【事案】

オートバイで直進中、対向車が駐車場に入ろうと右折、衝突・受傷する。

救急搬送先の診断名は、ざっくり全身打撲。続いて、精査の為にCT・MRI検査の結果、診断名に肩腱板損傷が加わった。その後、肩関節の激痛と挙上不能から、近隣の整形外科で理学療法を継続した。

【問題点】

一向に痛みは治まらず、肩腱板(棘上筋)の損傷も不明瞭のまま・・。相手損保との交渉も紛糾、ついには弁護士を入れられてしまった。この時点で相談となった。

早速、肩のMRIを観たが、初期にひどい炎症が観られるも、肩腱板に目立った損傷は見られなかった。これでは、痛みの14級9号止まりか・・。

医師面談当日、病院前での打合せにて、本人から「肩の骨が出っ張っている」ことを初めて聞いた。早速、シャツを脱いでもらうと、明らかなピアノキーサイン(肩鎖関節脱臼で鎖骨が上に出っ張る)!!! 腱板損傷は誤診で、肩鎖関節・亜脱臼(GradeⅡ)と素人ながら確信した。本件は久々に「誤診を正す」ミッションとなった。

肩鎖関節脱臼とは? 👉 肩鎖関節脱臼   【立証ポイント】

すぐさま、主治医に対して「肩鎖関節脱臼」と鎖骨変形を改めて診断の上、診断書にご記載をお願いしたが、素人診断に耳を貸すほど医師は甘くない。どうしても認めてくれないので、少なくとも左右比較の為に、ケガをしていない方の肩もレントゲン撮影お願いした。それも怒鳴るように拒まれたが、必死に頼み込んで撮って頂いた。

次いで、先の左右比較のレントゲン、肩鎖関節脱臼を示すCT、MRIの打ち出しを独自に編集、5枚の打出しを作成した。この打出し資料を持参の上、MRI検査をした病院に戻り、医師に掛け合って診断名を変更して頂いた。ようやく「肩鎖関節脱臼」の診断名、この時点で事故から9カ月が経過していた。   いざ申請へ、本件被害者さんが肩を写メで残してくれて助かった。これらの写真と先の画像資料に、診断名が遅れた理由を経緯書にまとめ、被害者請求を敢行、わずか1か月で鎖骨の変形が認められて12級5号の認定となった。   最終回の逆転劇、これで賠償金が2倍以上に跳ね上がる。立証の苦労が報われたが、運もあったと思う。医師が診断名を間違えると・・たいてい、取り返しのつかない結果となるのです。

(令和5年4月)  

続きを読む »

 どんなスポーツ、競技でもオフェンス(攻撃)とディフェンス(防御)の場面に二分されるものです。どちらかに偏重しようと、片方を完全に捨てることはないはずです。これは、自動車保険にも当てはまる概念です。    自動車保険における攻撃面、これは賠償保険に置き換えられます。加害者になってしまった時、人をケガさせてしまった場合の対人賠償、相手の「物」を壊した場合の対物賠償、これら賠償問題の解決に自動車保険は絶対に必要です。一方、被害者になることも想定すべきです。ケガをさせられた場合の人身傷害、自動車をぶつけられた場合の車両保険が代表的です。他に、無保険の自動車から重度の障害を被った、あるいは亡くなった場合、人身傷害保険を越える損害額となれば、無保険車傷害保険の対応が加わります。無保険車傷害は、ほとんどの保険に自動担保されています。また、相手への賠償請求を弁護士に委任する場合、その費用負担となる弁護士費用保険も、ディフェンスの保険と言えるでしょう。

 この内、人身傷害保険と車両保険は、自身の単独事故による自らの損害を補填することだけに目が行きがちです。掛金が高いので、どうしても、「自爆事故はいいや」と補償を削る傾向なのです。しかし、任意保険をつけていない加害者から、”自らを守るための保険”でもあります。これにも、保険加入の意味が十分にあると思います。皆、自爆事故にはある種の諦めがありますが、他者にやられた場合はそうはいきません。憤慨やる方ない状況に置かれるはずです。そして、何より、無保険の人が「すみません、修理費は全額きっちり払います、治療費も慰謝料も十分に補償させて頂きます」とお財布を開くことなど、ほとんどありません。たいてい、「自分は悪くない」「修理費が高すぎる」とごねて、終には「お金はありません」と居直ることが圧倒的なのです。     事故のおよそ40%は被害事故です。被害に遭った場合、相手が自動車保険に加入しており、かつ、常識的な人であれば、なんとか相手からの補償で解決できます。しかし、日本損害保険協会の統計上、通年約20%前後が任意保険に未加入との現実があります。つまり、街を走る自動車の5台に1台は無保険なのです。意外と思われる多さと思います。しかし、私の経験では、相談会に被害者さんが10名いらっしゃると、その内、1~2名は相手が無保険で・・との相談になるので、「やはり、統計通り」と思います。だからこそ、ディフェンスの保険がより大事に思えるのです。

 保険代理店さんがお客様に自動車保険をお勧めする時、車両保険の説明で多くの時間を割くことになります。なにせ、賠償保険だけの保険に比べ、掛金が2~3倍になるからです。掛金が高いことイコール、それだけ事故が多く、保険金がかさむからに他なりません。しかし、ギリギリの家計の中、掛金の負担はできるだけ抑えたいのが人情です。人身傷害保険は個人加入の保険では100%近い加入率です。ただし、車両保険に加入していない方は半数と思います。この方々は対人・対物賠償により、加害者になった場合は保険会社任せでOKです。賠償金の負担と煩わしい(加害者としての)交渉をせずに守られます。ただし、やられた場合、それがケガであれば、最悪、人身傷害でカバーできますが、車両保険に入っていなければ、相手から取るしかないのです。そして、無保険の相手がすんなり修理費を払ってくれることなど、実は大変珍しい現象です。また、仮に自動車保険(対物賠償)に加入している人であっても、過失割合でもめにもめます。これが、交通事故で一番多い紛争になるのです。    東京海上日動さんの優秀な代理店さんは、トップクオリティⅢと社内で表彰されています。売上が一定規模を越えていることが条件ですが、そのレベルを維持する為に、損害率=事故の少なさも重要な評価ポイントになります。トップの保険マンは、「車両保険に加入しない場合、そのお客さまは謝絶します」とまで、徹底しています。理由は、「被害事故の場合、必ずもめる」からです。先の説明の取り、車両保険に加入しているお客様は、加害事故・被害事故の双方で守れますが、車両保険が無い場合、助けきれないことが頻発するのです。そのようなお客さまを抱えていては、経営効率が低下、クオリティの維持ができないと、割り切ってしまいます。かなり、思い切った経営判断と言えます。それ位、徹底しているようです。

 自動車保険加入の動機は、大きく加害事故(オフェンス)と被害事故(ディフェンス)対策になります。どこまでの補償を求めるか・・悩ましい問題です。私達のような仕事をしていますと、被害者の悲惨な事故を多く見ていることから、ディフェンスこそしっかり確保したいと考えます。掛金は高いですが、万全の補償で「金持ちケンカせず」を実現したいものです。  

 

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2023年5月
« 4月   6月 »
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

月別アーカイブ