むちうちで神経症状を発症するケースは事故の衝撃が起点となりますが、もともと年齢変性で頚部の神経の通りが狭くなっていたり、椎骨の変形や椎間板の突出で神経が圧迫されている状態が普通です。ここに事故の衝撃が加わり、事故前には無かった強烈な痛み、しびれが惹起されるのです。所謂、引金論です。

c_kei_25 しかし、保険会社は「既往症」(元々の病気)との烙印を押し勝ちで、後遺障害の認定も簡単ではありません。事故前から「割れ茶碗」の状態だったと・・。

 ここで手術を行えば、即、因果関係の争いに突入です。以後、治療経緯は何かと混乱します。何もしないで症状固定を待つなど言語道断です。

 本件は弁護士交代の末、体制を整えましたが、二度の申請となってしまいました。救われるべき被害者が簡単に救われない・・被害者は大変なのです。

 

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫 異議申立(30代男性・埼玉県)

【事案】

通勤中、交差点で信号待ち停車のところ後続車に追突された。直後から上肢のしびれのがひどく、元々の脊柱管狭窄症の影響もあったが、MRI画像で顕著な圧迫所見が確認された。その後、紹介先の病院で椎弓拡大形成術を施行。しかし、しびれの改善は進まなかった。
c_byo_k_10注:これは腰椎ですが、こんなイメージ
【問題点】

相手保険会社の立場として、脊柱管狭窄症の改善のための椎弓拡大形成術を事故のせいにされてはたまらない。既往症の影響と断定し、手術費用を否定、その後の治療費も健保を使うよう要請してきた。そこで、某大手法律事務所に依頼するも、所属弁護士は何ら手を打たず、症状固定を待つ姿勢。不安に感じた被害者さんは知人に相談し、秋葉事務所が紹介された。

【立証ポイント】

ここが事故解決の一番の局所である。まず、治療費の確保から着手した。

本件の場合は相手保険会社の提案する健保ではなく、労災が対象である。当然、労災には特別給付などのメリットがある。早速、手術費が支払われていない病院に同行、治療費は労災から支給させることで医師の信頼を得た。これで治療の継続を果たし、症状固定時にしかるべき後遺障害診断書を提出した。しかし、初期の病院で「画像所見なし」などのおかしな診断や、危惧していた事故との因果関係を否定するような手術の経緯から「非該当」の結果に。

そこで、改めて追加診断書を作成、術後もしびれが継続していることを主訴に2度目の申請をした。特に、画像所見は病変部の打ち出しとレポートを作成し、手術・治療の経過を丹念に説明した。一番の問題は毎度、医師の診断書の記載が数ヶ月待たされることである。

4ヶ月の審査の結果、ようやく14級が認められた。本ケースのような被害者の救済は容易ではない。