搭乗者傷害保険とは読んで字のごとく「車に乗っている時にケガをしたら」支払われる保険です。自動車に運転中、あるいは同乗中の交通事故でケガをした場合はもちろんですが、色々なケースを想定してみましょう。今日はクイズ形式でいきます。面倒がらず考えてみて下さい。  

次の場合、搭乗者傷害保険はおりるでしょうか? 

<Q1> 法事の帰り、お清めをした(ビールを飲んだ)主人に代わり、お酒を飲んでいない奥様が運転していて電信柱に衝突する事故を起こしました。2人とも1週間ほど通院するケガを負いました。この場合2人に保険はおりるでしょうか?

<Q2> 運送業に勤めるAさんは運転中居眠りをしてしまい、追突事故を起こしてしまいました。幸い相手にはケガはありませんでしたが自身は顔面を3針縫うケガを負いました。この場合は?

<Q3> 東北大震災の津波で車が横転、幸い自衛隊のヘリに救助されたが、右腕を骨折するケガを負った。

<Q4> 信号待ちをしていて、後続車に追突されケガをしました。相手は任意保険に入っており、通院10日の治療費、休業補償、慰謝料、車の修理費などすべての損害を支払ってくれました。その場合でも重ねて搭乗者傷害保険はおりるのでしょうか?

<Q5> ゴミ収集車で作業補助をしているBさん、車を降りようとドアを開けて足を降ろした際、先に車から降りていたCさんが誤ってドアを閉めてしまい、足を挟んでしまいました。足首の靭帯を痛めてしまい通院しています。この場合は?

<Q6> 若い時やんちゃだったCさん、久し振りに昔の仲間と会ってはめを外しドライヴ、走行中ドアから上半身を乗り出し、ドアに腰かけてた状態(いわゆる箱乗り)の時に電信柱に肩をぶつけケガをしました。この場合は?

<Q7> GWに伊豆へドライヴに行きました。天気が良いので窓を開けて走行していましたが、山道で蜂が車内に飛んできて腕に止まりました。払いのけようとしたら刺されてしまい、腫れがひどかったので病院によって消毒してもらいました。この場合は?

   ■ 答え

{A1} 夫婦両方とも支払われます。

 飲酒や薬物、無免許運転でのケガはでません。しかし同乗者はお酒を飲んでいても問題ありません。 ちなみにもしご主人が飲酒運転をして同乗の奥様がケガをした場合、これはご主人は当然免責ですが、奥様は飲んでいようといまいと有責(保険でます)です。巻き添えはOKなのです。

{A2} 居眠り運転は支払われます。

 故意(自殺目的で海に飛び込む等)は免責です。しかしこれは「故意」にあたらないからです。

{A3} 地震、噴火、津波は免責です。保険はでません。 

 他に、戦争、内乱、暴動、放射能汚染も免責です。

{A4} 重ねて支払われます。

 相手からもらうお金は賠償金、つまり償い・弁償ですが、自身が契約して掛け金を払っている搭乗者傷害保険は別物です。請求漏れのないようにしましょう。  ちなみに人身傷害特約は相手からの支払が得られないとき、足りないときに支払われます。ここが搭乗者傷害保険との一番の違いです。

{A5} 払われます。 

 交通事故とは思えない事故でも対象です。実際ドアの開け閉めのケガが意外に多いのです。しかし車外からドアを締めようと自分の指を挟んだ場合はダメです。これは乗っていないからです。

{A6} 支払われません。

 これは乗り方が問題です。約款上「正規の乗車構造装置のある場所に搭乗中の者」とあります。ドアはイスではありません。またトラックの荷台に乗っている場合もダメです。

{A7} 支払われます。

 傷害保険支払いの3要件…「急激」かつ「偶然」かつ「外来」の事故です。虫刺されはこの3要件に当てはまってしまうのです。保険の不思議さを感じます。

 ちなみに・・   ・ 長時間運転していて腰痛になった → × これは「急激」にあたりません。  ・ 運転中、盲腸炎になった → × これは体内なので「外来」にあたりません。  ・ 運転中、O157に感染した → × 何故か普通の傷害保険はでます。上の3要件にあてはまるからです。しかし搭乗者傷害はダメです。運転中の感染なのか判別不可能だからです。

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 昨日に引き続き搭乗者傷害保険の後遺障害保険、重度後遺障害保険金、死亡保険金について解説します。  

■ 後遺障害保険金

 「部位・症状別定額払い」と違い急いで請求する必要はないです。基本通り180日経過後、後遺障害診断書を提出して請求します。保険会社所定の診断書を使うケースが多く、認定基準はその保険会社の内部規定に照らします。その基準は約款上明記されていませんが、おそらく自賠責保険の認定基準に準じたものと思います。そして自賠責保険の等級認定ほどシビアな審査ではないと思います。

      等級と金額は以下の表の通りです。(損保ジャパン)

等級 保険金割合 死亡保険金1000万円とした場合の金額 1級 100% 1000万円 2級 89% 890万円 3級 78% 780万円 4級 69% 690万円 5級 59% 590万円 6級 50% 500万円 7級 42% 420万円 8級 34% 340万円 9級 26% 260万円 10級 20% 200万円 11級 15% 150万円 12級 10% 100万円 13級 7% 70万円 14級 4% 40万円

    ■ 重度後遺障害保険金

 上記の表の1級、2級、または3級3号(神経系統の障害)もしくは4号(胸腹部臓器の障害)が生じ、かつ介護を必要と認められた場合、死亡保険金額の60%=1000万円の場合600万円が加算されて支払われます。2000万円契約の場合でも600万円が限度となります。

■ 死亡保険金

 保険証券に書いてある通りの金額です。死亡保険金1000万円=1000万円  

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 私たちグループ行政書士が巷の法律家の行う交通事故相談と一線を画すわけ・・・それは実践的な戦略会議であることです。「・・・この場合は法律的にはこうなります」といった被害者の疑問にお答えするだけで終わらず、さらに解決までの手続き・やるべき事を列挙して、具体的な作業に及ぶことです。 典型的な例をお話します。ある相談者さんは自動車通勤途上の交差点事故で首を痛め、それが原因で会社を辞めざるをえなくなりました。当座のお金にも困っています。そして「無料相談」にひかれ、先に弁護士と行政書士にそれぞれ相談に行きました。しかし労災や健康保険の手続き、自動車保険の請求に話が及ぶと「それは各窓口で聞いて下さい」と言って知識のないことを露呈したそうです。そして弁護士は賠償金、行政書士は自賠責保険請求の話に終始しました。本人の主張も過失割合(20:80じゃ納得できない!)のことばかりです。

 この方がまず先にやるべき事は・・・

 1、治療費の労災変更手続き 2、主治医と面談し、初診時から頚部神経症状の確定診断がとれているかの確認と検査 3、自身の自動車保険から搭乗者傷害保険の請求  4、労災又は相手保険会社へ休業損害の請求  5、加害者側保険会社と物損の示談   このようにたくさんの手続きをお手伝いする必要があります。特に法律家に依頼したくても経済的に困難であれば、3の搭乗者傷害保険の部位・症状別定額払いを有効活用します。これは治療日数が5日以上になれば請求可能です。自身契約の保険会社に連絡し、即6万円の支払を受けられました。これを使って着手金に充当しました。これでバリバリ作業が進められます。既に職場の担当者に話をつけて労災対応に切り替えています。返す刀で相手保険会社に労災使用の宣言と物損(車の修理費)の請求です。労災使用なら対応も友好的になります(治療費の支払手続きをしないで済み、自由診療と違って安く上がりますから)。物損は15:85でさっさと示談、すぐ修理費を払わせました。並行して主治医へ面談し、想定される後遺障害について検査や記録をお願いします。漫然と治療を続けるだけではなく、立証作業への理解を得ることが大事なのです。  あとは半年後の症状固定日に向けて間違いのない後遺障害等級認定へまっしぐらです。この間被害者は安心して治療やリハビリに専念、再就職へ向けて歩みだします。

 これが普通の法律家では成しえない戦略的解決方法です。ほとんどの弁護士先生は後遺障害が認定されるまで動きません。行政書士も半年後の自賠責の被害者請求と賠償金の計算で報酬を得ようとしています。被害者自身もいつまでも僅か数万円しか増減しない過失割合でだらだらもめていて肝心の手続きをしないとどうなるか?・・後遺障害立証自体が手遅れになってしまいます。

 話がテーマから逸れました。この搭乗者傷害について・・

  搭乗者傷害保険 (自動車任意保険に付帯して契約します)

■ 支払項目

① 死亡保険金 ② 後遺障害保険金及び重度後遺障害保険金 ③ 医療保険金

 今回の例で支払いを受けたのは③の医療保険金です。以前は日額払い(死亡1000万円で契約の場合、入院1日15000円、通院1日10000円)が主流でした。これは治療が完了した段階で日数を数えて支払います。しかし最近は部位・症状別定額払いが一般的です。これは治療が5日以上に及べばケガの症状によって5万円~95万円(各社若干の違いあり)が即座に支払われます。さらに別枠で治療給付金1万円もおります。

③医療保険金の支払金額 (簡略)

1、打撲・捻挫・挫傷は全身どこでも5万円均一 2、挫創は部位によって5~35万 3、骨折は部位によって10~60万 4、筋断裂は部位によって10~30万 5、欠損は部位によって5~55万 6、脳内出血は部位によって5~55万 7、神経の損傷は部位によって10~95万 8、臓器の損傷は部位によって50~85万 9、熱傷は部位によって5~35万

 使い勝手がいい保険なので忘れずに真っ先に請求したいところです。 明日は肝心の②後遺障害保険金を解説します。

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