テレビ報道番組の特集で見ましたが、救急搬送された患者さんを原則すべて受け入れる病院が紹介されていました。これは大変なことだと、医療関係者が口を揃えます。救急患者を断ることは、実は普通の事なのです。
 
 救急患者のすべてが受入れらえるわけではありません。それは、患者の傷病によっては処置が不可能であるケース、人員や設備が足りないケース、様々な理由があります。多くは致し方ない理由から、患者がたたらい回し、救急車があっちこっちに電話して、ようやく隣県の病院へ到着など珍しい事ではありません。

 一方、アメリカはさらに極端で、運ばれてきた患者のポケットをまさぐり、カード等のIDを確認します。つまり、支払いの能力を確認してから院内へ運びます。資力ない患者は「他所へ行って」となります。さすが自由の国、救命は只ではないのです。日本はそのような理由での受け入れ拒否は倫理的に問題とされてます。

 実際、救急受入れ病院では、小規模な院であっても、24時間の受け入れ体制の維持に、人員、設備、薬品など、一晩で100万円のコストがかかると聞きました。お金のない患者さんを処置したとして、治療費を請求した途端、入院中に松葉杖のまま逃げ出した・・なんてことが起きるそうです。病院が倫理的でいられる為に、健康保険や労災、自賠責保険、あるいは生活保護による治療券(生活保護者が無料で治療が受けらる)などが必要です。日本はそれら制度が充実している国であると思います。日本以外ですと、北欧や西ヨーロッパの国々は機能していますが、世界の常識では治療が受けられない”野垂れ死”が普通なのです。
 
 番組を観て、救急受入れ病院の有難さが伝わってきました。しかも、損失覚悟でのすべてを受入れる体制は、病院経営を越えた理念・心意気を感じます。できれば、そのような病院を助ける仕事もしたいと思いました。弊所の仕事は、患者=交通事故被害者を経済的に助けることになりますが、実は下支えしているのは治療者である病院です。病院に過度な負担がかかってはいけないと思っています。