未だ労災の請求について、間違った情報が頒布されていることに憂慮にしております秋葉です。これまで、多くの被災者さんにネットで情報発信をして参りました。今回からは視点を変えまして、社長目線による労災請求の実際について解説していきたいと思います。全国の社長さん、必見です。
 

第1話 労災の支給は俺(社長)が決めるのだ

(1)労災請求の実際

 実は、被災者が労働基準監督署に申請さえすれば、労災の適用可否の審査を経て、労災は支給されます(届出主義と言われます)。会社の使用許可など端から必要ありません。ところが、多くの被災者は、「会社が労災支給を決定する」呪縛にかかっています。また、社長も「労災使用の権限は俺だ!」と、本気で思っている節があります。これが、会社が積極的に労災を使わせない下地になっていると思います。

 また、あえて労災を請求しない、従業員側の事情も存在します。会社側が労災使用に対して難色を示せば、強く言えないのが使われている側の立場です。もちろん、労災の申請書には会社の証明が必要です。それは、確かに第一の関門かもしれませんが、実は、会社に署名を拒否されても大丈夫なのです。会社欄は空欄のまま、「会社がダメと言っていますが、お願いします」と言って、さっさと労基に提出すればよいのです。(3年前から会社印すら割愛です)


 その後、労基から会社に(行政指導まではいかないまでも、なぜ、労災を拒むのかと)電話がいきます。つまり、被災者にとっては、会社を辞める覚悟を伴った非常手段となります。やはり、労災制度の利用は簡単ではないのかもしれません。
 
(2)被災者が会社を糾弾する社会に(怖)

 さて、労災適用の場面で、会社が圧倒的に強者であることは上記のとおりです。しかし、ネットで容易に情報が得られる現在、社長は胡坐をかいていられません。被災者である社員がネットで調べ、弁護士を介して会社に労災及び賠償金を請求することが増えているからです。それを誘引する弁護士のHPがたくさん検索されています。皆様ご存知の退職代行業すら繁盛しているのです。さらに、パワハラに過敏になっている社会風潮、これらは被災者を後押しするものです。場合によっては、被災者が労災使用に難色を示す会社を糾弾、労基にたれ込むことも想定されます。そのような中、会社側が労災事故に向き合う姿勢、「労災をなるべく使わせない」態度のままでは・・・いずれ痛い目に遭うこと必定なのです。
 
 つづく