これだけ交通事故相談が氾濫するネット社会です。どこも交通事故の専門家を謳いますが、やはり玉石混合は否めません。

 よくある相談ですが、「靭帯損傷」との診断名から、「12級取れます!」と気勢を上げる弁護士・行政書士が少なくありません。靭帯損傷でも当然に程度の差があり、それに応じた後遺障害等級しか付きません。大事なことは医師の診断名に振り回されず、しっかり画像を観て、等級認定までの計画を立てることです。それができる事務所は少ないと思います。

 本件、佐藤が被害者に着き添い、12級か14級か?そのハンドリングによって、無事に解決へ進めました。無駄な紛争なく望ましい解決へ、それには画像を観ること、適切な検査へ誘致すること、いずれも経験と技術が必要です。それが備わっている専門家か? 依頼の際は、疑いの目で接することが大事かもしれません。

あるべき着地点に

14級9号:半月板損傷・膝関節捻挫(60代男性・山梨県)

【事案】

自動車に同乗中、後続車に追突され受傷する。直後から左脚の痛みに悩まされる。

ダッシュボードインジュリーのよう

 
【問題点】

事故から早期にMRIを撮影し、「半月板損傷」ということで専門医の受診と併用していた。さらに、専門医は内側側副靭帯損傷と診断しており、ストレスXPを実施したが、左右差はほとんどなかった。
 
【立証ポイント】

ストレスXPの結果から12級7号の認定は厳しいと判断し、すぐさま14級9号狙いへと切り替えた。そのため、ご本人には継続的なリハビリを促し、一貫性の主張を整えた。

膝の可動域制限も残存したが、「被害者の大袈裟な主張というイメージ」を避けるべく、シンプルな提出書類を心掛けた。自賠責調査事務所からは「本件事故以前からと捉えられる変形所見が認められる一方、本件事故により…」というお馴染みの文言で、画像所見と事故の因果関係を否定されはしたが、一貫性の主張が認められ、思惑通り14級9号認定となった。

本件は、診断名に踊らされることなく状況を把握し、等級認定プランを立てたことによって、被害者も納得の結果が得られたのではないだろうか。