ベザトールSR(キッセイ薬品工業)

   有効成分を徐々に放出する脂質異常症治療薬    体内で中性脂肪の生成を抑制し、コレステロールの排出を促進。悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増やす効果もあります。特に、中性脂肪に対する働きが強い薬なので、脂質異常症の中でも、高トリグリセリド血症といった中性脂肪が多いタイプに適しています。脂質異常症はそのままにしておくと、動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞になることも。名前のSRとは徐放性製剤(Sustained Release)のことで、有効成分が徐々に放出されていくタイプの薬の意味です。    ● 有効成分:ペザフィブラート   ●ジェネリック

・ペザフィブラート「サワイ」(沢井製薬)など  

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ロトリガ粒状(武田薬品工業)    魚に含まれるDHA、EPAが症状を改善    トリグリセライドといわれる中性脂肪の分泌をおさえる高脂血症(脂質異常症)の薬です。高脂血症は、動脈硬化を進行させるので、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの原因になりかねません。この薬は肝臓から中性脂肪の分泌を抑制し、血液中の中性脂肪を低下させます。また血液を固まりにくくする作用もあります。

 血が止まりにくくなるので、原則的に消化管潰瘍など出血をともなう病気の人は使用できません。手術や抜菌の予定のある人も注意が必要です。   ● 有効成分:オメガ-3脂肪酸エチル   ● ジェネリック ありません。  

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カデュエット(ファイザー)      高血圧と高コレステロールを同時に改善する配合錠    高血圧症と高コレステロール血症は、併発することで脳卒中や心筋梗塞などの脳、心臓の血管疾患の発症リスクを高めることがあります。カデユエットは、2種の有効成分によってその両方を治療できる配合薬です。

 1つは、心臓や体の血管を広げて血液をよくして、血管を流れる血液の抵抗を減らして血圧を下げる作用があります。また、過度な心臓の収縮をおさえるので、心臓を休めるは働きもあります。もう1つは、肝臓でコレステロールが合成されるのをおさえます。これにより、悪玉コレステロールは減少しますが、善玉コレステロールは増加します。

 2つの有効成分はともに単体の薬としても処方されています。高血圧症の治療と脂質異常症の治療は並行して行われることが多く、今までは、1度に2種類の薬を飲まなくてはいけませんでした。しかし、2つの有効成分を含んだカデユエットを1錠摂取するだけでよくなったので、長期治療の際でも飲み忘れが起こりにくく、きちんと服用することができます。また、1錠で済むので、1日当たりの費用も、おさえられます。

 日本で初めて高血圧症と高コレステロール血症の治療を、1錠で可能にした薬。配合バランスによって1~4番まであります。   ● 有効成分:アムロジピン、アトルバスタチン   ● ジェネリック ありません。  

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リピトール(アステラス製薬)      コレステロールの合成をおさえて動脈硬化の進行を抑制    コレステロールの合成をおさえ、血液中のコレステロール値が高すぎる状態の、高コレステロール血症を改善します。高コレステロール血症を放っておくと、動脈硬化が進んで、近い将来に狭心症や心筋梗塞を起こす可能性が。動脈硬化の進展を抑制するので心筋梗塞のリスクが下がり、一度心筋梗塞になった人の再発予防にもつながります。この薬は同じ系統の薬の中でも特に、コレステロールを低下させる作用が高いことが評価されている薬です。

 アルコールやグレープフルーツジュースなどの飲料が薬の効き目を左右することがあります(摂取する量や個人差によっても異なります)。病気をよくするためには生活習慣の改善が重要な目標となりますので、飲料などの嗜好品も含めて見直しが必要となります。

 病気と薬の影響については医師や薬剤師に相談することで解決しますが、生活習慣については栄養士も心強い味方となるのでしょう。薬を服用しない状況に早く戻るためには、自身のライフスタイルの見直しが最優先になります。   ● 有効成分:アトルバスタチン   ● ジェネリック

・アトルバスタチン「日医工」(日医工)など  

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 まずは定番のスタチン系の薬から。医師に高脂血症の相談をすれば、直ちに処方してくれます。経験上、良い医師の傾向として、余程の高値でもなければ、「まずは、食事と運動で改善していきましょう。あとストレスにも気を付けて下さい」と言います。薬の処方に対して抑制的な印象を受けます。      メバロチン(第一三共)       悪玉コレステロールを減らし脂質異常症を改善する    メバロチンは同じ系列の薬の中で最も歴史がある有効成分で、類薬と比べても効き目が穏やかに発現し、長期間の服用に対して高い安全性が確立している薬です。肝臓でコレステロールが合成されるのをおさえ、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やします。血液中にコレステロールや中性脂肪が多い状態になる、脂質異常症を緩和させる効果があります。

 脂質異常症をそのままにしておくと動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞の原因になります。この薬で血液中のコレステロールや中性脂肪をコントロールしていれば、将来脳卒中や心筋梗塞などの病気が起こるのを回避できます。また、一度心筋梗塞を起こしたことがある人も服用すれば、今後の再発を予防できます。

 メバロチンには、ジェネリック医薬品メーカーが多数参入しており、数多くのジェネリック医薬品が発売されています。ジェネリック医薬品の選択肢があることは、生活習慣病など毎日飲む薬では、金銭的なメリットが大きいといえます。    ● 有効成分:プラバスタチン   ● ジェネリック

・アルセチン(テバ製薬)

・プラバスタチンナトリウム「日医工」(日医工)など  

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 高脂血症、高コレステロールですが、中性脂肪の数値なども含めて脂質異常症と総称されています。主に健康診断での指標は、LDL(悪玉)とHDL(善玉)と2分し、「悪玉を120㎎以下に下げて、善玉を上げましょう」と指導されています。

 この指導も、最近では単純にLDLの数値だけで評価せず、中性脂肪の数値、血圧や血糖値なども加味して指導されています。その人の体質や親兄弟の病歴なども参考にしますので、単に「120mg以下でなければ高脂血症です。今すぐ薬を飲みなさい。」などと、LDLの数値だけで判断しません。実際に、ある医師は「もし、血圧や血糖値、中性脂肪が基準以下なら、180mgを越えなければ体質的な要因で、そう心配しなくても良い」と言っています。また、悪玉・善玉の呼称も、やや古い概念です。悪玉とされるLDLでも、体の組織を作る為に絶対に必要なもので、一定量を保つべきが正しい解釈です。現在はHDL:LDLのバランス1:2が推奨されてており、HDL:LDLの比率と総コレステロール量を注視しています。    高脂血症は食事だけでは改善できない、体質的な要因が大きいと言わるようになりました。それは近年の研究や実験から明らかになっています。例えば、「卵の黄身はコレステロール値が高いので控えるように」との指導は、ひと昔前のことです。コレステロールの3/4は体内で生成されます。つまり、食事的な要因は1/4に過ぎません。しかも、コレステロールの高い食事を控えると、その分、体内でのコレステロールの生成量が増えることがわかりました。逆に食事でコレステロールを取りすぎると、体内での生成が減るわけです。卵の悪玉説はとうに廃れているのです。栄養価に優れた卵、毎日1~2個は問題ない、これが結論です。

 結果として、食事だけでの改善は難しく、運動やストレスなどを含め、その人の体質に合わせて総合的に対処する必要があります。もちろん、食事が関係ないわけではありませんから、油ものは控えるべきです。脂質の多い食事は、中性脂肪の数値にすぐに表れます。しかし、脂質やコレステロールも体には無くてはならないものです。高すぎる数値が問題なのです。脂質も飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けて、前者(乳製品、脂肪の多い肉、マーガリン)を控えて、後者(オリーブオイル、青魚、ナッツ類)を積極的にと、管理栄養士が口を揃えています。    実は秋葉も高脂血症で、今年のLDLは170mgです。他の数値は、ほぼ標準値・A評価ながら、脂質だけはC評価です。食事に気を付けて少しづつ下げていますが、どうやら体質的に高めのようです。薬は飲んでいませんが、より食事と運動に注力したいと思います。母も高脂血症気味で、脳梗塞で亡くなっています。できればLDL140mg以下に、血液サラサラが生涯の目標です。    さて、交通事故外傷との関わりですが、やはり、薬の飲み合わせについては、お薬手帳で服用中のお薬を示し、医師や薬剤師の指導に従う必要があります。かつて、かなりLDL高値で高脂血症治療中の方がスタチンとの飲み合わせ悩んでおりました。医師は、患者の訴える手のしびれに対してメチコバールを服用したかったのですが、主成分がビタミンB12なので、コレステロールに影響があることから服用を見合わせました。整形外科では、お薬の処方に窮すると処方される(飲み合わせに禁忌が少ない)メチコバールですが、高脂血症の患者には珍しく抑制的な薬なのです。

 

 メチコバール 👉 超簡単解説 薬シリーズ 1    交通事故外傷の治療の面では、先の説明の通り、高脂血症の度合いをどうとらえるか、服薬をどうするか、全体像から判断するべきです。相当な(脂質)異常値でない限り、骨折や捻挫、手術や治療に深く関与しないように思います。その点、高血糖や高血圧と違い、高脂血症の概念やケガへの影響は、ぼやっとした印象をもっています。    次回、まずはスタチン系から ⇒ メバロチン  

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⑧ ノボラピッド(ノボ ノルディスクファーマ) 注 フレックスペン

   血液中の糖の上昇をおさえて糖尿病を治療する    血液中の糖の上昇をおさえるインスリンは、糖尿病治療のためには大切なホルモン。ペン型注射で投与するこの薬はインスリン製剤の1つで、インスリンの分泌が少なくなってしまう1型糖尿病患者や、2型の中でも食事や運動の療法の効果が薄い患者に処方されます。

 インスリン製剤は、作用が現れる時間と作用の持続時間によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、特効溶解型の5種類に分類されます。この薬は、超速効型で、作用発現が15分以内と非常に早いのが特徴です。         生活習慣からではなく、先天性に多い1型糖尿病の方の場合、膵臓からインスリンがでないので、おなじみのインスリン注射があります。重度の糖尿病患者さんは、インスリン注射を携帯しければ命取りです。そこまでいかずとも、即効性のインスリン分泌薬としてノボラピッドは携帯されているようです。   ● 注射剤    ● 有効成分 インスリンアスパルト    ● ジェネリック

 インスリンアスパルトBS(サノフィ)  

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⑦ スーグラ(アステラス製薬)

   国内初なるSGLT2阻害薬    SGLT2阻害薬という新しいジャンルの糖尿病治療薬です。SGLTとは体内のたんぱく質の一種で、糖などの栄養成分を取り込む役目があります。

 この薬は、SGLTが糖を取り込むはたらきを邪魔し、より多くの糖を尿として排泄させます。結果、高血糖が改善されるというわけです。

 糖尿病の治療薬は、体重増加を引き起こすことがあります。しかし、この薬は尿からの糖排泄を促すので、体重増加などの副作用がないのも特徴です。

      ● 25mg(1錠)136.5円     ● 有効成分 イプラグリフロジンL-プロリン    ● ジェネリック

 なし  

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⑥ リオベル(武田薬品工業)

   2つの効果で糖尿病を改善    ピオグリタゾンとアログリプチンという、作用の異なる2つの糖尿病治療剤を配合した薬です。有効成分の1つであるピオグリタゾンは、筋肉や脂肪組織、肝臓でのインスリンに対する感受性を高める作用があります。そのためインスリン抵抗性改善薬と呼ばれます。

 もう一方の有効成分・アログリプチンは、血糖を一定に保とうとするホルモンであるインクレチンを分解しようとする邪魔な酵素(DPP-4)を阻んで、インクレチンのはたらきを助けます。そのためインクレチン関連薬と呼ばれています。       ● LD(1錠)219.4円  HD(1錠)270.5円   ● 有効成分 ピオグリタゾン、アログリプチン   ● ジェネリック

 なし(ピオグリタゾンやアログリプチン単体ではあります)  

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④ アクトス(武田薬品工業)

   インスリンの効き目を上げる糖尿病治療薬    血液中の糖の上昇をおさえるインスリンというホルモン。このインスリンのはたらきが低下すると2型糖尿病にかかりやすくなります。糖尿病の患者の体内では、個々の細胞のインスリン抵抗性が高まり、インスリンの効き目が薄くなっているのですが、それを改善することで糖の消費を高め、血糖値が下がります。これまで、飲み薬としてはスルホニルウレア(SU)系という薬が使われてきましたが、それでは効果が不十分な場合のために開発された新しいタイプの糖尿病治療薬です。      ● 30mg(1錠) 137.5円   ● 有効成分 ピオグリタゾン   ● ジェネリック

 ピオグリタゾン「TCK」(辰巳化学)  

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③ ベイスン(武田薬品工業)

   食後、血糖値の増えすぎをおさえる    食事に含まれる糖類を、腸内で血糖となるブドウ糖へ変化させるために必要な酵素であるαグルコシダーゼ。そのはたらきを妨害することで、糖質の消化・吸収をおさえるのがこの薬です。

 食後に上がりやすい血糖の上昇にブレーキをかけることができて、糖尿病患者の血糖が過度に増えることをおさえることができます。この薬が処方されるのは、食事療法や運動療法などを行っても十分に効果がない場合などで、原則としては薬よりも優先して生活習慣の改善が求められます。     ● OD錠0.2mg(1錠) 38.2円   ● 有効成分 ボグリボース   ● ジェネリック

 ボグリボース(東和薬品)  

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① メトグルコ(大日本住友製薬)

   血糖値を下げるために肝臓での糖分の生成をおさえる    最初に定番のお薬です。高用量処方が保険適用で認められ、新規承認された糖尿病薬です。お値段も安い。

 血糖が、その量を調整するインスリンホルモンのはたらきを受けやすくなる効果があります。また、肝臓で糖分が作られるのをおさえ、筋肉や脂肪組織で糖を利用するのを促進し、腸管から糖を吸収するのをおさえるため血液中の糖分の量が減ります。特に、インスリンホルモンのはたらきが悪くなったり、分泌量が減少するなどの2型糖尿病に対して使用されます。また、血液中のコレステロールや中性脂肪の低減効果があり、体重の増加を助長しないので、肥満型の糖尿病患者によく処方されています。

 注意が必要な副作用に、乳酸アシドーシスがあります。現在は多くの国で販売中止のフェンフォルミンという成分で多く見られた副作用です。しかしこの系統の薬は、適切な医師の管理下で服用すると有用性が高いため再評価され販売しています。また、糖尿病薬全般に共通する、血糖値の下がりすぎによる低血糖症も起こることがありますが、糖尿病薬を服用している人には、薬局でブドウ糖を配布しているので、低血糖症の症状や対処法と合わせて入手しましょう。   ● 250mg(1錠) 10.2円   ● 有効成分 メトホルミン   ● ジェネリック

・ネルビス(三和化学研究所)

・メトホルミン塩酸塩「トーワ」(東和薬品)など  

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 久々にシリーズ再開します。およそ、交通事故外傷に関する代表的な薬は網羅してきたはずです。交通事故外傷から離れますが、新シリーズでは国民のほとんどが直面する生活習慣病の薬を整理したいと思います。

 整形外科で処方されることはない薬ですが、痛み止めの処方の際に、その飲み合わせに禁忌する薬を把握する必要があります。また、普段服用している薬によって、整形外科の治療内容に影響を及ぼすこともあります。つまり、生活習慣病の薬や、その病態の知識は知っておくべきと思うのです。

 まずは、交通事故外傷と糖尿病について、事前解説します。個々のお薬は明日から投稿します。おなじみ、「薬の教科書(宝島社さま)」からの引用になります。(薬価は2016年当時です)  

糖尿病と交通事故外傷

 高血圧、高脂血症、高血糖・・・すでに病院で治療をしていない軽度の方を含めると、40歳以上の方の5人中4人が健康診断でこれらの指摘を受けます。これら予備軍の民さんは、食事の管理や運動で改善を目指していくことになります。それでも改善が進まない方は、薬に頼らざるを得ません。交通事故でケガをした際の投薬においては、お薬手帳を示し、医師・薬剤師から十分に注意を払って処方されます。    骨折した方の場合、糖尿病の治療中でインスリン注射を打っている方は、緊急性がなければ、手術を避ける傾向です。高血糖は手術の危険要因になります。また、骨折の癒合も遅い傾向が指摘されています。経験上、糖尿病の方の外傷は、全般的に治りが遅いと実感しています。そして、自覚症状がしばらくでない糖尿病でも、手足のしびれ、だるさ・倦怠感などがあり、頚部の神経症状と重なることがあります。交通事故外傷の治療では、やっかいな既往症と思っています。    参照 👉 糖尿病は万病のもと? ①          糖尿病は万病のもと? ②    実は4年前、めちゃめちゃな食生活をしていた秋葉も高血糖に陥り、受診したことがありました。血糖値216mg、A1c9.9%、尿糖3+、完全な糖尿病の数値です。すぐさまメトグルコの服用となりました。この時、インスリン注射も経験しています。今までの生活を猛省し、食事の栄養バランスを徹底的に見直しました。幸い4カ月位ですべて正常値に戻り、空腹時血糖値を100未満、A1cは6.0未満として、現在もキープしています。

 実は、それ(改善)は珍しい事らしいのです。主治医の先生がこっそり教えてくれましたが、食事や運動など自己管理で改善する患者さんは20人に1人位、ほとんどが継続的に薬を処方、または再発を繰り返すそうです。元々の体質が要因である場合は仕方ないことですが、いかに生活習慣病にならないよう、自己管理を徹底することが難しいかを物語ります。20人中19人が治らずにずっと通ってくれる・・内科医は儲かっていいな、と思う次第です。     次回 ⇒ メトグルコ  

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 保険会社側の医療調査とは・・被害者さんの治療費を支払う立場の保険会社の目的は大きく3つです。この交通事故でケガをしたのか?、その治療行為や費用は正当か?、いつまで治療費を負担すべきか? でしょうか。

 正当な、妥当な、治療費の負担が保険会社の姿勢です。これらの為に、保険会社内部の医療調査班、あるいは外注の調査会社を通じて行われます。その調査費用は保険会社側が負担します。

 一方、私共が担っている医療調査は、この事故で必要となった治療や検査、期間について、相手保険会社の疑義が生じた場合、その証明を整える為に奔走します。それは医師面談、診断書や画像の回収になります。これらの作業は、長じて後遺障害の審査に繋がるものです。

 しかしながら、被害者さんの訴える症状について、医師から十分な診察や検査結果が得られず、相手保険会社(まず審査は自賠責保険)が後遺障害を認めない場合もあります。この場合、医療調査は苦しい作業になります。素人ながら、被害者さんの訴える症状を丁寧に聞き取り、患部を触り、とくに画像や検査データを拝見します。もちろん、これらの作業は”医師法に抵触しない範囲で”行います。同法から、勝手な診断や見立てをしてはなりません。

 今回もこの苦しい作業をもってしても、活路は見出せませんでした。専門医にお連れし、精査を重ねましたが、新たな診断名がつくような所見は得られませんでした。つまり、後遺障害の再請求を断念です。さらに、弊所にとっての厳しさとは、これら医療調査の費用が十分に確保できないことです。被害者さんにとって結果として賠償額が上がらなかった作業に、被害者さんのお財布を開いて頂くことに躊躇があります。そこで、担当弁護士さんから費用捻出頂くことが多くなります。ここで、被害者さんの自動車保険・弁護士費用特約から頂けないか? がポイントになります。

 しかし、弁護士費用特約、これが最も難関です。行政書士にも相談料など設定されていますが、保険会社の感触とは・・「医療調査? 何の?」と、まったくの想定外の作業なのです。冒頭、加害者側の医療調査には費用を捻出する保険会社も、弁護士や行政書士が医療調査をする?・・ピンときません。これは仕方ない事だと思います。私共は医師でもなく、医療調査ができる人とは思われませんし、「被害者にとっての医療調査?」、その必要性など考えも及ばないのです。

 結果として、本日の医療調査から新たな所見は得られず、弁護士に賠償交渉を引き継ぐことになりました。弁特社から頂けるのは、わずかな相談料だけです。これでも有難いとには変わりませんが、病院同行3回、うち専門医に誘致して、診断書類からMRI画像の精査など、手間暇、経費、技術、これら専門的な作業の対価には到底見合いません。ある意味、弊所の敗北なのです。

 それでも、医療調査が功を奏し、賠償金50万円だった事件が3000万円まで上がったなど、このような大幅に増額した件は何度もありました。これらは決して大げさな数字ではありません。私共の医療調査は報われることもあるのです。この点で、ギャンブル性が高い仕事と言えます。あまり、他の行政書士にお勧めできない理由かもしれません。それでも、毎年届くお中元・お歳暮を目にしますと、解決して何年経っても謝意を示して頂ける依頼者様がおります。それらを励みに、今日も病院同行を重ねています。

 

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 若宮橋。 美しい橋脚の眺めに、思わず写メを残しました。

 若宮公園にかかる橋です。これを渡ると、森の里の住宅街を経て七沢に通じます。七沢は神奈川リハビリテーション病院行で何度か足を運んでいますが、未だ温泉には未湯です。    さて、本日は紹介状の依頼で病院同行でしたが、医師にうっかり、「セカンドオピニオンのような・・」と言ってしまいました。紹介状の依頼とは、別院への転院を意味します。セカンドオピニオンは現在の病院にかかりつつ、別院での診察を受けて意見を伺うものです。これは似て非なるもの、医師からも念を押された次第です。    

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 毎月のように、弊所の依頼者様が労災の顧問医の診察を受けています。純粋な業務災害の依頼は少ないものですが、通勤災害は数多く、交通事故の解決に労災請求が被ってきます。そして、自賠責保険で後遺障害の認定を得ますが、前後して労災の障害給付の請求もすることになります。両者は9割がた同じ審査基準と言えますが、部位・症状によって違いがあります。これは、毎度のテーマでもありますが、最大の違いは、文章審査を原則とする自賠責に対し、労災は顧問医の診察があることです。    違いの一例 👉 労災は半袖、自賠責はノースリーブ、裁判はタンクトップ以上!?    よく違いが生じる障害 👉 実績投稿:TFCC損傷、自賠責と労災の違い    障害給付の申請を提出すると、担当者から顧問医の診察するよう要請が入ります。およそ月1~2回、各地の労基署の第〇曜日に顧問医がまとめて診察をしているようです。診察者が多い場合や、予定が合わないと翌月になりますので、その分審査が遅れます。この診察には弁護士でも同席できませんので、事前に症状を文章にしておき、持参します。もちろん、労災側に専用の用紙にて記載を求められることもあります。先に自賠責で妥当な等級がついている場合、その認定票や診断書・検査サマリーなどを提出することも多いものです。労基の職員によると、それらは審査書類に当たらないものの、それなりに参考になるそうです。

 さて、被災者さんが診察に臨む前に、諸々のアドバイスをしています。多くの場合、認定されるべき等級は固まっています。その等級に合致するよう、穏当に済めば良いと思います。ところが、顧問医によって、それが大きくぶれる経験もありました。たいていの顧問医は、労災の認定基準に照らして診断内容をまとめますが、やはり、診断権という権力を持った医師、勝手な診断を下すこともあるのです。労基の職員によると、はっきり言いませんが、”個性的すぎる”医師もいるそうです。そのような先生に当たってしまうと・・結果が読めません。医師の判断は、つまり、人間の判断ですので、医師の独自見解が入ってしまうことがあるのです。その点、画像審査を主眼とする自賠責保険の方が、ぶれを感じません。    被災者さんに最後のアドバイスとして、顧問医の当たり外れを説明することになります。文字通り、最後は「GOOD LUCK」を祈ることになります。    

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 自賠責保険の後遺障害審査で必須となる画像、主にレントゲン、CT、MRIなどですが、これを集めるのに一苦労があります。病院によっては、患者自らの請求ですら、快く応じてくれません。提出先や理由を聞かれ、申請書を書くこともあります。ただ、フィルムの時代から比べれば、現在はCDやDVD-ROM化していますので、病院側の手間は減ったと思います。

 また、別の問題として、その価格があります。パソコン操作でソフトに焼くだけの手間、それも15分もあれば完了するものです。手間賃に等しいものと思います。およそ500円~2000円が多かったと思います。クリニックですと、純粋にソフト代として10円~100円だけ、中には0円もありました。一方、医療情報の開示にあたるので、カルテ開示同様、厳密なルールのもと、開示費用に扱いで5000円~数万円がありました。それなりの規模の病院で、費用名目や価格も決まっている印象です。

   前置きが長くなりましたが、私共のような業者、もちろん保険会社からの請求も多いと思いますが、それらに対して異常に高額な請求をする病院が存在します。確かに昔はレントゲンフィルムをコピーする手間があり、フィルム代も安くはないので、画像1枚=1000円程度は普通でした。しかし、現在はディスクに焼くだけ、パソコンのひと操作で完了するのです。それを、未だに画像1枚当たり=〇〇円で計算する院が残っています。レントゲン数枚ならまだしも、CTやMRIは言わば連続写真のようなもので、一部位の画像が数十枚になるのです。数度にわたり検査したとすれば、100枚を超えることは珍しくありません。

 かつて、フィルムが廃れつつある中、ある大学病院に画像を依頼したところ、「1枚あたり1000円ですので、フィルムコピー代は、えーと合計246000円ですが、払えますか?」との回答でした。ほとんどの患者は諦めるはずで、それを期待したような物言いでした。数年前まで、この有名大学病院はディスクに焼かず、(CTやMRIまでも、わざわざ観ずらい)フィルムの対応で、その高額な費用で困っていました。現在はそのような意地悪はしなくなり、ディスク1枚=2000円位で焼いてくれるようになりました。弊所では、この医事課の責任者に、さんざん苦言し続けたかいがあったと思っています。

 最近になっても、個人経営のクリニックで、このようなフィルム時代の名残のような1枚=〇〇円対応がありました。ディスクに焼くだけの手間で、例えば18枚のレントゲンを(おそらくワンクリックの手間なのに)、1枚=2000円+消費税、さらにディスク作成費用加算と言った、ひどい請求がありました。画像検査専門の病院では、放射線科の読影報告書付ながら、ディスク1枚のコピー代は2~3千円です。ただディスクに焼くだけを、いくら自由診療だからと言って、病院側の悪意すら感じます。    このように、自由診療扱いをいい事に、めちゃくちゃに価格幅があることは、業界全体の不信につながると思います。つまり、健保治療のようなガチガチの点数制限はないまでも、ある程度の価格相場、推奨金額を決めて頂けないものか、医師会に対して切に願っているのです。  

 

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 私共の業界では、当たり前に使用する専門用語で「ROM」があります。これは医療、とくに整形外科において、医師はもちろん理学療法士・作業療法士などを含め、日常用語レベルです。また、介護関係者にも通じます。    改めて、説明をしておきましょう。   関節可動域をROMと略します(Range of Motion)。これは、体の関節が痛みや傷害などが起きないで運動できる範囲のことです。関節可動域は、どれだけ動くかを角度で表記します。関節可動域は、患者に必要なケアやリハビリ計画を立てるために重要な計測数値です。関節を中心とした身体機能を評価することで、障害の程度や困難となる生活を把握し、改善目標を立てるために役立ちます。

 計測する分度器をゴニオメーターと呼びます。秋葉事務所では4種のゴニオメーターを常備しています。  

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 市場が移転した豊洲埠頭は道幅広く、周囲を億ションに囲まれた新しい街です。本日はこちらに病院同行でした。やや潮風を感じます。      最寄り駅はゆりかもめの市場前です。セカンドオピニオン外来でしたので、予約通りにスムーズに受診できました。ビル内の新しい病院ですが、院内は従来の病院とかけ離れたもので、ホテルのような内装でした。    さて本件ですが、開放骨折を伴う難治性の骨折の治療は、時間がかかります。ひと昔前なら切断肢のレベルだったと思います。専門医の説明によると、骨癒合が進むまで、変形を矯正する為の再手術はしばらくできないそうです。しかしながら、変形・湾曲した長管骨は再骨折の可能性が高く、再骨折すれば直ちに骨の形成術が可能となるそうです。    難治性骨折の治療は長期戦です。幸い労災治療なので、相手保険会社のプレッシャーは弱く、じっくり治療を進め、再手術と症状固定の前後やタイミングを検討することができます。本件は相手が一方的に悪い事故ながら、労災治療のメリットを活かしています。  

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 健康診断で唯一、異常の指摘を受けているがLDLです。いわゆる悪玉コレステロールと言われているものです。この数値が高いと、血管内にプラークが生じ、血管が狭く固く(動脈硬化)してしまい、心筋梗塞や脳梗塞に繋がります。つまり、脂質異常症は、警戒すべき成人病の一つです。

 脂質異常症は、それが自覚症状として、なんらかの発症を得ることがなく、静かに体を蝕むサイレントキラーの一種と呼ばれています。今年の数値は170でした。ここ数年、高値のまま、やや下がってきてはいます。その基準値ですが、119以下を推奨されています。また、140以下なら問題ないとの文献もあります。そして近年の研究結果から、LDL単体の数値だけでなく、HDLとのバランスや中性脂肪の数値と並べて、総合的に判断すべきとされています。

 確かに医師の判断にも幅ができたようで、140超えたら即スタチン服用としない傾向です。その人の体質や、家族の血管系の疾患なども加味して、200未満なら、食事と運動、生活習慣の改善で足りると判断する医師も多いようです。また、高血圧や糖尿病の人は、血管へのダメージがダブルでうなぎ上りで危険度がぐっと上がるそうです。その場合は服薬がより推奨されます。私の場合、20代から現在まで、血圧や中性脂肪が標準値よりもかなり低いので、医師は「それほど危険視する必要はない」とのことです。

 また、LDLが豊富な食品として卵の黄身がありますが、食生活上、控えるよう指導されていたことも、過去のものです。LDLの70~80%は体内で生成されるもので、食べ物からの影響は少ないことが分かってきたからです。脂質や油ものを控えることは変わりませんが、総合栄養食として優れた卵を控える必要など、余程に過剰摂取しない限りないそうです。

 このように、健康診断の数値をどう判断するか、薬の処方、長じては生活習慣の改善とその取り組み方まで、エビデンスは日夜変化しているのです。ただし、来年はLDLを140アンダーにするよう、日々取り組みたいと思います。    

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