山本さんイラストsjシリーズを続けます
 
⑥ 関節面に異物が入ってしまった場合

 交通事故で関節を脱臼する方もいらっしゃいます。しかし、それだけではなく、脱臼と同時に骨折する方も中にはいらっしゃいます。診断名には脱臼骨折と記載されています。脱臼骨折の場合も治療方法は、基本的には脱臼や骨折と同様、関節をはめて(整復)、骨の癒合を目指すことになります。
 

<脱臼の整復~肘関節の場合> 
 ①           ②           ③
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① 脱臼した橈骨頭の周辺にキシロカイン(麻酔薬)を関節内注射します。
② 助手が上腕をけん引し、一方の手で前腕をけん引、他方の手で関節を押し込みます。
③ けん引を維持したまま、肘を屈曲して整復します。そのまま屈曲位で固定します。

 
 この点、脱臼骨折をした場合、外傷によって靱帯が引っ張られた際に靱帯損傷する場合や、骨折後の転位が生じた場合等で関節可動域に制限が生じる場合があります。

※ 靱帯損傷や転位については、本シリーズで過去に述べさせていただきました。

 他方で骨の癒合が良好であった場合には関節可動域が生じない場合があります。その場合、症状固定時期に撮影した(3D)CT等で判断することになります。もし癒合がよかった場合、疼痛が認められる場合、自賠責で14級9号が、仮に癒合があまり良くなかったとしても、関節の動きに影響がないような転位等で画像所見が認められれば、12級13号が認定される可能性があります。

 無料相談会等では画像を確認しつつ説明をさせて頂きますので、是非これを機にご参加ください。

 しかし、脱臼骨折しても靱帯損傷や転位が認められない場合でも関節が動かず、可動域制限が生じる場合があります。

 それは、関節を整復した際に、骨折した骨や軟骨の欠片(デブリ)が、骨と骨の隙間に入り込んでしまった場合がありました。この場合、激痛により関節が曲がらないだけではなく、デブリによって関節が物理的に曲がらなくなることもあります。その場合、骨内異物除去術で関節内のデブリを取り除くことが必要です。

 これらもCTやMRIで関節内を確認できる可能性があります。もし、何か心当たりがある場合には、治療に関しては主治医に聞くのはもちろんですが、自賠責等級等での確認をしたい方は、相談会等で画像をご持参ください。