だいたい、以前の事故で14級9号を取っていると、2度目は「味をしめたな」とでも思われるのか、認定は厳しい傾向です。頚椎捻挫(むち打ち)で一度14級をとると、同一部位のケガでは多くのケースで加重障害(すでに14級の障害者なのだから、重なっても14級、つまり保険金は0円)とされます。

 それでも、前回は頚椎で認定、今回は腰椎を痛めた場合はどうでしょう。同じ脊椎である頚椎と腰椎の疼痛は慢性化しやすく、事故に限らず何かの衝撃ですぐ再発するものです。頚椎の状態が悪い人は、およそ腰椎も年齢変性が進んでおり、痛めやすい状態の方が多いと思います。「頚で取ったから、次は腰だっ!」という被害者に対する警戒があって当然です。

 だからこそ、より丁寧に調査・立証しなければなりません。本件は別部位の可能性を追及した結果と思います。ただし、このような認定例が、事務所の等級認定の予想をより難しくしていることも事実です。


理論上、まったく別の部位であれば、再度の認定に問題ありません。
それより、何度も事故ることが問題でしょうか・・
 

14級9号:腰椎捻挫(50代男性・埼玉県)

【事案】

50CCバイクに搭乗中、信号のない丁字交差点から突然出て来た車の衝突を受ける。直後から腰部痛のみならず、足のしびれ、感覚低下等、強烈な神経症状に悩まさ
れる。

【問題点】

偶然にも、ちょうど3年前の全く同じ日に事故に遭っており、弊所にて受任し、頚椎捻挫で14級9号認定を勝ち取っていた。同じケガ・障害が重なると加重障害の判定もあり、前回のケガ・後遺症が治っていたとしても、2度目の14級認定は相当に厳しい。

【立証ポイント】

事故前には症状が消失していたが、再び頚腰部痛、痺れに悩まされていたため、とくに腰痛捻挫にフォーカスした申請とした。

やはり、頚部は既に14級認定を受けているためという理由で非該当であったが、腰部についてはその影響を全く受けず、30日で14級認定となった。

頚部も腰部も同じ脊椎の一環と考えるのか、部位が違っても頚椎捻挫・腰椎捻挫は同一視される傾向。その弊所の考えを覆す3度目の認定となった。担当者の個別判断によるのかもしれないが、14級認定についてはますます謎が深まる案件となった。