最近の出来事から。

 むち打ちでなかなか症状が回復しない被害者Xさん。真面目に病院通い、リハビリをしていますが、痛みやしびれがなかなか改善しません。星状神経ブロックもこころみました。画像上や神経学的な所見も決して重篤な状況ではありません。主治医もいい加減、心因性を疑っています。保険会社担当者もそろそろ本気モードで打ち切りを迫ってきました。

 さて、この状況で私がとった対応。

 「さっさと事故を終わらせましょう」 です。

 真面目に半年治療を行っても改善しないわけですから、同じ治療を続けても急激によくなるわけはありません。Xさんも長いこと仕事から離れて、社会からの隔絶により精神的に自虐的になってきています。献身的な看護を続ける家族にも不穏な空気が流れてきます。

 これらを打破するには、思い切って医師の治療を減らしていき、自己回復努力にシフトすることです。

 事故前に好きだった趣味を積極的に行う、気分転換に旅行する、とくに温泉がお勧めです。自分で軽い運動、ストレッチ等を行い体力改善に努める。体力の向上が治癒向上の基本です。

       

 「治してもらう」 から 「自ら治す」 への転換が必要です。

 そして症状固定、示談し、一時金をもらい、保険会社ともさっさと縁を切ることです。

 いつまでも事故から頭が離れず、保険担当者とストレスのある交渉が続く・・・これでは症状も良くなりません。
  
 ちょっと乱暴な体育会的な理屈ですが、以下のように進めます。

1、 さっさと症状固定させて、治療に目途をつけさせます。

  保険会社担当者は大喜びで私に感謝しきりです。(私の仕事は保険会社も大助かりなのです)

 また、病院側も打ち切り攻勢の保険会社と患者の板挟みにうんざりしていたので、おなじく歓迎。

2、 後遺障害14級を取って、弁護士による交渉、そして一時金をもらって解決。

  保険会社担当者は少し苦い顔ですが、案件終了にはなります。保険会社では長く案件を抱えることを最も「悪」としています。

3、 病院のリハビリは健康保険(自費)となります。 そして徐々に回数を減らしていきます。

  毎日病院通いでは気が滅入ります。
 
4、趣味で気分転換

  好きな山歩きを再開したら、嘘のように症状が改善した方がいます。また旅行、とくに温泉などもお勧めです。

5、 仕事に復帰

  最初はきついですが、日常復帰が一番のリハビリです。それにいつまでも職場を離れる事は、本人の信用失墜にもつながります。
  

 交通事故被害者は理不尽な境遇と痛みで苦しい日々を送ります。精神的に強い人ばかりではありません。精神的に弱ってしまい、痛みのことばかり気にしている結果、症状改善が進まない方が大勢います。少し厳しい論理ですが、このような叱咤激励が功を奏すことも多いのです。

 被害者救済、それはお金の獲得だけの仕事ではないのです。