本日は某弁護士事務所にて打ち合わせ。

 交通事故専門事務所として大御所の先生、最近、他事務所を解除してくる被害者の多さに辟易しているそうです。その事務所とは、クレサラ業務(過払い金利息返還請求)で急成長した余勢をかって、交通事故に乗り出してきたカタカナ大手法人事務所です。私はそれら弁護士事務所のアグレッシブな姿勢と旧弊を破壊する若い力に共感をしています。しかし肝心の被害者対応については、実態を聞くと暗澹たる気分になります。

 大御所の先生によると・・・そもそも裁判経験が少なく、一度も判決を取ったことがない弁護士が、後遺障害が重度な事案を受任し、保険会社と妥協的な示談を進めたり、裁判となってもしっかり戦ってくれず、敗北に等しい和解にのってしまうそうです。重度の障害を持った被害者は、その交渉、裁判にその人の一生がかかっているのです。クレサラ方式で事務的に保険会社と示談されるわけにはいかないのです。また最初から戦う気のない和解前提の裁判など到底容認できるものではありません。
 そのような被害者が既に契約している弁護士を見限って相談にやってくる件数がうなぎ上りだそうです。多くはその弁護士に不本意な進行をされ、ぐちゃぐちゃになっているそうです。これを先生は「被害者の二次被害」とまで断罪しています。

 やはり弁護士も私たちも人生を賭けた戦いを引き受ける覚悟、そしてなにより実力が必要と思います。安易にクレサラ方式で処理できるほど交通事故は甘くありません。なぜならいつも言うように東京海上や損保ジャパンは武富士やアコムではないのです。年間数万件の交通事故処理をしているプロ中のプロなのです。弁護士も相当の経験、実力がなければ太刀打ちできません。クレサラ業務は専用ソフトに入力すれば計算されて、後はサラ金に送りつけるだけです。それらの事務は事務所の補助者がやるので、弁護士はいるだけでいいのです。このような濡れ手に粟の業務ばかりしてきた弁護士になんの力があるのでしょうか?委任解除されても仕方ないと思います。そのくせ商才ばかり先立ち、弁護士費用特約で、不合理もしくは法外な費用を保険会社に請求し、保険会社から猛烈に嫌われています。その法人事務所を懲戒請求すると息巻く保険会社もあります。

 大手法人は莫大な資金でテレビ、ラジオ、ネットで派手な宣伝を展開し、出版やHPで専門家を謳っています。多くの被害者はまずそれに目を引かれてしまいます。マーケティングの観点でいえば、「多くの方は交通事故など初めてで、弁護士の比較ができない以上、宣伝で引っ張り込んでしまえば勝ち」となります。しかし交通事故はスマートホンを各社比較して買うのとは別次元の問題のはずです。被害者もその真贋を見抜く目を持たねばなりません。
 
 もし弁護士事務所に相談する際、次の質問を用意して下さい。

 「先生はこのケガでの裁判を経験したことがありますか?」

 「先生は交通事故賠償で判決を取ったことがありますか?」

 これに対し納得のいく回答ができる弁護士は極めて少ないことを覚悟して下さい。これは専門家と名乗っている行政書士にも言えます。それだけ日本の交通事故業界は保険会社による示談交渉が80%を超え、超保険会社主導社会なのです。

 最後に知人の保険会社担当者の本音を。

 「カタカナ弁護士法人が被害者につくとある意味ホッとします。この交渉は安く上がりそうなので(笑)」

 すげぇー悔しいです。私自身はもちろん、連携する弁護士先生はこのように思われないよう、もっともっと実力をつけなければならないのです。