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 交通事故の発生件数は、警視庁の発表によれば、平成24年は66万5,138件、25年は62万9,021件、26年は57万3,842件、と減少傾向にあります。

 そして、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、交通事故による死亡者、それによる自賠責保険死亡支払件、が年々減少してきています。また、交通事故の負傷者も年々減少しています。これらのことから、交通事故の発生だけではなく、交通事故による重傷者及び重傷になるレベルの大きな交通事故が減少してきているといえます。

 しかし、支払われる保険金は、平成23年度では8,054億円、24年度では8,000億円、25年度では8075億円、とほぼ変化がありません。また、これに対し、自賠責保険傷害支払件数は、平成23年度では1,155,536件、24年度では1,154,370件と若干減少しましたが、25年度では1,185,334と増加しております。なお、平成21年度では1,117,373件、22年度では1,136,876件であったことから、全体的にみて年々増加傾向にあるといえます。

 交通事故発生数と交通事故による死亡者・重傷者が減少しているにもかかわらず、他方で保険金の支払件数が増加し、支払保険金に変化がありません。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。  

(1)後遺障害認定の増加について  上記した自賠責保険傷害支払件数には、後遺障害が含まれています。 この点、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)の後遺障害支払件数の推移によれば、後遺障害支払件数は年々減少しております。また、年間の後遺障害認定件数は、全体の傷害交通事故のうち約5%であり、この数値に大きな変化はありません。  よって、後遺障害認定が原因で支払保険金が増加したわけではなさそうです。

(2)治療費や施術費の増加について  損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、総治療費及び総施術費の増加及び件数が増加しております。ただ一方で、平均治療費、施術費の変化はほぼありません。 よって、治療費・施術費の値上げは起きていないようです。

※平均施術費については、平成24年度では315,683円なのに対し、平成25年度では311,168円と減少しておりますが、平成21年度から全体的にみてあまり変化がないと考えます。

 上記した通り、交通事故の負傷者が減少しているにもかかわらず、総治療費及び総施術費の増加及び件数が増加しているのは、交通事故負傷者の内、多くの病院や接骨院等へ通院する者の数が増加していると考えます。

※ なお、治療期間・施術期間が少しずつ増加しており、通院慰謝料等の支払数が多くなるともいえますが、平均して1日ずつしか増加しておらず、少数といえるので、これが直接的な原因と解することは出来ません。

 交通事故の負傷者は、多く通院する必要のある者から、軽傷で、数回通院すればいいような者まで様々です。昔では、交通事故負傷者は後遺障害の申請をする以前に、多くの通院をしていませんでした。通院する者が増加しているのは、本来多く通院する必要のない者まで多く通院するようになってきているといえます。何故なら、交通事故の負傷者数そのものが減少すれば、その分通院が必要な者も減少するはずなのに、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、上記した通り交通事故の負傷者数が減少しているにもかかわらず、病院や施術所へ通う人数が増加しているからです。  なお、最近になって、交通事故の負傷者のすべてが多く通院する必要のある者であった可能性が全くないわけではありませんが、非常に低く、現実的ではありません。

 では、なぜ交通事故負傷者が全体的に多く通院するようになったのでしょうか。

 結論として、交通事故の負傷者が後遺障害の申請の方法をインターネットや書籍等で簡単に知ることが出来たことにあるとみています。  特に、交通事故負傷者の診断名のうち、約60%がムチウチであり、ムチウチの後遺障害申請について調べた者は、大抵、通院日数を増やそうと考えます。この点、ここ最近の相談会でもそのような者が増加しているようにみえます。

 しかし、本来後遺障害というのは生涯にわたって治らないレベルの者に認められるのであって、軽傷者に認められるものではありません。上記した通り、交通事故による重傷者は減少しています。このことから、軽傷者があえて後遺障害を狙っているようなケースが増加しているようにみえます。

 私達(連携しているNPO法人や弁護士事務所を含む)は、すべての交通事故被害者に対して、後遺障害の申請をアドバイスしておりません。後遺障害が認められる者とそうでない者とを見分けた上で、それぞれの被害者に対して最もよいと思われる交通事故の解決の道筋を模索し、アドバイスをさせて頂いております。そして、後遺障害が残存しないような者については、契約を結ぶことは原則致しません。何故なら、必要ないからです。

 無駄に契約を締結して無駄にお金の支払わせて無駄に保険金を使うようなことは、個人レベルでも、社会レベルでも損失にしかなりません。

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 福井地裁判決の判旨が待たれるところですが、最後に私の注目点について触れます。  

3、司法はこの民事事件の判決の根拠を自賠法にのみ置いたのか?

  20saibannkann 自賠法第3条により有責!

 新聞によると「無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。」とのことです。何が問題かといいますと、判断を自賠法に置いたことです。通常、不法行為を問う民事裁判では民法を根拠に考えます。もちろん、他の法律が検討されないわけではありませんが、まずは対向車の運転手に責任があるかないかについて判断して欲しいところです。

 例えば、「時速○kmでセンターラインを超えて来た自動車を回避することは不可能である。したがって責任はなし。原告の訴えを棄却する。」もしくは、「○m前からセンターラインオーバーの車両を認めることができたはずであるから回避の可能性があった。したがって1割の責任がある(10:90)。被告は賠償金○円の10%を支払え。」とします。つまり、物の筋から言えば、まず、責任関係を明らかにすべきでしょう。

 しかし、これまで解説したように自賠責保険が適用されれば、被害者に大変有利な救済的支払いが成されます。今回の例でも4000万円の支払い判決です。少なくとも自賠責から死亡限度額3000万円が支払われるでしょう。では残り1000万円を対向車の任意保険会社が支払うのか?と疑問が残ります。もし、対向車に過失があったしても仮に10%とすれば、自賠内で支払いが済むはずです。よって、任意保険は支払いを免れます。過失割合はこの裁判で判断されたのでしょうか?この謎は追って確認したいと思います。

 それはさておき、裁判官は民法の不法行為の判断を無視して自賠法のみを根拠に判断したのでしょうか?それとも2つの判断をそれぞれした上で、結論で自賠法を用いたのでしょうか?  

 これは、実は今後の交通事故裁判で重要な分岐点になると思います。

・被害者に有利な自賠法を民法の特別法(優先適用する法律)と位置づけるのか?

 それとも、

・一応は民法で過失の有無が判断されたが、あたかも事情判決のようにそれは適用せず、自賠法にて解決を図りなさい、との判断か?

   前者の考え方であれば、今後の人身事故裁判で、原告側は常に「自賠法に基いた」主張をするようになってしまいます。後者なら私的には納得です。  これから何人かの弁護士先生に意見を聞いてみようと思います。  

 人身事故解決の実際、ほとんどが自賠責保険の支払いで解決しています。任意社は自賠限度額(傷害:120万円、死亡3000万、後遺障害4000万)までなら自賠責保険(自賠法)か任意保険の(被害者にとって)有利な方を適用し、超えれば任意保険(約款)、もめたら民事交渉・司法判断(民法)となります。そのような流れである中、被害者にもっとも有利である自賠法を最後の司法判断まで優先的に通せば、過失責任の判断がすっ飛んでしまうように思うのです。

 この地裁判決はあくまで、被害者救済に則った特別な判断で、実は民事上の責任の有無はしっかり決着されていることを願います。そうでなければ、対人・対物賠償を支払う立場の相手の任意保険会社、人身傷害保険、車両保険を支払う自身契約の保険会社、求償する立場の健保や労災、その他、自賠責保険金を超えた額を請求する立場の人達は困ってしまうはずです。     c_s_j_1

 

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 本判決は自賠責保険の勉強に大変役立つケーススタディとなります。

(注)現在、福井地裁の判決内容を精査していませんので、推測含みな解説となることをご了承下さい。

  2、わずかでも責任がある可能性があれば賠償責任を負う?

 一見、責任がないかに見えた対向車は、「自分にまったく責任がないと証明できない限りは自賠法上、賠償責任を負うべき」と司法判断されました。

 この点、まずは自賠法第3条を復習しましょう。  

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

   この条文から自賠責が支払われる3要件が規定されています。  

① 自動車の運行について過失がなかったこと   ② 被害者または第三者(運転者を除く)に故意・過失がなかったこと   ③ 自動車に欠陥がなかったこと    損害賠償を法律面で論じるなら、民法の不法行為から「被害者が立証責任を負う」こと(過失責任主義)が原則となります。つまり、「証拠は被害者が探して突きつけなければ、加害者は弁償しないで済む」ことを意味します。しかし、自賠法では逆で上の3要件=「加害者が自分に責任がないことを証明しなければ、賠償義務を負う」ことになり、立証責任が被害者から加害者へ転換されています。これは自賠責保険の理念である被害者救済の精神が反映されたもので、ほとんど無過失責任(≒無条件で責任を追う)に近いものです。

 したがって、本判決は一見、非のない対向車であっても、「クラクションやハンドル操作で衝突回避ができた可能性がまったくなかったとまでは証明できない⇒わずかながら責任の余地が存在する」と判断されたのです。   c_y_21  常識で考えると勝手にセンターラインを越えて突っ込んできた自動車に対して、「避けないほうが悪い」となれば納得のいかないものです。また、民法上も過失割合に応じた責任を負うこと(仮に回避措置の可能性があったとして、おそらく10:90程度)になり、責任は10%以下となるでしょう。しかし、自賠責保険(自賠法)では被害者を手厚く保護するのです。

 「過失減額」から如実に表れています。

  被害者の過失割合   後遺障害・死亡    傷害 7割未満 ⇒ 減額なし ⇒ 減額なし 7割以上8割未満 ⇒ 2割減額 ⇒ 2割減額 8割以上9割未満 ⇒ 3割減額 ⇒ 2割減額 9割以上10割未満 ⇒ 5割減額 ⇒ 2割減額

   実際、わずか10%程度の責任でも自賠責が支払われて助かった経験が少なくありません。

 実例⇒ほとんど自分が悪い事故ながら、自賠責保険から補償を得た

 この実例は過失減額すらなく、相手の自賠責から100%(4000万円)が支払われました。

 自賠責保険を熟知している私からすれば、福井地裁の判断は決して特異な判決ではないのです。しかし、尚、意見があります。それは次週に・・

 つづく  

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 被害者に手厚い自賠責ですが、手厚すぎる?との批判が起こりそうな判例がでました。本件、自動車保険(任意保険、自賠責保険)について、非常に勉強になる論点が含蓄されています。

 まずは以下、福井新聞の記事(引用)をご覧下さい。  

「もらい事故」でも賠償義務負う 福井地裁判決、無過失の証明ない

 車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。

 遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。

 死亡した男性は自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていた。車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だった。対向車側は一方的に衝突された事故で、責任はないと主張していた。

 自賠法は、運転者が自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときは、損害賠償するよう定めているが、責任がない場合を「注意を怠らなかったこと、第三者の故意、過失があったこと、自動車の欠陥がなかったことを証明したとき」と規定。判決では、対向車側が無過失と証明できなかったことから賠償責任を認めた。

 判決によると事故は2012年4月、福井県あわら市の国道8号で発生。死亡した男性が所有する車を運転していた大学生が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越え対向車に衝突した。

 判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。  (福井新聞社)

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 甲府は今年初です。今回も15名のご参加を頂きました。傷病名もバラエティに富んでいます。毎回、所感として共通することは相談時期による明暗です。

  1、受傷から3か月以内の方は解決に向けて先手を取ることができます。あれこれと事前に対策を練ります。どのように保険会社へ対処すべきか、健保・労災の使用について、物損の解決、そして予想される後遺障害について・・言わば作戦会議になります。

2、半年ほど経過した方はのんびり作戦を練る時間はありません。やるべきことを急ぎます。つまり、足りない検査の実施と症状固定に向けたアクションです。相手保険会社はのんびり待ってはくれません。

3、相手保険会社が治療費を打ち切った、相手保険会社が弁護士をいれてきた・・これらで行き詰った状態での相談では、もはやすべきことが限定されます。とにかく症状固定、後遺障害審査に進めるしかありません。治療経緯に問題があっても取り返しがつきません。

4、既に等級審査が終わった後・・認定等級が妥当であれば賠償交渉に進めます。

5、等級が認められなかった・・異議申立の検討となりますが、認定率はわずか7%です。多くの場合、諦めることになります。  

 このように交通事故の解決は先手必勝が望ましいのです。「もっと早く相談に来れば良かった・・」このようにため息をつく相談者さんが少なくありません。

   相談会の会場をでたのは7時を回っていましたので、現地で夕食をとりました。おなじみ、甲州名物の鳥もつ、山菜の天ぷらなどを頂きました。

2015041119580000続きを読む »

 原発事故で被害を受けた被害者の皆さんは怒り心頭で東電側弁護士の反証を聞いたことでしょう。では、法律以前の非常識論理が交渉材料となり、加害者側に有利に働くのでしょうか?かえって被害者の態度を硬化させ交渉が長引き、訴訟上では裁判官の心証すら害する・・つまり、逆に加害者側に不利に働くことはないのでしょうか?法律家ではないど素人の私はそう心配してしまうのです。

 これは交通事故でもよく聞く話です。それでは、加害者側(保険会社の)弁護士の「とんでも反証・交通事故編」を紹介します。全部実話です。

  〇 片目を失明した被害者の損害賠償請求に対し、相手弁護士は・・ とんでも反証 「片目が残っているから大丈夫、ちゃんと見えるので逸失利益はない」

 これに対し、被害者は「じゃ、今から(その弁護士の)片目を潰してやる!」と当然に激怒、裁判官もこの反証は一切取り上げず、怒気を示したそうです。  ハムラビ法典がしっくりきますね。 20061121

  〇 横断歩道上の歩行者をスピード超過(およそ60km)の自動車ではねた加害者の弁護士は・・

  とんでも反証 「自動車が来たらよけるべき、したがって歩行者に過失20%ある」

 この弁護士は70代の高齢者である被害者にアスリートを超越した運動神経を要求しています。  刑事裁判でもこの加害者は「被害者は後ろ歩きで横断していた」などと供述しました。被害者はマイケル・ジャクソンのようにムーンウォークで横断したようです。結果は、裁判官「そんなわけないでしょ!」と激怒。民事裁判と同じ弁護士でしたがこれを言わせちゃまずいでしょ。 mj続きを読む »

 いくつか非接触事故の受任経験があります。相手を避けるために転倒した場合、相手がそのまま行ってしまえば最悪、自爆事故とされます。また、相手がそれなりに責任を感じていた場合でも20:80の事故であれば、非接触を考慮し10%の修正が加わって30:70となることが多いようです。まして、相手が歩行者や自転車の場合は大変です。相手に個人賠償責任保険の加入があるかないかがポイントとなります。

 最近、兵庫県で自転車の賠償保険加入が義務となったニュースがありました。義務化について是非の議論はありますが、自転車の賠償能力が担保されることは良いことです。

 本例は後遺障害の立証が主役ではありません。相手自転車の個人賠償保険から賠償金を勝ち取った好取組です。  

12級13号:足関節外顆骨折 訴訟認定(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで交差点を青信号で直進中、信号無視の自転車が横断してきた。それを避けようと転倒し、右足関節の外顆を剥離骨折、後距腓靭帯を損傷、手関節もTFCC損傷の疑いがあった。

【問題点】

相手は自転車で、なおかつ非接触の事故であり、まったく賠償交渉の進展がないまま相談会に参加された。外傷についてはCTやMRIを撮っておらず、診断名があやふやで後遺障害が絞りきれなかった。まして、自賠責保険のような申請先がなく、そのまま相手加入の個人賠償責任保険への請求なので難航が予想された。

【立証ポイント】

同時並行して連携弁護士に個人賠償保険社への交渉を依頼した。非接触による過失減額が争点となったが、それ以上に後遺障害の残存が問題となった。それについては主治医と面談し、MRIの追加検査とリハビリ記録を精査するなど進めたが、微妙な所見に留まり、医証をまとめるのに苦慮した。

結局、訴訟に発展し、足関節は12級13号の賠償となった。後遺障害の立証は今一つであったが、非接触事故で相手自転車から1000万円超の賠償金を取ったことは評価できると思う。  

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 毎年1月の交通事故相談会の参加者は少な目です。毎回、びっしり予約が埋まりますが、今回は以下、予約空き時間があります。参加ご希望の方は急ぎお電話・メール下さい。  

1/31 大宮  13:00~  16:45~ の2枠   2/1 本厚木 11:30~  13:00~  14:00~ の3枠

    賠償問題は弁護士、後遺障害は行政書士・メディカルコーディネーターが対応、万全の対応をお約束します。

souweb keitui続きを読む »

 今年も大勢のご参加を頂きました合同無料相談会、来年1~4月の予定が決まりました。首都圏・交通事故戦略会議に端を発し、来年で5年目を迎えます。8月を除き、欠かさず毎月実施してきました。全国規模で相談会を毎月継続しているグループは私達だけだと自負するところです。これほど長く継続できたのは関係者の皆様の尽力はもちろん、積極的にご参加下さった被害者さまのおかげと思います。

 やはり継続は力なり、長く続けていくに従い相談会の内容も飛躍的に進化、充実しています。私たちの相談会の特徴はなんといっても画像読影に尽きます。今年は射線科医の参加を始め、読影力が飛躍的に向上しました。後遺障害の等級を予断するにあたり、レントゲンはもちろん、MRIやCT画像を観ることが絶対条件です。画像を抜きに交通事故外傷を語ることはできません。 keitui  また、交通事故相談を単なる法律の質疑応答の場としては空論をもてあそぶことにあります。「この事故では過失は何割ですか?」・・単発的な質問に場当たり的な回答をするだけでは不十分です。「解決までに何をすべきか?」、解決までのロードマップ(道程)を定めることが大事です。そして具体性がなければ知識も絵に描いた餅です。被害者を検査や診察に誘致すべき病院情報を把握していなければ何の力にもならないということです。 続きを読む »

 自身も交通事故を扱う業者である以上、同業者の事を書くのは非紳士的で躊躇します。そう言いながら座視できないこともあるのでついつい・・被害者に警鐘を鳴らす意味で勇気をもって一つ取り上げます。

 取り上げる例は、交通事故業務の薄利多売化とでも言いましょうか、それが理にかなったものでれば正当な業務なのですが・・・  

 後遺障害・被害者請求の代理を行う行政書士は一時期のピークを境に減少傾向にあると思います。HPの数も頭打ち、下り坂のように思います。それは弁護士が等級認定に積極的になってきた背景があります。一昔のように「14級は相手にしない」や「等級が取れてから来て下さい」との対応では他事務所との競争に後れを取ってしまうからでしょう。地方ならいざ知らず、都市圏ではそんな宣伝を打つ弁護士事務所はありません。その結果、隙間産業的に14級を扱ってきた行政書士は次の販路を求め、後遺障害のない軽傷案件に目を向けだしたようです。やはり、後遺障害を残すような重傷は全体の5%程度、95%は数か月以内の通院で完治する軽傷者なのです。

 さて、以前も軽傷事案を業者に依頼する価値があるかを検証したシリーズをUPしました。

 ⇒ 軽傷事案の解決  (時間のある方は参照して下さい)

 検証の結果、3か月ほどの通院であれば保険会社との示談で妥協も止む無し、と結論しました。確かに保険会社の基準は裁判等の基準額に比べ、一様に低いものです。しかし自賠内で収まるような軽傷事案は、弁護士の交渉によって費用・時間をかけるほどの増額幅はないのです。それでも商才巧みな行政書士は弁護士費用特約から10万円を引っ張って、無理矢理に自賠責保険に被害者請求することを提案します。

 相手が無保険で困っているなど例外的なケースを除き、任意社の提示を蹴ってまで120万円以内の傷害案件で被害者請求をすることに何の意味もありません。そもそも行政書士は法的に代理交渉ができないのですから、任意社の提示に対する増額効果など期待できません。

 最近見かけたHPにはびっくりさせられました。「任意保険会社が30:70の過失割合により、3割減額した賠償提示をしてきた場合、その提示をのまずに、被害者請求で全額を獲得しましょう」と相談を募っている記事を見かけました。軽傷事案、条件的には自賠責の120万円で収まる損害であれば、任f_c_034意保険会社は過失減額をせずに自賠責基準にて100%の提示をします。なぜなら、自賠責の傷害支払いは厳密な過失減額を適用しません。(被害者に70%の過失でやっと2割減額です。)通常、担当者は任意基準で過失減額した数字と過失減額ない自賠責基準の数字を比べて多い方を提示してきます。(そうしないと、示談後、自賠責に求償したときに被害者に払った額より多く回収され・・任意社は不当利得を得てしまうからです。)したがって、ケガの損害が120万以下で、相手の過失が大きく、相手側に任意社が存在する場合は自賠責に被害者請求する意味などありません。このような悪質な宣伝は「不道徳<虚偽広告による詐欺」に近いと思います。

 断言します。(任意)保険会社の賠償提示は絶対に自賠責を上回ります。    それなりに交通事故業務歴がある先生ですので、まさかこのような基本的な事を知らないはずはありません。受任が減って食い詰めた結果、このように被害者をだましてまでも売上げが欲しいのでしょう。弁護士費用特約を支払う保険会社はいい迷惑です。本当に悲しくなります。知らない先生ですが、思い切って抗議しようと思ったくらいです。

 また、接骨院・整骨院と提携している行政書士であれば、さらに不透明感が募ります。わざわざ任意社を避けて自賠責に請求?・・任意社に施術料の支払いを渋られている院を助ける行為にも見えるからです。

 このような不毛な業務を行政書士に依頼するのはいかがなものでしょうか?単に行政書士の懐を利するだけの行為です。そして任意会社(の弁護士費用特約)に不当な出費を強いる結果となります。

 まぁ、これを反面教師として、この機に自賠責の積算について補助者に教授した次第です。

 どのような業種でも競争は良いものです。業者間の切磋琢磨は依頼者へより良いサービスの提供につながります。しかし食い詰めた業者はこのような無茶な営業を打ってくることもあります。行き過ぎた商魂が被害者の二次被害にならないか心配です。本例は弁護士費用特約を請求される任意保険会社の受難ですが・・。  

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 これは新しい主張ではありません。今更ながらに感じていることです。

 被害者の置かれている状況は過酷なのです。交通事故に遭うと以下の苦役が待っています。  

1、ケガをしてすごく痛い

2、入通院、治療、損害物の修理や買替えにに時間を取られる

3、当然、仕事に支障が起きる

4、家族や周囲の人達に迷惑がかかる

5、警察や医師との折衝にストレス

6、加害者や加害者側保険会社との交渉に強烈なストレス

7、書いたこともないような面倒な書類を何枚も書かなければならない

8、被害者の側で診断書や検査等、証拠を揃えなければならない

9、保険金や賠償金がでるまで待たされる

10、望みの金額を得るために必死に交渉を重ねなければならない

11、これら作業を代理人に頼めば費用が発生する

12、場合によっては一生治らない障害が残る

13、結果として必ずしも納得のいく賠償金が得られない  

 このように、理不尽極まる立場に置かれます。これらの難渋に酬いるものは何でしょうか?それは加害者の謝罪でしょうか?

 結論はわかりきっています。苦しみの対価はお金です。毎度、身も蓋もない表現ですが、相応の損害賠償の実現に他なりません。被害者の務めは2つです。1に損害の自力回復、具体的にはケガを治すことです。2つ目が損害の対価の獲得、つまりお金を取ることなのです。

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 交通事故の相談で「相手の保険会社に弁護士が付いたのですが、どうすれば良いでしょうか?」が少なくありません。これは加害者側の保険会社と被害者が交渉を進めていく中で、相手の保険会社担当者がブチ切れて弁護士対応としたケースです。

 まず、被害者の元に弁護士名のずらーっと並んだ文章が届きます。「今後の交渉は弊所が担当します」と書かれています。被害者はびっくり、今後は加害者や相手の保険会社ではなく、弁護士と交渉しなければなりません。この弁護士に治療費の延長や、自動車の格落ち代金を請求しても、今までの担当者よりさらに冷たい返答が返ってきます。

 それでも強交渉を続ければ、弁護士から「法廷で会いましょう」と返答がきます。これは「債務不存在確認訴訟」と言って、「これ以上を支払ういわれはない!」との訴えで、「払わないで良い」ことを裁判で決めましょうと逆に訴えられている状態です。ここに至り被害者は崖っぷちに追い詰められます。選択は裁判で争うか相手の主張を飲むかになります。

 債務不存在確認訴訟をされるまでもなく、保険会社担当者から弁護士に交渉相手が代わった状態で泣きついてこられる被害者さんに対して、被害者側の相談を受ける弁護士も苦慮します。なぜなら争点となっている請求の多くが、長期にわたる治療費や過大な物損の請求であったり、どうも被害者の主張に無理があるようなケースが多いのです。本来、被害者側の請求が常識的な金額であれば、相手保険会社は弁護士を立ててまで拒まず、少ないながらそれなりの金額を提示してきます。普通に交渉の余地があります。

 もちろん慰謝料や逸失利益など保険会社の基準額は一様に少ないのですが、これを争う場合、保険会社が弁護士を立てるのではなく、被害者側が弁護士を立てて交渉することが自然な流れです。

 つまり、保険会社が先んじて弁護士を立てるケースは、圧倒的に被害者側の請求内容、交渉態度に問題があると言えます。以下が代表的な例です。

  1、乱暴・非紳士的な口調、担当者を罵倒

2、加害者に直接連絡を取る、怖い人が登場する、人間性に問題のある被害者

3、打撲・捻挫の類で長期間、通院を止めない。

4、どう考えても事故の症状ではなく、既往症(元々の病気・けが)や心身症(心の病)での通院が続く。

5、判例や常識であり得ないような自動車の格落ち代、自営業者が過少申告した結果の休業損害額、慰謝料の過大請求。

6、詐病(けがを装う)、詐欺(実は高額の時計が事故で壊れていた)が疑われる怪しい請求。   c_y_28  c_h_76続きを読む »

 途方に暮れる草薙さん、いくつかの法律事務所に相談しましたが、電話の段階で「30万円請求の物損事故?」ではどこも相手にしてくれません。なぜなら経済的利益が30万円程度の事件では弁護士事務所も利益が薄く、仮に20万円ほどの報酬で受任しても、「相手が保険を使ってくれない=回収の見込みがない」と敬遠してしまうのです。そして加害者が保険を使ってくれない、だから保険会社も対応しない、という相手保険会社の対応に一様に納得しているようです。”交通事故に強い”と喧伝している弁護士も「相手が保険を使わないなら修理費の回収は難しい」との回答です。

 それでも無料相談会を開催しているジャーニー法律事務所を訪れました。そして対応した弁護士・香取先生から目からうろこの回答を聞きました。  

草薙さん:「やはり相手の稲垣さんに法的手続きを取るしかないのですか?それでも30万円は取れないのでしょうか?」

香取先生:「相手の稲垣さんに法的手段をとって請求することは可能ですが、やはり回収の問題があります。そんな面倒なことをしなくても、保険会社の東京ダイレクトに請求しましょう」 

草薙さん:「えっ、でも稲垣さんは保険を使わないと言っていますし、東京ダイレクト担当者の中居さんも『契約者が保険を使わないと言っているので対応しません』と取り付く島なしなんですよ。」

香取先生:「この場合、保険約款上の直接請求権を行使します。つまりあくまで東京ダイレクトに請求をします」

草薙さん:「直接請求権?初めて聞きますが、それは何ですか?それで何とかなるのですか?」

香取先生:「損害賠償請求権者、本件では草薙さんですが、事故相手の保険会社に直接請求を行うことが約款上、認められています。その請求に対し、一定の条件はありますが、保険会社は対応せざるを得ないのです。支払いに対してはやはり稲垣さんの同意が必要ですが、ひとまず交渉の窓口を開かせ、中居さんに稲垣さんを説得させる効果はあります。」

草薙さん:「では、今までの”稲垣さんが保険を使わないなら、東京ダイレクトは動かない”・・これは間違っていたのですか!」

香取先生:「中居さんがとぼけていたのかどうかはわかりませんが、保険会社の担当者も弁護士も困ったことに直接請求権を知らないのです。 手続きですが、あくまで東京ダイレクトに修理費の請求書を突きつけ、『保険約款 第〇条(損害賠償請求権者の直接請求権)にもとづいて請求を行います』と通知します。おそらく30万円程度なら保険会社も支払いを検討するはずです。ここで稲垣さんの同意が得られないと支払い拒否の回答をしてきたら、稲垣さんに法的手段を講じると揺さぶりをかけます。ここで稲垣さんが折れて結局、保険使用に進むはずです。」

草薙さん:「それでは、香取先生、是非お願いします!」

香取先生:「報酬は多くいただけませんが、お受けしましょう。」  

 さてようやく請求の目途が立って一安心の草薙さんですが、なぜ紆余曲折したのか、問題は「直接請求権」につきます。これを説明する場合、実例を踏まえずに約款解説しても何のことやら?になってしまいます。

 前置きが長くなりましたが、明日は「直接請求権」について解説します。

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<ケース> (以下、仮名)

 草薙さんは自動車同士の衝突事故に遭いました。自動車の修理費を相手の稲垣さんに請求しなければなりません。しかし、お互い事故状況の説明が食い違い、稲垣さんは責任を認めません。

 仮に自分(草薙さん)に多少の過失があったとしても、相手(稲垣さん)の責任が大きい事故です。稲垣さんの車は古くキズだらけで、今更修理するまでもない損害です。しかし、草薙さんの車は買ってから一年未満のピカピカ、フェンダーのへこみの修理費は30万円です。

 幸いお互い自動車保険(任意保険)に入っています。草薙さんは保険会社の交渉に委ねることを稲垣さんへ提案しました。それでも稲垣さんは責任はないの一点張りです。警察への届け出が済むと、稲垣さんは現場から逃げるように走り去ってしまいました。

 やはり当人同士ではなく、保険会社同士の交渉でなければ進みません。まず自分の加入している太陽損保に事故報告し、稲垣さんへは東京ダイレクト損保にコンタクトをとるよう電話で伝えました。これで保険会社の交渉になると思いきや・・・(以下 電話での会話)

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太陽損保 担当者 木村:「本件担当の木村と申します。稲垣さんも東京ダイレクトに事故報告をあげていただけませんか?保険会社同士での話し合いで進めたいと思いますが。」

稲垣さん:「俺は悪くない。そっち(草薙)が突っ込んできた事故です。」

木村:「まぁ、とにかく東京ダイレクトの連絡先を教えてくれませんか。」  

なんとか電話番号を聞き出し、木村氏は東京ダイレクトの担当者 中居氏に電話をしました。」  

木村:「本件を担当します木村です、よろしく。ぶっちゃけ判例タイムス〇ページの10:90ではどうすか?」

中居:「ちょっと待って下さい。稲垣さんからの事故状況報告と違っています。また稲垣さんは自分に責任はないと言っています。稲垣さんのオーダーを確認して折り返します。」  

それから3日  

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 昨年の実績ですが、自動車に同乗していた複数の被害者全員に14級認定を受ける事案が多かった。3人まとめてが2件、2人は3件、まだ4人以上はないです。同乗者全員への認定は比較的取り易い印象です。 

 

事案】

駐車場に入るため停車中、後続車に追突される。同乗していた3人全員むち打ちに。

【問題点】

1人1人の症状は微妙に異なるが、課せられたミッションは全員14級を獲ること。

【立証ポイント】

私を含めて4人診察室前に待機し、順番に医師面談する。3人それぞれ神経学的所見を明らかにし、一人一人の症状を的確に診断書に記載いただく。このような流れ作業で3人まとめて14級認定。

1人だけ取れない・・なんてかわいそうでしょ。

 

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 頚椎・腰椎捻挫での14級9号と12級13号の違いは明確な画像所見の有無です。14級狙いか12級狙いか・・最初から立証作業は違うのです。本件は初回申請で画像所見を示したのにも関わらず14級認定となった案件です。しっかり見ているのかなぁ?   【事案】

自動車で交差点右折待ち停車中、後続車に追突される。 弁護士事務所から紹介を受け、被害者から症状を聞き取ると「太ももからアキレス腱までのしびれがひどい」とのこと。早速、MRI画像を見るとL5-S1間に正中から右神経根にかけてドスンとした椎間板ヘルニアがある。久々に12級狙いの案件である。

【問題点】

すでに後遺障害診断書が記載されていたが、12級を獲るのであれば神経学的所見の遺漏は許されない。主治医に追記・修正を依頼すべく病院同行する。しかし主治医はすでに独立開業のため病院を辞めていた。後任の医師は無関心で「12級の為に」などで協力するはずもない。そこで辞めた主治医を追いかけ、開業した病院を訪問した。 事情を説明したところ、追加の診断書の記載はもちろん、前院へ電話をかけてカルテの請求・引継ぎをしていただくなど、全面的に協力頂けた。さらに画像鑑定書も付し、万全の医証で提出の結果は「14級9号」の判定。

【立証ポイント】

12級であるべきを不可解な14級判断。異議申立を準備するも、初回が万全である故、新たな医証などない。ほぼそのままの書類に加え、再度MRIを撮影し、主治医に継続して治療している旨の診断書を記載いただく。異議申立の建前に乗っ取り、医証を追加する不毛な作業となった。

そして2か月後、12級の変更回答。最初から出せばいいのに何をもったいぶっているのか・・・それだけ12級判断は慎重であるのはわかるが、やはり担当者のおざなりな審査(初回審査では画像所見をしっかり検討していないのではないか?)を感じざるをえない事案であった。  

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 7月は相談会祭です! 今週金曜の茅ヶ崎に続き、土曜日はお膝元の有楽町、翌日の日曜は東京湾を横断、海ほたるを経由して木更津です。

 弁護士と一緒に交通事故のあらゆる場面に答えることができる、ワンストップサービスです。各分野の専門家によるチーム力をご期待下さい。各会場予約が埋まりだしています。早めの申し込み(ご相談・お問い合わせへメール、もしくはお電話)をお待ちしています。  

7月18日(金)神奈川県 茅ヶ崎

弁護士・行政書士・交通事故110番 茅ヶ崎出張無料相談会のお知らせ

日時

7/18金曜日 午前10:00~午後18:00まで

会場

東横INN湘南茅ヶ崎駅北口 会議室 〒253-0041 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎1-2-53  0467-86-1044  ...

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7月は相談会祭です! 7月6日(日)長野から6か所の会場を準備しました。それぞれ弁護士と一緒に交通事故のあらゆる場面に答えることができる、ワンストップサービスです。各分野の専門家のチーム力を期待して下さい。各会場予約が埋まりだしています。早めの申し込み(ご相談・お問い合わせへメール、もしくはお電話)をお待ちしています。

 

7月6日(日)長野

弁護士・行政書士・交通事故110番 長野出張無料相談会のお知らせ

日時

7/6 日曜日 午前10:00~午後18:00まで

会場

ホテルサンルート長野 会議室 長野市末広町1356  026-228-2222

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 5人の相談者と少なかったですが、充実した質疑応答となりました。内容はむち打ち3件、高次脳機能障害1件、鎖骨・肩甲骨骨折1件です。恒例の所感を。

  1、手遅れの相談

 すでに症状固定の時期です。通院内容は接骨院中心でMRIも撮っていません。通院日数も足りない。これでは「単なる捻挫で頑張って半年通い倒した被害者」とみられます。後遺障害の認定はほぼ絶望的です。毎回、手遅れの被害者に厳しい現実を言い渡さなければなりません。辛いです。  

2、高次脳機能障害は追加調査が

 高次脳機能障害の場合、その多くが見逃され易いため、平成23年の制度改定で疑わしき申請に対し、被害者家族、主治医に追加の医療照会が入るようになりました。その書類とは「日常生活状況報告」と「神経系統の障害に関する医学的意見」で、高次脳機能障害では必須の提出書類です。今回の相談者も不十分な申請書類で提出してしまいましたが、この医療照会で救われるかもしれません。しかし被害者とその家族の人生を左右する大事な後遺障害申請です。やはり完璧な状態で臨みたいところです。仕方ないですが、まずは結果を待ちます。

  3、根性で機能回復を図る

 持ち前の体力と根性で関節可動域がグングン回復しているようです。被害者としては優等生です。当然ですが後遺障害など残さず、治すに越したことはありません。しかし骨折が関節部に及べば完全回復はあり得ません。適当な時期に症状固定を進めて、しかるべき等級認定を受けるべきです。被害者は回復はもちろん、計画的に等級申請手続きをする必要があります。本件はそのような時期に、適切なアドバイスができて良かったと思います。

kansetu_25  だらだらと長く通院すればそれなりに回復します。月日も一番の薬です。結果として中途半端な回復で等級を逃し、涙をのむ結果となります。  

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 さて、昨日の試算から軽傷案件は費用倒れすれすれであることがわかりました。「弁護士先生、なんとか報酬20万円以下でお願いします!」の状態です。方々の交通事故相談に出向きましたが、なかなか引き受けてくれる先生が見つかりません。どうしましょうか?  

保険会社マターとするか弁護士マターとするか

 以上から軽傷案件の場合、保険会社と争わずに速やかな解決を目指すなら、慰謝料は少ないですが直接交渉でも良いような気がします。このような案件を私は「保険会社マター」と呼んでいます。

c_y_79 保険会社は支払額が自賠責保険以内なら自腹が痛みませんので、提示に対して印鑑を押すだけで解決が可能です。保険会社は3か月程度の捻挫・打撲では常に自賠責保険の範囲での解決を目指しています。治療費や休業損害で交渉余地が少なく、経済的利益がわずかしか見込めないなら、妥協的な解決でも仕方ありません。実際、ほとんどの軽傷事案は保険会社マターで解決しています。

 しかし感情的になってしまい、保険会社と上手く交渉できない被害者や弁護士の交渉で増額が見込める余地が相当にあれば、弁護士に依頼することも一考です。問題は引き受けてくれる弁護士をみつけることででしょうか。  

そうだ、弁護士費用特約があるじゃないか

 弁護士費用特約(以下 弁特)に加入している被害者であれば、弁護士への報酬は保険で賄えます。試算ではおよそ20万円前後に損得の判断がかかっていますが、その心配はなくなります。    弁護士事務所の多くが弁護士費用特約がある場合、旧日弁連基準とほぼ同じ報酬体系を打ち出しています。仮に弁特社(自身が弁特に加入している保険会社)に20万円の増額に対して、その基準で報酬を計算しますと・・・

(計算) 着手金  8% 成功報酬 16%

合計 200000円×(8%+16%)=48000円+消費税8%=51840円 ...

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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