交通事故業界では、弁護士は別として、後遺障害の専門事務所が存在します。ここ数年、その多くは行政書士が担ってきました。しかし、行政書士の資格は医療調査に必要ありません。試験内容もまったくと言っていいほど関わりのないものです。行政書士の医療調査の実力は保険会社側の充実に比べ、圧倒的に乏しいと言えます。組織力で劣るだけではなく、たった一人の先生がこなす件数は高が知れていますので、どうしても経験・実力が不足します。

 中には法人のYさんをはじめ、独自に注力し開拓してきた書士もおります。しかし、全体として一時の隆盛はあったものの、交通事故を主業務とする行政書士は衰退の一途です。これだけ、弁護士が交通事故に乗り出してきた現在、賠償交渉に関わる非弁書士は追放され、残った先生も集客力なく、青色吐息のようです。

 それでも、全国各地から救済の声が届いてきます。地元の弁護士さんは14級の異議申し立てには積極的ではありません。「等級が取れてから来て下さい」との対応に終始します。そこで、行政書士に相談したのですが、どうも自信なさそうです。「等級が取れるのか、取れないのか」断言できるほど経験がないのでしょう。確かに年間30件程度の受任件数では酷な話です。

 秋葉事務所は重傷案件が多く、それこそ北海道から九州・沖縄まで飛んでいます。むちうち14級を軽視するわけではありませんが、遠隔地の受任は交通費がかさむだけではなく、きめ細かな対応を考えると、やはり地元の先生にお任せすべきと思います。全国各地にチーム行政書士と連携弁護士がおりますが、限界があり、東北地方はとくに手薄に感じています。

 東北地方の人材確保は常に課題です。被害者救済業を担う草莽の士はどこに・・今、このご時勢で、交通事故を学びたい行政書士はいるのでしょうか? 


 電話・メールと郵便だけでは行き届かないことが多いのです
 

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫(40代男性・宮城県)

【事案】

高速道路を自動車で運転中、前方に事故車(停車中)を確認したが、ブレーキが間に合わず衝突し、道路右端に停車中のもう一台の事故車に追突してしまう。さらに、後ろから同じように事故車にぶつかった相手方自動車が追突してきた。受傷直後から腕のしびれ等の神経症状に悩まされる。

【問題点】

当事者が多く、責任関係が複雑で直ちに賠償請求することが困難であったため、依頼者は自らが加入の人身傷害特約を利用して治療を継続した。その後症状固定し、依頼者ご自身で当事者の一人の自賠責先に被害者請求をしたが、非該当となった。依頼者は納得いかず、はるばる東北から東京相談会に参加した。

【立証ポイント】

通院回数は80回を超えており、さらにMRIも撮影していた。さらに、手のしびれも受傷直後から発症し、症状固定時まで継続していた。明白な画像所見はないものの、通常であれば14級9号が認定されていてもおかしくない内容であった。

症状固定後であっても治療継続していることを確認し、初診日から症状固定時、その後の診察時の症状等を、「頚椎捻挫の症状の推移」「神経学的所見の推移」にそれぞれまとめて頂くため、主治医のいる宮城県へ向かった。続いて、未提出画像等、集積し直して異議申立書をまとめ、再申請した。

程なく、14級9号が認定された。