高次脳機能障害で日常生活状況報告書を記載する際に注意すること、それは医師の判断と家族の観察の一致です。これは高次脳機能障害に限らず、あらゆる障害で他覚的所見と自覚症状を一致させる基本に他なりません。今週は2件の作成に心血を注いでいます。日常生活状況報告の記載では語りつくせないので、必ず別紙に具体的なエピソードを挿入しながら説明しています。
 この2件で共通していることは医師の判断が家族の観察に比べ、かなり重いことでしょうか。限られた診断時間でしか患者を観察できない医師の判断と、回復の希望がこもった家族の判断が離れてしまう事が往々にしてあります。特に障害の重篤度にかい離をみせる傾向です。そのかい離をできるだけ防ぎ、いかに適切な障害を主張するか?高次脳機能障害の立証で重きをなす作業です。

① 医師との面談に何度も付き添い、事前に適切な情報を医師に伝えること。

② 家族と何度も日常生活状況報告書を書き治すこと。

③ 詳細を語りつくすべく、別紙でエピソーソを挿入すること。

④ そして全体像を見直し、修正を加えていくこと。

 このような繊細な作業を続けています。まるで私が審査しているよう・・・正当な等級を認定をすべく精査する審査側の苦労もよくわかります。

 障害の程度を測る上で、医証の不一致があってはなりません。等級が認定された後、弁護士の賠償交渉において不整合な医証を残すことになってしまうからです。これは相手保険会社の反撃の的となります。かつて等級の認定のみを念頭に奮闘し、等級獲得で完結するような仕事をした結果、引き継いだ弁護士に苦言を言われたことがあります。

 立証作業はつまり賠償交渉も見据えて進めるべきなのです。