お仕事をもたれる多くの患者さんにとって、お仕事の終了時間に病院は開いていません。リハビリを整骨院、接骨医の施術で進める方は多いと思います。しかし、後遺症を残すような大ケガの患者さんは病院で治療を進めていないと、症状を軽く判断されてしまいがちです。整骨院・接骨院の効果や役割を理解していますが、どうも後遺障害とは親和性が低いと感じます。

 本件はそれでも腰部神経症状が重篤であったこと、整形外科医の理解があったこと、早期にMRI検査を実施していたことから等級が認められました。しかし、多くの被害者さんは接骨院偏重によって等級を取りこぼしているのが現実です。  

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイク運転中、直進道路で並走していた自動車が左折し、巻き込まれた。直後から頚部~肩部・腰部痛の各神経症状に悩まされる。

【問題点】massage2

相談された段階ですでに症状固定時期であった。頚椎捻挫及び腰椎捻挫の診断を受けていたが、整形外科でのリハビリではなく、接骨院に2日に1日のペースで通院していた。さらに、接骨院の施術証明書の内容では、「改善傾向にある」旨の記載があった。

【立証ポイント】

早い段階でMRIを撮っていたことに加えて、整形外科医が接骨院偏重の患者であったにもかかわらず、快く(?)診断書をまとめてくださったおかげで、併合14級が認められた。

主たる治療先を接骨院とすれば、神経学的所見が厳しく問われる。そして、整形外科医の協力も怪しくなる。本件は幸いな結果であったが、冷や汗ものの申請であった。

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 被害者さんからの相談で、「相手保険会社が弁護士を立てて、調停の提案がきました!」が少なからずあります。治療が長期にわたる方に多いようです。保険会社が治療費の打切りや示談解決へ進めるにあたり、業を煮やしている様子が伝わってきます。

 被害者側は調停云々の前に、まずやるべき事をしっかり抑える必要があります。後遺症が残った場合、等級認定を済ませているでしょうか?(認定を受けている場合)認定等級は正当でしょうか? 申請・認定なきまま、後遺症はないものとして調停で解決させられてしまいます。相手保険会社(弁護士)の狙いは早期解決です。後遺障害認定手続きなど待たず、さっさと進めてしまいます。

 調停の目的とは「相互の歩み寄り」による解決です。つまり、調停員が「(被害者と保険会社の主張する金額の)双方の間位で手を打たないか?」などと斡旋案をだしてくる”ぬるい場”です。しかも、どちらかがその斡旋案を蹴ったらおしまいです。調停の斡旋案に拘束力(斡旋案に従う、または尊重する)はないのです。   c_y_38 ← イラストのような・・  交通事故の場合、多くは保険会社vs被害者となりますが、この交渉の斡旋の場として「交通事故紛争処理センター」(以後、紛セン)があります。調停との一番の違いは拘束力です。「保険会社は斡旋案を尊重する」ことがうたわれています。絶対的な拘束ではないにしろ、保険会社が斡旋案を蹴って、上部審査の審査会や裁判にすることは稀です。断言します、紛センは調停に比べてはるかに被害者に有利です。

 逆に保険会社及び相手弁護士は調停が有利、だから調停解決を持ち出してくるのです。(もっとも紛センは保険会社側から申立てするものではありません。あくまで被害者側のための機関です。)    ここで被害者の採るべき行動を整理します。

1、調停など蹴る。

 双方が参加しなければそもそも調停となりません。ただ、無視・無断欠席は駄目ですよ。必ず、事前に不参加を表明して下さい。

2、後遺障害の認定は?

 後遺障害が賠償金の最大ウェートを占めます。まず、ここを固めなければいけません。秋葉の出番は正にここです。損害がすべて明らかになっていないのに交渉も何もありません。

3、紛センに申立て。併せて弁護士を立てる。

 調停を蹴ったからにはこちらも対案を用意すべきです。それは裁判か紛センです。もちろん、交渉の継続でもよいですが、ここまでもめたら交渉は現実的ではないでしょう。そして、できれば被害者側も代理人(弁護士)を立てて進めるほうが良いです。相手弁護士と交渉するのはそれなりにハードです。    この1~3をしっかり抑えることが基本行動です。交通事故の解決はクールに進めるものです。そして加害者側保険会社に主導権を握られっぱなしから脱却し、被害者側で後遺障害を立証する、代理人を立てる、紛争センターや裁判に持ち込む行動と気概が必要です。

   以下、調停について抑えておきましょう。     民事調停手続 (裁判所さまのHPより抜粋)

1.概要

調停は,裁判のように勝ち負けを決めるのではなく,話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。調停手続では,一般市民から選ばれた調停委員が,裁判官とともに,紛争の解決に当たっています。

2.民事調停の特徴

•手続が簡単  申立てをするのに特別の法律知識は必要ありません。申立用紙と,その記入方法を説明したものが簡易裁判所の窓口に備え付けてありますので,それを利用して申立てをすることができます。終了までの手続も簡易なので,自分1人ですることができます。

•円満な解決ができる 続きを読む »

 14級9号の認定は本人の訴える症状と無理のない受傷機転(どのような事故でどのように痛めたのか)、そして症状の一貫性、治療内容の相当性などから認定に導かれます。もちろん、患者の訴える症状と、医師の診断する他覚的所見が一致していれば言うことなしです。しかし、こと頚椎・腰椎捻挫では自覚症状のみで、多くの場合、画像所見は年齢変性、神経学的所見も目立ったものはでません。したがって、受傷~症状固定の流れを通して、残存する症状の信憑性を判断するしかないのです。

 それでは、特に疑いなく症状が一貫している場合、受傷機転をどう捉えるか?・・審査担当者の印象で決まってしまいます。本件の場合、駐車場内かつ相手は後進であるからスピードは遅く、しかも前方からの衝撃です(一般的に人間の首は後ろからの不意打ちに弱いものです)。救急搬送された訳でもなし、年齢も若くなく、医師も加齢の影響を示唆・・認定はどちらに転んでもおかしくないと思います。

 14級9号の認定率もしくは、相談会での認定予想が80~90%になってしまう理由はまさにここにあります。相談者さまに対して、結果をコミットできないのです。100%認定を目指しますが、14級9号はそもそも「証拠なき認定」であることをご理解いただいています。  

14級9号:頚椎捻挫(60代女性・埼玉県)

【事案】

駐車場内で自動車に搭乗・停車中、駐車しようとした自動車の逆突を正面やや右方から受けて受傷した。帰宅後、頚部・腰部の痛みに加え、上肢のしびれを発症、翌日から通院した。

【問題点】

早期に相談会にいらしたが、この受傷機転から等級認定は厳しいと予断した。しかし、理学療法を継続した結果、症状が残った場合は申請することにした。

【立証ポイント】

医師も「加齢の影響が大きい」とみていたようである。医師面談にて、丁寧に自覚症状を記載頂き、唯一の多覚的所見としてスパーリング検査(+)を落とし込む。あとは無駄な記載を排した結果、14級の認定に至った。 症状の一貫性が評価されたわけだが、審査担当者の印象によっては被害等も十分にありうると思います。この辺が14級9号の読みづらいところ。

 

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 ある日、交通事故でケガをして、その後、治療や交渉のストレスで精神的に追い詰められる・・よくあることです。夜眠れない、フラッシュバック(事故を思い出す)、鬱になる等、心療内科への通院も無理からぬことがあります。しかし、自賠責の後遺障害ではこれら精神障害は相当に重度で、受傷初期から専門医によって一貫して治療されていない限り等級認定となりません。なにより、死に直面するような強烈な体験でなければ説得力に欠けます。

 やはり、14級9号を押さえ込む作業になります。相談会で「私は追突事故でPTSD(心的外傷性ストレス障害)になりました!」と自己診断されても、PTSD患者はそんな元気じゃないよな・・、突然ぶつけられたので死ぬ思いはしてないよな・・と思ってしまうのです。   c_g_ne_83 c_g_ne_85

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(20代女性・埼玉県)

事案】

自転車でT字路の横断歩道上を横断中、右折自動車に右側面から衝突され、転倒したもの。直後、救急搬送され、大事には至らなかったが全身打撲となり、特に頚椎・腰椎にダメージが残った。以後、理学療法を継続も上肢のしびれは改善しなかった。また、精神的にも参ってしまい、心療内科への通院も続いた。

【問題点】

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 交通事故にあった事を知るであろう他人とは・・1、加害者 2、警察 3、病院 そして次にくるのは損保代理店さんではないでしょうか。本件は代理店さんが男気を見せてくれたのはいいのですが、相手保険会社の担当者が過剰反応、弁護士対応とされた件です。しかし、顧客様を救うべく秋葉と共闘、見事に解決の道筋を開きました。  

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代女性・埼玉県)

【事案】

自動車に搭乗、路肩に停車中に追突を受けた。直後から頚部、腰部に痛みが発症、続いてしびれやめまい等、神経症状に悩まされる。また、相手保険会社からの打ち切り打診に精神的に追い詰められていた。

【問題点】

自動車保険加入先の保険代理店さんが窮状を見過ごせず、相手保険会社に治療の延長を求めたところ、弁護士対応とされてしまった。

【立証ポイント】

抜き差しならない状況になってしまったが代理店さんと緊密に連携、こちら側で書類をせっせと集めて被害者請求とした。さっさと14級を認定させ、改めて当方も弁護士を立てて交渉を再開させた。    格言 「弁護士対応されるな、弁護士はこちらから入れるもの」  

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 最近、三井住友の代理店さんと弁護士費用特約についてお話をする機会がありました。三井住友さんの弁護士費用特約は契約自動車・契約者に関連する交通事故に限定した「自動車事故弁護士費用特約」と日常生活全般に適用可能な「弁護士費用特約」に分かれています。ちなみに秋からの料率改定で「日常対応型」は掛金が3900円(年額)に上がるそうです。安いのか高いのか?・・交通事故のみならず、日常のトラブル全般に適用できれば、ある意味、顧問弁護士を準備していることになります。そう考えると安いと言えるかもしれません。

 外資系損保の一部でも日常に対応した弁護士費用特約が販売されています。また、これを専用商品としている会社もあります。プリベント少額短期保険株式会社さんの「mikata/ミカタ」がそうです。1回の事件で弁護士への支払い・300万円までの補償で掛金は月額2980円です。    c_y_184  今後、弁護士保険の発売が続きそうです。国内社では損保ジャパン日本興亜さんが以下の発表を行いました。その記事を抜粋します(マイナビニュースより)。    

損保ジャパン日本興亜、弁護士費用を補償する「弁護のちから」販売

    損害保険ジャパン日本興亜(以下損保ジャパン日本興亜)は8月31日、個人の顧客の日常生活における法的トラブルを解決するための弁護士費用を補償する新たな保険「弁護のちから」を、12月1日以降保険始期契約から販売すると発表した。

○ 日常生活における法的トラブルを解決するための弁護士費用を補償する保険を開発

 これまで、日常生活における法的トラブルに備えるための保険としては、顧客が「加害者」となり法律上の損害賠償責任を負った場合の補償(個人賠償責任補償特約等)を中心に販売してきたという。顧客が「被害者」として賠償事故に巻き込まれ、加害者に十分な対応をしてもらえない場合や、遺産相続や賃貸借契約など日常生活におけるその他の法的トラブルに巻き込まれた場合には、当事者本人や家族の精神的・経済的な負担は非常に大きいものとなるという。このような顧客の負担に対する「備え」を提供するため、損保ジャパン日本興亜は国内の損害保険会社として初めてという、日常生活における法的トラブルを解決するための弁護士費用を補償する保険を開発した。

○「弁護のちから」の商品概要

・商品名:「弁護のちから」。「傷害総合保険」と「新・団体医療保険」の特約として「弁護士費用総合補償特約」を新設する。「弁護のちから」とは、同特約をセットした契約のペットネーム

契約形態:企業などを契約者とする団体契約で、団体の構成員が加入できる

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 過去、むち打ちながら、謎の嗅覚障害、耳鳴り、排尿障害・・これらを苦労して等級に結びつけることをやってのけました。原因の追究は医師でも不可能、正に真実は神のみぞ知る状態です。丁寧に症状とその治療経過、及び検査を重ね、信憑性を高める作業となります。しかし、どう見ても因果関係に乏しい症状を訴える被害者さんも存在します。それを審査にぶつければ非該当が待っています。現実的に無理のない主張にて14級9号に収めた方が賢い道です。    20070618 

14級9号:頚椎捻挫(40代女性・東京都)

【事案】

自動車運転中、渋滞中の直進道路で後続車の追突を受ける。なお、追突者は逃走し、その後逮捕、実刑判決となった。 受傷直後から頚部痛、手のしびれ等の神経症状を発症。また、視力低下とうつ病も併発。

【問題点】

むち打ちながら、事故からしばらく経ってから徐々に視力が低下したと言う。さらに、頚部痛や手のしびれの辛さからうつ病を患い、症状が長期化したらしい。それでも何故か相手保険会社から治療費打切り要請を受けず、事故から1年5ヶ月通院が続いていた。担当者は忘れていたのかも知れない。

【立証ポイント】

結論として、視力低下の立証は相談された段階で諦め、症状が一貫している頚部痛及び手のしびれで後遺症(後遺障害)を追うことにした。事故外傷が原因で視力低下したのであれば顔面や頭部への直接のダメージがないと信用されない。さらに、事故直後から直ちに視力低下していなければ説明に窮する。そもそも視力低下は13級の数値に満たない。立証は非常に困難であることを納得していただいた。

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 病院同行を励行している理由の一つにその地域の病院情報を把握することがあげられます。病院の対応に合わせて立証作業を進めますので、事前情報は何より重要です。

 話は変わりますが、CD-ROMが普及の中、レントゲンフイルム1枚=○千円の病院は困ります。レントゲン数枚であればいいのですが、MRIやCTまでフィルム(非常に観づらい)にすれば数十枚~100枚を超えます。これはもう、嫌がらせに近いと思います。このような病院への画像請求には泣かされます。 c_g_l_12

14級9号:頚椎捻挫(70代男性・山梨県)

【事案】

自動車運転中、交差点を直進中に、よそ見運転の右折自動車が衝突した。事故直後から頚部痛、指のしびれの神経症状が現れる。

【問題点】

被害者は事故前から頚部痛の治療を受けていた。したがって、交通事故による症状とそれ以前の症状を分ける必要があった。

また、交通事故で通っている病院はむち打ちでなんと毎月、計7回もレントゲンを撮っていた。さらに、画像はフィルム枚数で値段設定していたため、請求したところ合計15万円以上かかる計算になった。

【立証ポイント】

この病院は士業者等を嫌うことを数年前の案件で知っていたので、直接の面談は回避、手紙等でフォローした。予想に反して医師は既往症と交通事故による症状をしっかり区別、それなりに良い診断書ができあがった。これは同地域の病院情報に精通していた賜物。

頚椎捻挫は、画像所見が現れなくても症状を信じてもらえれば14級9号が認められるものである。MRIは提出必須であるが、骨折なくば審査上レントゲンの必要性は薄い。よって、初回撮影のみを購入して提出した。

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 亡くなった私の祖母もそうでしたが、昔気質の方の多くは医師に何を言われても「はい」しか答えません。こちらからお医者様に意見など、とんでもないことなのです。明治~昭和初期生まれの方はそれは奥ゆかしいのです。

 それでも、しっかり主訴を説明できねばよい診断書は上がりません。本件はご家族の助力により無事に等級認定に漕ぎ着けました。    

14級9号:腰椎捻挫(60代女性・山梨県)

【事案】

自動車運転中、直進道路で走行車線側を走行中、前方追越車線上で停止していた自動車を避けるために車線変更した並走自動車の追突を受ける。直後から頚部・腰部痛の各神経症状に悩まされる。

【問題点】

頚椎捻挫及び腰椎捻挫の診断を受け、その後、頚部痛は改善したが腰部痛が残存する。問題は被害者が高齢で、手続きの流れを理解することや医師と話すのが苦手な方であった。

【立証ポイント】

幸い依頼者の長女が近所に住んでおり、全面的に協力を仰いだ。病院同行に随行頂き、主訴を的確に医師に伝えることができた。結果、的確な診断書が完成、14級認定となった。 本案件はご家族の協力があってこその認定結果であったと考える。  

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win  被害者請求の場合と事前認定の場合とで、被害者自身が回収する必要のある書類の量に差がでます。 後者の場合、これまで前者に比べて非常に楽である旨を何度も述べさせて頂きました。その楽である特徴の一つとして、回収する書類が非常に少ない点にあります。  大抵、交通事故の加害者側の任意保険会社(以下、相手方保険会社と略す)が被害者にお願いする書類はたった一つに絞られます。それは、後遺障害診断書です。残りの書類、例えば、診断書や診療報酬明細書(レセプト)事故証明書等は、既に相手方保険会社が回収しているのが通常です。何故なら、相手方保険会社は、治療費等を出す際に、自賠責保険に求償するため、どのような事故なのか、どのような治療をしたのか、どのぐらい病院に通ったのかを調べるからです。

※ 求償とは、単純に言ってしまえば、本来お金を支払う者が別にいるのに、違う者が代わりに支払った場合には、代わりに支払った者が、来支払う必要のある者に対してお金を請求することです。

※ ちなみに自賠責保険の制度は国民皆保険制度に近いものであり、被害者には、契約者に代わって自らに保険金を支払うように請求する権利(16条請求=被害者請求)があります。この自賠責保険が支払う金額は、最低限度分であり、相手方保険会社の支払いよりも優先されるものです。

 もし、交通事故の被害者がまず自分で病院に治療費を支払い、その分のお金を加害者が被害者に支払い、その後、加害者は自分が加入している自賠責保険に支払った分のお金を請求する・・・このやり方ですと非常に面倒なので、相手方保険会社がサービスとして、まず、相手方保険会社が治療費を負担して直接病院に払い、その分を自賠責保険に請求することで運用するのが普通の流れです。このことを一括対応といい、長くなってしまいましたが、最後に任意社が自賠社に一括対応分を請求することを求償と呼んでおります。

 以上から、症状固定をするまで、相手方保険会社は各種書類を集めつつ治療費等を支払い続けていくことがわかります。そして、後遺症(後遺障害)の申請の際に、最後に欲しがるのは、お医者様自身が後遺症(後遺障害)と認めた点をまとめた書類だけなのです。それが、後遺障害診断書です。

 しかし、これまで様々な相談者を見てきましたが、ここまできれいにいかない場合もありました。例えば、相手方保険会社が診断書や診療報酬明細書をすべて回収せずに、病院からの領収書のみで治療費等を支払い続けている場合もあります。(もっとも自賠責保険の傷害限度120万円を超えれば、自賠責に求償する必要がなくなるので、超えた治療費は領収書で済ますこともあります。)この点、良心的な相手方保険会社であった場合、最後にまとめて回収する場合もありますが、まったく回収せずに手続きを進める場合があります。    20121107  また、後遺症(後遺障害)の申請では、我々は画像を併せて提出しますが、事前認定の場合では、相手方保険会社がすべての画像を回収せずに申請してしまうこともありました。何故、画像を回収しなかったのか?ですが、自賠責保険のパンフレットもご覧いただければわかりますが、画像は必要書類リストに入っていないことがあり、相手方保険会社も迅速に手続きを進めていきたい思惑と、後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低いとみていることから、画像回収に積極的になりにくいことがあるとみています。

 以上から、結果、中途半端な書類のみで申請にあげられる可能性があることになります。さらに、被害者からすると、申請するために提出した書類は何かがわからないまま申請が進みます。

 一方で被害者請求は、すべての提出書類と画像を用意するという大変な思いをしますが、ご自身の症状を必要な書類にまとめて、かつご自身の画像等、自ら必要な書類を確認してから提出できます。

 結論として、被害者にとって、一番安心できる申請は被害者請求であるといえます。しかし、書類等の回収が大変です。そこで、交通事故を専門としている等の士業の方々に被害者請求を依頼する方法もあります。 このようなことから、交通事故に遭われた方々は、なるべく早めに専門家等に相談することをお勧めしております。

※ 但し、士業者の中には事前認定のみしかやらない方もおりますので、相談される際には質問してみてください。  

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 今月の札幌出張は病院同行です。

 長い治療期間、骨折の治療でいくつかの病院に通いました。毎度のことですが肝心の高次脳機能障害は十分な検査が成されていません。訪問した病院では既に主治医は転勤しています。それでもまず、最初の脳外科に戻って必要な検査の実施について検討しなければなりません。

 運よく、代わりの医師は高次脳機能障害の評価に速やかに応じていただけました。続いて最後のMRI検査を経て、言語聴覚士の先生と神経心理学検査の選択について打合せをしました。ここで検査について「何をどこまでできるか」を確認、短時間ながら綿密な計画を策定します。最後に医事課と一括対応の継続について調整、これにて被害者は高次脳機能障害の立証に向けてレールに乗ったことになります。飛行機代をかけてまで随行するのはこのような流れに誘導するため、現場で話をつけることが最も確実だからです。      coordninate     それでは恒例の温泉立ち寄りをレポートします。千歳空港から50分足らずの登別温泉に泊まりました。ろくに夏休みを取っていないのでよい休暇となりました。宿はビジネス利用っぽいホテルですが、高層階からの山々が美しい。 2015082104430001続きを読む »

 症状固定を急かすのは治療費を抑制したい、案件を早く消化したい保険会社の専売特許ではありません。被害者側でフォローする私達も必要があれば、被害者を説得します。理由は色々ですが、いたずらに長い治療期間が好ましい結果を生まない事例をたくさん見てきているからでしょう。    

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代女性・埼玉県)

【事案】

信号待ち自動車搭乗中、交差点で後続車の追突を受ける。直後から頚部痛のみならず、両手のしびれ、下肢裏のしびれが続いた。

【問題点】

通勤中の事故であり、労災請求が先行されていた。労災で治療費がでると、相手保険会社は負担する治療費が抑えられるため、治療費打切り攻勢が和らぎます。よって、だらだらと長い治療期間となるケースが多い。治療効果があれば良いが、社会復帰の遅れや体力・気力の低下など、患者にとって必ずしも好ましいものではない。

【立証ポイント】

おかしな話ですが本件は私が症状固定を急かすことになりました。 中途半端な回復による等級認定の危惧もさることながら、事故が長引き、社会復帰が遅れるマイナス面を感じたからです。患者の多くは治したいが故、長い治療を志向します。しかし、外傷性頚部症候群の神経症状は、医学だけに頼っては治らず、長期となれば日常のリハビリが効果的であると、どの医師も口を揃えます。被害者とて甘えてばかりでは失うものが多いと思っています。

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 8月はお盆を挟み、病院同行も少な目です。この機に事務所の書類棚を拡充、ご依頼増加に備えています。たくさんのご相談を待っております!!(ようやく言えるセリフです)

 また、日頃使用するツール(診断書や調査書)もコツコツ作っています。今まで必要ながら、時間がなくて作れなかったものです。日曜大工から書類作成まで、働き者の補助者の皆さんに作ってもらって大助かりです。

 来る受任拡大に向け、準備が整いつつあります。これにて、本来の私のビジネス属性=「営業」にターボをかけることができます。私が一番やりたい仕事は、新企画の立案・新規獲得の営業と思っています。

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win 事前認定が多く利用されるのは何故か。

 前回説明した内容から、事前認定は、加害者側の任意保険会社が、サービスで後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。この事前認定が多くなされる理由(視点)として、以下の(1)~(4)が挙げられるとみています。これらはそれぞれ重なり合う箇所があります。   (1)交通事故被害者が手続方法を調べることにまで手が回らないこと。

 交通事故に遭われた方は、ご自身の治療で大変な思いをされています。中には治療するために通院していくだけでも体力がすり減っていく者もいます。そのような方ですと治療途中で後遺症(後遺障害)の申請方法を調べる余裕がない場合があります。そのような状況で、保険会社がサービスとして申請しますといえば、頼んでしまうことも無理はありません。   (2)交通事故被害者が交通事故での手続の流れをそもそも知らないこと。

 交通事故について調べるのは、実際に交通事故にあってからであることが通常です。そして、交通事故で大怪我をし、治療しながら交通事故の手続き等を調べることは、とても困難です。ご自身の治療で忙しい中、交通事故について調べる余裕がない方の場合、次の(3)で説明致しますが、専門の方から勧められる楽な事前認定を選択することがあります。また、調べる余裕がある幸運な方は、被害者請求と事前認定とを比較できる場合もありますが、後述する(4)であげられるように、手続きが面倒で複雑であることがわかると、やはり手続きが楽な事前認定を選択することがあります。   (3)相談した弁護士や保険会社の人から事前認定を勧められたこと。

 治療で忙しいと交通事故の手続きを調べられない方もいます。そのようなときは誰かに相談します。その際に思い浮かべやすい各交通事故の専門の方として、いつも連絡が来る加害者側の任意保険会社や、ご自身が契約している任意保険会社が筆頭としてあげられます。

 これらの保険会社がアドバイスする際に、事前認定のみを勧められることが多く、またそれしか説明されないことが多いのが現状です。そうなると、被害者にとってはその情報のみが唯一の答えになりますので、事前認定を選択することが多くなります。

 では、何故、事前認定を勧めるのでしょうか。

 理由の1つとして、保険会社の担当者が、事前認定の方法しか知らない場合が多いことがあげられます。交通事故で実際に後遺症(後遺障害)が認められるレベルの大怪我をする人の割合は、交通事故全体からすると少ないのが現状です。このことから、保険会社の担当者は後遺症(後遺障害)が認められない人の処理が大多数となります。また、その担当者は年間に交通事故の処理をおよそ100件もしています。そのような多忙な中で、被害者の一部が交通事故の後も症状が残存していると相談してきたとしても、そもそも後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低い現状、さらに、審査するところは同じなのでどちらを選択しても結果は変わならい故、担当者は被害者にとって煩雑な被害者請求よりも、簡易な事前認定をアドバイスすることが多くなります。

 また、別の回で説明致しますが、事前認定は申請者が任意保険会社であることと関連して、任意保険会社が後に交渉しやすくなる場合があることもあげられます。そして、このような事前認定を普通とする歴史を繰り返してきた保険会社からすると、相手が無保険(任意保険に入っていない)の場合しか被害者請求はしないものだと担当者は思っています。そのような方の場合ですと、事前認定しか紹介されません。   (4)交通事故被害者にとって被害者請求の手続が非常にめんどくさいこと。

 交通事故のことについて、親切な任意保険会社の担当者や、詳しい士業者の説明によって、被害者請求と事前認定とを比較して調べることができる方も近年では増えつつあります。しかし、手続きで取得する必要のある書類は多く、また怪我の内容・症状によっては、特殊な書類も必要になることもあります。そして、被害者請求の申請者は被害者自身です。よって、交通事故に遭い、怪我で大変な思いをしており、治療で忙しい被害者はそれらの書類を回収する必要があります。常識的に考えて被害者は嫌がります。しかも、事前認定は保険会社が申請してくれるのでとても楽です。よって、仮に被害者請求と事前認定とを比較できたとしても、事前認定を選択するは無理もありません。  

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 お盆休みを経て、朝晩大分過ごしやすくなりましたね。逃げ場のない酷暑は峠を越したようです。

 さて、秋からは来年の展望に繋がる仕事が目白押しです。8月の残りはまさに準備期間、まずは業務日誌の空白を早く埋めたいところです。書きたいテーマは山ほどあるのですが、日々の事務に忙殺されつつ・・来週までにまとめて更新、継続したいと思います。

 明後日からはまたも札幌出張です。涼しさを満喫したいと思います。

kuma  

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 街行く人並みもまばらになりました。

 事務所は明日から日曜日まで夏季休暇に入ります。しかし、期間中は病院同行2件、仕上げるべき書類2件、細かな事務も残っています。そして、日誌の更新も4日分溜めてしまいました。まとめてUPしないと休む気分になりません。例年に同じく、秋葉の休みは飛び飛びとなるようです。(補助者、社員の休みはちゃんと確保されていますよ!)

 一気に1週間の休みなど夢のまた夢、それでもいずれ休暇をしっかり取れる体制にしたいと思います。休むことも仕事のうちです。

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win  後遺症(後遺障害)の申請については、被害者請求と事前認定と比較して説明していきます。 c_g_a_5-118x300  被害者請求とは、端的に言えば、交通事故の被害者が、ご自身の怪我によって残存した症状(後遺症)が、等級が認められるレベル(後遺障害であること)である旨の主張を被害者自身で自賠責調査事務所に申請することです。

 自分の怪我について、一番詳しいのは医者と本人ぐらいなので、その本人(被害者)自身が申請をするのは自然な流れです。これだけ聞くと、何を当たり前のことを言っているのかと思う方が多くいらっしゃると思われます。しかし、この被害者請求は現実的には行われないことの方が多いのです。

 この点、後遺症(後遺障害)が残るレベルの怪我をする者の絶対数の割合は、交通事故全体の割合からすると多くありません。よって、後遺症(後遺障害)の申請数自体は少ないといえます。ここでは、交通事故の被害者のうち、後遺症(後遺障害)が残ってしまった者のみを前提にして説明させて頂きます。

※交通事故の発生件数  警視庁の発表によれば、平成24年は66万5,138件、25年は62万9,021件、26年は57万3,842件、と減少傾向にあり、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、交通事故による死亡者、負傷者も年々減少してきています。

 後遺症(後遺障害)の申請方法には、被害者請求の他に事前認定という方法があります。事前認定とは、通院するために治療費等を出してくれた加害者側の任意保険会社が、サービスの一環として、自賠責調査事務所に後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。後述しますが、後遺症(後遺障害)の申請方法として一番多く選択されるのはこの事前認定です。

 以上から、被害者請求と事前認定との違いとして、

 申請者が、  前者の場合は被害者、  後者の場合は加害者側の任意保険会社、  であることがわかります。

 このことのみでは単に申請者が異なるだけで別に変わらないようにも見えます。しかし、この申請者が誰であるかが、その後の交通事故被害者の行方に大きく影響してしまうことがあります。

 次回から、この申請者の違いによる観点を中心に、被害者請求と事前認定について述べていきたいと思います。  

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 本日の病院同行は新幹線に乗って他県まで足を伸ばしました。本件むち打ちの依頼者さまは、当初、弁護士に依頼して進めてきたのですが、等級審査の結果は「非該当」。やり直しの仕事となりました。

 詳しく事情を聞くと、その弁護士からMRIについて「所見がないから提出は止めましょう」と留められ、相手保険会社に後遺障害診断書のみを提出するよう指示を受けたそうです。つまり、交通事故の知識がお粗末ゆえ、提出書類不足まま「事前認定」としてしまったのです。おまけに、弁護士は単なるむち打ちながら、主治医に電話でカルテ提出を要請したそうです。

 その主治医と面談したのですが、当然ですが、法律家への不信感から苦言をいただきました。

 主治医よると・・その弁護士から電話で高圧的にカルテ開示を求められ、理由を尋ねると、「何で出せないんだ!」と逆切れされたそうです。この弁護士って・・調べてみると案の定、悪いことをして懲戒を受けている先生でした。

 この弁護士の是非は言うまでもないのですが、問題は根底にある人間性、言い換えると歪んだ職業意識ではないでしょうか。

     その日の夜、BSで映画『おくりびと』が放映されました。2度目ですがしっかり鑑賞しました。ご存知と思いますが、本木 雅弘さん演じる主人公は「納棺士」という、この映画によって認知が広まったマイナーな職業です。亡くなった人をきれいにして棺桶に治める仕事です。劇中、主人公の妻である広末 涼子さんはその仕事に偏見を持ち、最初は反対します。しかし、夫の仕事に立会い、その真摯な姿勢をみて・・その職業への意識を改めます。    okuri  この映画で特出なことは、納棺士の所作の美しさではないでしょうか。死者を送る作業随所に誠心が感じられ、凛とした緊張感だけではなく、清清しさ、暖かさやユーモアすら感じます。そして、周囲の遺族のすべてに追悼の念が沸き起こります。この映画が宗派を越えて、世界中から評価された理由がよくわかります。そこには誰にでも訪れる死に対し、”人間の尊厳”が宗教を超えて普遍的に謳われているからではないでしょうか。

   このように、真に仕事に打ち込む姿は職種に限らず「美しい」ものだと思います。「心は所作に表れる」と言いますが、心を尽くして作業に没頭する姿は人間の一番美しい姿ではないでしょうか。仕事はそのような境地で取り組むことが理想と思います。そこには損得計算、傲慢など、雑念はありません。

 そのような仕事人は美しく見えるはずです。しかし、驕慢心があっては決して美しく見えない。また、人の仕事に敬意を払っていなければ美しさを見出すこともできない。「職業に貴賓なし」と言われる通り、他人や他人の職業に敬意を払えない人には何も写らないでしょう。そして、そのような人は自らを醜く描出してしまうと思うのです。これは、医師、弁護士、どのような職業でも同じです。    私の仕事、メディカルコーディネーターも世間的にはマイナーな仕事です。人知れず日々病院に同行しています。医師にご迷惑をおかけすることもあります。なかなか周囲に理解されないかもしれません。

 それでも、私の所作は美しく見えているでしょうか?  

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 埼玉県代理店協会のセミナー講師を拝命、無事、務めてまいりました。事務所の総力をあげて準備し、灼熱の大宮に昼過ぎに入りました。37度を記録する猛暑日、空気が重いのなんのって・・。

2015080714060000  テーマはむち打ちを中心とした交通事故・後遺障害を取り上げました。県内、各社をリードする錚々たる大型損保代理店さま、およそ70代理店のご参加をいただきました。随所にギャク炸裂、ご質問も活発に頂き、楽しい勉強の時間となりました。普段は弁護士先生を対象とする講義が多い中、やはり代理店さんは昔からの仲間、親和性を感じます。 続きを読む »

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