<井田医師の意見陳述>を続けます。

④ 拡散テンソル画像は脳内の神経線維に沿った水分子の拡散の動きを見ることによって神経線維の状態を推定しようとするものであり、病変の位置が特定できている場合には脳機能と病変の関係を見ることについて有益である。ただし、形態学的に異常がない微細な脳損傷の有無を拡散テンソルだけで判断することはできない。

      

(解説)
ビジュアル的に裁判受けします。それがためにテンソール検査を求めて病院回りしたこともあります。しかし本意見でも断定されている通り、以前からも調査事務所では重視していない画像です。

⑦ fMRIは指を動かすなどの課題に対して脳の中枢が賦活化されて、相対的にデオキシヘモグロビン量が変動することにより、賦活化された脳をMRIで画像化するというものである。脳機能を科学的に見るという面では良い方法であるが、現時点では微細な脳機能の低下に対してはまだ使える段階にはない。

⑧ MRスペクトロスコピーは脳内の代謝物質を測る方法であるが、環境に影響されやすく、元来出ているはずのないものが出たという評価はしやすいが、あるべきものが下がったという評価は難しい。したがって、このスペクトロスコピーについても、微細な脳外傷の脳機能評価にはまだ使えない。

(解説)
 テンソール、fMRI、MRスペクトロスコピーも重視されない(されていなかった?)とは…。経験ではCT、MRIで視認できる病変部はこれらでもはっきりと確認できます。
 ちなみにMRアンギオ、脳血流スペクトは今回の意見で触れられていません。先日も医師がスペクト検査の後「すでにT2フレアーでわかっていることを再確認しただけ」とコメントしました。しかしアンギオ、スペクトは多くの脳外科で検査設備があり、実施しやすい検査の一つです。ダメ押しに検査?少し考えてしまうところです。

      
          CT、MRI(T2)、DWI、SPECTの比較 

⑨  Positron Emission Tomographyaphy (PET)についでは現在一般に使用されているのはブドウ糖により細胞活性を見るFDG-PETである。しかし、分解能が極めて低いこと、急性期に検査を実施するのは難しいこと、形態学的異常がない時に、FDGに差が出たとしても、それがなぜ起きたのかが分からないことから、PETのみで異常を診断することはできない。

(解説) 
 PET・・・ 癌、腫瘍の早期発見のためによく用いられます。陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術で、CTが外側からのレントゲン撮影とすれば、内部からの描出です。
 以前にも書きましたがDWIの存在でPETの必要性はなくなったともいえます。

⑩ 画像診断の意義は急性期から亜急性期の形態情報について客観的に捉えて事後的に、つまり第三者的にも評価できるためには、いわゆる「自己完結型」の医療、診断を防ぐことが大切である。ただし、画像診断だけを用いれば高次脳機能障害を評価できるということではなく、神経学的な診断とのジョイントが必要である。

(解説)
 実はこの部分が一番の肝、画像所見における一番の問題点かと思います。つまり画像の評価を一医師の診断で完結させず、画像情報として記録を残して欲しい、ということです。医師は治療計画のために画像診断をします。それは硬膜下血腫の手術のためであり、くも膜下出血の手術のためです。それらの診断名であれば器質的損傷が顕著なので、しばらく丁寧な画像診断が続きます。しかし脳外傷が軽微であれば、おざなりの検査に留めてしまう危険性を常にはらんでいます。

 もう一つ大事な事、「ただし、 」以下。
 病変部が左側頭葉の場合、多くの場合言語に関する機能が低下し、それが神経学的検査の三宅式記憶検査、WAB失語症検査に表れてきます。右側頭葉であれば、空間認識、形状記憶が低下しますので、リバーミードの該当項目はもちろん、ベントン視覚記銘検査等に表れます。井田医師は描出された病変部と神経学的症状の一致を最後に述べています。この一致は立証する立場の者にとって、まさに意識した、意図した、検査を行う為の指標なのです。

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