③ 足関節脱臼(骨折)について

 脛骨、腓骨と距骨との間の関節が事故により脱臼してしまうことがあります。

 脱臼の際に、骨折してしまうこともあります。また、骨折だけではなく、周囲の靱帯損傷をしてしまうこともあります。単なる脱臼であれば、徒手整復で外れた関節をはめることで治療できます。仮に徒手整復を実施しても関節が不安定な場合は、手術が必要となる場合もあります。しかし、他方で骨折もしている場合、わずかでも骨片が関節内に残存してしまうことがあります。わずかに骨片が残存しているようであれば、そのまま放置して経過観察することがありますが、上記徒手整復をした際に、関節内に骨片が残存してしまった事例がありました。

 その事例の相談者は靱帯、神経、骨の癒合はどれも問題ないにもかかわらず、関節が曲がらないままでした。どの医師もお手上げでしたが、最後に足の専門医に診て頂き、骨・関節内の異物除去術、腱剥離術を実施しました。症状固定時に脱臼した関節の可動域が制限されていても、単なる脱臼であった場合、自賠責調査事務所や保険会社はそれだけで関節が曲がらなくなるとは通常考えません。脱臼した上に骨折や靱帯断裂等があって、関節を曲げる運動に支障が出ていることが証明されてはじめて関節可動域での等級の土台に乗ります。

 例:骨折後の癒合不良、癒合しても変形癒合して関節を曲げる際に骨同士で引っかかること、靱帯損傷で足の運動に支障が出てしまうこと、神経断裂により、自分で体を動かせない事等。

 なお、脱臼後、痛みが事故当初から発症し、症状固定時まで症状が継続していれば14級9号が、さらに脱臼骨折等で骨片や変形癒合等が残存している場合であれば12級13号が認定される可能性があります。