さらに弁護士費用の第2条(4)について。

第2条
(4)この特約において弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用
②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

  
 弁護士費用が支払われる対象者と内容についてさらに詳しく規定しています。T社他、国内損保はおおよそこのような内容となっております。外資系通販損保は司法書士や行政書士が対象外となっている会社もあります。

ここでのポイントは下線「あらかじめ当社の同意を得て」の部分です。これは弁護士等が依頼者と先に報酬を取り決め、契約したとして、その金額を無条件で支払うことはしません、ということです。あくまで保険会社の納得する金額までしか払いません、という意味です。これは保険会社の約款には欠かせない、毎度おなじみの条件です。この条件をめぐって、以下のやり取りが繰り返されています。
 

依頼者:「先生、交通事故で依頼をしたいのですが、費用はどのくらいかかりますか?」

弁護士:「ご安心下さい。あなたには弁護士費用特約が付いていますので、保険会社に請求します。」

弁護士:(・・普通は20万円だけど、特約付きなら・・)「保険会社さん、着手金は50万円です。」

保険会社:「先生、50万円は高くないですか?30万円で勘弁して下さいよ。特約が無かったら依頼者に50万円も請求するのですか?」

弁護士:「・・・・」

とまぁ、このようなことになるのです。

この特約をめぐって、保険会社と被害者、2者の本音を書きましょう。

 

<1>保険会社の怒り ~ 「ふざけるな!2重の報酬規定」

先の例でも触れたように、特約のある場合に弁護士からふっかけられて、支払い内容を精査、一部支払いを拒否する動きもあります。現在LAC(日弁連リーガル・アクセス・センター)に加盟した損保は、日弁連基準の報酬を用いるよう働きかけています。もちろん、自由経済化では「報酬自由の原則」は守られるべきです。あくまで報酬は弁護士と依頼者間の合意で定まるものです。しかしホームページで、「特約のある方」、「特約のない方」とあからさまに報酬を違えて提示している事務所が見られます。このダブルスタンダードを見て保険会社は怒っているのです。「弁特がなければ報酬を安く提示して依頼者を誘致、弁特があるならたくさん取ろう」、このような考え方が見え見えでは”はしたない”と思います。

「特約のある依頼者への報酬を『標準』とし、(特約がないなど)経済的に困窮している依頼者には、『救済措置としての報酬』とする表記にしたらどうですか?」と、私は(何様のつもりだと言われようとも)弁護士先生に意見しています。

 

<2>依頼者の低レベルな意識 ~ 「弁特があるんだから訴えよう!」

例えば任意保険(対物賠償を付けているが、車両保険なし)を付けている自動車の物損事故で、10万円の修理費をめぐって争っているとします。これくらいの金額ですと弁護士を雇ってまで交渉せずとも、保険会社同士の話し合いで解決させれば十分です。何故なら弁護士を雇う金額が20万程度かかるので、数万をめぐる争いに勝っても赤字、つまり費用倒れになるからです。
しかし「弁護士費用は特約から出る」となると、「それなら、弁護士を雇って訴えましょう!」と調子づく依頼者が出てくるのです。これを濫(乱)訴ならぬ、「弁護士費用特約の乱用」と呼べないでしょうか。常識では相手に10万円を請求する争いで、経費に20万を使うことはあり得ません。経済的に損をすることがわかりきっている交渉など普通はしません。しかし特約のおかげで、この常識がないがしろにされます。もちろん「お金の問題ではない、感情的に許せないんだ!」という考え方にも一理あります。特に非道徳的な加害者への処罰感情は理解できますが、これは刑事罰(罰金)や行政処分(免許の減点)が担うことです。

こんなことが頻発すると保険会社も約款改定せざるを得ないと思います。特約の利用が制限されないよう、契約者にも倫理感が必要であると痛感します。

 「訴えてやる!」

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