秋葉事務所の研修は、今まで弁護士、行政書士、社労士、保険代理店および保険関係者など、対象は様々でした。やはり、テーマは後遺障害が断トツの人気で、ニッチな分野ながら学ぶ機会が少ないテーマだからと思います。
症例の解説では、できるだけ実際に担当・受任したおケガからの説明を心がけてきました。実例をお見せした方が一目瞭然、ご理解が早いのですが、当然ですがご依頼者の写真をお見せするわけにはいきません。そこで重宝しているのが、架空の人物です。アニメやドラマではスカーフェイス(顔にキズ)のキャラがてんこ盛りなのです。
顔面線状痕で5cm以上は9級16号の対象です。その実例として、近日、シリーズの映画公開が控える「ゴールデンカムイ」が便利でした。この物語は明治時代、傷はそのままか適当に縫うだけが普通で、形成外科および形成術の無い時代ですから顔面醜状痕の認定者ばかりです。その他、さながら障害者の品評会で、高次脳機能障害の鶴見中尉(認定等級については後述します)、両眼失明のトニアンジ、上肢・下肢切断の二階堂 浩平など、自賠責や労災の認定対象だけではなく、性同一性障害、性癖の倒錯者、あるいは犯罪者の傾向としての行為障害者が大勢登場します。
以前の醜状痕の研修では、主人公「不死身の杉元」を使いました(以下、映画公開を機にアーカイブ・・)
<第2問> 「ゴールデンカムイ」から

こちらも大人気、アイヌブームの火付け役『ゴールデンカムイ』、もはや令和のスカーフェイス代表、ご存じ「不死身の杉元」登場!
キズ=線状痕は長さで判断します。杉本の場合は、横1本縦2本ざっくりいってます(図の赤線)。彼の場合は日露戦争(有名な二百三高地)での負傷です。 実際、明治政府は日露戦争後の傷痍兵(しょうい軍人)へ、初めて国家の制度として補償を行った記録が残っています。
さて、杉元 佐一の線状痕は何級でしょうか?
ヒント:通常、複数の線状痕が近接している場合、長さを合計して判定します。
これも、基準表を見ないとわからないでしょう。
(答え)
不死身の杉元の切り傷 ⇒ 9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
線状痕は3cm以上で12級14号、5cm以上で9級16号と決定します。元々、線状痕は男女によって等級差があり、また5cm以上は7級判定でしたが、平成23年の改正で男女別は廃止、線状痕も9級が限度となりました。ただし、傷が太く複数ある場合は、面積を合計して瘢痕7級が検討されます。 杉本は顔の傷3本が目立ちますが、顔のみならず全身傷だらけで、上肢と下肢でもそれぞれ12級相当が取れそうです。
ちなみに、ゴールデンカムイは傷痍軍人、身体障害者がたくさん登場します。杉元に敵対する、陸軍第7師団の鶴見中尉は前額部の頭蓋骨(前頭骨の下半分位)が吹っ飛び、ホーロー製の人工骨をおでこにはめています。たまに、脳髄液が漏れてきます。これで生きているのが不思議ですが、頭部・顔面部の変形から醜状痕として「7級相当?」が確実に認定されます。
一方、問題は劇中に現れている易怒性や情動障害です。CTもMRIもない時代ですが、これは前頭葉の損傷からくる高次脳機能障害と思います。等級は7級4号でしょうか。軍務にあまり支障がない?ようなので、7級が限度かと思います。したがって、鶴見中尉は、併合5級の認定になるはずです。
⇒ <第3問>黒い天才外科医








