今年に入って時効接近相談者を3件担当しました。時効接近相談者、私の造語です。「時効間際になって駆け込んできた」、「時効の接近に気付かずにいた」被害者さんです。

 あと○日!鬼のように書類を集め、寝ずに書類を書きあげ、受付窓口に放り込む・・・(お願いです、相談は早めに来て下さい!)

 さてこの時効ですが、交通事故において 民法の損害賠償請求権 → 自動車任意保険 → 自賠責保険 の3つを確認しておく必要があります。    1、治療費や慰謝料はいつまで請求できるのか

<民法> 第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

 事故から3年過ぎて「車を弁償して下さい」「治療費を出して下さい」と言っても「時効なので払えません」と言われても仕方なくなります。

 条文2行目の20年とは・・・たとえば相手を知ったのが8年後(ひき逃げ犯が8年後に捕まった」、損害を4年後に知った(脳の障害は4年前の事故が原因であったと診断、やっと認定された)、このように3年を過ぎてしまうことがあります。それでもどんな理由にせよ20年で時効になります。  

※ 時効をストップさせるには

・裁判をおこす  ・・・確実にストップできます。

・催告する   ・・・内容証明郵便等で請求を行い6か月延長させる。ただし 6か月以内に裁判を起こさないと時効となります。

・債務の承認  ・・・相手に請求を行い、1円でもいいから払ってもらう。これは相手が自分に支払い義務があることを認めることになります。そこからまた3年です。   2、任意保険会社と示談交渉中ですが・・

<保険法> 第95条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。    昨年の改正前まで2年でした。なんで民法が3年なのに保険は2年と厳しくなっているの?との声が上がったのでしょうか、同じく3年となりました。 時効の中断は民法と同じ扱いです。   3、相手が任意保険に入っていない/自分で後遺障害の申請をするため ・・自賠責保険に被害者請求をしよう・・

<自賠法> 第19条  第16条第1項及び第17条第1項の規定による請求権は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。    時効を中断させるには「時効中断申請書」を担当損保窓口にに提出し承認を受けます。2週間ほどで承認書として戻ってきます。   4、民法も3年、任意保険も3年に、それなら自賠責も・・

<保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律> 第15条 自動車損害賠償保障法の一部が改正され、「第19条第1項中「2年」を「3年」に改める。    この「○○に伴う関係法律の整備に関する法律」は特別法のようなもので、便利に使われます。そもそも法律改正は国会の承認や周知期間など、実現するまで時間がかかるものなのです。そこで他の法律が改正され、急ぎ準じる必要がある関連法律をこのように修正するのです。お堅い法律も柔軟なところがありますね。    これですべて3年。覚えやすくなりました。                               

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 交通事故に携わって20年、なんて謳っています秋葉です。20年もやっていれば色々なドラマに直面するものです。TVドラマの1シーン、留置所で被疑者と家族が透明のアクリル板越しに会話する場面がありますね。何回か同席しています。特に交通事故の加害者となって警察署に収監されている場合、家族の心情は凄まじいものがあります。以下役に立つ?(機会がないほうがいいですが)面会の流れを・・・

1. まず受付。面会申請書と差し入れリストの記入をします。

 ・洋服・・・3日分程度の着替え。ベルトや紐が付いたものはNGです。自殺防止の為です。スエットパンツなどは腰紐をスルスルと抜き取ります。  ・現金・・・警察署内の購買店で買い物ができます。一度「上限は?」と聞いたことがあります。答えは「ないですが、担当警官の判断で高額は遠慮してもらいます」とのこと。食事もデリバリーOKなのでかつ丼やラーメンも注文できます。  ・本・・・漫画、雑誌もOKです。ただし一度に3冊までです。当然刺激的なものはダメです。

2. 待合室へ通されます。

 なんか訳ありの人達が静かに面会を待っています。乳飲み子を抱いている奥さんなんか見ると心が痛みます。面会時間は15分が標準なのですが同時間に面会が集中しないよう事前予約制の警察署が多いです。毎日面会する場合、取り調べの日、検察送致の日などは面会できないのでスケジュールを確認しておくとよいです。

3. 呼び出され、まず面会者が面会室に着席。

 1分ほどしてアクリル板の向こうのドアが開きます。立ち合い警官に連れられ被疑者が着席します。  その瞬間、面会者の家族共々号泣となります。積もる話もありますが、なかなか言葉になりません。私が今後のこと、手続きを説明し、「○○弁護士を手配したので午後面会に来ます。安心して下さい。」と続けます。

4. 少し落ち着いてきます

 被疑者「次は漫画の○○の6巻から9巻を持ってきて」、家族「えっどこにあるの?」と連絡事項のやり取りです。後ろで立ち合い官が漫画のタイトルまで記述しています。暗号や、文章・写真を見せる、手を使ってのサイン等はNGです。でも子供の写真はOKしてくれます。  そして足りないはずの15分は残り3分位残して「もういいです」となります。

5. 帰り際

 家族は受付で洗濯物を預かって帰宅します。この僅かな時間で家族は濃密な経験をします。特にさっきまでメソメソしていた奥さんも腹が据わってきて保釈まで大活躍します。つくづく女性は強いなぁ、と感心します。

 あまり経験したくないことですね。私も運転をしますので加害者になる可能性がないわけではありません。家族にはもし私が逮捕されたら、「○○弁護士先生にすぐ連絡して」と言っています。つくづく運転には気を付けたいものです。

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