昨日は終日甲府相談会、15組の相談者がいらっしゃいました。3つほど所感を。

1、既往症について質問

 交通事故で障害を負った被害者さん、その中に持病、既往症をお持ちの方もおります。先天性の疾患はもちろん、高血圧や糖尿病、アレルギー等々、まったく健康な人の方が少ないくらいです。事故の障害とまったく関連性のない傷病であれば、問題はありませんが、影響があると考えられる傷病があります。これは「既往症」として後遺障害診断書に記載する欄があります。私の場合、相談の段階から既往症について詳しく聞き込むようにしています。いずれは医師の診断のもと記載される項目ですが、後遺障害の予断には避けて通れない情報なのです。

 昨日も何人かの方に質問しました。事故による障害の予断にはまず、既往症との関連性を追究しなければなりません。この質問にうろたえている、はっきり答えられない、このような被害者は今後の審査が思いやられます。調査事務所の医療照会で判明する前にしっかりと把握しておくべきなのです。

2、解決の本丸は?

 多くの相談者に共通するのは、加害者への処罰感情、相手保険会社の対応への不満です。大喧嘩に発展し弁護士対応にされてしまう方は論外ですが、感情にとらわれ解決に向けて一番大事な事を見失っている方が多いのです。

 「加害者は全く誠意がない、懲らしめることはできないのか?」
 「相手保険会社の担当者が許せない!」

 多くの相談者が詰めかけていますので、これらの愚痴を聞いている時間はありません。私はバッサリと言います。「いつまでもそんなことにとらわれていないで大人の解決をしましょう。結局のところ、しかるべきお金を取るしかないでしょう」ときっぱり戒めます。そして解決の本丸である後遺障害の立証に向け具体的な作業を明示します。多くの場合、後遺障害の慰謝料と逸失利益が一番高額で最大の論点です。それ以外の費用など、例えば通院中の慰謝料や休業損害は、しょせん二の丸、三の丸なのです。恨み辛みでは戦になりません。被害者は何を優先すべきか理解する必要があります。

 「相手を恨むより、今ここでしっかり検査しないと500万円失いますよ!」・・・冷静になった被害者は自分が何をすべきなのか気付きます。ここから被害者と二人三脚の戦いが始まるのです。

3、重篤な被害者は学習している

 席に着くなり、いくつか質問をしてきます。こちらの回答を聞く目に、当方の力量を量っている様子が浮かびます。きっといくつかの相談会へ行き、がっかりした経験をお持ちと思います。または既に法律家に契約をしている方もいるでしょう。

 当然ながら本人も日夜ネットや専門書で学習をしています。自らの、もしくは家族の障害が重ければ重いほどそれは顕著です。したがってにわか専門家などすぐに見抜かれます。私はこのような相談者が大好きです。今後一緒に戦っていくパートナーとして、被害者自身もしっかり学習を積むことが大事と思っているからです。

 その一方、まったく学習しない被害者さんは心配です。専門家におんぶにだっこでも良いのですが、少なくとも信頼できる専門家を見極めてほしいと思います。派手な宣伝、専門的な解説が満載のホームページだけで判断するのは危険です。実際の弁護士は昨年まで過払い金返還請求ばっかりしていたクレサラ先生、また行政書士でも後遺障害をよく知らず、書面による賠償交渉で報酬を狙う赤本書士など・・・このような僭称専門家が溢れかえっているのです。

 昨日のみならず最近の相談会での所感でした。