てんかん発作は、今まで受任した頭部外傷の中に一定数見られました。最大の問題は、再発作への警戒から症状固定日が遅れることです。ご本人ご家族にしてみれば、再発作に怯える毎日です。症状固定に進め、解決することに躊躇してしまうのです。  てんかんは論点が多く、3回にわけて解説したいと思います。   (1)病態

 頭部外傷後のてんかんの初期発作は、統計上は、約75%が1年以内となっており、開放性脳損傷は、閉鎖性脳損傷に比較すれば外傷性てんかんの発生頻度が著しく高く、陥没骨折後の発作頻度は、約30%と報告されています。

 専門医は、口をそろえて「2年間の観察と投薬、そして定期的に脳波検査」としています。   (2)症状

 外傷で、脳の実質部に残した瘢痕は、手術による摘出以外、消去することはできません。この瘢痕部から発せられる異常な電気的信号に、周辺の正常な脳神経細胞が付和雷同して大騒ぎをしている状態を、外傷性てんかん発作といいます。発作は、とき、ところを構わず、突然、発症しますが、時間的には、ほとんどが2、3分で終わります。

強直性全身痙攣発作

 

 発作には、大発作、焦点発作、精神運動発作がありますが、発作を繰り返すことにより、周辺の正常な脳神経細胞も傷つき、性格変化や知能低下の精神障害をきたします。高度になると痴呆・人格崩壊に至ります。

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