前回の①②を通して、秋葉事務所の結論を述べます。

 それが、9年前の事務所開設から一貫して主張・実践してきた、「連携」です。

 受傷から解決まで、交通事故業務全てを完璧に対応できる事務所はないと思っています。そして、賠償交渉の場面のない交通事故解決もほとんど存在しませんので、絶対に弁護士は必要です。したがって、交通事故の諸事務を、被害者側の調査機関(あるいは行政書士)と弁護士が連携して業務にあたれば、被害者救済業務は完成します。
 

4、受傷から解決まで、連携業務一覧表(完成)

 上図のように、担う業務を法律に照らして分担・整理すれば、弁護士との業際問題は起きません。なにより、被害者の皆さんは安心してストレスなく治療に専念できます。諸事務を行政書士(もはや行政書士でなくても良いのですが)が二人三脚で進め、交渉ごとは弁護士が対応、解決まで隙の無い両輪体制になるからです。


 加害者側の保険会社には、対人・対物それぞれに交渉担当者がおり、その組織下に、実際に病院に足を運ぶ医療調査員、修理工場に行って事故車を調査するアジャスターが存在します。おまけに、顧問医と顧問・協力弁護士まで確保しています。つまり、連携を超越した組織・システムが完備しているのです。対して、被害者側の層の薄さといったら・・・。

 大手法人弁護士事務所であれば、事務所単独でそれを実現できると期待し、かつて、某事務所にて、調査員の養成・指導に協力しました。しかし、医療調査は専門的に過ぎ、保険会社に並ぶものにはなりませんでした。大型事務所とて、交通事故ばかりをやっているわけではありません。常に経営効率を求めれば、多くの業務がある中、一分野に過ぎない交通事故の医療調査など、重要性は下がってしまうのかと思います。

 実は、完璧な組織を擁する保険会社ですら自前の調査員ではなく、外注として調査会社を使う事の方が多いのです。大手のメガ損保ならまだしも、中小、通販社はほぼ外注です。その調査会社の調査員は正社員ではなく、委託雇用契約・歩合制が多く、長く勤める人は稀です。それだけ、自前での養成が難しく、地味で人気のない職業なのかもしれません。そして、被害者・加害者間に立つ第3者機関として、公平中立な調査を期待しますが、調査費用は加害者側保険会社が払っていますので・・・ちょっと考えてしまいます。

 だ・か・ら、圧倒的に不利な被害者側にこそ、その医療調査を担う専門事務所が必要だと訴えているのです。実際にこの9年間、弁護士事務所や損保代理店へアプローチし続けています。
   
 今日も秋葉事務所から数人が病院同行に出払っています。連日、各地の弁護士事務所から電話が鳴りっぱなしです。それでも、まだまだ確立した業務とは言いがたいと思っています。被害者側の医療調査・・・これが、弁護士から定番的に利用され、損保関係者や被害者さん達の口コミで広まり、「事故に遭ったらまずアキバにtel」・・これが普遍的な世の中になることが理想です。

 9年間1500件を超える相談と、600件に及ぶ受任から飛躍的に経験則が伸びました。本記事も9年前より洗練された文章となりましたが、主張はまったく変わっていません。我ながら頑固なものです。