相談会にやってくる被害者さん、症状ではやはりむち打ちが最大勢力です。全体の60%はむち打ち被害と言っていいでしょう。
 しかし一口にむち打ちと言っても、「首を動かすと痛い」程度から「常時手指にしびれがある方」、「バレリュー症候群」を併発している方まで、症状に個人差があります。そしてたまに見かけるのが首にカラーをはめている人です。

カラーの種類は2種に大別されます。左が硬性、右が軟性カラーです。

    この2種を覚えれば十分です。
フィラデルフィアカラー    ソフトカラー

  

 カラーを装着して会場にやってくる被害者さん、一見ひどい症状のようですが、実際はよくしゃべるし、固定している割には左右、上下によく首が動いています。そして常時付けているわけではないようでカラー自体もそれほど汚れていない。押しなべてカラーをしている人は症状が軽いように思います。そして現在多くの整形外科医がカラー固定を避けています。急性期(1~2週間)の激痛、頚椎の棘突起の骨折などを除き、いつまでも付けることは多くの医師が否定しています。
 

★ 大分中村病院HPによると・・・『頚椎カラーと安静の必要性についてですが、むち打ち損傷の中で極めて限られた症状、つまり頚部の明らかな腫脹を伴った動きの制限(首が腫れて、前後左右にほとんど動かない)のみに頚椎カラーが適応され、座ったり、立ったりすることがままならないほどのめまいや吐き気を訴える患者さんに安静が必要となります。ではこのような患者さま以外は頚椎カラーや安静は必要ないのでしょうか?最新の治療での答えは「必要なし!」です。例えば、頚椎の手術後2~3日でベッド上で起き上がったり歩行を開始し、頚椎カラーもほとんどしない方が、従来の2~3週間のベッド上安静と約3ヶ月間の頚椎カラー装着より頚部の疼痛や不定愁訴が少なく結果が良いと最近の成績で示されています。私の経験をまとめた結果でも疼痛のみのむち打ち損傷で長期安静を行った患者さまの予後結果(受傷後半年もしくは1年後の結果)は概して不良でありました。』
 

★ むち打ち損傷ハンドブック(遠藤 健司 先生 著)でも・・・『頚椎のカラー固定については、頸椎の自動運動を早期から行った群が、カラー固定を行った群に比べて治療成績が良かったと報告があり、不必要に長い固定はかえって症状を長引かせることになることを示唆している。』
 

 このように装着は極めて限定的であり、自然な頚椎の運動を制限しない方が良いことが常識となっています。しかし受傷から1月もたっているのに装着している被害者は病院でどのような指導を受けているのやら・・・外見上、被害を訴えるにはカラー固定はよいアイテムなのでしょうか。まるで70年代のマンガに登場する交通事故被害者のようですが。