弊所へのご相談や依頼で、類似の事故状況が重なることは多々ありますが、被害者があまり納得できないケースについて記載したいと思います。
 
【1】信号のない交差点
 
 下図のように一方に一時停止の制限がある交差点です。よくあるご相談事案で、相手が一時停止をせずに交差点へ進入してきたため、事故が発生したというのにこちらにも過失があるとは何事か!といった具合です。この場合、過失割合はどうなると思いますか?

Ⓐ 一時停止の規制なし Ⓑ 一時停止の規制あり

 

 正解は、下表をご覧ください。


 
 ご相談のほとんどが「Ⓐ Ⓑ 同程度の速度」なので、正解は20:80となります。
 
 しかし、相手が一時停止義務違反をしているにもかかわらず、こちらの過失が20もあるのかと憤るお気持ちも理解できます。相手方に一時停止があるとはいえ、見通しのきかない交差点においては徐行義務が課せられているため、このような基本過失になっているようです。しかし、これは徐行義務に重きを置きすぎているように思いますので、個人的には基本が15:85若しくは10:90でもいいのではないかと感じます。
 
 尚、「Ⓐ減速Ⓑ減速せず」の基本は10:90ですが、Ⓐが徐行しており、Ⓑが減速していない場合には、Ⓐの過失相殺は0と考えるのが相当であると判例タイムズに載っています。

 因みに、ご相談を頂いたことはありませんが、下図のような場合、過失はどうなるでしょうか。事案としては、一方に一方通行規制がある交差点です。
 

【2】 一方通行違反の自動車と出会頭衝突


 
 正解は…こちらも20:80です。これは流石に納得できない方が頻発すると思います。まさか出てくるとは思いませんし、道路交通法違反車がここまで守られるのもどうかと個人的には感じます。本件の修正要素は下表の通りです。
 

 
 今回、ご紹介したような事故状況がご自身に起きた場合、保険会社から提示された過失に納得できますか? 「はい!」と言える方は少ないのではないでしょうか。運転者ができることとすれば、事故に遭う確率を少しでも減らせるように徐行や安全確認に努めることくらいです。

 今年もあと僅か。年末は事故件数も多いので、皆様、くれぐれも安全運転で残り1ヶ月を乗り切ってください。