秋葉事務所では、目、耳、鼻、口など、感覚器の障害で多くの立証に成功しています。

 特に器質的損傷のない、多くはムチ打ちなど頚椎捻挫 由来の症状について、粘り強く認定を引き出しています。これは簡単なことではありません。

 確かに顔面部の骨折や、明らかな脳損傷、脊髄損傷があれば、「視野が狭くなった、難聴になった、匂いや味がしなくった」事について、因果関係に疑いはありません。しかし、「ムチ打ちで嗅覚が無くなった?」事を信用していただくのは本当に大変、茨の道なのです。

 本例も秋葉事務所、山本の執念で認定を勝ち取りました。長期にわたる慎重な審査で、症状を「信じて」頂いた、自賠責・調査事務所にも毎度、感謝しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ← どや顔の山本

12級相当:嗅覚障害、14級相当:耳鳴り(30代女性・東京都)

【事案】

旅行先でレンタカー搭乗中、直進道路で信号待ちしていたところ、後続車の追突を受ける。直後から頚部痛、手のしびれ、頭痛、耳鳴り等の他、異常に鼻づまりが生じ、しばらくしてから嗅覚や味覚が喪失していることに気が付く。

【問題点】

鼻の骨折はなく、神経や脳を損傷していないにもかかわらず味覚と嗅覚を喪失しているという。相談を受けた際には嘘をついている様子はなかった。相手保険会社は味覚嗅覚の喪失については信用しておらず、味覚嗅覚の治療費を出さなくなってた。

同様に耳鳴りも発症している。普通に会話できる分には特に問題なさそうであったため、耳鳴りについては検査で異常が検出されない限り、自覚症状を訴えるのみとなる。各種検査の実施が急がれた。
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【立証ポイント】

まず、基本的検査を進めた。味覚については電気味覚検査とろ紙ディスク法検査、嗅覚についてはアリナミンテストとT&Tオルファクトメーター検査を実施した。

味覚・嗅覚双方を喪失している検査結果が出た。紹介元の医師だけではなく、以前通っていた耳鼻科にも検査結果を持参して診察して頂いた後、症状固定した。

器質的損傷が認められない状況での味覚嗅覚の喪失であるため、ある種、むち打ち14級と同様、信じて頂くしかないので、後遺障害診断書や上記検査結果だけではなく、事故後の症状について詳しくまとめた申述書を調査事務所に提出した。

結果、非常に長い審査期間を経て嗅覚の喪失は認められたが、味覚の喪失は認められなかった。双方の等級が認められた場合、それぞれ12級相当が認められ、併合11級になるが、器質的損傷が認められない場合、少し厳しい。毎度、風味障害(匂いがしないと、ある程度、味も無くなる状態)として、一くくりにされるのか、嗅覚のみが認められる傾向がある。やはり、少し疑いが残っているのか?。

また、耳鳴りの検査結果の写しを頂くことができたので、内容を確認したところ、オージオグラムを数回実施して頂いていたが、いずれも40dBを超えておらず、約18~16dBにとどまっていた。耳鳴りについては12級は困難と覚悟した。

  しかしながら、高音域で難聴が計測されていることから14級は確保できた。嗅覚喪失で12級相当の認定が得られるので、等級そのものについては併合12級で等級は上がらない。しかし、耳鳴りについての治療費や通院慰謝料について、弁護士は強い交渉材料を得ることになる。
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通常、オージオグラム検査で40dB超えていなければ、耳鳴りでの障害等級は否定され、等級がつかないことが多いのですが、本件では事故の当初から耳鳴りを訴えており、かつ、必要な検査を実施したことで、調査事務所に症状を信じて頂けたと言えそうです。