続いて上肢もまとめてみましょう。下肢に同じく、実際は認定等級にない7級の扱いは併合によって6級になります。
等級 上肢の障害 続きを読む »自賠責の後遺障害認定は交通事故被害者が加害側の自賠責保険に請求する際、自賠法によって定められたルールで認定されます。今回取り上げる身体障害者手帳とその等級は行政が障害者に対する福祉を目的として定めた制度です。したがって自賠責の等級とは意味合いも違い、認定される等級も関係ありません。
税金や医療費、交通機関の割引等のメリットがあります。内容は自治体ごとに異なります。
身体障害者手帳は、視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体不自由、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう又は直腸・小腸・肝臓・免疫機能に障害のある方に交付されます。 手帳の等級は、障害の程度により1級から6級までの区分があります。(7級は2つの障害が併合される場合に影響します=緑色太字)
障害のカテゴリーごとに随時見ていきたいと思います。今回は「下肢」を取り上げます。
等級
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運転免許取得には視力および聴力の一定基準を満たす事が条件です。免許取得や更新の際の検査でお馴染みですね。 先月、てんかんの持病を持つドライバーの重大事故が起き、業務日誌で少し触れました。 → 障害者への免許付与について
精神病患者や知的障害者など、特定の疾患を持つドライバーの欠格について、法改正の面からもう少し語りたいと思います。
(1)平成14年道路交通法改正
飲酒運転の罰則強化を柱とした、2002年6月より施行された道路交通法の改正では、飲酒運転の罰則強化以外にも改正が行われています。その一つに、免許取得に関する欠格条項の改正がありました。 これまでは「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを一律に行う方式」(絶対的欠格事由に基づく方式)でしたが、法改正より「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを行うことができるとする方式」(相対的欠格事由に基づく方式)に変わりました。これだけを見ると「欠格事由の緩和」のようですが、欠格事由の対象となった病気や障害の患者団体を中心に、この改正の中身に異を唱える意見がでました。さらに交通事故遺族団体を中心に、「免許申請時の診断書の提出」や「定期的な健康診断の義務付け」といった規制強化を主張する団体も異論を展開し、現在まで続く法律議論となっています。
(2)問題とされた事項と改正点
従来より欠格条項自体は存在しましたが、一見して判断できるケース(足が不自由であるなど)を除いて厳格に運用されているわけではありませんでした。それは申請時に病気を隠して申請する者も多く、実態を把握できなかったこと、さらに欠格条項に違反したからといって、ただちに罰則とならなかったことが問題とされています。 この法改正の中身、骨子ですが、運転免許の取得や更新には、相対的欠格事由に該当するかどうかを判断するための申告書の記入が義務付けられることになりました。申告書への記入内容によっては、運転適性相談を受けることが義務付けられ、適正であると診断された場合にのみ免許の取得や更新が可能となります。また、運転免許取得後も、病状に変化がある場合には、運転適性相談を再度受けることが義務付けられました。当然ですが、義務ですから違反すれば罰則となります。
(3)プライバシー問題
本改正に伴い、申告書への記入内容にて運転適性相談が必要となった場合、医師の診断書の提出が義務付けらることになりました。しかし病歴はプライバシー情報であり、プライバシー情報を警察が集めることになるとの指摘が起きたのです。 この問題は、未だ解消されていません。 実は14年6月の法改正の素案段階において、欠格条項に病名が複数盛り込まれていました。これは、特定の病気に対する偏見を引き起こし、雇用差別などにつながるとの指摘があっため、患者団体の働きかけを受け、法案からは病名が取り除かれました。
(4)法案に挙がった病名
・統合失調症
・双極性障害
・躁病、 重度だと判断されるうつ病、 持続性の妄想障害
・てんかん(意識障害)
・ナルコレプシー(睡眠発作)
・脳虚血(意識障害)
・糖尿病(治療薬の副作用である、低血糖によって引き起こされる意識障害)
・睡眠時無呼吸症候群(睡眠発作)
先日のバス事故も直接原因が運転手の居眠りです。ナルコレプシーという聞き慣れない病名がありますが、睡眠障害の一種で、簡単に説明すると発作的な「寝落ち」を繰り返す病気です。神経学の分野となりますが、最新の研究では脳に病原があるとの指摘があります。単なる居眠りか?ナルコレプスキーか?このような議論も起きそうです。
これらの病気を持つドライバーの事故が多発している以上、法規制の強化へ傾きつつあるのが現状です。
今後一連の法改正について重度の障害者、とくに高次脳機能障害の方などの免許取得に関して私たちも注視していかなければなりません。
<その他の優遇措置> ① 都立公園・都立施設の入場料免除 (手帳の所持者及び付添者) ② 携帯電話料金の割引 ③ 駐車禁止規制からの除外措置(1級のみ)
これは最新の特例です。担当する高次脳機能障害被害者のご家族の方から教えて頂きました。現在2級なので、この特例のために1級に格上げできないか再申請するかもしれません。 ・・・1級なら駐車違反し放題?、もちろん、駐車の理由次第と思います。
問い合わせは申請者の管轄する警察署(交通課)です。 ④ NHKの受信料免除
その他、自治体ごとの特例もあります。
こうして障害者にたいする優遇措置を列挙しましたが、いいことばかりではありません。物事の常ですが、メリットにはデメリットが付随します。また考えさせられる事も多いのです。 4、問題点
① 運転免許
道路交通法で「免許の拒否又は保留の事由となる病気等」の規定により、該当する病気を持っていれば医師の診断書を提出し審査を受けます。事実上1、2級の人は運転免許は許可されません。しかし、これは自己申告です。つまり病気を申告しなければ免許取得・更新が可能です。基本的人権として病気の告知を他人から命令される言われはないのです。先日、てんかんの障害をもつドライバーが幼児数人を交通事故で死傷させる痛ましい事が実際に起こりました。このような事故が増えれば、運転免許など社会的に責任のある資格について病気告知義務化&違反者罰則へ向かうかもしれません。
② 生命保険の加入制限生命保険加入には告知義務があります。これは契約者と保険会社の約束ごとなのなので人権云々は関係ありません。保険会社の基準にもよりますが、5年間の病歴が問われるので「5年前は手帳を持っていたが、それ以降障害は治っている」事が原則です。 ③ 就職、就学への影響
障害者受け入れの企業や障害者に対応できる学校はまだまだ少ないのが現実です。特に高次脳機能障害患者の多くは、自身の障害について自覚がありません。普通に働ける、学校へ行ける、と思っています。それを拒否する社会や、押し留める家族を思うと辛いものがあります。 ④ 根強い偏見
生まれつきの障害を先天性とすると、交通事故での障害は後天性です。しかしどちらにせよ精神障害となると、周囲の無知や無理解にさらされる事もあります。
被害者救済の仕事上、このような福祉制度は熟知していなければなりません。しかし健常者はもちろん障害者やその家族に対して、この制度が浸透しているとは言い難いと感じています。 被害者を含め、社会に福祉制度の周知、そして障害者理解への啓蒙が必要であると思います。
優遇措置 を続けます。 <公共交通機関>
① 東京都精神障害者都営交通乗車証の交付
東京都では、都内在住の手帳の所持者を対象に東京都精神障害者都営交通乗車証を発行しています。24区地域は都電、都営バス、都営地下鉄、舎人ライナーの乗車が無料となります。
この乗車証の発券は特定の駅でできます。市町村地域は各市町村窓口へ問い合わせます。 ② 路線バスの運賃半額割引
(1) 対 象 者
東京都が発行する、写真が貼付された手帳をお持ちの方(ご本人のみ)介護人は、割引対象になりません。 他の道府県から交付された手帳をお持ちの方は、対象になりません。 (2) 適用範囲
東京都内を運行する一般路線バスの都内区間。東京都内で乗車し、かつ東京都内で降車(下車)する場合にのみ適用されます。 高速バス、空港連絡バス、深夜急行バス等は除きます。 (3) 割引運賃
運賃が半額になります(10円未満四捨五入)。定期券は割引になりません。 小児運賃が適用される方で手帳をお持ちの方は、小児運賃が半額となります。(例)運賃210円の場合 → 110円(小児60円) (4) 利用方法
運賃支払の際に、手帳の写真が貼付されたページを開いて、乗務員に提示します。 <生活補助> ① 生活保護の障害者加算(1級及び2級のみ)
生活保護を既に受給している方のうち、障害の原因となった疾病について、初めて医師の診療を受けてから1年6か月以上過ぎている方で、1級又は2級の手帳をお持ちの方は、障害者加算がつくことがあります。
申請はお住まいの地域を所管する福祉事務所です。 ② 都営住宅の優先入居、使用承継制度及び特別減額(特別減額は1級及び2級のみ)
(1) 優先入居
5月及び11月の募集は、一部の地区で優遇抽選制度があり、一般世帯に比べて当選倍率が5倍(3級の方)又は7倍(1級又は2級の方)になります。8月及び2月の募集は、ひとり親、高齢者、障害者等の限定募集となっています。
窓口は東京都住宅供給公社募集センターです。 (2) 使用承継制度
都営住宅の使用承継は原則として名義人の配偶者のみですが、承継しようとする方又は同居者が手帳をお持ちの場合、名義人の三親等親族まで承継することができます。ただし、収入基準等、一定の条件があります。
窓口は東京都住宅供給公社お客さまセンターです。 (3) 特別減額
既に入居している1級又は2級の方で、所得が一定額以下の場合は、使用料の特別減額が受けられます。
窓口は各地区を管轄する窓口センターです。
福祉関係の制度については漠然としたイメージだったので、この機会に調べてみました。各市町村でそれぞれ若干の違いはありますが、概ね以下のようになっています。長くなったら明日へ続きます。 (1)障害の等級 1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度 3級 日常生活又は社会生活が制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度 判定は医師の書く診断書によります。「常時介護」が必要か、「見守り」で済むか、医師が程度の判定をします。そして審査と等級認定は各自治体の判断となります。 (2)手続き
お住まいの区市町村の担当窓口に次の書類を提出します。 ① 障害者手帳申請書
② 診断書(障害者手帳用)(精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後の日に作成され、作成日が申請日から3か月以内のもの) 又は精神障害を支給事由とした障害年金もしくは特別障害給付金を現に受給していることを証する書類(年金証書等)の写し
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