10月の山梨県 増富ラジウム温泉に続き、岐阜のラジウム泉へ。その名もローソク温泉。温泉マニアの中でも3大ラジウム泉と数えられます。(他は島根県の池田ラジウム温泉、山梨県の増富ラジウム温泉)

 木曽の坂下駅から県境を超え岐阜県へ、4つ目の停車駅 恵那駅からで送迎車で15分。夕暮れの中、木曽川を渡り冬枯れの山道へ入ります。送迎車の中では常連同志と思われる女性の方がひっきりなしにしゃべり続けています。「最近、咳がひどい、ぜんそくかも」、「私は足の痛みが悪化して」・・・(その割にはものすごく元気に見えるが、これからの療養宿泊にハイテンションといったところでしょうか。)「あの親子来てるらしいわよ、足を洗ってから湯船にはいるよう皆で注意しましょうよ」・・・(常連はマナーに厳しいようです。一見客の私にも緊張が走ります。)

 宿に着くと雨模様なのに日帰り客の車で一杯です。泊以外の療養者もひっきりなしにやってきます。
 まず受付にて手続きをします。その際温泉の入り方の説明書きを渡されます。湯船に入る順番、回数、時間も5分と細かく決められています。
 その後部屋に通され仲居さん(というより教官)の説明があり、「これから入浴時間、食事時間、その他注意を言いますのでメモを取って下さい」と。はいっ、ときびきび返事をしながらメモを取ります。ここは保養所、療養所となっており、一般的な温泉旅館と趣を異にします。

 さてその温泉ですが、まずは成分を見て納得。おそらく世界でも指折りの放射線量です。

 2020×10-10キュリー、マッヘ単位556(日本第1位)
 (岐阜県衛生研究所測定公認)

 適用は・・・

 慢性関節リュウマチ、尿酸素質、慢性筋肉リュウマチ、神経痛、神経炎、創傷、通風、皮膚病、神経マヒ、貧血症、慢性婦人科疾患、尿路結石、打ち身、外傷性後遺症、動脈硬化症、高血圧症、美容、消化器病、慢性胆のう炎、胆道炎、胆石、更年期障害、冷え性、痔疾、五十肩、病後回復、健康増進、習慣病の予防 ・・・ほぼ万病にOK


 飲用として・・・

 慢性胃カタル、胃腸アトニー、糖尿、便秘、貧血症、腺病質、尿路結石、尿砂、肥満症、その他

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 浴感について・・・

 まず、最初から指先にビリビリ感を感じます。これは増富より強い衝撃です。よくある電気風呂ほどではないにしろ、はっきりした感触です。まさに放射能を浴びている状態? これが闘病者、療養者の人気の要因か・・  私の様子を察してか、常連と思わしきお父さんが語りだす・・・「私は10年も通っているよ。交通事故?神経麻痺が治った人を3人知ってるよ。」  「ほぉ。」これはいいことを聞いた。

 湯の成分は無色透明、ヌル感もなく単純泉そのもの。香は無臭と言いたいところだが、超塩素臭。そして湯の汚れは劣悪。
 湧出量が1分あたり1.4ではこの大勢の入浴者に湯が持たない。当然循環湯で、塩素の量は半端ではない。小学校のプールを思い出してしまった。ラジウムは体にいいはずだが、この塩素も吸収してしまう弊害もあるなぁ、と。喘息には絶対良くないよ~。かと言って塩素を控えればレジオネラ菌が増殖して病弱な人には危険となってしまう・・・。

 夜は宿泊客専用に湯を入れ替えるので、汚れも少なく塩素も控え目だったよう。それでも翌日まで体から塩素臭が抜けなかった。

 もともと病気の療養の場として、俗化を防ぐ目的から30年位前まで電気を引いていなかった。そこでローソクを灯していたことからその名を冠していたようです。
 人気の上昇が塩素を強める結果となってしまい皮肉に感じます。限られた温泉資源の利用について塩素に頼らない殺菌方法はないものだろうか?そんな感想をもちました。

 
宿は湯殿を囲んで庭園となっております。翌朝は雪でした。