今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。

 記事の概要は・・・

 当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。
 ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。

「監督義務果たしていない」

 子供の責任を親がとることになるのか?

 事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。

高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか

田中裁判官の判断は・・・

(1)将来の介護費約3940万円 

 女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。

(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円

 専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。

(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円

 後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。

この結果について記事より・・・

 これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。
 交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。