自動車保険料率の自由化以降は、各社の約款に違いがあって当然です。しかし、この人身傷害の支払い基準の差について、保険契約の際に契約者が理解・選択することはほぼ不可能と思います。パンフレットからは到底読み取れない補償の差があることは、やはり消費者保護の観点から望ましいことではありません。

 「差額説」vs「絶対説」の裁判が続く中、平成23年6月、北海道の消費者団体がこの問題について、「訴訟基準差額説」or「人傷基準差額説」のどちらで支払うのか損保各社に質問状を送りました。回答は下表の通りです(簡略化しました)。「絶対説」が退けられることは、各社、覚悟していたと思いますが、「訴訟基準」か「人傷基準」かは不明確で、これを約款に反映させる過渡期にこの質問・回答を行いました。人身傷害約款の不整備、もしくは改定中の損保に対し、会社の見解・方針を聞き出す画期的な活動だったと思います。   ※ 特定非営利活動法人  消費者支援ネット北海道様から、引用・掲載のご許可を頂きました。  

 赤字の部分は「人傷基準」もしくは「比例按分説」(「絶対説」「差額説」とは違うもう一つの説。混乱しますので説明は割愛します)に近い計算方法、もしくは会社独自の計算を用いています。

 この表はあくまで3年前の回答です。現在はほぼ全社「訴訟基準差額説」に乗っ取った対応となっています。赤字はつまり、約款改定が遅れていた会社と言えます。    しかし、不思議です。「訴訟基準差額説」と回答していながら、いざ請求すると「人傷基準」を提示してくる会社が、まだあります。この表で「裁判基準」と回答しているにも関わらずです。まさか、担当者が自社の約款を読み違えているとも思えないのですが・・この場合、弁護士から強硬に請求した結果、渋々「訴訟基準」となります。まるで弁護士や請求者の足元をみているような対応です。この点、約款をわかりづらくしている効果を感じます。   20110714続きを読む »