交通事故でケガをしました。直後から被害者はこれから治療と並行してさま様々な事務手続きを強いられます。周囲に相談できる詳しい人がいればよいのですが、ほとんどがそれぞれの窓口で一つ一つ聞きながら進めていきます。自動車保険の代理店さんなどが手伝ってくれれば良いのですが・・それでも結構大変です。また正確な答えを示してもらえないこともあります。各手続の窓口の人でさえ、間違った知識で対応することもあるのです。したがって「よくある間違い」も適時、挿入します。  ケースbyケースの時も多々ありますが、今日からシリーズで基本的な手続きを説明していきます。

① 事故直後の3義務

 ご自身が被害者となり、ケガを負ったケースを中心に進めていきますが、加害者の義務にも触れておかねばなりません。事故が起きて、まず何を優先すべきか?以下3つを行います。

1、被害者の救護  2、安全措置  3、警察への届出

 けが人が道路に横たわったままでは危ないです。危険回避のため、路側帯に移動させます。また一刻も早く救命措置が必要の場合、止血や人工呼吸も必要です。これについては周囲に人がいれば、助けを求めることも重要です。同時に救急車を呼びます。車両は路側帯に停止させ、停止表示を置く、発煙筒を焚く、トランクを開けるなど後続車による2次的な事故を防ぎます。基本は救命と安全措置です。

 以上が確保されたら、警察への報告をします。これは人身事故でも物損事故でも同じく、道路交通法に定められています。

第七十二条  交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

 このように、負傷者の救護、安全措置、警察への報告(下線)の3つが定められています。

 最後に自動車保険に加入していれば、保険会社に連絡します。アメリカでは先に弁護士に連絡ですが、日本はまだそこまではいってませんね。

★ よくある間違い 1

 軽い追突事故に遭いました。特にケガもないようで、加害者も「後で見積もりを送ってくれれば修理費を払うよ」と言っています。そこでお互いの連絡先を交換してその場は分かれました。急いでいたので警察への届け出はできませんでした。

 これはつまり先の道路交通法72条違反です。事故の軽重に関わらず、報告しなければなりません。そうは言っても急いでいるときなど面倒なケースもあります。その場合は警察に電話をして事情を説明し、後日、当事者双方で出頭すればOKです。しかしそれが許されるのは「事情」の内容によります。仕事で急いでいた、飛行機に間に合わない、などは考慮すべき事情とはなりません。命に係わる急病、出産などで急いでいるなどに限定されます。

★ よくある間違い 2    軽い物損事故でしたが届け出をしたら、交通課のお巡りさんが「(届け出をして)事故証明がでないと保険が下りないのでしょ、何とかならないの(=続きを読む »

 一年は1月から始まりますが、新入学、新学期など4月スタートの刷り込みでしょうか、春から一年が始まる感覚も捨てがたいところがあります。  日々の業務に追われて新しいアイデアを練る、新機軸を打ち出すことができないジレンマの毎日ですが、病院へ行き先生方とお会いし、相談会害で相談者さんたちと向き合うことが一番の基本業務であることは間違いありません。しかし如何せん体が足りない!!

 新年度からは被害者救済の志を持ったメディカルコーディネーターを発掘、育成することも急務です。そしてなんと言っても弁護士先生の力がまだまだ必要です。弁護士の代理交渉を前進させて被害者救済事業と発展させねば、あまねく被害者を救うことができません。この業界に参入している者がそれぞれの都合、スタンスでバラバラに動いていては、いつまでたっても保険会社主導の交通事故業界は変わりません。それだけ保険会社の浸透は深く強固です。

 交通事故賠償における保険会社の功罪の2面性、良い面は加害者対被害者の紛争化の拡大を防ぎ、一定の社会秩序をもたらしていることです。悪い面は裁判判例の賠償基準に比べ、著しく低額の支払い基準がまかり通っていることです。大多数の小損害事故に対して、穏便な解決が図れていることは重要な社会的寄与と思います。反面、後遺障害を伴う深刻な被害者の多くは半分程度の賠償金額で泣き寝入りの状態です。これに対し行政指導はなく、法律業界からの苦言も効果がありません。それは保険会社が一民間企業で営利会社であるからです。この構造はそう変わものではありません。資本主義社会において、保険会社だけに被害者救済の公共性を強く求めることに限界があります。だからこそ被害者側に立つ業者も、草の根からコツコツ努力を積み重ねなければなりません。

 目の前の一被害者を救うことも、交通事故業界全体の大きな視点に立って考え行動することも、結局は目標が一緒です。それをどのようにバランスの良い両輪システムとするか?これが新年度の課題と思っております。話が大上段かつ抽象的で短い文面では説明しきれませんが、これを新年度の抱負としたいと思います。

 まずは・・・本日、健康診断に行ってきます。健康第一!

 都内のさくらは散り始めています

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 前日よりつづきます。    弁護士事務所にとって「交通事故被害者の初期対応」を困難にしているもの・・・

 それはズバり報酬体系です。

 いくつかの弁護士事務所のHPをみてみました。それぞれの細かな違い、料金の多寡はスルーしますが、おおまかに二つのタイプに分かれることに気づきました。

1、着手金なし+成功報酬10%+20万円 

 これは大手事務所に多いパターンです。着手金無料をうたって集客力強化を図っていますが、最後に20万が加算されるので、正確に言えば「着手金後払い」と思います。この構図は某大手法人事務所が業界に先駆けて打ち出した「着手金無料」攻勢に他事務所が引きづられて、どこの事務所も「着手金あり」ができなくなってしまった状態です。また、依頼者側に弁護士費用特約がついていれば、別体系の報酬規程になります。多くは旧日弁連の報酬基準に準じています。このダブルスタンダードは今回の着目点ではありません。指摘したいのは受任時期です。    この報酬基準はどの段階から依頼しても同じ料金となります。例えば、後遺障害の被害者請求から弁護士に依頼し、その後の賠償交渉まですべて面倒を見てほしい被害者も、既に後遺障害等級を相手保険会社の事前認定にて、認定されてから代理交渉を依頼する被害者も同じ料金となります。前者と後者では作業量も違ってきますし、等級認定の成否も大きく弁護士の力に関わってくるはず・・・なのにです。    受傷直後に相談に来た被害者、賠償交渉ができる状態まで等級などが整っている相談者、どちらも同じ料金なら、「等級がとれてから来てくださいね」となるのが人情です。同じ報酬なら仕事量が少ない方がいいに決まっています。まして着手金が無料ですので、等級が認定されるかどうかわからない受傷直後の被害者を受任するのはリスキーだと考えます。    多くの事務所がこの「着手金無料」+「画一的な報酬体系」のおかげで、「事故直後から受任します」とアピールできません。頼りない印象を持った相談者は戻ってはきません。当然、受任率も低迷します。

2、等級認定前、等級認定後で違う報酬体系をもつ事務所

 この事務所は仮に1の「着手金なし+10%+20万」を掲げつつも、受任時期を等級認定「前」、「後」と分けて報酬設定をしています。つまり等級認定までの作業に対する費用は当然に発生するものと考えている事務所です。等級認定の手間、難しさを理解していますので、この作業を別料金としてオプションメニューにしている事務所さえあります。これらの事務所は自信を持って、「受傷直後から相談に来てください!」と呼びかけています。この言葉の真贋、嘘か真かは事務所の利益面からも裏付けられているのです。

 細かな報酬設定は煩雑に見えますが、被害者にとって初期から助けてもらえ、等級認定にも尽力してくれるなら、十分に納得できるものです。例として、弁護士費用特約がない被害者であっても、等級認定の重要性に理解が及べば、お財布から着手金をさっと出します。それくらい被害者は必死になって助けを求めており、それにかなう事務所を見つけたら迷いはありません。

連携を阻むもの

 1の弁護士事務所に連携を呼びかけるとどうなるか・・・私が「初期対応、特に等級認定は私達、行政書士、メディカルコーディネーター(MC)がやります」とアプローチしても、「秋葉さん、それは助かるけど・・・でも秋葉さんにその分の報酬を払ったら、うちの報酬が減っちゃうよ」と消極的になってしまいます。その分の仕事について、事務所の報酬規程では余分に報酬はいただけない、このような自縄自縛に陥っているのです。さらに事務所内の弁護士、事務員も「初期対応や等級認定は自分たちでできる!」と息巻きます。しかし実態は昨日書いたように「初期対応をやっているつもり」、「被害者請求すらせず」の事務所が多いのです。なぜなら繰り返しますが、同じ報酬なら、なるべく事務が少ない方がいいからです。

 では「報酬規定を改定し、別料金を設定すれば?」これに対しては競争力低下を心配してか、初期対応・等級認定の重要性に気づいていないか、私達MCの仕事の評価が低いのか・・・このような理由から踏み切れません。

 対して2の事務所は渡りに船とばかりに連携が進みます。初期対応をMCに預けることで、受任率は40%を超えます。さらに進化した事務所では事務所内においても初期対応、等級認定に力を入れつつ、等級が見込まれるか否か判別がつかないもの、難事案、とくに病院同行や特殊な検査が必要な案件は私(MC)に任せるなど、案件ごとに使い分けを行っています。

 被害者もこのような事務所に集まってきます。「受傷直後からの受任」に偽りはなく、報酬が高くなろうと、それに見合った仕事をしてくれる上、獲得した等級により最終的に受け取る賠償金も増大するケースが多いのです。結果として顧客の満足度は非常に高いものになります。何故なら初期のフォローから等級認定まで尽力してくれた弁護士の姿・仕事が「見えて」いるからです。多くの事務所は受任したのち、(見えないところで)「保険会社と交渉し、まとまりました」との連絡のみが返ってきます。・・・結果として頼んでよかったのか、わからない状態で解決します。     弁護士費用特約がある被害者であれば、迷わず2の事務所を選びます。そしてMC側=秋葉もこの連携によって報酬がしっかり頂けますので、どんどんこの事務所に案件を紹介します。逆に「秋葉さんに報酬を払ったらうちの報酬が減っちゃうよ~」と心配している事務所に案件は紹介しづらくなります。

 結論。すべて「着手金無料」は現実的ではない。「画一的な報酬体系」では被害者を救いきれない。これを理解し一歩踏み出さねば、連携はもちろん、交通事故に特化した弁護士事務所へ脱皮できないのです。  

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「受傷直後から受け付けます!」

法律事務所が「初期対応」可能であれば、交通事故被害者は安心して治療に専念できます。最近のHPでも初期対応をうたう事務所も散見できるようになりました。私も弁護士事務所との連携の打ち合わせでは、まずこの部分を綿密にお話しさせていただいています。すると弁護士事務所の受け取り方は大きく3つに分かれる傾向があります。

1、初期対応?何をするの?

おなじみの「等級が来てからまた来て下さい」という対応を続けてきた事務所です。すべての損害が明らかになってからではないと積算(損害の計算)し、代理人として相手に請求できないので・・と考えます。確かに弁護士の仕事を代理人による賠償交渉のみ、にとらえればそうなります。しかしいつも主張するように、後遺障害を残すような被害者さんたちは、等級認定が大きな勝負の分かれ目であり、そこにたどり着くまで大変な苦難を味わいます。もしくは苦難がない場合、多くは保険会社の支払基準で保険会社の都合のいいように進められてしまった方です。 この仕事は「被害者の救済事業」です。助けるべき局面、仕事は受傷後からたくさんあるのです。弁護士とはこの大きな視点から一緒に考えていきます。

2、うちは受傷直後から受任しています!

実に頼もしい答えが返ってくる事務所もあります。しかし、実際は・・・ちょっと意地悪ですが、2~3質問してみます。

①「治療費を健康保険に切り替える際、第三者行為による傷害の届け出を行いますが、これも御事務所で対応を?」 → 「はい。電話で『健保組合に聞いて進めてください』とアドバイスをしてます。」

②「労災の請求はどのようにしていますか?」 → 「はい。『労働局に聞いて進めて下さい』とアドバイスしています。」

③「後遺障害診断書の依頼はどのようにしていますか?」 → 「主治医に手紙で『よろしく』と添えています。」

ようするに何もわからないけど対応しているつもりになっています。質問に答えていませんし、実際、被害者のなんの役にも立っていません。ひどいと後遺障害の認定も相手保険会社に診断書を提出(事前認定)し、すべて任せっきり・・・。これでは受任中に被害者が離れていきます。場当たり的なアドバイスで誤魔化してもメッキは剥がれます。しっかり被害者をグリップできるかは、これら初期手続きのフォローにかかっていると思います。

3、初期対応、後遺障害認定こそが課題です

対応しているつもり?の事務所ではなく、どうしたらよいか明確に自己分析ができている事務所です。早くから相談にきた被害者の対応に苦慮している、後遺障害等級の獲得に苦戦している、異議申し立ての受任判断が難しい・・・等々、謙虚に仕事に向き合っている先生です。 こことの連携はすこぶる良好になります。裁判、示談交渉以前の事務を私たちメディカルコーディネーター(MC)に任せ、被害者を煩雑な事務から開放し、保険会社との交渉が生じれば直ちに間に入り、被害者をこの交渉ストレスから切り離します。そしてMCは医師面談や検査同行を通じて間違いのない後遺障害認定に落ち着かせます。最後に弁護士が賠償交渉でばっちり解決します。また異議申立の準備も、裁判での医証集めも、MCが弁護士の指揮下で暗躍します。このようにトータルで被害者救済業務が完成されます。結果として依頼者の満足度は非常に高いものになります。

現在、多くの連携先でこのシステムが主流となっています。ボスとイソ弁2人、事務員3人・・この規模の事務所では外部のMCと連携することによって、良い結果を量産しています。また大規模法人事務所は、事務所内の事務員・パラリーガルをMCとして養成、自事務所で完結する流れを作り上げています。このMCを養成するのも私の仕事と自負しています。

交通事故業務への向き合い方は、弁護士事務所によってそれぞれ違います。残念ながら多くは1か2のタイプです。私は「交通事故業務を弁護士に取り戻す」には3の「連携体制」+「受傷直後からの完全対応」の確立にかかっていると思います。1の考え方では、被害者は相手保険会社に取り込まれてしまいます。2の対応では看板に偽りありです。

では、私が利害を説いた結果、簡単に3の対応になるのか?ここでも問題が立ちふさがります。

つづく

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 飛び飛びで投稿しております、「被害者救済業務を分析」再開します

前回まで→ 被害者救済業務 を分析 ⑥

 「交通事故業務を弁護士の手に取り戻す」・・・そのためにはどうするべきか、今日から私の考えを示していきます。

 前回まで交通事故被害者を取り巻くを解説しました。保険会社主導で80%が解決されている環境下で何が必要か?私はそれを交通事故の初期対応に求めるべきと考えます。

 最初の表に戻ります。

        <完全解決までの基本的な流れと役割>

 

事故

発生

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 やはりというか、私たちを待っている被害者さん達が大勢いました。今回も弁護士、行政書士を含む首都圏チームで長野を訪れました。弁護士はやはり敷居が高いのでしょうか、なかなか相談のきっかけをつかめずにいる被害者さんには、こちらからのアプローチが必要と実感しました。

1、高次脳機能障害の解決はどう進めるのか?

 受傷から治療に専念してきたご本人とご家族、大変であったことでしょう。しかし何年も様子を見続けているわけにはいきません。解決へ向けて舵を切らせます。  どうのような症状を示しているのか?治療先で専門的な検査は可能か?相手保険会社との折衝は?公的補償制度の検討は?・・・やるべきことが山積しています。手前味噌ですが、弁護士&行政書士のコンビでこれらをワンストップで対処していきます。解決までのプログラムを説明すると、ご家族の不安な顔はみるみる安堵に変わります。

2、東京から来た意味・・

 相手保険会社との交渉で解決できない場合どうするか。裁判という手もありますが、訴額や内容が裁判にそぐわない案件もあります。それらは紛争センターの斡旋を利用することがオーソドックスな手段です。その紛セン、山梨や長野など関東甲信越はなんと東京の管轄です。したがって東京の弁護士が新宿の住友ビルに通えばOKです。つまり東京は交渉上、遠隔地とはならないのです。病院同行やきめ細かいフォローはメディカルコーディネーターが対応しますが、関東甲信越の大概の地域が、都心から特急や新幹線で2時間です。なんとかなるものです。このような話をすると相談者さんも納得、相談会後にメールや電話でフォローが始まります。

3、東京であるゆえの・・

 東京在住のご息女の病院対応が必要な相談もありました。相談会には地元にお住いのご両親がいらしたのですが、御嬢さんは東京の大学に在籍、近隣に在住のため、通院先も都内です。この場合、「首都圏の我々にお任せください!」と自信を持って対応できます。こうしてご両親は御嬢さんのそばに法律家を確保することができました。  さらに偶然ですが、来週、私の事務所のある越谷市に引っ越しを予定している方もいらっしゃいました。早速、転院先の相談となりました。

   この3日間も大変勉強になりました。地域性を感じる遠征相談会、なにより各地のたくさんの相談者に接する事は経験則の洪水です。色々なケース・性格の被害者さんの解決策について、弁護士や専門家の先生達と一緒に知恵を絞ります。傷病や法律の知識を学ぶだけではなく、斬新な実験、コロンブスの卵的な発想が次々と飛び出します。忙しいとついつい考えが硬直化します。頭はつねに柔軟に保たねばなりません。

 ← 相談会会場のホテルの屋上露店風呂

 温泉天国の長野県、しかし今回はこれで我慢です。

 ← 朝食のお蕎麦

 前日の夕食はバカ刺盛り(馬肉、鹿肉です)、ぴょんぴょん揚げ(カエル)・・・ワイルドです。  朝は写真の通り、さっぱりとお蕎麦でした。

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 ♪ けんかをやめて~ 二人を止めて~ 私のために争わないで もうこれ以上~ ♪

これは竹内まりやさんの「けんかをやめて」という曲。三角関係にある女子からの歌です。(男子側から)歌詞を見ていると、この女子にイラっとしますが・・。

さて、交通事故の電話相談で必ず挙がるのが、「相手保険会社との交渉」です。特に請求している費用が支払われないことについて打開策を求める相談です。 慰謝料などは治療終了後の示談時に交渉しますが、治療費や休業損害、通院交通費、自動車の修理費、代車代などは至急の支払いが求められます。もちろん、事故との因果関係がはっきりしている項目については保険会社もあっさりと認めて支払ってくれます。しかしすんなりいかない項目もあります。以下、代表例を挙げます。

 

1、どう考えても軽い衝撃なのに、重篤な症状で入院・通院が長引く

2、(過少申告している)自営業者が申告書以上の休業損害を請求する

3、単なる、むち打ちや足腰以外のケガで通院にタクシーを使う

4、事故での損傷以外が盛り込まれていると疑われる自動車の見積もり

5、古い自動車の修理代=価値を上回る修理費

6、代車も特定の車種にこだわる「ベンツじゃなきゃ嫌だ!」

7、5年以上も乗っている軽自動車の格落ち代

8、過失割合、特に交差点の出合頭衝突で「0:100じゃないと納得できない!」

9、可能性が定かでない、就職、進学がかなわなっかた等の将来損害

10、その他、事故とは関係ない出費 (爆笑「あきれた請求」についてはいずれ取り上げます)

 

 これらで保険会社と激しくやり合います。打開策は、まずしっかりと証拠を示すことです。それでも交渉が暗礁に乗り上げたら、弁護士に依頼し交渉を進めることです。「支払い側」=「お金を握っている」保険会社が圧倒的に有利です。法律家のバックアップなしにはあまりにも苦しい戦いとなります。 しかし少なからず、冷静さを失って保険会社担当者とケンカになってしまう被害者もおります。紳士的に交渉ができなければ、保険会社は伝家の宝刀、「弁護士対応」とします。担当者を罵倒した数日後、弁護士名がずらっと並んだ通知書が届きます。内容を簡単に言いますと・・・「これ以上、お金が欲しくば法廷で会おう!」です。ここに至って被害者は行き詰まり、相談の電話をかけてくるのです。

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① 法的に保険会社の示談代行を可とした。

② 紛争センターのような仲裁機関を設置した。

③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を受け入れる。

 示談代行付き保険は3つの制度を引き換えとばかりに誕生しました。以降、保険会社による示談・支払いの一貫した解決が可能になり、それが当たり前になっていきました。一方、弁護士は保険会社の交渉でも解決に至らない案件を受け持つようになりました。

 時は流れ平成に入り、私は旧安田火災(現 損保ジャパン)に入社しました。一年目にサービスセンターに短期配属され、山のような事故時払いデータや統計を目にしました。そこで警察に届出された交通事故に対し、保険会社による示談解決は84%との数字をみました。このほとんどが保険会社 対 被害者の交渉で解決しています。このうち弁護士が介入する代理交渉はどのくらいの数字でしょうか?これについてはデータがありませんでしたが、多くは問題のある被害者に対し、保険会社側が雇う形が多かった印象です。

 被害者側に立つ弁護士が少ないのでは?その頃から長らく疑問に思っていました。

 ここ2~3年急激に被害者側にアプローチする弁護士が増えてきましたが、未だ弁護士に委任して解決を図ることは一般的ではないと思います。やはり圧倒的に「保険会社vs被害者」の直接交渉なのです。理由を考えました。

保険会社主導の解決

 あまりにも保険会社のシステムが優秀で、被害者は保険会社のペースで解決に誘導されます。人身担当者がついて病院への一括払い(病院に治療費を直接、精算してくれる)や、物損担当者がついて、さらに物損アジャスターが活躍(被害車両を見るため、足を運び検証)し、組織的に解決を図ります。特に任意保険の加入者同士の事故で、双方に車両保険や人身傷害特約が付いていれば、両社の保険会社によりスムーズに解決してしまいます。もちろんその方が円満でよい結果も多いと思います。しかし後遺障害を残すような事故の場合、保険会社の基準=少ない賠償額で円満解決ではあまりに被害者がかわいそうです。

保険会社寄り?の弁護士

 交通事故を扱う弁護士の多くは顧問、・協力弁護士出身です。そして保険会社との関係が切れても、世話になった保険会社と争う案件は受任しない、徹底的には争わない、このようなケースを未だに目にします。

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 中断していましたシリーズを再開。前回まで 被害者救済業務 を分析 ④

 テーマは 「交通事故業務を保険会社から弁護士の手に取り戻せ!」

 なぜこのようなテーマに至ったのか、交通事故における保険会社vs弁護士の歴史で解説します。  

<1> 交通大戦争

 1974年3月に示談代行付きの自動車保険が販売されました。一番の注目は「示談代行を保険会社がやってくれる」ことです。当時の日本は60年代のモータリゼーションを経て、一家に一台自動車保有が定着した頃です。そして「交通大戦争」と呼ばれるほど交通事故が多発していた時代でした。

 警察庁交通局「平成24年中交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」から事故数の推移を見てみましょう。(↓クリックするとはっきり見れます)

 74年当時の数字を見てください。死亡者数、年間16000人超のピークから12000人まで減少したとはいえ、5000人以下に減少した平成24年に比べすごい数です。もちろん負傷者数や物損を含む事故総数自体も、当時の車の台数約4000万台と現在の約9000万台と比べると異常な件数であることがわかります。  

<2>弁護士vs保険会社

 このような背景から、保険会社の自動車保険の販売促進と内容充実は社会的要請でもありました。この膨大な事故数に対し、当時9,830人の弁護士が担うことには限界があります。ちなみに平成24年は司法制度改革の成果で32088名となり、当時の3倍超となっています。  そのような状況で保険会社は「示談代行付き保険」の認可を求めました。現在では当たり前となりましたが、保険会社が対人事故や対物事故で、加害者と被害者の間に入って交渉をしてくれるのが「示談代行付き保険」です。しかし弁護士会は「弁護士以外が他人の事件に介入し、示談をするのは弁護士法72条『非弁行為』にあたる」と反対したのです。簡単に言いますと、「お金を取って、他人に代わり、示談交渉ができるのは弁護士だけ!」と弁護士法で定められているからです。しかし大量の事故の解決には、保険会社が間に入って交渉するのが合理的なのはわかりきっています。保険会社、弁護士の両者で行政を巻き込み調整作業が行われました。

 

<3>示談代行付き保険、ついに発売、その背景

 法的な解釈論は長くなりますので、ここもざっくり言いますと、「法的に白黒つけず、被害者保護に乗っ取った社会的な公益性を優先させた」決着をしました。弁護士法72条は弁護士の職域を守るものではなく、示談屋さんなど被害者を食い物にする悪い人を排除するのが正当な目的です。だから保険会社さんの示談は悪いことではない・・と解釈が進みます。  そして、保険会社、弁護士両者の調整は以下の制度を作ることによって成されました。まさに現在の交通事故業界を形作るシステム(下線)がこの時生まれたのです。

  ① 特段の支障がない限り、原則として被害者が直接請求権を行使できるものとして、被害者救済の途を開くとともに、これによって、保険会社の当事者性を強く打ち出すこととした。

・・「他人のために」示談をすることがダメなら、保険会社は「保険金支払い義務を負う当事者でもあるので、他人のためだけではないよね」・・・このような解釈とし、違法性から遠ざけます。

 もっとも72条違反を回避する目的での「直接請求権」ですので、現場ではほとんど意識されていません。例えば、加害者が自分に責任がないと思って、自分の契約している保険を使わないと言えば、保険会社の担当者の多くは、「契約者(加害者)が保険を使わないと言ったので、うちは対応できません」としれっと答えます。そのような場合、被害者は「直接請求権」を発動すればよいのですが・・・この議論は本筋にはずれますので別の機会に取り上げます。

  ② 「交通事故裁定委員会」の設立。被害者(または被保険者)に不満が生じた場合に備えて、中立かつ独立の第三者機関である「交通事故裁定委員会」を設立することとした(昭和49年2月27日発足)。この裁定委員会は、学識経験者および弁護士により構成され、被害者等の正当な利益の保護に資することを目的として、自動車保険に関し、保険会社、被保険者および自動車事故の被害者のうち二者以上を当事者とする民事紛争について、無料で和解の斡旋を行うこととしている。  裁定委員会はその後昭和53年3月に「財団法人 交通事故紛争処理センタ-」に改組され、現在では、高等裁判書が所在する8都市(東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)および金沢とさいたまに設置されている。

・・・行政側は保険会社に示談権を与えた(あくまで代行権、代理権とは歯切れ悪いながら区別)、つまりこれは絶大な力です。なぜなら、支払う側の保険会社が交渉上、有利に決まっています。お金を握っているのだから当然です。したがって被害者が保険会社と交渉決裂した場合、駆け込み寺が必要となります。こうして一種のガス抜き機関、紛争センターが誕生したのです。

  ③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を一定数、常に契約し続ける。

・・これは明文にされていないので裏協定かな? 保険会社からの仕事は新人弁護士にとって良い収入源となります。

  ①で法的な問題を回避、②で行政の立場から公平性を確保、③で弁護士にも利益を、でしょうか。

難しいことを簡単に説明するのは難しいです。来週に続きます。

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 交通事故業務での対応力、知識、業務能力を磨くには何が一番有効か? それは経験です。

 その経験とは、たくさんの案件、実例と向き合うことです。例えば相談会で毎回10~20人の被害者に対応します。ケガの種類も、事故の形態も様々です。もちろん、そのすべてを受任できるわけではありません。私が心がけていることは、「もし私が受任した場合、解決までどのように進めるか?」、これを一緒に考えます。全件そうしていると非常に疲れますが、良いシミュレーション、訓練が果たせます。これをこの2年間に参加した相談会で励行しました。バーチャルながら600件を超える交通事故外傷を脳内で取り組んだことになります。  実際に受任し、実務を行った案件を含めると膨大な経験則です。これが業務能力を向上させる一番の方法であると思います。

 たとえば交通事故業務一筋10年、とうたうベテランであっても年間の相談・受任件数が20件程度では、いつまでたってもビギナーの域をでません。だからこそ実際の被害者さんたちと面談し、ともに解決策を模索する相談会は、最高の学習の場となります。  交通事故賠償は非常に奥が深い分野と思います。もっともっと経験・実践を積まねばなりません。

 今日は六本木、明日は有楽町、そして翌日の甲府に移動です。山梨ではたくさんの被害者さんが待っています。

 頑張ります!!!

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 力の入ったシリーズ、交通事故業務に関わる業者にメスを入れる文章は疲れます。  例えるなら火中の栗を拾うような作業ですので、手は火傷でケロイド状です。

 さて、毎日のように法律事務所や仲間のMCから質問の電話・メール、診断書・画像鑑定などの依頼を受けています。信じられないと思いますが、これは全部「無料」、お足をいただいていません。もちろん被害者からの初回相談もそうです。

 資格を持つ士業はその専門業務のやり方、ノウハウで食べています。市販のマニュアルはあくまで基本知識で、実際の業務は実務知識・ノウハウがないと仕事になりません。するとそれらを門外秘扱いとし、その伝授に「研修費」、「高額なマニュアル販売」などで同業を商売相手にしている先生が大量発生します。それは行政書士に顕著です。イソ弁など先輩事務所に弟子入りして仕事を覚える弁護士と違い、行政書士はほとんど求人がありません。新人書士はお金を払って伝授を乞うしかないのです。

 翻って私たちのチームですが、交通事故被害者を救済する知識、ノウハウを売り買いする事に違和感を禁じ得ません。なぜなら、その知識やノウハウで救われる被害者を想像してしまうからです。他の法律家と契約した被害者さんであっても、「間違った方向へ行って欲しくない」一心です。  対して、知識・ノウハウを秘匿して、高いお金で売る=同業者から収益をあげる・・・そんなセコい精神で仕事をしたくはないな、と思うのです。

 例えるなら私たちが科学者チームとします。世間ではコレラが大流行しました。苦心の末にワクチンの製造方法を開発しました。急ぎ患者に渡す必要があるのに、それを製薬会社に高額で売ります。製薬会社は患者にさらに利潤を載せて売ります。結果として人助けが階層ビジネスになるのです。ワクチンを欲する人より、まず商売、商売・・・どう思います?

 私たちにとっての「コレラの大流行」は「現在の保険会社独り勝ちの交通事故業界」なのです。(保険会社さん、例え悪くてごめん!)

 そう考えると眼前に道は開けてきます。 

 被害救済の志をもって仕事をする方には、お金なしで教えます。

 その対価は、被害者救済のために一緒に歩んでいただきたい、それだけです。

 いつでも多くの同志、仲間に門戸を開いています。

 ただしお金だけを見て仕事をしない、誠実、真面目な人だけですよ。

 なぜなら、ほんの少しのノウハウだけパクると、離れていく人が多いので・・・

 (HPでレントゲン、骨モデルやミニカーを出している弁護士・行政書士です・・・商魂たくましいです。ちゃっかりしています(笑)。しっかり被害者救済に役立て下さいよぉ!)

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「初めての事故で不安も多く、疑問に対し、正しいアドバイスを受けたい」、当然の気持ちですが、これも当たり前のことではないのです。肝心の専門家にたどりつくのは容易ではありません。市町村の無料相談、弁護士会の相談、保険会社の相談・・・たくさんの窓口が存在し、HPでは専門家が溢れかえっています。しかし安心できる回答を持つ実力者はほんの一握りです。

毎回、交通事故相談会に参加する被害者さんで、少なからず存在するのが、

〇 複数「相談窓口」を回ったが、納得できる回答が得られない。

〇 すでに弁護士、行政書士に依頼しているのに、不安で聞きに来た

なぜ、これらの被害者さんに「専門家」が力になれないのでしょうか?

それはズバリ、専門家ではないからです。あくまで「自称」専門家です。この方たちが、被害者を2次的に交通事故の迷路に落とし込みます。とくに頼れるはずの弁護士先生も全員が交通事故を熟知しているのではありません。その原因を分析します・・・

2、自称 専門家の実態を解明する

①基本的な知識に欠けている

これが致命傷です。交通事故解決に必要な知識は民法の損害賠償だけではありません。とくに保険知識、医療知識は必須です。それについて、すべての弁護士が精通しているわけではありません。 弁護士が扱う仕事は、刑事事件、離婚・相続、企業法務、債務整理、個人民事再生・・・とにかくたくさんあります。交通事故はその一つに過ぎません。弁護士が100人いても交通事故をきちんと扱える先生は2~3人と思っています。それだけ専門性の高い分野です。まして相手は巨大な保険会社です。年間数万件の事故処理をする超専門家組織です。ど素人の弁護士はいいようにあしらわれてしまいます。

②よくわからなくても受任する

であれば、交通事故の相談者がきたら、交通事故に強い先生に紹介をすればいいのですが・・・ほとんど紹介しません。よくわからなくても受任してしまいます。結果として(よくわかっている)保険会社と妥協的な示談をするに留まり、被害者はがっかりです。これは保険会社の賠償提示があまりにも低いため、大した交渉をしなくても、つまり単に弁護士であるだけで、それなりに増額効果があるからです。被害者側を「勝った気分」にさせて交渉の幕は閉じます。

③ そして「後遺障害の等級が取れてからまた来て」の体制

つまり、損害が明らかになってから着手する、立証作業にはあまり関与しない、姿勢です。損害項目が揃ったら保険会社と妥協的な金額にて早期解決を図る仕事で楽をしようとします。深刻なのは「それが普通の業務でしょ」と信じて疑わない弁護士が多いことです。 長らく交通事故の解決の構図は「被害者vs保険会社」でした。1974年3月に示談代行付きの自動車保険が販売されてから、8割を超える交通事故は被害者と保険会社との示談で解決してきました。弁護士が関与するのは3%ほどです。裁判などめったに起きませんし、そのほとんどが和解で終了します。したがって弁護士に損害立証や賠償交渉の経験が不足してしまったのです。

④ クレサラ方式?

最近、保険会社と弁護士が、まるで示し合わせたように赤い本(≒裁判基準)の7割で手を打つ解決例を多く見ます。これは大手法人事務所に多く、まさか保険会社と暗黙の協定をしている?などの噂すら聞こえてきます。 やり方は近年隆盛を極めた過払い金返還請求の要領です。事務所の補助者が計算した書面を、FAX等で保険会社と数回往復する事務仕事だけです。そして既定路線70%での合意となり、システマチックに早期解決が果たせるのです。これなら面倒な交渉も「形だけ?」で済みます。事務所経営・利益第一主義と、支払い削減志向の保険会社の利害が一致するわけです。心ある弁護士はこれを「クレサラ方式の解決」と軽蔑しています。

⑤賠償交渉の場面に弁護士以外が顔をだす。

構造的に弁護士が頼りないため、保険会社天国となっているのが現状です。そこで間隙を縫うように、行政書士等、弁護士以外の関与が増えています。弁護士法72条で代理権を持たない者の代理行為、賠償交渉の代理は禁じられています。したがって法律の合間をかいくぐって参入してきますが、その効果は法律的な制限がある以上、限定的です。弁護士に及ぶものではありません。ではせめて弁護士に勝る専門性を発揮する場面を列挙してみます。

・休業損害の請求のため、損益勘定帳の作成を税理士に依頼する。

・労災の請求をするため、社会保険労務士に依頼する。

・140万円以下の請求の場合、簡易裁判所での代理を司法書士に依頼する。

・自賠責保険の被害者請求を行政書士に依頼する。

このような限定的な作業であれば、他士業者を使う意味もあります。 しかし請求金額に関わらず賠償金の代理交渉ができるのは弁護士のみです。 続きを読む »

 先日は被害者と保険会社の関係から問題点を抽出しました。保険会社主導の解決、被害者囲い込み、これらを容認したままでよいのでしょうか?次の論点に移る前に、軽く解決策を示しておきます。

   ① 保険会社とは紳士的に応対する。何事も理路整然と説明し、要求された書類は速やかに提出する。  保険会社は利害が対立する相手ではありますが、親の仇ではありません。けんか腰はもってのほかです。カチンとくることを言われても、絶対にケンカをしてはいけません。非常識な請求も絶対にダメです。(問題はそれが非常識かどうか?判断がつかない被害者さんですが・・)  もし証明書類をきちんと提出し、理路整然と説明しても支払いが受けられなければ、この交渉は弁護士に委ね、最後に決着をつければよいのです。それまでは上手に利用すべき存在です。        

② 早めにしかるべき専門家に相談する。  初めての事故、誰もが五里霧中です。間違った対応や、何もしないで保険会社任せは危険です。早い時期から良質のアドバイスを受けておくべきです。相談先の選定ポイントは・・・

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交通事故の被害者になりました。これから解決までの長い戦いの日々が始まります。この間、加害者と交渉することは稀で、相手に任意保険がついている場合は、その担当者との付き合いが中心となります。そして被害者の8割超はその担当者と示談に及び、解決とします。しかしその示談の内容に満足のいく方はほとんどいません。 なぜ、不満足ながら保険会社と示談してしまうのでしょうか?それまでの時期に適切な対策ができなかったのでしょうか?これを分析してみます。

1、相手保険会社への(過度な?)期待

加害者に任意保険会社がついていました。自動車の修理費を修理工場に払ってくれました。ケガの治療費を病院に払ってくれています。休業損害も毎月支払ってくれます。ある意味これはとても親切なことで、「俺は被害者だ、そんなの当然でしょ」と思ったら、最初のつまづきが待っています。

民法上の損害賠償の原則は「挙証責任は被害者にあります」。つまり被害者自身で自身の損害の証明をして加害者に請求をするのがルールです。ルール通りですと、被害者自ら自動車の見積もりを提出する、治療費の明細を提出するなどして賠償を受けます。この間、整備工場や病院への支払いは被害者が立て替えるのが筋です。しかし保険会社は「一括払い」と言って、病院に直接治療費を支払ってくれることが多いのです。また修理工場にアジャスター(調査員)が足を運んで見積もりの検証をしてくれます。これは全部無料です。潤滑な事故の解決のために法律はさておき、合理的に動いてくれるわけです。しかしこれらは当たり前のことではないのです。

被害者はつい「自分は被害者なのだから補償されて当然」と考えがちですが、被害を受けた側が自動的に守られるなど、世界の常識にはありません。どこの国でも「やられた側」は「やった側」に厳しい戦いを挑まなければなりません。そして任意保険未加入の加害者に被害を受けた場合、泣き寝入りが普通なのです。

 日本は法治国家で国民の道徳心も高く、世界でもトップレベルで人を信用できる社会です。だからこそ被害者に甘えが出てしまうのだと思います。親切な保険会社に解決までどっぷり委ねてしまい、結果として最後の示談金で泣かされることになります。

最後に提示された賠償金額はあくまで保険会社の基準での数字です。当然、裁判や弁護士の交渉する基準より遥かに低いものです。しかしこれまで担当者のペースで進められてきたので、これから事を構えるのが面倒になり、妥協的な示談をしてしまいがちです。また、保険会社の基準がかなり低い、という事実にすら気づきません。もちろんこの事実など担当者は伏せています。つまり被害者側に圧倒的な情報不足があるのです。逆に言えば保険会社の被害者囲い込みが成功した?とも言えます。

ある法律事務所の事務員にこう質問されました。「秋葉さん、なんで保険会社はこうも安い示談金しか提示しないのでしょうか?いくら営利企業と言ってもあんまりではないでしょうか?」 確かに裁判で請求する金額の半分以下、下手をすれば3分の一にも満たないときもあります。私の答えは、「だって解決までおんぶにだっこ、専任の担当者が被害者の面倒を見てくれるのですよ、その手間は結局、無料ではない、ということです。そして民法においても示談は相互の同意で成立するものですから、その内容で被害者が納得すれば何ら問題ないのですよ」

被害者はこのからくりを理解する必要があります。

「自分は被害者なのだから加害者に手厚く補償してもらって当然だ。相手の保険会社がしっかり補償してくれる。別に弁護士などの代理人に頼らなくても上手くいくはず」  

・・・被害者の多くはこのような幻想に陥っているのです。

 対して加害者は事故など「運が悪かった」としか思っていません。一刻も早く保険会社に任せて事故など忘れたいのです。実際3か月もたてば謝罪の気持ちなど雲散霧消しています。そして保険会社はボランティアで被害者救済をしているのではありません。できるだけ少ない金額しか払いたくないのです。被害者とは利害が対立する存在です。これを忘れてはいけません。

 自分の権利を守るのは自分であって、加害者や相手保険会社ではありません。ではどうすればいいのか?

明日に続きます。

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 昨年から首都圏を中心に10を超える弁護士事務所に「連携」を説いて回っています。

 私たちが常日頃口するこの「連携」とは、単に業務提携を呼びかけたものではありません。また自賠責被害者請求は行政書士、相手との交渉は弁護士、この2局面をつなぐだけの単純なものでもありません。これは交通事故の被害者を救済する、まったく新しい発想と自負しています。それは「被害者救済業務」すべてをひとつの事業と考えるプロジェクトです。

 これを今日から数回、腰を据えてじっくり解説します。

 まず被害者救済業務の全体像を把握してもらうことから始まります。およそ交通事故に遭ってから解決まで、被害者本人、病院、メディカルコーディネーター(行政書士等)、弁護士の4者の仕事を整理します。

     <完全解決までの基本的な流れと役割>続きを読む »

 きちんと報告をまとめたいところですが、雑感をざっくりと。傾向として以下のような人が多かった。

モラトリアム人間はダメ

 とにかく、ぐずぐず言い訳、理屈ばかり・・・それでちっとも事故を解決に進めてこなかった被害者さん達。「なぜ、その時きちんと検査しなかったの?」、「なんでその時ちゃんと手を打たなかったの?」、過去を責めても仕方ないのですが、多くは手遅れ状態です。さらに自分の事故であるのに、当事者意識が薄い人、人任せな人、的確に症状を説明できず、医師や保険会社ともめる人・・・。  状況を打開するどころか紛糾させてしまい、やるべきことをやらずに後回し、そして時間ばかり費やしてしまいます。被害者も自らの置かれている状況を把握し、自ら解決に切り込んでいかねばなりません。私たちのお手伝いにも限界があります。そして期限も。 躊躇している時間はないはずです。

裁判は積極的に?

 未だに裁判を大ごとに感じて足がすくんでしまう被害者も多いようです。「負けるかもしれない?」「時間がかかる」「弁護士の報酬で費用倒れする」・・これらはダメな弁護士を選ばず、きちんとした弁護士を選べはどうということはありません。そして賠償額が数千万にのぼり、高い確率で勝ちが見込めるなら、遅延損害金5%を得る目的でも訴訟を選択すべきです。5000万円の獲得でも事故日から5年も経っていれば・・・5000万円×5%×5年=なんと利息で1000万円!(の加算)・・・「裁判は時間がかかるから・・」と心配していた奥さんも目の色が変わり、「待っているだけでお金が増えるの!?」となります。

 体調を万全にし、次回に臨みたいと思います。

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 昨日の病院同行も含め、現在2件問題が生じました。それは症状固定の時期に主治医が転勤、急病でいなくなったことです。これから後遺障害診断書を書いていただく矢先に、です。

 さて本日のタイトル「交通事故での山場」ですが、交通事故の解決には相手方との示談や、裁判の場合は判決であるとか、最後の場面が思い浮かびます。しかし私たちのチームは別の場面を想定します。それは「後遺障害診断書の作成」です。これを最大の山場と考えます。

 交通事故の賠償では死亡を除けば、後遺障害が一番高額な賠償金となります。若年者が介護状態になった場合は、死亡保険金すら上回ります。その後遺障害(等級)を決定づけるのは後遺障害診断書です。この一枚の紙が交通事故の解決までずっと付きまといます。そしてそこに書かれた事実はめったなことでは変更されず、一人歩きします。

 この診断書をもとに認定された後遺障害等級は最後の賠償金の金額を決定的にするものです。できれば正当な等級の認定を済ませた後、賠償交渉に望みたいのです。しかしこの診断書があっさりと1行の記載であったり、不正確に記載され、十分な観察のないまま審査されることの方が多いのです。だからこそ、私たちのように医療立証を主業務にしている者は、後遺障害診断書の作成に注力をするのです。ここが被害者の運命の分かれ道と思っています。

 それが今年に入って2件ピンチです。病院に掛け合って最善策をとなければなりません。

 患者はもちろん、この場面の重要性に気付いていない弁護士も相変わらず多く、私たちももっと頑張らなければなりません。

 そこで現在、チームで昨年の業務の分析を始めています。注目はいかにこの大事な場面で汗をかいているか?つまり病院同行の件数をカウント中です。おそらく病院同行・医師面談の数では日本一の活動量となるはずです。  事務所にどかっと座って相談を受ける、資料・文章の作成をする、これらはおまけみたいな業務で、実働こそが被害者の運命を変える仕事であり、交通事故解決の肝がここにあると信念をもっています。

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 ハンドルを誤って崖から転落、電信柱に衝突などの自爆事故や、止まっている前車に追突してケガ=100:0(100%自分責任)事故などでは当然ですが相手からなんの補償もされません。そうなると自分の加入している保険からのでるものを探します。この場合、自動車任意保険からは自損事故保険(特約)が適用されます。しかしかなりの受傷者が保険をもらいそびれているのではないかと危惧しています。

 では実際にあった自損事故保険(特約)が適用されたエピソードで解説します。

 

 A君は運送会社の新米ドライバーで入社半年目、ようやく2tトラックの運転も慣れてきました。しかしあるときハンドル操作を誤ってセンターラインをオーバーし、対向車に衝突、右足首を骨折してしまいました。幸い対向車も大型トラックで、相手ドライバーも軽傷でした。  てこの2tトラックには会社で加入している任意保険があったので、ここから相手のケガに対人賠償を、相手の車の修理費に対物賠償をそれぞれ適用し、無事に解決できました。ただし、運送会社ではたくさんの車両に任意保険をかけているので、自動車保険を最低限に切り詰めています。相手への補償は対人:無制限、対物:1000万まで掛けていますが、運転者に対する補償である、人身続きを読む »

 事故で相当の外傷が無いのに神経性麻痺となり、上肢または下肢、あるいは四肢が動かなくなる患者がいます。またケガは完治しているのに症状が変わらない、むしろ麻痺はひどくなる。昨日の年間ランクで「心因性ジストニア」は8位に甘んじましたが、今後上昇株の事故外傷「難病・奇病」の一つです。

 多くは外傷性頚部症候群のカテゴリー、頚部神経根症による末梢神経障害と思われます。頚部から手指までしびれが残り、手の感覚異常、握力低下となります。しかし腕が全く動かなくなるのは頚髄損傷のレベルです。どうにも症状が重すぎる。そしてどんどん悪くなっていく。これは心因性と考えられます。

 人間の心(精神)が体に強い影響を持っていることは多くの臨床実験でも解明されています。自分が病気だと思い込み、その思い込みが強ければ強いほど、本当に体が悪くなります。「動けない」と思えば本当に動かなくなるのです。これは交通事故など第三者の加害行為で、理不尽な被害を受けた患者が、強い被害者感情と結び付いたためと想像できます。長期にわたる痛みや加害者側の保険会社や医師の冷たい対応も相まって、精神的に追い込まれます。普通、受傷直後がもっとも重篤で日ごとに軽快するのがケガの常識ですが、このような周囲の無理解の影響で心身ともにどんどん病んでいくのです。

 体はそれほどひどい症状ではない、痛みやしびれはそれほどでもない、ケガはほとんど治っている、ちゃんと体は動くはず・・・

 そこで思い出すのが「クララとハイジ」です。

 クララの病気は下肢麻痺です。偏食と閉じこもりがちのせいか、ビタミンD不足の「くる病」と思われます。

 医師の治療でもう治ったはずとされていますが、本人はまだ立てないと思っています。事実、立てないのです。

 男性視聴者も病弱美少女に萌え気味です。それに業を煮やしたのか、主役の天然元気少女ハイジがクララを叱責します。ある意味、超無神経なハイジが・・・

「クララのバカっ! 何よ意気地なしっ! 一人で立てないのを足のせいにして、足はちゃんと治ってるわ、クララの甘えん坊! 恐がり! 意気地なし! どうしてできないのよ、そんな事じゃ一生立てないわ! それでもいいの? クララの意気地なし! あたしもう知らない! クララなんかもう知らない!」

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 先日の相談者さんのケース・・・

 原付バイク走行中、交差点で左方からの自動車と出合い頭衝突。むち打ちと左上肢の痛み・痺れがあります。

 受傷直後に整形外科、その医師の指示で接骨院でリハビリ。施術の内容は針を定期的に打っています。接骨院への通院は100日、しかし整形外科へは10日程度。

 頚部MRI画像は軽度のヘルニア、目立った神経症状はなし、腱反射正常です。肩のMRIは撮っていません。

 受傷から6か月が経過し、相手保険会社から治療費の打ち切り宣告。しかし症状は改善しておらず、頚部の痛み、左上肢~指先にかけての痺れが残存、さらに左肩の痛みで腕が挙がりません。さらに治療を続けるか、後遺障害の申請を行うか・・・。

 この時点での相談です。  

ポイント① むち打ちで後遺障害等級は取れるか?

 残念ながら頚椎捻挫、外傷性頚部症候群での等級は絶望的です。自覚症状(痛い、しびれ)のみで目立った画像、神経学的所見がありません。むち打ちで長い治療を続けている患者の大多数が自覚症状のみです。ほとんどの患者は曖昧な所見しかでてこないのです。これでは何をもって等級を認めるのか?それは整形外科における治療の一貫性と相当回数の治療実績です。続きを読む »

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