交通事故で受傷し、介護認定を受けるケースがあります。 改定が多い介護認定制度ですが、数回にわたり勉強していきましょう。まずは用語と関連法令を確認します。

1 介護保険制度における被保険者の定義・・・法第9条

① 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第一号被保険者)   ② 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第二号被保険者)

2 「要介護状態」の定義・・・法第7条第1項

身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。 ※ 厚生労働省令で定める期間:原則6ヵ月

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 今月も何件か被害者請求の後遺障害等級申請がありました。被害者にとっては一日も早く保険がおりて、早急に事故を解決したいものです。依頼を受けた以上、私もできるだけ早い申請を心がけています。しかしスピードには反しますが、すべての診断書や書類が揃った段階で今一度、書類を精査します。もう一度、当初からの計画を振り返り、認定等級の可能性を見つめます。これは初回申請が命!と思っているからです。

 交通事故外傷によって受けた被害に対し、すべての症状とその根拠となる客観的資料が揃っているか?治療経過に問題はないか?被害者の責に帰する不適当な医証はないか?・・・あたかも私自身が調査事務所の担当者になった気分で臨みます。    とにかく初回申請が不調で異議申立て、これだけはご免です。     異議申立ての実態

 巷では「異議申立を引き受けます」、「まず申請してダメなら異議申立をしましょう」、「異議申立てに実績のある行政書士です」、「弁護士による異議申立て(効果があります)です」・・・等々、異議申立てのオンパレード。このようなことをホームページや看板に掲げる専門家に違和感を禁じ得ません。

 なぜなら異議申立ては単なる許認可の却下に対する再申請とは訳が違います。自賠責は公の保険の掛金を預かる機関であり、保険金の支払いを抑制することも大事な仕事です。この抑制とはもちろん正当な審査を経た結果を指しますが、経験上保険金請求者に対し、非常に厳しい目で審査しています。そして一度厳密な審査をした以上、容易には覆せない決定です。  このように認定された等級には、正式機関での審査を経た重みがあるのです。

 異議申立てとは「その審査結果が間違っています!」と主張する事です。許認可の申請が不備となり、認容される為に足りなかった追加資料を提出する再申請とは難易度が違うのです。  それは異議申立ての成就率がここ3年、7%前後となっていることからもわかります。

 したがって、初回勝負が大事なのです。私はさらにこう考えています。一部医証が欠落もしくは不確実であっても、書面上で伝わる被害者の人間性がもっとも信頼されるのは初回であると。  それは杓子定規な書面審査ながら、調査事務所は資料の信頼性について独自の判断をしているように思えてならないのです。つまり申請者すべてが気の毒な被害者ではなく、保険金のためにウソを言う詐病者、大げさな主張する被害者など不正者がたくさん存在する・・・審査側はこのような予断を持っているはずです。加えて、気の毒にも後遺障害を被った被害者には、それなりに正しい医証が残るはずで、初回申請での提出資料がもっとも信憑性がある・・・そのように考えられているはずです。  やはり時間が経ってからの追加検査、新しい医師の診断書は証拠価値が落ちるのです。    異議申立ては最大の愚策と断言します。    現在、事前認定(相手保険会社に申請手続きを任せる)や被害者請求を考えている方は、今一度立ち止まって熟考することをお勧めします。  

異議申立て成功率?    異議申立ての成功率を誇る広告を目にします。その法律職の皆さんの努力経験に基づくに実績には敬服します。たくさんの被害者を救ってきたことでしょう。ただし、この数字だけを単純に鵜呑みにしないようにして下さい。自賠責公表の異議申立の等級変更率が7%ほどなのに、その法律家に頼むと80%に跳ね上がる?・・そんな魔法のような技が存在すると思いますか?そして自賠責の初回認定はそんなにいい加減なのものでしょうか?・・そんなわけありません。

 これはすべての異議申立て相談者の80%ではなく、「これは絶対通るだろう」被害者だけを受任し、実際に申請した数字からです。確率が低い件は受任・申請しませんのでこの数字から除外されます。さらに数字はあくまで自己申告です。他者の監査がない以上、いくらでも脚色できます。この仕事に関わっている専門家なら「80%などあり得ない」と一笑に付します。

 これは商売上、目を引くための数字です。冷静に読み取って下さい。ちなみに受任・申請したものだけからの成功率で言うと私は50%です。もちろんこの数字から「異議申立て断念」とした相談者は含まれていません。50%程度でも十分良い成果と思っています。そして、できれば被害者に「異議申立てをさせない事」を仕事の主義としたいのです。   

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実話 「隠れ特約」に翻弄されて 最終回

 あ○おい担当者:「割合に応じて49%払えます。したがって利害関係を持つ弊社も訴訟参加します」  何を今更!それなら最初に言ってくれよ あ○おいさん! このまま裁判沙汰にでもならなければ黙っていたつもり?事故から5年も経って「実は半分くらいは払えます、だから裁判にも口を出しますよ」ですって。呆れます。

 ちなみに裁判の結果に利害関係をもつ者が顔を出してくることを訴訟参加といいます。この者を補助参加人と呼びます。これで本裁判の顔が出揃いました。   原告: Bさん  原告代理人: D弁護士  被告: A君   被告代理人: C弁護士 補助参加人: あ〇おい損保    参加人代理人: E弁護士 補助参加人: ア〇サダイレクト損保  参加人代理人: F弁護士  とまぁ、豪華絢爛、この裁判の出演者はこのように整理できます。普通、原告、被告、補助参加人の2社は裁判所に出廷しません。したがって実質はD弁護士 対 C、E、F弁護士 です。(弁護士は大繁盛ですね)    あ○おいさんは裁判で「Bさんの請求額に対して意見がある」とし、今まで5年間特約の存在を黙っていながら堂々と医療調査を要求して、収束しかけた裁判を長引かせています。2度も自賠責保険調査事務所による医療審査を経ているのに、この場に及んでケチをつけてくる。今まで黙って様子見しておいて、いざ払う羽目になってから、反論してくる?これは厚顔無恥です。  そもそもA君が訴えられているわけで、A君の弁護士に任せればいいのに?と思います。おそらく加害者側は心情的に被害者にできるだけ保険金を払ってあげたいのです。その気持ちを代理人であるC弁護士が汲み、反論が鈍る危険性を感じ…あ〇おいさんは黙っていられないのでしょう。    もう被害者も加害者も関係なし、とにかくあ〇おいもア○サも「少しでも支払いを減らしたい!」のです。    これはもはや交通事故、加害者と被害者 の争いではありません。   「障害補償を少しでも多く求める被害者」と「少しでも払いたくない保険会社」の争いです。       続きを読む »

実話 隠れ特約に翻弄されて 第3話

  いよいよ裁判が始まりました。まずは損害実費、既払額の確認からです。なにせ事故から時間がたっています。被害者Bさんにまったく責任のない事故なので、争点は「こちらの請求額が多すぎる!」の一点です。相手のみならず、自分の保険会社まで減額の大合唱、時間のかかる裁判となりそうです。

 そして相手弁護士から謎の一言

「賠償額が裁判で決まれば、賠償額の49%をあ○おい保険会社から払います」。

  は?何のこと? 

 

 えっ、年齢条件違反で保険がでないはずじゃなかったのですか???  始まったばかりですが、ここで物語を中断します。  

 私がなんでこの話をGW特集としてシリーズ化しているかと言いますと、「隠れ特約」は一つではないからです。「隠れ特約②~③」を紹介しましょう。

 

隠れ特約②: A『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。

2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償

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 さてBさんは救われたのでしょうか  

実話 隠れ特約に翻弄されて 第2話

   ようやく無保険車傷害特約にて救済の道が開けたBさん、私もア○サさんの担当者と電話で今後の進め方を協議しました。担当者との信頼関係も大事です。まずは相手の支払い能力を見るために「加害者に請求する」ことから始めます。ア○サさんには少し待ってもらうように話しました。それにいくら自分の保険で救済されるかと言っても本来相手が払うのが筋です。したがってこちらも代理人弁護士を付けて本格的な賠償交渉をすることにしました。裁判までやるかどうかは相手の出方次第です。稀に相手の親や親類が訴えられる加害者A君を見かねて支払うケースもあり得ます。

 さて、当方の弁護士も決まり、粛々と進めている間、思わぬ横槍が入りました。

 その横槍とは他でもないア○サさんです。Bさんは弁護士と委任契約を済ませ、ひとまず安心していたのですが、今まで保険請求に対し一向に相手にしてくれなかったア○サさんから内密に話があると…。別の担当者からものすごく丁重に今後の事について相談が持ちかけられました。

  

ア〇サ:「このたびはお見舞い申し上げます。・・・中略・・・Bさんも早く解決したいでしょう。それに相手は支払い能力がないので結局私どもが保険金を支払うことになります。したがって裁判をしても弁護士費用が無駄になるだけです。私どもならすぐに保険金を支払います。」

Bさん:「本当ですか?じゃいくら払ってもらえるのですか?」

ア○サ:「この通りです。」 計算書を用意していた。

Bさん:「でも弁護士先生にもう頼んでしまいました」

ア○サ:「裁判をやめてすぐお金を受け取るかどうかはBさん次第ですよ」

Bさん:「・・・・」 結構な額に心が揺れています。  

 さて、私や弁護士を差し置いて、ア○サさんがとったこの一連の動き、これを理解できますか?これが説明できれば保険通です。

 これは裁判で決まる賠償額と保険会社が独自基準で計算する額があまりにも違うからです。判決によって金額が上下するとしても、裁判で獲得する金額は保険会社基準の2~3倍になります。つまり判決ででた金額を(当然A君は払えないので)そのままア○サの無保険車傷害特約に請求されたらたまらない!とア○サは考えたのでしょう。それで裁判を止めさせ、Bさんを目先の金で釣りこもうと画策したのです。だから担当者も私に内緒で進めたのだと思います。 続きを読む »

 ゲームの世界では「隠れアイテム」「隠れキャラ」などの言葉があります。これはゲームの製作者が意図的にその存在をマニュアル等に載せず、ゲームをやりこんだマニアにそれを発見させる楽しみを与えるものです。

 これがあるのです。自動車保険にも。

 いざというとき、つまり交通事故では自動車保険がもっとも頼りになる救済システムです。それは掛金を払っている契約者(加害者)はもちろん、相手(被害者)に対しても同様です。  しかしこれから紹介する特約を知っている人はどれだけいるでしょう?私の聞き込みでは大手損保会社の数億円収保の大型プロ代理店、保険支払部門勤務30年のベテラン社員でさえこの特約の請求に遭遇したことがないそうです。この方達が勉強不足であるとは思えません。それほど珍しいケースなのでしょうか・・・。

隠れ特約① 無保険車傷害特約

 無保険車傷害保険とは(超簡単に説明します)・・・

 事故相手が自動車保険に入っていない、効かない、または保険は入っていても支払額が足りないとき、自分が契約している自動車保険から肩代わりして支払ってくれます。乗っていた車の保険が適用される方や搭乗中の方が死亡、後遺障害を負った場合に保険金をお支払いします。記名被保険者とそのご家族(別居の未婚の子を含む)についてはご契約のお車に搭乗中以外(自転車、歩行中など)の事故も補償します。加害者が負担すべき損害賠償額のうち、自賠責保険の保険金を超える部分に対して、被保険者1名につき2億円を限度に保険金をお支払いします。ただし、加害自動車に対人賠償保険が(足りない額だけど)ついている場合や他の無保険車傷害保険(特約)の適用がある場合は調整して支払います。 続きを読む »

 交通事故で愛車に損害を負い、自分のケガ以上に心を痛める相談者さんがいます。キズ一つつけず大事に乗ってらしたと思います。相手保険会社の対応は原則、現状回復です。つまり修理費をお支払いして終わりです。これは直接損害と呼び、保険会社のアジャスター(調査員)が車と修理箇所を確認にするため修理先に伺い、その修理先からの請求書が水増しや本事故以外の修理が加算されていないか、不正請求のチェックします。不正さえなければこのチェック段階でほとんど話はまとまります。

 最近の相談で困ったのは、「車の慰謝料がとれないか?」です。つまりせっかく無キズで乗っていた愛車を修理する羽目になり、心が痛んだ・・ということです。人により色々な考え方がありますので、まずは尊重してお話を聞きます。しかし「気持ちはわかりますが、車の修理での慰謝料を認めた判例は存在しません」と回答します。現実的に生じた費用として、格落ち損害や代車費用、その他生じる雑費について明確な明細書があれば請求できます。これらは間接損害と呼びますが、これすら保険会社は簡単に支払いに応じないのです。代車費用のみは代車の使用事実があれば支払いますが、これも過失が5%でもあれば認めないとはねつけます。

     

 話を戻しましょう。愛車の損害でショックを受けている相談者さんはいくら建設的な解決案を提示しても、感情論に固執してしまい前に進みません。困ったものです。  また格落ち損害も新車からせいぜい3年経過の高級車なら交渉して請求する意味もありますが、登録7年超の小型車や軽で格落ちを請求したい相談者もいます。理論的には修理費40万位で全損となるとして、その30%の12万の格落ち代の請求?しかし判例でも古い小型車の格落ち損害はあまり例がありません。なぜなら裁判で争うような金額ではなく、大がかりな争いになる前に解決しているからです。経験上このケースはかなり頑張った交渉で半分の6万を修理費に加算してお茶を濁します。

 そんなわけで私は物損事故のみ、とりわけ小損害の相談案件は受任はしない方針です。この数万の請求の為に相談費用をお預かりするのは恥ずかしいからです。また肝心の賠償交渉自体、行政書士はできません。近年弁護士費用特約の加入者は、自腹が痛まないのでこの特約を使って僅かの請求でも弁護士、行政書士に頼もうとします。

 弁護士費用があるから・・・このような考え方で安易に代理人を使う。あまり上品な行いには思えません。

 また暮れに偽装事故と思われる被害者が保険会社に修理費の賠償請求を起こしましたが、この不正者(の疑い濃厚)は弁護士費用を使って弁護士をたててきました。受任した弁護士先生の名前は挙げられませんが、法律より社会性を(人を見る)勉強してほしいものです。

※ 弁護士費用特約 参照→弁護士費用特約 

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 つまり「自身が何等級であるか」分析する冷静さがないとダメなんです。そして認定理由を理解し、第3者が納得できる文章を書く国語力が必要です。  実践的な話に移ります。  

■ 異議申立の進め方

① 認定理由をよく読む  残存する症状についてなぜ認められないか、症状別に細かく書いてあるはずです。そこをしっかり読み取って下さい。

 例えば、「頚部が痛い、重い」 「腕がしびれる」 「関節が曲がらない」 「めまい、吐き気がする」 ・・・これらは自覚症状です。世の中の人間がすべて天使のように清純であればいいのですが、残念ながら嘘の症状、大げさな症状を訴える被害者も少なくないのです。審査する側はまず疑ってかかっていることを肝に銘じて下さい。つまり「どの主張が信じてもらえなかったのか?」を抽出します。

② 自覚症状と他覚症状を結び付ける

調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 1 「同部に骨折、脱臼等の損傷が認められず ~ 自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」      否定の理由はようするに他覚的見地が乏しいのです。これはずばり医師の診断、検査・画像所見の不足を指します。

 ・ 不足している検査はないか    神経麻痺なら筋電図や神経伝達速度検査が行われていたか。

 ・ 症状を裏付ける画像は      骨折の場合レントゲンでOKですが、筋損傷はMRIじゃないと写りません。

 ・ 可動域制限が正しい計測か   間違った計測は測り直す必要がありますが、そもそも器質的損傷が伴わないのに「曲がりません」と言っても信じてもらえません。

③ その症状はいつから?

調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 2 「これらの症状の出現時期は少なくとも受傷から約○日経過した平成○年○月○日以降と捉えます ~ したがって本件事故との相当因果関係を有する障害と捉えることは困難なことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」    これが一番やっかいです。受傷当時に医師が見逃した為に症状の発見が遅れたケースです。最近頻発しています。  症状の出現時期までの経過日数が長ければ長いほど絶望度は高まります。この場合、受傷当時からのカルテを回収し、せめて自身が痛みや症状を訴えていた時期を特定し、切々と確定診断が遅れた状況・理由を説明していくしかありません。  この項目がもっとも調査事務所からの信用度合が試されると思います。

④ 漏れている症状はないか

 複数のケガの場合、大きなケガの認定にスポットがあたり、見逃されている症状があります

 ・ 神経麻痺の場合   足首の可動制限だけか?足指の可動制限が見逃されているケースがあります。

 ・ 前腕骨の骨折で癒合良好    しかし痺れ、手首の可動制限が残っている場合、橈骨神経麻痺を精査します。

 ・ 高次脳機能障害が認定      体の麻痺等の症状をすべて高次脳の等級に含めますが、嗅覚脱出やめまいなどを別系統として併合する余地あります。  

 自信がなければ専門家に依頼するのも良いと思います。特に異議申立てに熱心な事務所も存在します。異議申立ての成功率も7割を超える優れた先生もいるそうです。

 最後に、 原則 異議申立ては受任しません。 続きを読む »

 原則 異議申立ては受任しません。

 しかしどうしてもやらざるを得ない気の毒な被害者さんも存在します。極めて限定的ですがお引き受けすることもあります。私たち協力行政書士や連携弁護士は仕事の基本を、「受傷から解決までを間違いなく案内する船頭たるべし」としているからです。    ご自身で動き、つまづきがあった結果、かなり厳しい状態からのスタートになります。幸い異議申立てに積極的な事務所も多いので、そちらへご紹介していこうと考えています。

 さて、それでも今年数件の異議申立て、再異議申立て、自賠責紛争機構への異議申立てといくつか手がけました。作業として最初に「なぜこの等級が認められなかったのか?」を分析します。そこで失敗続きの原因が浮き彫りになります。そして決まりきった失敗パターンの存在に気づきます。  

■ 異議申立てが不調となる理由

・ 非該当もしくは認定された等級の理由書をよく読んでいない。

 自賠責保険調査事務所は必ず「理由」を明示しています。自賠法16条の4および5 (最下段参照)で決められているからです。ですからその理由に対しての反論が必要です。それなのに「なぜ私のケガが○級なのか!非該当はおかしいのではないでしょうか!まったく理解できません!審査に納得がいきません、どうしてなんでしょうか?」・・・単に怒っている、愚痴をいっていっている、文句を言っている、再質問をしている類の文章が多いです。理由を理解しない被害者です。これでは会話になりません。

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 昨日の相談者を通じて実感しました。ご自身加入の自動車保険はもちろんですが、他にご契約の傷害保険、生命保険、共済も精査することです。

 その被害者さんの場合、職場でなんとなく団体加入していたSJ社の傷害保険を精査した結果、通院90日で99万円(日数協定 ※ がありそう)、後遺障害14級認定の場合、78万円にもなります。事故相手の保険会社に対して、苦労して賠償金を獲得することがメインの仕事ですが、ご自身の保険会社には診断書を郵送するだけで177万もらえるのです。

 この辺のアドバイスは保険業20年の私にとって「餅は餅屋」なのです。

 やはり事故解決には相手の保険会社はもちろん、自身契約の保険会社も密接な存在です。

 まず「使える保険を洗いだす」ことが基本ですよ!

  ※ 日数協定

 保険のパンフレットに 通院一日あたり 3000円 なんて記載があっても、約款の表現は少し異なります。一日あたり3000円は目安であって、症状の度合い・既往症の有無・ケガの部位・年齢 等で調整しますと書いてあります。つまり保険会社独自の判断が加味されるのです。したがって実務上では90日全日通院しても7割の63日分の保険金しか支払われない事があります。

 パンフレットにも小さく

 「ただし平常の業務または生活に支障がいない程度に回復したとき以降の通院はお支払いの対象になりません」 とあります。 また「頚部症(むち打ち)、腰痛などで医学的他覚的所見のないもの」も日数協定の対象です。

 なんか話と違うぞ、と思いますが、以下の実例を踏まえるとやや納得です。  

<実例>  例えば30才でバリバリ働いている営業マンのAさん、交通事故で足を骨折しても会社を休むわけにはいきません。足をギブス固定、松葉杖をつきながら仕事は休まず、合間に通院です。したがって通院合計30日続きを読む »

 昨日の「別居の未婚の子」で言い足りなかった事を続けます。  

<相談実例>

 横断歩道を歩行中、自動車に跳ねられ、大ケガをしました。治療は2年にも及び、ようやく症状固定、後遺障害の申請に入ることになりました。そして認定された後遺障害等級に納得がいかず、異議申立を計画しています。さすがに専門家に頼るべきと思い、お金(報酬)がかかってしまいますが行政書士に依頼しました。かれこれ事故日から3年以上が経過しています・・・  

★ 秋葉の対応 1

 この方は30代、東京で一人暮らしで、自動車を持っていません。当然自動車保険の弁護士費用特約はありません。

 しかし婚姻歴がないこと実家で両親が自動車に乗っていることに注目・・・つまり「別居の未婚の子」が成立します。その場で実家に電話してもらい、ご両親がご加入の自動車保険を調べていただきました。

 しかし3年以上も前の事故ですので、その事故日に対応する3年前の保険契約です。証券はとっくに処分しています。ご両親も「弁護士なんとか特約?に加入してたかなぁ??」と。

 仕方ないので、その保険会社に電話して、当時の契約内容を調べてもらいます。

※ ここで問題になるのは、保険請求の「報告義務違反」と「時効」です。

a「報告義務」・・・事故が起きたら60日以内(各社による)に事故報告をして下さい。            (この義務に違反したら保険が払われないこともあります)

b「時効」・・・保険金請求権は3年行使しないと無効となります。

 しかしこの点において、保険会社の対応は弾力的で、犯罪性や悪意がなければ問題なく、保険金支払対応してくれます。またこの場合の「時効」の起算日は自賠の後遺障害等級の認定日(1年前位です)となりますので、まず大丈夫です。

 かくして、行政書士報酬、弁護士報酬とも支払われることとなり、相談者も安心して専門家に依頼ができます。  

<まとめ>

 当HPをご覧の交通事故被害者の皆さんはもちろん、弁護士先生方へも提言です。          

         「弁護士費用特約の適用、あきらめないで!」

                          

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 おはようございます。毎度のことですが、交通事故相談で「相談者自身の保険契約を精査すること」、これを忘れないようにしています。  

<実例>

 自転車で走行中、交差点で自動車と出合い頭で衝突し、足を骨折しました。そして自分にも事故の責任を指摘され、相手との過失割合が10:90となりました。結果として最終的に賠償額から10%削減されて支払われることになりました。 

 「悔しいです・・なんとか0:100にできませんか」  

★ ポイント1

 しかし、必死になって過失割合の交渉をしなくても、ご自身が契約の自動車保険の人身傷害特約でその削減分を請求し補填することが可能です。これは自動車との事故であれば、契約自動車に乗っていない場合、歩行中や自転車搭乗中でもOKなのです。

 ※ ただし「搭乗中のみ担保特約」となっていれば、契約自動車搭乗中に限定されます。   通販型の保険はこれが多いので注意です。  

★ ポイント2

 この自身契約の自動車保険ですが、自分が契約していなくても、「同居の親族」の誰かが契約していれば、保険が適用されます。

★ ポイント3

 さらに、被保険者(保険が受けられる人)の欄に「同居の親族」だけではなく「別居の未婚の子」が記載されていませんか?この別居の未婚の子とは、通学のために別居に下宿している子などが代表例です。しかし、学生に限らず、独身の40歳OL一人暮らしも範囲に入ります。このOLさんが東京で交通事故でケガをして、なんと!九州の実家の親の自動車保険が使えるケースが有り得るのです。

※ 「別居の未婚の子」に年齢制限はありません。婚姻歴無のみが条件です。  一度結婚し、離婚して独身になってもダメです。ですので18歳で結婚し、19歳で離婚バツ1となった人は、未成年であっても「別居の未婚の子」から外れます。なんか腑に落ちませんが、保険約款が民法の「成年擬制」の条項に準じているためと思われます。

<民法第753条>

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

民法上、未成年でも婚姻すれば成年と同じように行為能力者とみなします。男子の場合18歳、女子の場合16歳になると婚姻をする事ができますが、婚姻によっても成年に達したものとみなされます。これによって親権者の同意を得ずに単独で法律行為が可能になります。この効果は離婚しても消滅しません。つまり、法律上20歳で大人ですが、未成年でも1度結婚したら大人と扱う、ということです。

  ★ ポイント4

 この「別居の未婚の子」の解釈は他の特約や保険でも共通です。

・ 弁護士費用特約   ・ 無保険車傷害特約 ・ 個人賠償責任保険 ・ 家族傷害保険(共済)      <まとめ>   保険適用に気付かずに請求漏れが多いと推測します。請求しなければ保険会社は払ってくれませんので。また、弁護士や行政書士に相談しても、その先生方が保険に精通していなければ見落とします。

事故相談で必ずすること・・・「自身の保険契約を洗い直す!」です。

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 すごい雨と風でしたが、今朝からすっきりとした秋晴れです。各地の被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。

 震災直後の地震保険シリーズが好評でしたので、台風の保険について少し。

  〇火災保険の風水害支払

 地震や津波、噴火は地震保険でカバーされます。台風の被害も自然災害ですが、これは火災保険の総合タイプで補償されます。項目は「風災」と「水害」です。

1、「風災」

 台風、旋風、暴風、暴風雨などで被害を受けた建物等の被害が対象です。

※ 長らく被害が20万円以上の場合の超過額が対象でしたが、損保ジャパン他、いくつかの損保会社は数年前からこの20万円条件を無くして0円からOKとなっています。  雨樋や窓の破損があった方は証券を再確認してください。

2、「水害」は以下のどちからで支払われます。

(ア)保険金額(再調達価額)の30%以上の損害生じた場合、実損額。

(イ)床上浸水もしくは地盤面から45cmを超える浸水の場合、保険金額の5%。

例・・・建物を1000万円評価で契約した場合、(ア)修理費実額、(イ)50万円となります。

※ (ア)の実損額、(イ)の5%の部分は最近明記していない会社が多いです。恐らく災害規模に応じて流動的な運用部分かもしれません。  

〇 自動車保険の車両保険

 一般条件、エコノミー+A特約、共に台風での風災による被害、大雨や洪水の水没について保険金がおります。

※ 水没の場合、修理費と清掃費用が認められます。

            

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 すっかり遅くなってしまった本日の日誌です。疲れから少し愚痴っぽいかもしれません。

 最近立て続けに目にするのが「同意書」をめぐる保険会社担当者のアンフェアな行いです。

 被害者さんからお話をうかがうと、おおむね以下のような流れです。 

1、症状固定時期になって、保険会社から被害者へ病院への同意書(患者の治療内容を聞いていいか、患者に許可を取り付ける書類)が送られて来て、署名・捺印のお願いがなされます。

2、患者は「あれ?最初に同意書だしてたような・・・」と疑問に思いつつも署名・捺印して返送します。

3、その文章の中に「後遺障害について」との一文が潜まれています。または別紙で混入されています。今までの同意書は通院中についてのもので後遺障害はまた別局面となります。これに署名・捺印することは賠償金を請求する以上、必要なことです。  本件で問題なのは保険会社担当者が逸脱した解釈をして、勝手に病院に同意書を示し、医師から後遺症診断書を取り付けてしまったのです。 (レアケースと思いますが、この同意書すら取らずに勝手に後遺障害診断書を取り付けた担当者もいました。これは犯罪です。)

4、そして被害者に知らぬままに、「事前認定」(任意保険会社から自賠責調査事務所への審査)をしてしまいます。保険会社都合の申請となりますので、被害者側の意志が反映されません。必要な追加検査もしません。画像もおざなりに添付です。診断書も医師を急かしてあっさりしたものに仕上げます。結果、証拠足らずでも審査がささっと済まされてしまいます。

5、そして「認定された等級は〇級、もしくは非該当」で賠償金の計算書が届きます。

6、多くの被害者が「こんなもんかなぁ・・」と示談してしまう結果となります。また、このからくりに気付いて猛烈な怒りを担当者にぶつけても・・・

7、保険会社から詫状がきて「新人の担当が誤って進めてしまいました」で済まします。なんら責任はとりません。  

 かくして保険会社の確信犯的不正等級申請が起きても問題がそれほど浮上しません。 まったく油断ならない狡猾な担当者です。そうまでして成績を稼ぎたいか・・・呆れます。  

★ 「立証責任(損害の証拠をだすこと)は被害者にある」はずです。しかし加害者側である保険会社の対人賠償の対応、つまり治療費の病院への直接払いや休業損害の月締め支払いよって多くの被害者が助けられているのも事実です。それは保険会社の隠れた美徳と思います。  どうか被害者救済の精神でとまではいかずとも、社会的責任を担う者としての矜持を持ってもらいたいと思います。 ゛(`ヘ´#) プンプン

☆ 同時に被害者も調印や文章については十分注意しましょう。なるべくなら早めに専門家を味方につけて下さい。

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 おはようございます。  御相談にいらっしゃる皆さんの質問ですが、突拍子もない質問はそうありません。たまに即答できない盲点を突くような内容がありますが、こちらも良い勉強の機会になります。  今日はよくある質疑応答について。皆さんはほぼ同じような疑問をもたれるようです。  

Q1.交差点事故で車同士衝突してしまいました。車の修理費用=物損は20:80は決着しましたが、この後、ケガの示談でも20:80となるのでしょうか? (A) いいえ。物損と人身の示談を別に行うのなら、過失割合が食い違っても問題ありません。

 つまり、「示談」という双務契約は全損害一括で行うことはもちろん、一部の損害について個別に行っても双方の意志が合致すれば別契約として有効です。民法上なんら不自然ではありません。  実際、保険会社を相手とした示談ではよくあることです。もちろん同じ過失割合になることが多いです。ただしケガが軽傷で通院が1か月程度で、治療費や慰謝料が自賠責保険の限度120万円内で十分納まると担当者の判断した場合、物損が20:80でも、人身は0:100対応することが多いようです。  

Q2.

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 昨日は歯の後遺障害も忘れず請求して!でしたが、今日は逆の発想です。

 受傷後、神経麻痺や動揺関節の後遺障害を負った場合、関節の固定に硬性補装具の使用が必要になります。まず代金をだしてもらい、症状固定後、後遺障害として賠償金をもらいます。ここまでは普通の流れです。しかし、ここからは盲点が潜んでいます。それは硬性補装具が消耗品である、ということです。ですので将来にわたって必要なものであれば、当然買い替え代金を請求します。

 したがって耐用年数が5年、代金69800円 なら・・・

 後遺障害の逸失利益年数 or 平均寿命 ÷ 5 = 将来必要な個数   個数 × 代金69800円 - 中間利息 = 一時金としてもらう

このような計算が成り立ちます。もし40歳で逸失利益が27年の人なら・・・

 27 ÷ 5 = 約6個 × 69800 - 中間利息は「無」とする = 418800 円 

 黙っていてはもらいそびれます。「お足」は抜け目なく請求しましょう。                                     

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 搭乗者傷害保険とは読んで字のごとく「車に乗っている時にケガをしたら」支払われる保険です。自動車に運転中、あるいは同乗中の交通事故でケガをした場合はもちろんですが、色々なケースを想定してみましょう。今日はクイズ形式でいきます。面倒がらず考えてみて下さい。  

次の場合、搭乗者傷害保険はおりるでしょうか? 

<Q1> 法事の帰り、お清めをした(ビールを飲んだ)主人に代わり、お酒を飲んでいない奥様が運転していて電信柱に衝突する事故を起こしました。2人とも1週間ほど通院するケガを負いました。この場合2人に保険はおりるでしょうか?

<Q2> 運送業に勤めるAさんは運転中居眠りをしてしまい、追突事故を起こしてしまいました。幸い相手にはケガはありませんでしたが自身は顔面を3針縫うケガを負いました。この場合は?

<Q3> 東北大震災の津波で車が横転、幸い自衛隊のヘリに救助されたが、右腕を骨折するケガを負った。

<Q4> 信号待ちをしていて、後続車に追突されケガをしました。相手は任意保険に入っており、通院10日の治療費、休業補償、慰謝料、車の修理費などすべての損害を支払ってくれました。その場合でも重ねて搭乗者傷害保険はおりるのでしょうか?

<Q5> ゴミ収集車で作業補助をしているBさん、車を降りようとドアを開けて足を降ろした際、先に車から降りていたCさんが誤ってドアを閉めてしまい、足を挟んでしまいました。足首の靭帯を痛めてしまい通院しています。この場合は?

<Q6> 若い時やんちゃだったCさん、久し振りに昔の仲間と会ってはめを外しドライヴ、走行中ドアから上半身を乗り出し、ドアに腰かけてた状態(いわゆる箱乗り)の時に電信柱に肩をぶつけケガをしました。この場合は?

<Q7> GWに伊豆へドライヴに行きました。天気が良いので窓を開けて走行していましたが、山道で蜂が車内に飛んできて腕に止まりました。払いのけようとしたら刺されてしまい、腫れがひどかったので病院によって消毒してもらいました。この場合は?

   ■ 答え

{A1} 夫婦両方とも支払われます。

 飲酒や薬物、無免許運転でのケガはでません。しかし同乗者はお酒を飲んでいても問題ありません。 ちなみにもしご主人が飲酒運転をして同乗の奥様がケガをした場合、これはご主人は当然免責ですが、奥様は飲んでいようといまいと有責(保険でます)です。巻き添えはOKなのです。

{A2} 居眠り運転は支払われます。

 故意(自殺目的で海に飛び込む等)は免責です。しかしこれは「故意」にあたらないからです。

{A3} 地震、噴火、津波は免責です。保険はでません。 

 他に、戦争、内乱、暴動、放射能汚染も免責です。

{A4} 重ねて支払われます。

 相手からもらうお金は賠償金、つまり償い・弁償ですが、自身が契約して掛け金を払っている搭乗者傷害保険は別物です。請求漏れのないようにしましょう。  ちなみに人身傷害特約は相手からの支払が得られないとき、足りないときに支払われます。ここが搭乗者傷害保険との一番の違いです。

{A5} 払われます。 

 交通事故とは思えない事故でも対象です。実際ドアの開け閉めのケガが意外に多いのです。しかし車外からドアを締めようと自分の指を挟んだ場合はダメです。これは乗っていないからです。

{A6} 支払われません。

 これは乗り方が問題です。約款上「正規の乗車構造装置のある場所に搭乗中の者」とあります。ドアはイスではありません。またトラックの荷台に乗っている場合もダメです。

{A7} 支払われます。

 傷害保険支払いの3要件…「急激」かつ「偶然」かつ「外来」の事故です。虫刺されはこの3要件に当てはまってしまうのです。保険の不思議さを感じます。

 ちなみに・・   ・ 長時間運転していて腰痛になった → × これは「急激」にあたりません。  ・ 運転中、盲腸炎になった → × これは体内なので「外来」にあたりません。  ・ 運転中、O157に感染した → × 何故か普通の傷害保険はでます。上の3要件にあてはまるからです。しかし搭乗者傷害はダメです。運転中の感染なのか判別不可能だからです。

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 昨日に引き続き搭乗者傷害保険の後遺障害保険、重度後遺障害保険金、死亡保険金について解説します。  

■ 後遺障害保険金

 「部位・症状別定額払い」と違い急いで請求する必要はないです。基本通り180日経過後、後遺障害診断書を提出して請求します。保険会社所定の診断書を使うケースが多く、認定基準はその保険会社の内部規定に照らします。その基準は約款上明記されていませんが、おそらく自賠責保険の認定基準に準じたものと思います。そして自賠責保険の等級認定ほどシビアな審査ではないと思います。

      等級と金額は以下の表の通りです。(損保ジャパン)

等級 保険金割合 死亡保険金1000万円とした場合の金額 1級 100% 1000万円 2級 89% 890万円 3級 78% 780万円 4級 69% 690万円 5級 59% 590万円 6級 50% 500万円 7級 42% 420万円 8級 34% 340万円 9級 26% 260万円 10級 20% 200万円 11級 15% 150万円 12級 10% 100万円 13級 7% 70万円 14級 4% 40万円

    ■ 重度後遺障害保険金

 上記の表の1級、2級、または3級3号(神経系統の障害)もしくは4号(胸腹部臓器の障害)が生じ、かつ介護を必要と認められた場合、死亡保険金額の60%=1000万円の場合600万円が加算されて支払われます。2000万円契約の場合でも600万円が限度となります。

■ 死亡保険金

 保険証券に書いてある通りの金額です。死亡保険金1000万円=1000万円  

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 私たちグループ行政書士が巷の法律家の行う交通事故相談と一線を画すわけ・・・それは実践的な戦略会議であることです。「・・・この場合は法律的にはこうなります」といった被害者の疑問にお答えするだけで終わらず、さらに解決までの手続き・やるべき事を列挙して、具体的な作業に及ぶことです。 典型的な例をお話します。ある相談者さんは自動車通勤途上の交差点事故で首を痛め、それが原因で会社を辞めざるをえなくなりました。当座のお金にも困っています。そして「無料相談」にひかれ、先に弁護士と行政書士にそれぞれ相談に行きました。しかし労災や健康保険の手続き、自動車保険の請求に話が及ぶと「それは各窓口で聞いて下さい」と言って知識のないことを露呈したそうです。そして弁護士は賠償金、行政書士は自賠責保険請求の話に終始しました。本人の主張も過失割合(20:80じゃ納得できない!)のことばかりです。

 この方がまず先にやるべき事は・・・

 1、治療費の労災変更手続き 2、主治医と面談し、初診時から頚部神経症状の確定診断がとれているかの確認と検査 3、自身の自動車保険から搭乗者傷害保険の請求  4、労災又は相手保険会社へ休業損害の請求  5、加害者側保険会社と物損の示談   このようにたくさんの手続きをお手伝いする必要があります。特に法律家に依頼したくても経済的に困難であれば、3の搭乗者傷害保険の部位・症状別定額払いを有効活用します。これは治療日数が5日以上になれば請求可能です。自身契約の保険会社に連絡し、即6万円の支払を受けられました。これを使って着手金に充当しました。これでバリバリ作業が進められます。既に職場の担当者に話をつけて労災対応に切り替えています。返す刀で相手保険会社に労災使用の宣言と物損(車の修理費)の請求です。労災使用なら対応も友好的になります(治療費の支払手続きをしないで済み、自由診療と違って安く上がりますから)。物損は15:85でさっさと示談、すぐ修理費を払わせました。並行して主治医へ面談し、想定される後遺障害について検査や記録をお願いします。漫然と治療を続けるだけではなく、立証作業への理解を得ることが大事なのです。  あとは半年後の症状固定日に向けて間違いのない後遺障害等級認定へまっしぐらです。この間被害者は安心して治療やリハビリに専念、再就職へ向けて歩みだします。

 これが普通の法律家では成しえない戦略的解決方法です。ほとんどの弁護士先生は後遺障害が認定されるまで動きません。行政書士も半年後の自賠責の被害者請求と賠償金の計算で報酬を得ようとしています。被害者自身もいつまでも僅か数万円しか増減しない過失割合でだらだらもめていて肝心の手続きをしないとどうなるか?・・後遺障害立証自体が手遅れになってしまいます。

 話がテーマから逸れました。この搭乗者傷害について・・

  搭乗者傷害保険 (自動車任意保険に付帯して契約します)

■ 支払項目

① 死亡保険金 ② 後遺障害保険金及び重度後遺障害保険金 ③ 医療保険金

 今回の例で支払いを受けたのは③の医療保険金です。以前は日額払い(死亡1000万円で契約の場合、入院1日15000円、通院1日10000円)が主流でした。これは治療が完了した段階で日数を数えて支払います。しかし最近は部位・症状別定額払いが一般的です。これは治療が5日以上に及べばケガの症状によって5万円~95万円(各社若干の違いあり)が即座に支払われます。さらに別枠で治療給付金1万円もおります。

③医療保険金の支払金額 (簡略)

1、打撲・捻挫・挫傷は全身どこでも5万円均一 2、挫創は部位によって5~35万 3、骨折は部位によって10~60万 4、筋断裂は部位によって10~30万 5、欠損は部位によって5~55万 6、脳内出血は部位によって5~55万 7、神経の損傷は部位によって10~95万 8、臓器の損傷は部位によって50~85万 9、熱傷は部位によって5~35万

 使い勝手がいい保険なので忘れずに真っ先に請求したいところです。 明日は肝心の②後遺障害保険金を解説します。

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 おはようございます。週末も相談者が事務所にいらしゃいました。たまに交通事故以外の相談もあります。ケガを負うのは交通事故とは限りませんので当然と言えば当然です。なかでもご自身が契約している保険の請求や内容についての質問が目立ちます。  後遺障害となる大きなケガをした場合、自分が契約している生命保険からはどんな条件で、いくら、払われるのだろうか???意外に盲点です。早速、日本生命、損保ジャパンひまわり生命、プルデンシャル生命の約款を確認してみました。

 呼び名は各社多少の違いはありますが「高度障害保険金」が一般的のようです。

 赤字は自賠責保険に相当する等級です。これ以上の重篤な障害が対象となっています。

■ 高度障害保険金の支払条件   ○ 両眼の視力を全く永久に失った

1級1号

○ 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った

  3級2号

○ 中枢神経系または精神に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級1号

○ 胸腹部臓器に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級2号

○ 両上肢ともに、手関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級3号   用廃 1級4号

○ 両下肢ともに、足関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級4号   用廃 1級6号

○ 一上肢を手関節以上で失い、かつ一下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った

  一上肢欠損 5級4号 と 一下肢欠損 5級5号 又は 一下肢用廃 5級7号 ...

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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