交通事故で亡くなる方は、1970年(16765人)をピークに減少を続け、ここ10年は年間5000人を切るようになりました。交通戦争と呼ばれた昭和から、すべての人々の努力が成果となっています。

 一方、自殺数も気になります。理由は、交通事故は第3者の加害行為での死亡で、それと対極をなす自死数は、よく比較材料にあげられます。また、病気による死亡や老衰など、一般的に自然死と呼ばれる数とも、よく対比されます。
 
 今月18日、警察庁発表による、コロナ下の昨年の統計は以下の通りです。



  
 令和2年は20919人です。
  
 年次比較は以下の通り(厚生労働省による集計、警察庁HPより抜粋)
  

 
 ピーク時の平成15年(34427人)から減少が続き、令和2年は前年(20169人)よりわずかに増加しています。ここ10年の減少傾向から一転、今後、増加に転じる懸念があります。経済の低迷は確実に自殺者を増やすと言われています。それを理由とすれば、コロナ不況からここ数年は上昇が予想されます。

 自殺の原因や自殺数の増減傾向については、専門的な分析に任せるとして、自殺数は他者からの加害行為の代表である交通事故による死亡、そのおよそ5倍です。加害者ありの被害ではないので自己完結しますが、残された家族や友人にとって、強烈な悲しみと後悔を残します。

 交通事故も自殺も、共に人為的行為ですから自然死ではありません。つまり、自然死と対比すれば、不自然死となります。病気など自然死を除くと、日本人にとって、この不自然死はもっとも身近な脅威であると思います。
 
 かつて、ご家族の交通事故による障害で苦しむ方の自殺を2件経験しています。未遂を入れるともう少し増えます。自死を完全に防止する方法ですが、残念ながら浮かびません。少なくとも、できることは周囲の気遣いに尽きると思います。孤独にさせない、積極的に話かける・・などでしょうか。