昨日に続き先天性の体幹(骨)の等級表といきたいところですが、見ての通り体幹とは限定されていません。病気による障害も含むため、症状のカテゴリーが広範囲になるからです。また交通事故の自賠責、労災には先天性(生まれつき)という概念がないため、単純な比較は困難です。まったく別の等級表と思って下さい。?

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 上肢、下肢については割と労災・自賠責と同視できましたが、体幹(骨)からは独特のカテゴリーとなります。

 そもそも障害者手帳はケガのみならず病気のケースも含みます。また生まれつきである先天性、元気な人があるときケガや病気で障害を負うこともあります。交通事故は当然ながら「あるときに起きたケガ」なのでその程度・評価は限定的です。上肢・下肢では先天性と後天性の障害にそれほど差がないのでしょうか、同じ表となっています。しかし体幹では障害判定を分ける必要があるようで、障害等級は「あるとき」に負った後天性の障害と、「生まれつきの脳障害」である先天性の障害に区分されています。

 最初に体幹の定義ですが、一般に脊椎と胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨を指します。障害はそれぞれ骨折だけではなく、病気による変形(奇形)とそれに付随する運動障害(可動域制限)、荷重障害が該当します。

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 自賠責の後遺障害認定は交通事故被害者が加害側の自賠責保険に請求する際、自賠法によって定められたルールで認定されます。今回取り上げる身体障害者手帳とその等級は行政が障害者に対する福祉を目的として定めた制度です。したがって自賠責の等級とは意味合いも違い、認定される等級も関係ありません。

 税金や医療費、交通機関の割引等のメリットがあります。内容は自治体ごとに異なります。

 身体障害者手帳は、視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体不自由、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう又は直腸・小腸・肝臓・免疫機能に障害のある方に交付されます。 手帳の等級は、障害の程度により1級から6級までの区分があります。(7級は2つの障害が併合される場合に影響します=緑色太字)

 障害のカテゴリーごとに随時見ていきたいと思います。今回は「下肢」を取り上げます。

等級

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 法令から読んでも具体的にとらえられませんので、厚生労働省のパンフレットから転載しました。認定基準にもう少し踏み込みます。

  (1)介護の手間に係る審査判定   1. 要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。

 [例]認知症の進行に伴って、問題行動がおこることがあります。例えば、アルツハイマー型の認知症の方で、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。しかし、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の問題行動は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。

2. 介護サービスの必要度(どれ位、介護サービスを行う必要があるか)の判定は、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。

3. コンピュータによる一次判定は、その方の認定調査の結果を基に、約3,500人に対し行った「1分間タイムスタディ・データ」から推計します。

 要介護度判定は「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」を判断するものですから、これを正確に行うために介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間にわたり、どのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べました(この結果を「1分間タイムスタディ・データ」と呼んでいます。)。

4.① 一次判定のコンピュータシステムは、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従い、それぞれの高齢者を分類してゆき、「1分間タイムスタディ・データ」の中からその心身の状況が最も近い高齢者のデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計するシステムです。この方法は樹形モデルと呼ばれるものです。

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 認定する際の審査体制と区分について続けます。  

9 介護認定審査会について

(1)審査判定業務を行わせるため、市町村に介護認定審査会を置く。・・・法第14条   (2)認定審査会は、委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体で、審査及び判定の案件を取り扱う・・・施行令第9条第1項

(3)合議体の委員の定数は、5人を標準として市町村が定める。・・・施行令第9条第3項 10 一次判定、二次判定の位置づけ

介護認定審査会は、基本調査の調査結果及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の結果(一次判定)を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で決定(二次判定)を行う。(「介護認定審査会の運営について」平成21年9月30日老健局長通知)

11 法第7条第1項の厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)について 「要介護認定等基準時間」により状態を区分(要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令)

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用語と法令について続けます。今日は認定に関わる事項について。

6 要介護(要支援)認定について 1) 介護(予防)給付を受けようとする被保険者は要介護(要支援)者に該当すること及びその該当する要介護(要支援)状態区分について市町村の認定を受けなければならない。 ・・・法第19条第1項及び第2項

(2) 介護認定審査会は、審査及び判定を求められたときは、厚生労働大臣が定める基準に従い、当該審査及び判定に係る被保険者について、審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知する。・・・法第27条第5項

※ 厚生労働大臣が定める基準:要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令

(3) 市町村は法第27条第5項前段の規定により通知された認定審査会の審査及び判定の結果に基づき、要介護(要支援)認定をしたときは、その結果を当該被保険者に通知しなければならない。・・・第27条第7項及び第32条第6項

7 「認定調査」について

市町村は、被保険者から要介護認定等の申請があったときは、当該職員をして、当該申請に係る被保険者に面接させ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査させる。・・・法第27条第2項

※ 厚生労働省令で定める事項:要介護認定申請に係る被保険者の病状及び当該者が現に受けている医療の状況

8 「主治医意見書」について

市町村は、被保険者から要介護認定の申請があったときは、主治医に対して、身体上又は精神上の障害の原因である疾病又は負傷の状況等について、意見を求める。・・・法第27条第3項続きを読む »

交通事故で受傷し、介護認定を受けるケースがあります。 改定が多い介護認定制度ですが、数回にわたり勉強していきましょう。まずは用語と関連法令を確認します。

1 介護保険制度における被保険者の定義・・・法第9条

① 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第一号被保険者)   ② 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第二号被保険者)

2 「要介護状態」の定義・・・法第7条第1項

身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。 ※ 厚生労働省令で定める期間:原則6ヵ月

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 運転免許取得には視力および聴力の一定基準を満たす事が条件です。免許取得や更新の際の検査でお馴染みですね。  先月、てんかんの持病を持つドライバーの重大事故が起き、業務日誌で少し触れました。  → 障害者への免許付与について

 精神病患者や知的障害者など、特定の疾患を持つドライバーの欠格について、法改正の面からもう少し語りたいと思います。

(1)平成14年道路交通法改正

 飲酒運転の罰則強化を柱とした、2002年6月より施行された道路交通法の改正では、飲酒運転の罰則強化以外にも改正が行われています。その一つに、免許取得に関する欠格条項の改正がありました。  これまでは「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを一律に行う方式」(絶対的欠格事由に基づく方式)でしたが、法改正より「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを行うことができるとする方式」(相対的欠格事由に基づく方式)に変わりました。これだけを見ると「欠格事由の緩和」のようですが、欠格事由の対象となった病気や障害の患者団体を中心に、この改正の中身に異を唱える意見がでました。さらに交通事故遺族団体を中心に、「免許申請時の診断書の提出」や「定期的な健康診断の義務付け」といった規制強化を主張する団体も異論を展開し、現在まで続く法律議論となっています。

(2)問題とされた事項と改正点

 従来より欠格条項自体は存在しましたが、一見して判断できるケース(足が不自由であるなど)を除いて厳格に運用されているわけではありませんでした。それは申請時に病気を隠して申請する者も多く、実態を把握できなかったこと、さらに欠格条項に違反したからといって、ただちに罰則とならなかったことが問題とされています。  この法改正の中身、骨子ですが、運転免許の取得や更新には、相対的欠格事由に該当するかどうかを判断するための申告書の記入が義務付けられることになりました。申告書への記入内容によっては、運転適性相談を受けることが義務付けられ、適正であると診断された場合にのみ免許の取得や更新が可能となります。また、運転免許取得後も、病状に変化がある場合には、運転適性相談を再度受けることが義務付けられました。当然ですが、義務ですから違反すれば罰則となります。

(3)プライバシー問題

 本改正に伴い、申告書への記入内容にて運転適性相談が必要となった場合、医師の診断書の提出が義務付けらることになりました。しかし病歴はプライバシー情報であり、プライバシー情報を警察が集めることになるとの指摘が起きたのです。 この問題は、未だ解消されていません。  実は14年6月の法改正の素案段階において、欠格条項に病名が複数盛り込まれていました。これは、特定の病気に対する偏見を引き起こし、雇用差別などにつながるとの指摘があっため、患者団体の働きかけを受け、法案からは病名が取り除かれました。

(4)法案に挙がった病名

・統合失調症

・双極性障害

・躁病、 重度だと判断されるうつ病、 持続性の妄想障害

・てんかん(意識障害)

・ナルコレプシー(睡眠発作)

・脳虚血(意識障害)

・糖尿病(治療薬の副作用である、低血糖によって引き起こされる意識障害)

・睡眠時無呼吸症候群(睡眠発作)

先日のバス事故も直接原因が運転手の居眠りです。ナルコレプシーという聞き慣れない病名がありますが、睡眠障害の一種で、簡単に説明すると発作的な「寝落ち」を繰り返す病気です。神経学の分野となりますが、最新の研究では脳に病原があるとの指摘があります。単なる居眠りか?ナルコレプスキーか?このような議論も起きそうです。

 これらの病気を持つドライバーの事故が多発している以上、法規制の強化へ傾きつつあるのが現状です。

 今後一連の法改正について重度の障害者、とくに高次脳機能障害の方などの免許取得に関して私たちも注視していかなければなりません。

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<その他の優遇措置>   ① 都立公園・都立施設の入場料免除   (手帳の所持者及び付添者)   ② 携帯電話料金の割引   ③ 駐車禁止規制からの除外措置(1級のみ)

 これは最新の特例です。担当する高次脳機能障害被害者のご家族の方から教えて頂きました。現在2級なので、この特例のために1級に格上げできないか再申請するかもしれません。 ・・・1級なら駐車違反し放題?、もちろん、駐車の理由次第と思います。

 問い合わせは申請者の管轄する警察署(交通課)です。   ④ NHKの受信料免除

 その他、自治体ごとの特例もあります。

 こうして障害者にたいする優遇措置を列挙しましたが、いいことばかりではありません。物事の常ですが、メリットにはデメリットが付随します。また考えさせられる事も多いのです。   4、問題点

① 運転免許

 道路交通法で「免許の拒否又は保留の事由となる病気等」の規定により、該当する病気を持っていれば医師の診断書を提出し審査を受けます。事実上1、2級の人は運転免許は許可されません。しかし、これは自己申告です。つまり病気を申告しなければ免許取得・更新が可能です。基本的人権として病気の告知を他人から命令される言われはないのです。

 先日、てんかんの障害をもつドライバーが幼児数人を交通事故で死傷させる痛ましい事が実際に起こりました。このような事故が増えれば、運転免許など社会的に責任のある資格について病気告知義務化&違反者罰則へ向かうかもしれません。  

② 生命保険の加入制限

 生命保険加入には告知義務があります。これは契約者と保険会社の約束ごとなのなので人権云々は関係ありません。保険会社の基準にもよりますが、5年間の病歴が問われるので「5年前は手帳を持っていたが、それ以降障害は治っている」事が原則です。   ③ 就職、就学への影響

 障害者受け入れの企業や障害者に対応できる学校はまだまだ少ないのが現実です。特に高次脳機能障害患者の多くは、自身の障害について自覚がありません。普通に働ける、学校へ行ける、と思っています。それを拒否する社会や、押し留める家族を思うと辛いものがあります。   ④ 根強い偏見

 生まれつきの障害を先天性とすると、交通事故での障害は後天性です。しかしどちらにせよ精神障害となると、周囲の無知や無理解にさらされる事もあります。          被害者救済の仕事上、このような福祉制度は熟知していなければなりません。しかし健常者はもちろん障害者やその家族に対して、この制度が浸透しているとは言い難いと感じています。 被害者を含め、社会に福祉制度の周知、そして障害者理解への啓蒙が必要であると思います。     

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 優遇措置 を続けます。   <公共交通機関> 

① 東京都精神障害者都営交通乗車証の交付

 東京都では、都内在住の手帳の所持者を対象に東京都精神障害者都営交通乗車証を発行しています。24区地域は都電、都営バス、都営地下鉄、舎人ライナーの乗車が無料となります。

 この乗車証の発券は特定の駅でできます。市町村地域は各市町村窓口へ問い合わせます。   ② 路線バスの運賃半額割引

(1) 対 象 者

 東京都が発行する、写真が貼付された手帳をお持ちの方(ご本人のみ)介護人は、割引対象になりません。 他の道府県から交付された手帳をお持ちの方は、対象になりません。   (2) 適用範囲

 東京都内を運行する一般路線バスの都内区間。東京都内で乗車し、かつ東京都内で降車(下車)する場合にのみ適用されます。 高速バス、空港連絡バス、深夜急行バス等は除きます。   (3) 割引運賃

 運賃が半額になります(10円未満四捨五入)。定期券は割引になりません。 小児運賃が適用される方で手帳をお持ちの方は、小児運賃が半額となります。(例)運賃210円の場合 → 110円(小児60円)   (4) 利用方法

 運賃支払の際に、手帳の写真が貼付されたページを開いて、乗務員に提示します。    <生活補助>   ① 生活保護の障害者加算(1級及び2級のみ)

 生活保護を既に受給している方のうち、障害の原因となった疾病について、初めて医師の診療を受けてから1年6か月以上過ぎている方で、1級又は2級の手帳をお持ちの方は、障害者加算がつくことがあります。

 申請はお住まいの地域を所管する福祉事務所です。   ② 都営住宅の優先入居、使用承継制度及び特別減額(特別減額は1級及び2級のみ)

(1) 優先入居

 5月及び11月の募集は、一部の地区で優遇抽選制度があり、一般世帯に比べて当選倍率が5倍(3級の方)又は7倍(1級又は2級の方)になります。8月及び2月の募集は、ひとり親、高齢者、障害者等の限定募集となっています。

 窓口は東京都住宅供給公社募集センターです。   (2) 使用承継制度

 都営住宅の使用承継は原則として名義人の配偶者のみですが、承継しようとする方又は同居者が手帳をお持ちの場合、名義人の三親等親族まで承継することができます。ただし、収入基準等、一定の条件があります。

 窓口は東京都住宅供給公社お客さまセンターです。   (3) 特別減額

 既に入居している1級又は2級の方で、所得が一定額以下の場合は、使用料の特別減額が受けられます。

 窓口は各地区を管轄する窓口センターです。  

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 福祉関係の制度については漠然としたイメージだったので、この機会に調べてみました。各市町村でそれぞれ若干の違いはありますが、概ね以下のようになっています。長くなったら明日へ続きます。   (1)障害の等級   1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度   2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度   3級 日常生活又は社会生活が制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度    判定は医師の書く診断書によります。「常時介護」が必要か、「見守り」で済むか、医師が程度の判定をします。そして審査と等級認定は各自治体の判断となります。   (2)手続き

 お住まいの区市町村の担当窓口に次の書類を提出します。   ① 障害者手帳申請書

② 診断書(障害者手帳用)(精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後の日に作成され、作成日が申請日から3か月以内のもの) 又は精神障害を支給事由とした障害年金もしくは特別障害給付金を現に受給していることを証する書類(年金証書等)の写し

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