頭部外傷によって、忘れっぽくなった(記憶障害)、段取りが悪くなった(注意・遂行能力の低下)、すぐキレる(易怒性)、元気がなくなった(易疲労性)、性格が変わった等・・が起きてしまいました。家族は以前と変わってしまった被害者を前に困惑しています。しかし、必ずしも主治医が「高次脳機能障害です」と診断するわけではないのです・・・    高齢者の場合 ⇒ 医師「お歳なので痴呆のせいですよ」

    = 単なる認知症にされてしまう  

言葉が乱暴、医師に反抗的? ⇒ 医師「(怒りっぽい人だなぁ)ケガは治ったので退院しましょう」

    = 医師は事故前の患者の性格を知らない  

脳内出血が止まった ⇒ 医師「もう危険は去りました あとは安静にして下さい」

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 秋葉事務所では、高次脳機能障害のご依頼を常時10件ほどお預かりしています。

 しかしながら、最近、相談数そのものが減ったように感じます。事故自体が減ることはよいことです。ただ、心配していることは、既に他事務所に相談・依頼している被害者(ご家族)さまからのセカンドオピニオンの増加でしょうか。その相談者の多くは、現在の依頼先事務所に対して、契約前の宣伝文句から程遠い、頼りない対応に不安を抱えているようです。残念ながら、担当した弁護士や行政書士が高次脳機能障害の経験に乏しかったのでしょう。  20140508  法律事務所やNPO団体、業者による相談誘致が増加、熾烈を極めているようです。ネット上の広告攻勢で相談先が評価されてしまうとすれば、由々しき問題です。なぜなら、ほとんどのHPは専門書から転用した知識の記述に終始して、肝心の障害の立証方法や誘致できる病院の確保については書かれていません。事務所の実力は正にここで、多くのHPはその実力が未知数です。単に書類を取りまとめて申請するだけの事務所に任せてしまったら、重大な見落とし、検査不足、書類不足・・つまり、等級が軽く評価されてしまう危険性があるのです。

 したがって、再三ですが、以下のように呼びかけます。  

高次脳機能障害の相談は実績で選んで下さい

 現在、ネットの世界では多くの弁護士が「我こそ高次脳機能障害の専門家」と名乗っています。専門的な解説がびっしりのHPを観て違和感を感じないでしょうか? 

 高次脳機能障害の認定数はおよそ年間3000件です。このわずかな認定数から、それ程多くの法律家が担当しているわけがないのです。つまり、年に1件あるかないかの受任数でも、専門書丸写しのHPで経験豊富とうたっているのです。やはり、宣伝が先行し過ぎの風潮を感じます。これもネット社会の功罪でしょうか。

 さて、前置きが長くなりましたが、以下の実績は本物です。私達がいかに高次脳機能障害に取り組み、成功したか・・・生きた記録の数々から、ご自身の類似例を探して下さい。必ず道は開けます。  c_n_9

 

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 前日に続き、高齢者の高次脳機能障害 立証の記録。

 高齢者は足を軽く骨折しただけで、それが2週間の入院ともなれば、歩けなくなることがあります。まして、脳外傷を受けたら・・そこから認知症を発症してもおかしくありません。本件はさらに主治医まで外傷性の関与に懐疑的なのです。

 高齢者の高次脳機能障害は常に認知症との切り分けと、介護状態との因果関係の証明に奔走することになるのです。本件も全力を尽くし、なんとか障害の立証に成功しましたが、介護等級に及ばず7級の判断に。完全勝利というわけにはいかず、事務所は毎回ハードな戦いの連続です。

 秋葉先生イラスト鳥無しsjこの分野、全力で取り組んでいます!

7級4号:高次脳機能障害(80代女性・長野県)

【事案】

自動車に同乗中、交差点で自動車と出会い頭衝突、受傷したもの。診断名は外傷性くも膜下出血。救急搬送後、大事無いと判断されたが、数日後から急激に認知症状が発症した。せん妄、情動障害がみられ、見当識・記銘力の低下もあった。

【問題点】

主治医は認知症と外傷性精神障害が半々?とグレーな判断であり、急性期の治療は必要なく、介護施設への移動を示唆した。このままでは単なる痴呆で介護状態に陥ったことになる。また、相手保険会社も症状と事故外傷の関係に疑問を持ち、治療費の打切りの様相を呈してきた。不安にかられたご家族から依頼を受けた。

【立証ポイント】

専門医による確定診断が必要である。早速、病院同行にて主治医から紹介状、検査記録を取得し、県内の高名な専門医への転院の段取りをつけた。そこでようやく「交通事故外傷による高次脳機能障害」の確定診断となった。ただちに新しい診断書、検査データを連携弁護士に託し、相手保険会社の治療費継続を取り付けた。さらに、医師と打合せを重ね、症状固定までにいくつか追加検査をお願いして、後遺障害診断書一式を完備した。

また、被害者は独居でご家族と同居していなかったので、日常生活状況の克明な説明は困難であった。そこで、介護施設での記録、近隣の友人の意見書も添付してこれを補強した。

等級申請の結果、純粋に7級だけの判断に留まった。しかし、実状は介護を伴う状態である。認知症の進行を考慮されたのか? 現在、連携弁護士により、障害等級の変更を含めた賠償交渉を継続している。  

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 最近、高齢者ドライバーの事故がニュースで採り立たされています。以前にも記事にしたように、国内人口のおよそ3割が60歳以上であることを前提にすれば、高齢者ドライバーの人口比率はうなぎ登りですから事故も当然多くなるわけです。高齢者と事故の関係はそれ程単純な問題ではないと思います。

 それでも、対象を”交通事故被害者”とすれば、今も昔もお年寄りに集中します。秋葉事務所における依頼者の年齢層では、60歳以上は20%ほどですが、とりわけ重傷のケースが多く、昨年の高次脳機能障害の受任数13件の内、4件にも及びます。

 本シリーズ「昨年の重傷案件」、高齢者層の被害者さまが続きます。 c_g_a_4

別表Ⅰ 2級1号:高次脳機能障害(70代男性・山梨県)

【事案】

自転車で直進中、後方から追い抜きざまの自動車のサイドミラーの接触を受けて転倒したもの。診断名は頭蓋底骨折、頬骨骨折、骨盤骨折、他に脳挫傷があり、直後から見当識・記銘・言語に障害があり、右半身麻痺から車椅子となった。また、認知症の発症・進行も指摘された。

【問題点】

本人はリハビリ入院中であり、息子さんご夫婦が相談会に参加された。やはり、高齢者の高次脳機能障害であるため、認知症との切り分けがポイントとなった。また、介護状態が年齢相応のものか事故外傷によるものか、この問題も常に付きまとう。

【立証ポイント】

認知機能の低下、言語障害のため神経心理学検査は限定される。障害の種類によっては正確な検査数値が反映されないからである。診断書の作成には主治医と打ち合わせを重ね、ご家族とは日常生活状況報告書の作成に通常より大幅に時間を割いた。その他、精神障害者手帳の申請をサポートし、既得の介護2級と併せて申請に付した。

体の麻痺は軽減し、車イスを脱するまで回復した。それでも、日常生活に随時介護の必要が認められ、別表Ⅰの判定となった。客観的な検査データが乏しくとも、家族や周囲の観察を丁寧に説明することで道は開ける。  

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 高齢者の高次脳機能障害は加齢による認知症状と切り分ける作業となります。

 ポイントはまず、画像所見です。脳の実質的変化を把握します。認知症状をもたらす病変部とは別に、急性期の損傷及び、関連する脳萎縮等と症状の関連性を明確にしなければなりません。さらに、家族にしか知りえない事故前後の症状のコントラストを強調する必要があります。言葉で言うには易しく、綿密な調査が必要で、実際に現場に行かねばなりません。したがって、遠隔地ともなれば、一種の”賭け”になります。高次脳機能障害で国内トップの実績を誇る弁護士事務所が敬遠した本件は、その賭けに勝ちました。

 なにより、震災に被らなくて良かった。震災後の数ヶ月間、病院は野戦病院状態、交通事故の障害立証などに関わっている暇はないのです。  

別表Ⅰ 2級1号:高次脳機能障害(80代男性・熊本県)

【事案】

自動車運転中、センターラインオーバーの対向自動車と正面衝突、前額部をフロントガラスに強打した。診断名は外傷性くも膜下出血、他に胸椎、肋骨骨折となった。見当識の低下、記憶混濁、情動障害があり、高齢から認知症を発症したとされた。

【問題点】

現役で農業に従事していたが、高齢から事故外傷の影響だけではなく、認知症発症の疑いがあった。リハビリ先でも転倒から下肢の骨折、また内臓疾患での入院も重なり、事故外傷による高次脳機能障害を浮き彫りにする必要があった。

しかし、家族が地元の弁護士数件に相談したところ、「等級が出るまで待ってます」の対応ばかり。どの弁護士も認定結果を様子見しているかのよう。仕方なく、主治医に後遺障害診断書の記載をしていただいたものの、不安は尽きない。東京に在住する家族が、高次脳ではNo1の弁護士に相談したが、「等級認定は難しい」と謝絶され・・・途方にくれて、秋葉事務所に相談にいらした。

【立証ポイント】

高齢者の受任経験が豊富であり、年齢相応の認知機能低下と高次脳機能障害を切り分ける・・秋葉事務所の得意とするところです。早速、本人と主治医への面談を果たすべく、熊本へ飛んだ。本人と家族、主治医と面談、診断書や画像を確認し、「高次脳での等級はいける!」と判断した。もう、これは勘としか説明できません。

脳はレントゲンとCTのみしか撮っていなかったので、MRI検査を追加手配し、脳外科医と画像の精査にあたった。くも膜下出血は受傷した前額部、つまり、前頭葉に出血痕がみられた。しかし、後頭葉に脳挫傷がみられる。これは額をフロントガラスに打ち付けた際、対側損傷と言って、衝撃が脳の反対側に及び、脳が傷つけられたものと判断した。この主治医との打合せを基に画像分析レポートを作成、後遺障害診断書に添付した。

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 高次脳機能障害の仕事、仙台は2度目です。

 高次脳機能障害の立証であれば、全国各地に出向きます。なぜなら、現場で経験を積んだコーディネーターが動くことにより、遺漏なき医療調査・医証収集が達成できるからです。机上の理論、単なる書類収集作業では見落とされることが頻発します。これは書類審査のみで判断される高次脳機能障害の宿痾とも言えます。

 当地の弁護士先生の要請により、仙台入りした当日、本人、家族の面談を行いました。本人の観察、家族からの症状聴取を行えば、想定等級が決まります。

 翌日は主治医面談を実施しました。主治医の認識、実施された検査の数値を確認すれば、立証計画の策定に進むことができます。追加が必要な検査を打診、または他院への検査誘致を検討します。 doc-web  短時間の面談で医師の協力を取り付けなけれななりません。今回も治療と障害の立証、それぞれに理解のある医師で安心しました。医師との折衝から、本件は家族の観察を重視、それらを医師へ詳細かつ的確に伝達することで、精密な診断書の作成が可能と判断しました。

 このような判断は相当の経験を積まなければできないはずです。手前味噌ですが、日本で高次脳機能障害を最も経験している行政書士事務所は、秋葉事務所かと自負しているところです。

 多くの弁護士事務所から自賠責保険の手続き、言わば立証局面で協力要請を受けております。被害者救済に専心した、そして裁判に勝ちたい弁護士先生からのアプローチを常にお待ちしています。  

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 高次脳機能障害の症状で、性格や感情面に変化が現れるケースを多数経験しています。

 脳に器質的な損傷を受け、神経系統に障害が残った場合、知能や判断の低下、記憶や言語の障害等、たくさんの症状が起こります。それら症状は被害者によって違います。その一つ一つを立証するために、客観的なデータが望まれます。これら検査を総称して神経心理学検査と呼んでいます。既にこのHPではその多くを解説してきました。しかし、一連の検査をもってしても症状に該当するものがなく、心もとない分野として、易怒性(不自然にキレやすい)などの情動障害、文字通り人が変わってしまった性格変化が挙げられます。

 情動面・性格面は被害者の感情や個性に依拠しますので、そもそも人それぞれです。怒りっぽい人、のんびりした人、性格が違うように、客観的な比較ができないものです。判断する医師だけではなく、審査すべき側である保険会社も、事故前の被害者の性格を知りませんので、変化(障害)などわかりません。

 さらに困ったことに、ケガをする前に検査をしていた人など皆無で、事故前後の客観的比較データを得ることはできません。そこで、障害による一連の変化は、家族が克明に説明・主張していくことになります。それでもわずかながら、情動面を数値化する検査がCAS検査です。CAS検査は元々、注意機能の低下を判断する、総合的な検査であるCAT検査に続いて作成された経緯があります。

 以下、サクセスベル株式会社さまHPより引用させていただきました。   標準意欲評価法(CAS)の構成

1 面接による意欲評価スケール

 被検者と一定の時間面接をおこない、その間に17項目について逐次5段階評価を行います。

2 質問紙法による意欲評価スケール  被検者に質問紙(記入紙)をわたし、過去数週間の自分の考え、気持ち、行動に照らし合わせて、もっともよく当てはまるところに○を付けさせるというものです。

3 日常生活行動の意欲評価スケール

 被験者の日常生活を、約7日にわたり観察し5段階評価します。場所は、病棟、訓練室、外来(在宅)、施設などであり、関連のスタッフが分担・協力することが大事です。

4 自由時間の日常行動観察

 被検者が所定のスケジュールがない自由な時間になにをしているか、5日~2週間以上観察。場所、内容、行為の質、談話の質などについて評価します。

5 臨床的総合評価

 臨床場面での総合的な印象に基づき、5段階の臨床的総合評価をおこないます。    情緒、感情面に踏み込む、画期的な検査キットです。特に、自発性の低下など、意欲に関するデータを取ることができます。すべての情動障害・性格変化を明らかにすることは叶いませんが、それでも自賠責の障害審査の一助となり、後の賠償交渉においても弁護士の武器となる有難いデータです。これらの検査結果に家族の観察をリンクさせて情動障害を明らかにします。

 本日は、千葉県の病院同行にて、主治医にCAT、CAS検査を依頼しました。本件も症状固定を前に、立証作業は大詰めに入ります。

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 今更ですが、自賠責で高次脳脳機能障害として認定されるための入口部分の3つの要件をおさらいしましょう。

(1)傷病名が脳挫傷、びまん性軸策損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血であること、  骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症、脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症は、これに該当します。

(2)それらの傷病がXP、CT、MRIの画像で確認が出来ること、

(3)頭部外傷後の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていること、    この3要件の特に(2)と(3)の両方が欠けていれば、いくら症状があろうと、高次脳機能障害はきっぱり否定されます。(2)の画像所見がなければ「MTBI」(外傷軽度脳損傷)と烙印を押されてしまいます。今まで高次脳が否定された数々の悲劇を見てきました。本件も自賠が蹴ったら訴訟認定を目指すしかないのか、と常に不安でした。

 しかし、自賠責の高次脳・専門調査機関である、高次脳審査会は全体の医証を検討、認定しました。その柔軟かつ、事実を重んじる審査姿勢に脱帽、本件では調査事務所に最大の賛辞を贈りたいと思います。

 

3級3号:高次脳機能障害(60代男性・栃木県)

【事案】

道路を歩行横断中、バイクにはねられ受傷。救急搬送され、腹部を手術、その他、次の診断名となった。腸間膜損傷、恥坐骨骨折、腓骨骨折、顔面裂傷、歯牙欠損、そして脳挫傷。

ケガに比して回復良く、1ヶ月ほどで退院できた。しかし、その後、難聴、排便障害、右脚の外反など、いずれも自賠責の障害基準に満たない微妙な症状の表出が続いた。通った病院は6ヶ所、受診した診療科は10科を超えていた。

【問題点】

警察、病院とも関係悪く、相手保険会社もわずか3ヶ月での打ち切り。続いて自らが契約の人身傷害も1年で治療費対応を終了。このまま症状固定もせず、だらだらと治療が続いてさらに2年が経過した。このような状態で家族は弁護士を探したが、どこも受任していただけず、最後の弁護士が受任し、秋葉への協力依頼となった。

また、本件最大の問題は「画像所見」が微妙で、脳に器質的変化がないこと、意識障害は「せん妄」(性格・行動が荒れる症状)があるものの、「意識障害なし」とされている。これでは自賠責の基準上、高次脳の認定は「門前払い」が濃厚だった。

【立証ポイント】

事故の終結に向け、人身傷害の保険会社とまず協力、休業損害の先行払いをお願いした。この軍資金を得て、11回の医師面談を実施した。どの医師からも敬遠されていた依頼者さんであったが、平身低頭、検査と診断書の記載をお願いして回った。

意識障害は救急科の医師に記載を直して頂き、「せん妄」の追記を頂いた。画像所見は微妙であったが、唯一、挫傷痕を指摘した医師と面談、主治医とは別にその所見を診断書にしていただいた。並行してリハビリ科の医師に出来るだけ他覚的所見をまとめて頂き、他科の診断書も歯科も含め6科に依頼、所見の記載をせっせと集めた。

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 事務所開所以来、高次脳機能障害に注力、取り組み続けています。ありがたいことに、北は北海道から南は九州・沖縄まで、全国の弁護士事務所からご相談やご依頼を頂いております。

 その期待は大きなプレッシャーですが、絶対に応えなければなりません。それは、弁護士を助けると同時に被害者の運命を変える仕事だからです。

 重傷事案の解決は何より、後遺障害の立証に尽きます。

「絶対に負けられない戦い」なのです。 7ee7bb29

7級4号:高次脳機能障害(30代女性・北海道)

【事案】

交差点を歩行横断中、後方よりの右折自動車に跳ねられ受傷。診断名は外傷性くも膜下出血、脳挫傷、骨盤骨折となった。

ご本人は完全回復を目指してリハビリを続け、仕事にも復帰したが疲れやすく、家族も示談を急ぐ相手保険会社とこのまま示談してものか不安になり・・弁護士事務所へ相談に訪れた。

【問題点】

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 神経系統の障害は諸々の症状を包括的に判断します。例えば脳損傷となり、記憶障害が9級程度、めまいが12級程度、排尿障害が11級程度・・これらを併合せず、ひっくるめて総合判断で7級とするような・・。これは自賠責が労災認定基準の「神経系統の障害を労働能力の喪失程度から判定する」ことを基にしているからです。

 さて、本件盛りだくさんの障害を明らかにしましたが、高次脳機能障害まで立証し切れませんでした。まず、自覚症状(高次脳の場合、家族の観察)がどの程度なのかが出発点です。初回の本人面談で私は高次脳を予断しました。しかし、続く家族の観察から障害の表出が乏しく、最後まで疑問のままでした。つまり、本件は予断をはずしたようです。こうして高次脳未満は「高次脳崩れ」の12級13号確保が目標になります。  本件、提出書類から状態を見極めた自賠責・高次脳審査会の慧眼には恐れ入りました。  

12級13号:脳挫傷・14級9号:頬骨骨折・12級相当:味覚障害・13級5号:歯牙欠損・14級相当:嗅覚障害(50代男性・神奈川県)

【事案】

自転車で直進走行中、前走バイクが急転回し、衝突したもの。頬骨骨折により、顔面に神経性疼痛、嗅覚・味覚の異常も生じた。また、脳挫傷があり頭痛やめまいに悩まされる。その他、歯を数本折った。 リハビリ後も完全回復とならず、現場の仕事から内勤に転任を余儀なくされていた。

【問題点】

相談会で高次脳機能障害の精査を必要と感じた。早速、主治医に面談し各種検査を行ったが、家族からの観察に比して整合性のある結果とならかった。果たして脳障害はあるのか?迷いの中、作業が進んだ。

高次脳機能障害で一くくりにできれば良いのだが・・・高次脳が否定された場合、はっきりと数値に出る検査のない頭痛、めまい・ふらつき、顔面の痛み、これらを神経系統の障害としてまとめる作業となる。

【立証ポイント】

味覚・嗅覚はおなじみの検査を実施するのみ。歯については既存障害歯と事故で欠損した歯を分けて把握する必要がある。歯科医と打合せし、XP画像を預かり、専用診断書に記載頂く。 結果、味覚喪失で12級相当、嗅覚減退で14級相当とした。歯については事故前からの障害歯と新たに折れた歯を合計、現存障害として13級5号(本件の場合、併合ルールの優位により加重障害とならず)。 c_g_m_3 続きを読む »

 高次脳機能障害を抱える家族の苦悩は当事者にしかわからないことばかりです。一見、事故から回復して障害など無いように見える被害者さんもおります。すると、能力の低下や障害ゆえのミスを職場や近所、友人など周囲が理解できないのです。本件は非常に深刻で、情動障害によって退院後から様々なトラブルが起きています。地域全体の理解・協力が無ければ生きていけないと言っても過言ではありません。

 まだ、事故は解決していませんが、やがて賠償交渉(裁判)は終わるでしょう。しかし、被害者と家族にとって完全解決などないのかもしれません。深刻な障害者とその家族にとって、障害と向き合うことは常に現在進行形なのです。  

3級3号:高次脳機能障害(10代女性・長野県)

【事案】

直進道路の左側を自転車で走行、右側へ横断した際、後続の自動車に衝突された。その際、右側頭部を自動車フロントガラスに打ちつけ、次に道路に飛ばされて左側頭部を路面に打ちつけた。意識不明の重態で救急病院に搬送され、緊急手術となった。診断名は主に右側頭骨骨折・右急性硬膜外血腫と左急性硬膜下血腫、左右両側の脳損傷である。

数度の開頭手術、長期の理学療法を続けたが、知能低下、短期記憶障害、失語(ウェルニッケ型)、注意・遂行能力低下、右片麻痺(右足関節・自動運動不能)、学習障害、情動障害が残存した。

最後の手術の直後、母と相談会にみえられた。

【問題点】

学習障害によって普通校の授業は不可能、知能は小学生低学年~幼児レベルに低下した。情動障害は特に深刻で、体力の回復と共に易怒性が強く表出して凶暴な行動にでるようになった。加えて幼児退行、羞恥心の欠如がみられ、周囲とのコミュニケーションが困難となった。女子高生としては相当に悲惨な状態である。

母子家庭なので受任後は仕事を持つ母親の合間に合わせて、何度も病院同行を重ねることになった。当初は私の仕事について、病院側の理解が得られずにやりづらい状況であった。さらに、本件最大の問題は現在進行形で情動障害が変化・重度化している点である。体力の回復によって、また、普通の年齢相応の情緒不安定も加わり、家庭内で暴れだすと手に負えずに警察を呼ぶような事態に発展する。何度か心療内科へ入院となり、その都度、症状固定とできない状態が続いた。

【立証ポイント】

診療を受けたすべての科の医師と面談した。主治医の脳神経外科医はもちろん、言語聴覚士、作業療法士、整形外科、リハビリ科、心療内科、ついには院長と面談し、すべての記録をまとめた診断書類を完成させた。泊まりも含め、長野へは10回も足を運ぶ結果となった。

神経心理学検査は言語系、知能系を中心に選択したが、知能・学習能力の低下から下位数値となった。下肢の麻痺については足関節、足趾(足指)を正確に記録した。日常生活状況は母親と作成、エピソードをもらさず文章化、看護記録なども添付した。事故前後の学力低下を克明にするため、高校の担任教師、(事故後の)支援校の担任教師にそれぞれ報告書を依頼した。

一番の仕事は、母親と深夜も含めてこまめに電話で連絡を取り合ったことです。高次脳機能障害を抱える家族へのメンタルケアは非常に重要です。(過去、家族が心身症になり自殺、自殺未遂となった件を経験しています。) 続きを読む »

 本件も受傷・認定部位は盛りだくさんながら、肝心の高次脳機能障害が認められず、10年戦争となった案件です。

 画像所見や意識障害が明確でなければ、労災・自賠責の高次脳機能障害の認定はありません。しかし、中には画像所見が不明瞭、もしくは意識障害の記録が見逃されてしまった被害者も存在します。一方、画像所見がなくとも脳障害を示すMTBI(外傷軽度脳損傷)の被害者も存在します。MTBIについては、臨床上では存在するものの、未だ医学的には完全に説明しきれていないようです。その患者の多くは事故外傷とは別の原因の可能性もあり、心因性を排除できないとの報告もあります。

 本件はMTBIではなく「見逃された高次脳機能障害」と確信しました。私は画像所見が見出せない高次脳機能障害とMTBIは違う概念と区別しています。  

併合9級⇒併合6級(非該当⇒7級4号):高次脳機能障害 訴訟認定(40代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進中、対抗右折自動車と衝突した。主な診断名は急性硬膜下血腫、左尺骨神経麻痺、左脛骨高原骨折、左腓骨骨折。

尺骨神経は手術で縫合、知覚障害は残るが運動性を取り戻した。左脚は脛腓骨の骨折により腓骨神経麻痺が残った。また、左上肢・下肢の傷跡は醜状痕が残った。脳障害については物忘れ、注意力低下、遂行能力の低下が目立った。

【問題点】

血腫はほどなく消失し、医師も継続的な検査・治療を行わなかった。画像上、「脳への器質的損傷なし」、また「意識障害なし」、これでは自賠責での高次脳機能障害認定は絶望的。 また、被害者の業務歴、学習歴から知能が高く、一見、障害が分からない。検査でも知能系の数値が平均より高く、障害が見えづらいケースである。

受傷から2年後、高次脳機能障害の評価ができる拠点病院にて専門医が検査を実施、高次脳機能障害と診断されたが、案の定、自賠責保険での高次脳機能障害は否定された。認定結果は上肢知覚障害、腓骨神経麻痺、醜状痕等の評価で併合9級止まり。

それからさらに2年後、方向性が定まらない状態で受任となった。 絶対に諦めるわけにはいかない。被害者との面談、家族の聞き取りから、本件はMTBIではなく、高次脳機能障害であると確信したからである。高次脳機能障害は訴訟での認定を目指すことになった。

【立証ポイント】

まず、受任していただける弁護士探しからとなった。大御所弁護士が断る中、当時、独立したての弁護士先生が引き受けて下さった。 逆転勝利のためには徹底的な準備と新たな医証が必要である。手持ち資料から訴訟認定したケースの訴状等を準備、弁護士に託した。新たな医証としては別の専門病院で神経心理学検査を一からやり直し、記憶障害、注意・遂行能力の低下を示すデータを揃えた。 また、奥さんから事故前後の変化について徹底的に聞き込み、時間をかけて詳細な記録を作成した。些細な情報ですら漏らすことは出来ない。これは後の口頭弁論に活かされる資料となった。 続きを読む »

 脳に障害を負うケガとなれば、その他、人体に深刻なダメージがあって然りです。それらが障害として残れば余すところなく主張しなければなりません。綿密な立証計画を策定、丁寧に進める必要があります。仮に併合等級に影響がなくとも、その作業と認定結果は引き継いだ弁護士の賠償交渉に活かされます。

 また、素人と玄人の力量の差は歴然としています。それを被害者さん、又はご家族が早く気付かなければなりません。

 今夏~秋に認定、決着がついた高次脳機能障害を今日から3例紹介しましょう。   

併合5級:高次脳機能障害・視力障害・醜状痕(50代男性・長野県)

【事案】

交差点を歩行横断中、対抗右折自動車に跳ねられ受傷。右前頭葉脳挫傷、右眼窩吹抜け骨折、右脛骨プラトー骨折となった。 回復後も短期記憶障害、性格変化、易疲労性が見られた。

【問題点】

最初に依頼した弁護士は高次脳機能障害の知識に乏しく、後遺障害診断書の1枚のみの記載で十分との認識であった。主治医は「他にも必要な書類があるのでは?」と心配したが、「必要ない」との返事。また、性格変化を心配する奥さんに対しても「性格が穏やかになって良かったじゃないですか」との対応。挙句に「奥さんは口を出すな」・・とにかく早く相手保険会社の事前認定に進める姿勢であった。

不安に思った奥さんから当方にセカンドオピニオンとして相談を頂いた。そこで必要な手順、解決までのロードマップを説明した結果、ご本人ご家族は既契約弁護士に払った着手金を無駄にしてでも依頼を切り替える決心となった。

【立証ポイント】

主治医は別件で何度か面談したことがあったので、スムーズに診断書の追記、追加書類に応じていただけた。奥様と日常生活状況報告書を綿密に打合せして作成、特に性格変化の観察・記載に注力した。さらに眼科へ追加書類を依頼し、顔面醜状痕の計測・記載も追加した。

高次脳機能障害の立証に家族の協力は不可欠である。奥様には大いに口を出してもらった。結果、必要なことをしっかり抑えて、高次脳機能障害は想定どおりの7級とした。前任の弁護士のままでは9級の恐れもあった。当然だが視力障害と醜状痕による併合も無かっただろう。 c_n_8続きを読む »

 近時の臨床結果を踏まえ、あえて、テンソルを再評価してみましょう。   拡散テンソル画像とは

 近年、脳疾患に対する画像診断技術は著名な進化を遂げており、中でもMRIの拡散強調画像を応用した拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging :DTI)が注目されている。DTIとは生体内水分子の拡散の大きさや異方性を画像化したものであり、従来の撮像法と比較して脳白質の構造変化を鋭敏にとらえることができる画像診断法である。主なパラメータとしてはfractional anisotropy(FA)が用いられており、さまざまな脳白質病変の評価に応用されている。またDTIにはfiber-tractographyという神経線維の走行方向を描出できる技法もあり、臨床や研究で多く利用されるようになってきている。

  びまん性軸索損傷に対する拡散テンソル画像の有用性

 高次脳機能障害や運動機能障害を有するにもかかわらず、従来の画像診断では異常所見を認めないDAI症例に対し、DTIで評価を行った自験例をいくつか紹介する。  

① MRI上明らかな異常を認めないが高次脳機能障害を有するDAI患者11名と、年齢をマッチングした健常者16名との比較、対象者すべてのDTI脳画像を標準化し、DAI群と健常群に分けてFA値の比較を行った。DAI群では、従来のMRIでは異常を認めないにもかかわらず、脳内の非常に多くの部位に散在性にFA値低下部位を認めた。これはDAIによる神経損傷を描出している所見と考えられる。   ② 23歳、男性:19歳時に交通事故で頭部外傷を受傷。記憶障害、注意障害、遂行機能障害等の高次脳機能障害を認めるがMRIで明らかな異常所見を認めない。しかしfiber-tractographyでは同年代の健常者と比較して能梁繊維、脳弓線維の描出不良所見を認める。これはDAIによる神経損傷を描出している所見と考えられ、高次脳機能障害の原因と考えられる。   ③ 37歳、女性:35歳時に階段から転落して頭部外傷を受傷。受傷時は記憶障害、注意障害等の高次脳機能障害を呈したが、リハビリテーションにより改善し、現在は高校の英語教師として復職している。しかし左不全片麻痺を認め、歩行のためには杖と短下肢装具が必要な状態である。MRIでは左片麻痺の原因となるような所見は認められない。しかしfiber-tractographyでは同年代の健常者と比較して錐体路の描出不良所見を認める。これはDAIによる神経損傷を描出している所見と考えられ、左片麻痺の原因と考えられる。

  ② 23歳の例 

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 今更ですが、高次脳機能障害認定の3要件は、

 1.画像所見 2.意識障害 3.診断名 です。    特に画像所見はCT、MRIで描出されていることが条件です。診断名が脳挫傷、硬膜下血腫、硬膜外血腫、くも膜下血腫、脳内血腫 等、局在性の損傷であれば、受傷部がCT、MRIで明確に描出されるでしょう。

 しかし、脳障害が疑われる患者すべてにその損傷が視認できるとは限りません。例えば、びまん性軸索損傷(DAI:deffuse axonal injury)のように、脳の神経線維の断裂は損傷が微細で、MRIでも描出が難しくなることがあります。その場合、多くのDAI患者は意識障害が伴いますので、意識障害にて脳障害を推定することになります。しかし、意識障害がない、もしくは軽度の場合、やはり画像所見を追求する必要があります。

 まずは、画像所見のおさらいをします。   【井田医師の意見陳述】    現在の画像診断の主役はCT、MRIであるが、画像診断において重要なことは、適切な時期にきちんとした検査が行われるということである。(中略)  拡散テンソル画像は脳内の神経線維に沿った水分子の拡散の動きを見ることによって神経線維の状態を推定しようとするものであり、病変の位置が特定できている場合には脳機能と病変の関係を見ることについて有益である。ただし、形態学的に異常がない微細な脳損傷の有無を拡散テンソルだけで判断することはできない。

過去記事から ⇒ 23年3月「高次脳機能障害認定システムの充実」から井田医師の意見

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 高次脳機能障害の依頼者様とは長い時間、二人三脚のお付き合いが続きます。最終的には弁護士による交渉や裁判で事故が解決します。これで一応業務は終了しますが、障害者手帳や福祉関係の手続きで何かとお付き合いが途切れません。当然、受傷から数年間の症状を見守り続けることになります。症状がやや好転する患者、増悪する患者。

spect 一般的に脳外傷による障害は一定期間を経ると「不可逆的」、つまり、改善はなくなります。したがって、安定期後のリハビリは”障害に対処する術をマスターする”ことを目標とします。先日の日誌で取り上げた、”記憶障害の患者がメモ帳を携帯する”手段が代表的です。また、脳の不思議に触れることですが、組織が壊れて活動しなくなった機能が違う部分で動き出す?「脳の代償活動」が起きることもあります。

 左図のように脳は大きく4つの部位に分かれ、それぞれ働きが分担されています。

 くも膜下出血で左脳がやられ、失語となった患者が訓練を続けた結果、再び話すことが出来るようになった例が少なからずみられます。その患者さんの脳をスペクト(脳血流検査)で観ると、右脳含め、複数の箇所が活発になっています。これは言語野が複数箇所に散らばっていることを示し、男性より圧倒的に女性にみられる傾向です。

   さて、私が担当した高次脳機能障害者の皆様はその後、症状はどうなったのか? 非常に気になることです。追跡調査をするまでもなく、追加の手続き等の相談で情報が入ってきます。

 おおむね、本人、家族ともに障害に慣れた成果でしょうか。日常の困窮点は対処法を工夫することでカバーできるようになっています。軽度の患者は理解ある職場で活躍しています。また、重い方は障害者雇用や福祉制度の活用でなんとか頑張っているようです。 c_n_10  しかし、比較的若年の被害者、10代で認定を受けた被害者さん達の数名はかなり苦労しています。成長期では健常者でも性格・人格形成で思い悩むことが普通です。誰しも難しい時期があるものです。そこに高次脳機能障害が重なると・・予想もしない悪化を見ることがあります。当然、若年層は脳組織も成長期です。上手く、代償が機能すればよいですが、脳細胞の分裂が新しい可能性を示すだけではなく、思わぬ障害の加算が起こる例もあるのです。

 例として、情動障害の悪化があります。怒りっぽくなる「易怒性」の発露・増悪、逆に疲れやすい「易疲労性」や極端にふさぎこむ、自閉症、その他性格変化をきたすようです。これは脳の損壊によって既に引き起こされていたものなのか、それとも二次的な兆候なのか・・

 未だ謎の多い脳、特に高次脳機能障害はハイ・レベルの脳の働きの障害です。不可逆的としながらも、引き続き観察とリハビリ、医学的な対処は続くのです。等級認定→賠償金→解決では決して終わりではないのです。

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 高次脳機能障害を評価するにあたり、専門医と言語聴覚士など専門スタッフ、検査設備を備えた病院の確保が重要です。被害者さんは急性期を過ぎたころ、在住県の高次脳機能障害支援拠点病院に転院し、リハビリ、評価検査へ進むことが理想です。しかし、現実は厳しいもので、比較的軽度の障害者は・・治ったとして病院に行かない、リハビリ・評価の必要性を感じていない、その拠点病院を知らない、紹介してくれる人もいない、家から遠すぎる、事情により受け入れを拒否される・・など簡単にはいかないのです。

 さて、本日、病院同行の長野県ですが、長らく松本市のI病院がこの地域の拠点病院でした。多くの高次脳機能障害の患者さんが頼りとしていた病院です。しかし! ここで活躍されていた高名な医師が他の病院に移ってしまい、大変困ったことになっていました。いくら、検査設備が充実していようと、指揮をとるべき専門医がいなければまったくの戦力ダウン、普通の病院になり下がります。事実、高齢の患者さんによると、残った医師の診察では「痴呆と障害が半々?」「高次脳かどうかわからない?」と実に心許無かったそうです。そこで、かの先生を追って、患者さんと共に移転先の病院に同行しました。その先生の検査によって、ようやく高次脳機能障害の確定診断を受けるに至りました。  この病院にて、神経心理学検査の計画を練り、十分な検査データを確保しました。さらにMRI(先月、3.0テスラが導入!)検査ではT2スター、フレアはもちろん、特に拡散テンソルによる解析ができました。(この拡散テンソルは未だ自賠・労災の審査では参考程度の位置づけですが、いずれ重きを成すものとして、数年前から私達は注目しています。) tensol  高次脳機能障害の評価は専門医と設備の両方を兼ね備えた病院でなければなりません。どちらかが欠けても駄目なのです。やはりというか、今年の4月、拠点病院の指定もこの先生を追いかけて?移転しました(実は病院の指定変更が先だった?・・知る由もありませんが)。 当然の結果ながら、軽い感動を覚えています。

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 高次脳機能障害の症例でもっとも頻発するは「記銘力の低下」です。これは一般に「短期記憶障害」に分類されます。記憶障害の中でも、昔の記憶を失う「記憶喪失」ではなく、”新しいことが覚えられない”ことを指します。

 リハビリ病院では高次脳機能障害に関わる専門家、例えば言語聴覚士さんは「忘れることを防ぐためにメモ帳に記録する癖をつけて下さい」と指導します。これは、障害を改善すること目指すのではなく、障害に対処することを目標とした思考です。

 こうして多くの高次脳機能障害の患者は腰にメモ帳をぶら下げることになるのです。最近はスマホで代用できますが、やはり、忘れないうちにスピーディーに記録するにはシンプルなメモ帳スタイルが勝ります。

 メモ帳はもちろんどれでもいいのですが、人気はフランス製、RHODIA(ロディア)とのことです。これが今、障害者の中でヒット商品となり、全国的に品薄らしいのです。

2015062313450000(このメモ帳は依頼者さまにご許可を頂き、掲載しました)

 今春のドラマ「アイムホーム」で木村拓哉さんが使用した事が発端です。もはやメモ帳を必要とするすべての障害者必携の人気アイテムだそうです。

 このドラマの主人公は脳外傷(いえ、心因性かな?最終回で治るそうです)による高次脳機能障害とのことです。しかし、症状は高次脳では珍しい逆行性健忘≒記憶喪失を伴っています。また、ドラマを観ていた依頼者さんによると、相貌失認が象徴的に描写されていたようです。

相貌失認(そうぼうしつにん)…顔を覚えるのが苦手のレベルでは済まない症状は「相貌失認」と言われています。これは脳障害による「失認」の一種です。相貌失認では人の区別だけではなく、「笑っているのか、怒っているのか」など表情を読み取る観察力も失われることがあります。

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 医師の診断は「常に正しく、絶対」ではありません。誤診とまでは言わずとも、限られた診断時間や不完全な検査データの影響で、正しい診断に至らない事は決して珍しくないのです。それが交通事故外傷の世界、特に高次脳機能障害では頻発するのです。誰かが気付かなければならない、具体的に動かなければならない・・だからこそ、私達メディカルコーディネーターの仕事が生まれたものと思います。

 医師の診断より私の見立てが正しいことが起きます。これは決して自らの能力を驕っているわけではありません。障害に対するアプローチが医師とは違うということです。医師は後遺症なく治すのが仕事で、元気になった患者への興味を無くします。対して私達は障害を見逃さないよう、常に綿密な観察を行っています。寝ても覚めても後遺障害、日夜、鋭敏な感覚を養っているのです。 c_byo_h_28

7級4号:高次脳機能障害(70代男性・神奈川県)

【事案】

原付バイクで直進中、後方よりの右折自動車に巻き込まれ、脳挫傷、頚椎捻挫の診断となった。 幸い回復は良く、比較的早く日常生活に復帰した。しかし、家族の観察では事故前に比べ、忘れっぽい、要領が悪くなった、怒りやすくなった等があった。

【問題点】

最大の問題は主治医が「高次脳機能障害はない」(痴呆のせい?)と診断していたことである。さらに、相手の任意保険会社も医療調査で同様の回答を得ていた。このような状態で弁護士からヘルプの要請を頂いた。確かに一見、障害の有無はわからないが、主治医が否定しようと、私の見立てでは高次脳機能障害なのです。

家族にしかわからない微妙な変化を立証しなければならない。そして、主治医の診断を覆さなければ明日はない。しかし、高次脳機能障害が評価できる病院は限られている。まして高齢者の受入れには絶望的に厳しい。

【立証ポイント】

まず、在住県のリハビリ病院に検査を打診も、拒否された。そこで国立病院に誘致、入院での高次脳評価へ進めた。検査の結果から家族の訴えを裏付ける所見が明らかとなった。ようやく専門医の確定診断を得て、診断書を記載頂いた。

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 本件を担当したことにより、高次脳機能障害では全世代(幼児から80代までの各年代)の被害者の経験を積みました。    壮年、就労者の障害は「仕事への影響」によって症状が客観的になるので、比較的、立証は容易です。しかし、退職後の高齢者は加齢による能力低下、認知症の影響、既往症等を事故外傷による障害と切り分けることがポイントとなります。このように”年齢によって”立証が困難なケースがあります。現在も高齢者案件を数件お預かりしています。

 しかし、本件は幼児の高次脳機能障害です。つまり、将来の障害について成長過程の中から予想しなければなりません。それでは、未知の領域へ挑戦・奮闘の記録をご覧下さい。

 

併合1級:高次脳機能障害・外貌醜状痕(幼児・埼玉県)

【事案】 高速道路で先頭車の急停止に伴い、後続5台の連続衝突。4台目に搭乗中の被害者はその衝撃で頭部をダッシュボードに強打、閉鎖性外傷性脳内血腫、頭部が潰れて深刻な脳内出血を起こした。救急搬送され、緊急開頭手術した。その後、乳幼児の専門医院にヘリコプターで転院し、再度の手術を受けた。

奇跡的に命を取り留めたが、成長に伴い発達障害の兆候を示す。特に語彙の習熟に遅れが顕著であり、コミュニケーション能力にも問題がみられた。また、主治医から小学校進学を前に学習障害の懸念を指摘された。

【問題点】

未就学児であるため、学習障害は将来への懸念であり、高次脳機能障害はあくまで予想に過ぎない。また、精神障害、情動障害、社会適応能力なども成長の過程を見なければ評価できないことも多い。幼児の脳障害、それに伴う精神障害の程度を測るには進学後、数年を経た段階で観察する必要がある。しかし、幼児の脳障害を専門とする主治医は「数年を経たとしても後天的な病気が合併する可能性も排除できず・・・やはり、不正確な判断となる」との見識を示した。最新の臨床研究を踏まえ、高次脳機能傷害を現時点で評価することに決断した。 こうして 前代未聞とまでは言わずとも、極めて少数例である未就学児の高次脳機能障害の立証・申請に及んだ。すべてが未知の経験、2年間、家族とともに手探りの立証作業を進めた。

【立証ポイント】

家族、主治医と実施可能な検査を計画、限られた神経心理学検査は以下の通り。

・ 知能検査: 田中ビネー 、 wppsi 、 2年後に 続きを読む »

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