相談会では外国籍の相談者さまもおり、1年を通して十数名程度いらっしゃいます。
 
 お国も幅広く、中国、韓国は当然として、ヨルダン、パキスタン、ペルー、チリ、ブラジル、モロッコ、ギリシャの方の相談をお受けしてきました。来日してる就労者さんはアジア、南米が多く、比して欧米圏は少なく、本件のアメリカの方は2人目です。

 外国の相談者さまと言っても、ほとんどがなんとか日本語を解し、日本語がダメでも、知人の通訳が随行して下さいます。それでも、医師との折衝には明確なコミュニケーションが必要で、本件は可動域計測のやり取りが上手く行かなかった為、等級を取りこぼしました。

 外国の方で日本語が話せなくても、賠償交渉は外国人弁護士を使うことで解決します。しかし、後遺障害立証の現場では、言葉以上にコミュニケーションで勝負が決まります。
 

12級5号⇒併合11級:肩鎖関節脱臼 異議申立(60代男性・神奈川県)

【事案】

自転車で走行中、後方よりの左折自動車の巻き込みで衝突、受傷した。肩鎖関節脱臼のGrade3、つまり完全脱臼で手術のレベルだが、 脱臼位のまま保存的加療に留まった。後遺症としては、変形に留まらず、9ヶ月のリハビリも肩関節の可動痛が改善していない。
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【問題点】

相談会に参加された時はTシャツを着ていてもわかる程、鎖骨の上部転位がみられていた。後遺障害診断書も記載済み。また、外国籍で軍属であるゆえ、認定は割りと容易と思い、本人申請で問題ないと油断をしたのがいけなかった。自賠責の判断は変形の12級5号のみ、機能障害(可動域制限)はスルーされた。数値がリハビリ時も含め曖昧な数値の上下が禍となったよう。

 「We have to try one more time.」

機能障害での追加認定を目指し、異議申立てとなった。

【立証ポイント】

過去の記録も確認し、なぜ数値が一定しなかったのか、理由を説明する必要がある。まず、ドクターに面談し、可動域数値の再計測をオーダーした。奥様の通訳があるにせよ、上手く症状が伝わらなかったことも誤計測の原因であった。したがって、計測前に病院の廊下にて、拙い英語で計測のシミュレーションを行った。屈曲、外転をマスターしたところで計測へGO! 秋葉立会いの下、再計測を行った。

ロングタイムの審査となったが、機能障害で12級6級がジョイントし、併合11級をゲット。

 「Yes! We acquired !」