アメリカの自動車保険事情を簡単に言いますと、訴訟社会であるが故、賠償保険が絶対的に必要です。そして無保険車が多く、ぶつけてきた相手が十分な保険に加入している、もしくはしっかり補償をしてくれるなど、まったく期待していません。移民も多い多国籍国家なので、日本と違い他人への信頼度が低いと言えます。したがって自身の補償保険も必須です。

 加入率ですが、都市部では70~80%、一方地方は加入率も当然低く、30%を切る州もあります。これは州によって最低保険の加入額や関係する法律に違いがあることが一因です。

 
<一般的な内容>

■ Liability Coverage(≒自賠責保険)

 日本のように自賠責保険加入が車検の絶対条件としていません。それに代わる制度として自動車の登録・更新制度があります。更新料(Renewal Fees) の支払いとともに、スモッグチェック証明書(Smog Certification)、自動車損害賠償責任保険(Liability Insurance) に加入していることを証明するもの(evidence)を提出しなければなりません。多くの州で2年更新です。

 この強制保険には最低補償額が設定されており、それに満たない運転者には罰則で対処しています。カリフォルニア州では対人は、事故1件、1人の死傷に対し15,000ドル。2人以上に対して30,000ドル。対物として5,000ドルです。

■ Bodily Injury Liability (対人賠償)

 自動車事故により他人を死傷させた場合に、医療費や休業補償をするものです。相手が死亡する、後遺障害を負った場合、十分な額が必要です。

■ Property Damage Liability(対物賠償)

 自動車事故により他人の財産、所有物を壊した場合に、壊したものの修理や交換のための補償をするもの。

■ Medical Payments(≒ 搭乗者傷害保険)
■ personal injury protection(≒ 人身傷害保険)

 自動車事故による運転者および同乗者の医療費を保障するものです。これは自分の車を運転していた場合でも、他人の車を運転していた場合でも支払われます。実額払いという点では共に人身傷害保険と同じです。補償内容は特約で細かな選択が可能です。

■ Uninsured/Underinsured Motorist(無保険車障害)

 以下のような場合に加害者に代わって保険金が支払われるものです。

・加害者が保険に入っていない場合

・ひき逃げされて加害者が特定できない場合

・加害者が損害を賠償するのに十分な額の保険に入っていない場合

 カリフォルニア州では、州法によりLiability Coverageの加入義務が定められている(≒強制保険)にも関わらず、無保険車ドライバーが全体の30%以上いると言われています。

  日本のように国が所管する自賠責保険(現在は半民営化)+ 民間の任意保険という二階建ての構図でなく、すべて一つの民間企業です。そして無保険車傷害特約は日本と違いかなり普遍的な保険です。

 また、当事者同士、もしくは日本のように保険会社同士の話し合いで解決するケースより、代理人(弁護士)が交渉するケースが多いのが特徴です。代理人の交渉で賠償額が決定するので、保険会社の支払い係は弁護士の交渉を待ち、確定した金額を支払います。つまり、損害調査や代理交渉はほぼアウトソーシング(外注)で、保険会社の仕事はアンダーライティング(契約を引き受けるか否か、掛け金をいくらとするか、引受調整業務です)が中心です。一方、弁護士の数が余るほど大勢いますので、朝の新聞広告に毎日のように「もめ事はないですか」と弁護士の広告が掲載されています。

 簡単な構図で日米比較すると・・・

保険会社の営業活動

弁護士の営業活動

 日 本  盛ん  先生は依頼者を待つ
 アメリカ  契約者の引き受け審査がすべて
(引き受け謝絶も)
 先生自ら営業活動
(依頼者はお客様!)

 
 このように、保険会社と弁護士で真逆の傾向となります。

 この土壌の違いを認識した上で、話を続けていきましょう。  つづく