おかげさまで、八丁堀に事務所を移転して早くも15ヶ月が経ちました。江戸時代のお堀の残った街であり、隅田川河口の干潟が島となった新川地区から眺めると、豊洲方面の高層マンションの夜景は幻想的です。ご存知の通り、歴史的には江戸時代の警察署のあった街で、必殺仕事人の中村 主水は通称「八丁堀の旦那」でしたね。江戸時代の与力・同心・徒士の居住地は、現在、地区の公民館「京華スクエア」となっています。先月の盆踊りは毎年ここで開催しています。

 さて、八丁堀のもう一つの顔、それは東京駅まで徒歩圏内であることから、ホテル建築のラッシュです。事務所周辺には既に10軒ほどホテルがあり、東京オリンピックを目指して20軒になる勢いです。実は、ホテル需要が多いもう一つの理由があります。それは、下の地図をご覧ください。

 多くの外国人観光客は成田空港から、国内の観光客もまた、東京駅を目指します。東京駅周辺にベースキャンプとなる宿を取り、皇居や浅草、お台場、秋葉原、渋谷を観光、東京の最終日はディズニーランドに日帰り遊行します。宿に戻って一泊、翌日は東京駅から新幹線や高速バスで京都など、日本各地に向かいます。

 八丁堀で過ごして1年余り、ある法則に気づいてしまいました。
 
 地図の赤線はJR京葉線です。舞浜駅でミッキーの耳(主にカチューシャ)をつけた浮かれた観光客は、どこで耳を外すのでしょうか?
 
 東京と千葉の移動で、京葉線をよく利用しています。舞浜駅に着くと、大勢のネズミ人間の皆さんが乗車してきます。夢の国の余韻覚めやらずも、舞浜駅~東京駅の6駅間、やがてにぎやかな一行も言葉少なくなり、我に返る街、それが八丁堀なのです。八丁堀駅で降りる観光客は、電車のドアが開く前に耳のカチューシャを外し、人間に戻ります。つられて、次の東京駅で降りる観光客も外します。
 
 このような法則性、つまり、八丁堀はネズミ人間が人間に戻る街なのです。