(1)病態

 交通事故では、軽い衝突事故で、多くは、歩行中の子どもに発生しています。皮下血腫、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫、いずれも、広義には、たんこぶです。

 頭皮は、表面から順に皮膚→皮下組織→帽状腱膜→骨膜で形成され、その下に頭蓋骨があります。たんこぶであっても、血腫の部位により、皮下血腫、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫に分類されます。たんこぶは、皮下血腫であり、帽状腱膜下血腫や骨膜下血腫は、子どもに多い、特殊なたんこぶで、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫となると、やや大きく、触るとブヨブヨしており、触るとその部分が陥没しているかに感じますが、決して、頭蓋骨の陥没骨折ではありません。
 
(2)症状

 打撲部の痛みを訴え、みるみる腫れてきます。直後に大泣きしたときは、重大な脳損傷の可能性は低く、安心できる状況です。反対に、暫くボーッとして意識が朦朧としているときは、病院に走らなければなりません。
 
(3)治療

 放置しておいても、自然に治癒しますが、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫では、特に子どもでは、血腫の吸収が不良で、1週間位経過しても、逆にブヨブヨと溜まってくることがあります。そんなときは、小児科を受診、穿刺して水様の血腫を吸引すれば、治癒します。
 
(4)後遺障害のポイント

 たんこぶ三兄弟で、後遺障害を残すことはありません。

 昔、祖母が頭を打った時に「たんこぶが出たら安心だよ。たんこぶがでないと危ないんだ。」と言っていたのを思い出しました。確かに、たんこぶの出ない脳内出血(硬膜下血腫、硬膜外血腫、クモ膜下出血)なら、処置が急がれます。
 
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