断書さえあれば診療報酬明細書や治療費の領収書がなくても支払われるという迅速性があげられます。一定の場合に支払われる金額は、以下の通りです。

① 死亡の場合:290万円

② 傷害の場合

A:入院14日以上で、かつ治療に30日以上を要する場合や背骨等の骨折で脊髄を損傷した場合。→40万円 B:入院14日以上を要する場合や上腕又は前腕の骨折の場合。→20万円 C:上記以外で治療11日以上を要する場合。→5万円

 詳しくは ⇒ 自賠責保険の請求形態について

 仮渡金請求は被害者請求と比較して迅速に進められますが、被害状況がはっきりしている場合には、被害者請求を並行して進めることもできます。

 ただし、最近では、任意保険の特約の発展(人身傷害保険等)により、仮渡金請求を利用せずに治療費等を確保できるので請求の機会は少なくなっているようです。  

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win

 交通事故に遭われて被害者となった方は、まず、怪我を治せるかどうかが気になるかもしれません。しかし、それと同時に問題となるのは、治療費や収入についてではないでしょうか。

 これまでは後遺症(後遺障害)の申請で等級を得た上でのお金の得方を説明していきました。

 しかし、後遺症(後遺障害)の申請に行きつく前に費用面で満足に治療を受けられない場合もあります。

 例えば、加害者が自賠責以外の保険に入っていなかったり、最悪、自賠責にも入っていなかったりする場合(日本人であればほとんどこのような場合はありませんが、外国人の場合、未加入の者もおりました。)もあります。仮に、加害者が任意保険に入っていても、被害者の過失が大きくて一括対応してくれない場合等、治療費が賄えない場合があります。   c_y_164  怪我が軽ければ自腹でも大丈夫かもしれません。しかし、怪我が重い場合もあり、金銭的に治療が受けられず、また、もっとひどい場合、仕事ができず、収入がなくなり、ご自身の生活が立ち行かない場合もあります。

 基本的に、賠償関係は弁護士が最後(等級を獲得してから)にまとめてするものです。しかし、これらのような事情の場合、後遺症(後遺障害)申請に行きつく以前の問題です。

 これまでに説明してきた内容と一部重なりますが、次回から後遺症(後遺障害)の申請前、ないしは申請中の段階で治療費等のお金を先取りする方法ついてまとめていきたいと思います。  

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