退職代行業から弁護士への紹介料疑惑・・交通事故を扱う行政書士は、他人事ではないと言えます。弊所でも弁護士と連携して業務に当たることが多いので、弁護士への対価は絶対にNG、非常に気を遣っています。弁護士からラーメン一杯おごってもらうことすら遠慮しています。
 
 
(5)紹介料を収入とすることに行きつくことは・・自然かもしれません
 
 参入者が増えるほど価格競争は激しくなり、単価が下がり続けることは世の常です。まして、資格や特別な技術・知識なしにできそうですから(すみません、そう思っているだけです)、過当競争は目に見えていたと思います。そして、会社と折衝が生じれば、依頼者は自分でやるしかありませんから、先に退職を伝えてもらう依頼だけで数万円払ったら、ほぼ無駄となります。さらに、会社と紛争に発展すれば、改めて弁護士を雇うことになり、やはり代行会社に払ったお金は無駄になります。

 代行会社が、代理行為に手を染めずに真面目に仕事をすれば、かなりの薄利、受任件数の割に利益乏しい仕事になります。そして、依頼者のニーズと共に利益性の高い交渉業務は、弁護士の仕事と利益に流れます。したがって、仕事を紹介した弁護士から何等かのバックが欲しいと思う事は、むしろ自然と思います。
 
(6)これは行政書士にも、ある種のデジャヴ
 
 今までも数々の業種において、とくに弁護士と関わる業者は、同じような経緯を辿ったてきたのです。交通事故業界でも、行政書士が20年ほど前より交通事故業界へ参入してきました。その後、弁護士が積極的に交通事故に取り組み、賠償交渉に手を染める行政書士を糾弾し、実際に交通事故での行政書士の合法性について、いくつかの訴訟でも争われました。結果は連戦連敗の行政書士・・賠償には手を出せない、業界を追われた食い詰めた交通事故・行政書士は、あろうことか弁護士からの紹介料を対価としている話が聞こえてきました。つまり、私達の業界でも同じことが起きていたと言えます。

 数年前、クレサラ業務を司法書士から買い取っていた(つまり、紹介料)として、処分を受けた弁護士事務所もありました。”弁護士と紹介料”の関係は常に問題化するテーマなのです。
  
(7)整骨院・接骨院と行政書士の連携も嫌疑の的のようです
 
 保険関係者からの情報ですが、接骨院・整骨院と行政書士の連携、そして院から書士へのキックバックなど、その不健全性から不正な施術料の自賠責保険への請求が疑われています。両者の連携による請求の急増から、自賠責は本腰を上げて調査をしているようです。この両者間の紹介料は直ちに違法とは言えませんが、もし施術料に不正があれば、その患者の被害者請求を担う行政書士はグルと思われるはずです。やるせない話ですが、今後、ペアで摘発される院と書士が続くと予想しています。


 先日、なんと秋葉事務所に、この問題に関する法律の適否について、自賠責保険から質問のお電話が入りました。不正な院と書士の摘発が目的で、(当の行政書士に聞くなよと思いつつ)紹介料や代理行為の適否について回答しました。整骨院と行政書士の連携に対して、相当、自賠責は頭にきていると思いました。もちろん、この電話は秋葉への嫌疑ではなく、逆に協力要請に思えました。弊所は保険会社の味方ではありませんがね・・
 
(8)話を戻します。そもそも、退職代行業は必要か・・
 
 やはり、一言辞めると言って済むならまだしも、会社ともめる場合は最初から自分で折衝するか、案件が難しいものであれば弁護士に任せることになります。仮に折衝がなく簡単に退職できるケースでも、お金を払ってまでも代わりに言って欲しい・・なんとも弱気というか、自分で自分のケツもふけない(下品な言い方ですみません)、とても心配な人に思えます。

 数カ月前、ある懇意にしている社労士先生に、退職代行業について質問しました。やはり、顧問先でも、代行業による退職の申し出がぽつぽつあったそうです。顧問先の社長に対して、その先生は言うそうです。「良かったじゃないですか、自分でけじめをつけられない、そんな奴さっさと代行業を介して辞めてもらった方が良いですよ」と。 

 厳しい物言いですが、それでも代行してもらいたい人や、利用せざるを得ないケースもあるので、社会的必要性がないとは言えません。ただし、今回の警察沙汰によって、紹介料は厳しく監視されると思います。薄利が続く中、少なからず代行業は撤退すると予想されるところです。また、もし私が会社の人事担当であれば、転職者の面接で「前職を辞めた理由と共に、退職代行業を利用したか否か」を必ず質問しますね。