高次脳機能障害により引き起こされる様々な後遺症、どの部分に焦点を当てるか? 立証計画を作成するにあたって、心がけていることです。

 すべての症状を余すところなく、完璧に主張することが基本ですが、本件の場合、とくに労働能力の低下に注目しました。日常生活の障害は睡眠障害と味覚障害が主訴ですが、これらは等級を引き上げる要素としては弱いものでした。一方、職場では極端に疲れやすく、段取りも悪く、慣れた工程すら忘れて覚えられません。簡単な片付けや掃除ならまだしも、まったく仕事にならないのです。

 これでは、サラリーマンの場合は当然「クビ」になりますが、家族経営の自営業者の場合、解雇にならず、勤め続けます。それは当然に家族だからです。しかし、後の賠償交渉で、「復職できていますね」と相手損保から指摘されるのはしゃくなわけです。そこで、労働能力の全廃と言わないまでも、専門職への復帰不能はもちろん、業務が相当限定される5級2号を目指す必要がありました。一見、7級の症状でしたが、なんとか一つ繰り上げた次第です。

毎回、ギリギリの勝負です  

5級2号:高次脳機能障害(40代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで信号のない交差点に進入したところ、自動車と出会い頭衝突。頭部を強打し、意識不明の状態で救急搬送、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、頭蓋骨骨折の診断が下された。

【問題点】

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 正確には頚部ですから、頚髄損傷です。本件等級認定のポイントは四肢の麻痺の程度です。もちろん、完全麻痺の車イス生活ほどひどくはありませんが、ご本人の苦しみは中程度~軽度麻痺を越えるものでした。また、排尿や生殖器、感覚器にも不具合が残り、様々な神経症状が残りました。それらの検査を漏らさず実施、丁寧に収束させる作業が望まれます。その点、受傷直後からのご依頼でしたので、二人三脚で認定まで漕ぎ着けました。

 3級認定は大きいと思いますが、それ以上に後の賠償交渉に万全の対策をしてきましたから、連携弁護士も想定された反論を抑える論陣を張ることができます。やはり、事故の発生から解決まで、全体を見通す視点と即応した対策を可能とする事務所にご依頼頂きたいと思います。一歩間違えれば、大変難しい、苦しい交渉になると思います。

( ← 男 秋葉 Va.イラスト)  私達にとっての「奈良判定」、それは、自賠責が既往症を考慮したような等級判定をすることです。これは、後の賠償論での論点であって、自賠責が因果関係を追及するあまり、これに踏み出すことは僭越だと思っています。本件では、自賠法に基づいたジャッジが成されたと思います。  

3級3号:頚髄損傷(50代男性・東京都)

【事案】

交差点で信号待ち停車から青信号で発進のところ、左方からの信号無視の自動車の衝突を受けた。直後から上肢・下肢の痺れを発症、救急搬送された。1週間後に症状が急変し、緊急手術となった。急いで頚髄への圧迫を除去する必要があり、椎弓の拡大術並びに、椎間の固定術を行った。

術後も、4肢のしびれ・運動障害・筋力低下に留まらず、あらゆる神経症状(排尿障害、生殖機能の障害、わずかに嗅覚・味覚低下)が発露した。リハビリを2年続けるも、改善が進まなかった。

【問題点】

年齢相応の脊柱管狭窄症、さらに、後縦靱帯骨化症の兆候がみられた。相手損保は既往症の主張をすること必至と思われる。予想される紛争に対し、等級認定まで隙の無い治療経緯と、万全の検査が勝負を分けることになる。

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 容赦の無い酷暑も峠を過ぎたようです。毎年お盆を過ぎると湿度が下がって、朝晩が過ごし易くなってきます。今日は、事務所の外廊下の風も軽く感じられました。引越しの喧騒も過ぎ、重傷案件や長期案件の申請も終えて、現在は数年ぶりとも言うべき仕事の谷間を経験しています。毎日、新しい案件の相談も入ってきますが、割と余裕のあるスケジュールです。しばらくは、事務所内の規定作りなど、普段出来ない事務作業を進めることができます。それでも、近々のテーマはやはり「営業」でしょうか。

 日々の業務を丁寧に取り組むことは当然ですが、営業活動も平行して取り組まなければなりません。営業と言えば商売的に聞こえますが、つまりは、「被害者救済業の周知」を意味します。秋葉事務所では、とくに困難な案件が頻繁に入ってきます。それらは、交通事故で被害にあったが解決に進めることが出来ない、あるいは、相談している弁護士先生では手に負えない等、被害者さんが路頭に迷っている状態でした。やはり、解決までの様々な段階で適切な手を打たねばなりません。それには、弁護士先生の力はもちろん、事故発生から解決まで、誰かがしっかり付き添っていく必要があります。初期対応から治療、転院、検査、そして、後遺障害の立証等、局面で正しい舵を切る船頭が必要なのです。

 その点、今までの依頼者様から多かったご意見は、「やっと、(秋葉事務所に)たどり着いた」「なんで、もっと宣伝してくれないの」など、渇望の声でした。これだけ、多くの事務所がインターネットで宣伝をしていても、病院同行を主とした被害者救済業は根付いていないのでしょう。被害者側の医療調査は、全件とまでは言いませんが、重傷事故では必須の作業と思っています。残念ながら、そのニーズは潜在的なもので、初めて交通事故にあった被害者さんは気付くまでに時間がかかります。また、多くの事務所が「交通事故の専門家」を名乗っているものの、言葉通りの経験や力量が伴っている事務所は数少ないと思っています。これだけ、セカンドオピニオン(既に、他事務所の契約又は相談中の被害者さん)が多い事実がそれを証明しています。

 求める声に応じ、さらに、隠れたニーズを喚起する為にも、一層の宣伝活動を展開していきたいと思います。私は学校を卒業後、保険の営業マンからスタートしました。営業こそが私のアイデンティティーです。いよいよ、その本領を発揮したいと思っています。もちろん、計画は常に長期的です。日々、コツコツが身上と思っています。  

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 交通事故で歯を受傷、治療費に関することや後遺障害となる場合に歯医者さんに病院同行することがあります。どの歯医者さんも一様に保険会社への治療費請求に窮しているようです。恐らく健保受診と自由診療の2パターンのいずれで請求するか、これに賠償問題が絡むので判断が難しいのでしょう。    さて、恒例の夏休み企画は、猛暑も凍りつく、おそろしい話を・・    私は虫歯体質なので、歯医者さんは欠かせません。子供の頃から歯医者さんは恐怖の対象でした。この歳になって新たに虫歯になることは稀ですが、およそ、3年に1回は歯の金属がだめになり、取替えるために通院します。近年は、自宅近くではなく、職場近くの院を探します。しかし、これだけ歯医者さんがたくさんありながら、信頼して通える院は少ないと思っています。実際、築地~銀座界隈でも、4件目の歯医者さんに落ち着きました。つまり、1件目~3件目からは逃げだしたのです。    逃げ出した理由を話しましょう。   ○ 第1話 恐怖、果てしなく続く歯科衛生士の尋問

 金属が外れたので、新しく被せて下さいと受診しました。ところが、先生が診てくれず、歯科衛生士さんが「歯を綺麗にしましょう」と言って、歯石取りに使う道具?で、歯をキューンと始めました。若くて可愛い娘だったので悪い気はしませんが、これが罠だったのです。時折、作業を休めて世話話と言うか、質問してきました。

 「職場はお近くですか?」 「どのようなお仕事ですが?」 「お役職に就かれているのですか?」・・・曖昧な回答をしていたのですが、どんどん質問が鋭くなってきました。ついには「年収はおいくらですが?」と聞かれそうです。いかん、このままでは口を割ってしまう(焦)。

 要するに、私の治療方針は「どの位お金を持っているか」で決めるのです。 銀座界隈の歯医者はこのような怖さがあります。   ○ 第2話 恐怖、次はどの歯を治してやろうか

 2軒目は、ちゃんと金属を治してくれましたが・・それで帰してくれるほど甘くありません。子供の頃に神経を抜いた別の歯について、「中が汚れています」と言い、神経の穴の掃除の為の通院を求めてきました。そんなものかなぁ、と数回通ったのですが、3回目に「歯の色が変色していますので、新しくセラミックを被せる処置をします」と・・。恐る恐る金額を聞くと、先生は冷徹な口調で「材質にも寄りますが15万円からゴニョゴニョ、皆さんやっていますよゴニョゴニョ」。そんな治療はお願いしていません。

 下駄を持って逃げ出したのは言うまでもありません。   ○ 第3話 恐怖、背後に迫り来る歯科医

 しばらくして、別の歯の金属が剥がれたので、別の歯科医へ。ここの院長は人柄も優しそうで大丈夫かなと思って、診察台に。

 しかし、歯の金属はもうダメで根本的に治す必要があると・・インプラント、ブリッジ、それらの材質・・説明が続きます。私は芸能人でもないので、「先生、健保適用ができる方法でお願いします」と言いましたが、先生の目は狂気を帯びて勢いは納まりません。やばい、診察台の上ではまな板の鯉です。(ショッカーに改造手術を受ける仮面ライダーのように逃げださねば・・)そこで、「次回まで検討しますので、何か見積もりみたいなものに書いて下さい」とお願いしました。すると、メモ帳みたいな紙切れに、3パターンの金額を書いてくれました。5万円から60万円まで・・いい加減なもんです。

 その日の治療費を支払って、そそくさと院を出ました。ここも、「ない」 な、と内心つぶやくと、後ろから「秋葉さーん!」と大声で、歯医者さんが走って追ってきました。手に先ほどの見積もりの紙っきれを持って。

 その姿が今でも脳裏に焼きついて、夢にもでそうです。。       続きを読む »

 むち打ちでの異時共同不法行為はたまにありますが、手関節捻挫のケースは珍しいと思います。異時共同不法行為とは、同じ箇所を1回目、2回目と2度の別の事故で痛め、後遺障害となることです。後遺障害は1回目+2回目の連続した事故で残ったもの・・としますので、前後の賠償義務者が後遺障害についてのみ按分して賠償金を負担することになり、賠償交渉がややこしくなることを防いでくれます。

 このように自賠責には特殊な認定方法があり、意識的に活用することで、後の解決の道筋を整理することができます。

自賠責特有のルールです

併合14級:手関節捻挫(50代女性・埼玉県)

【事案】

自動車運転中、直進道路で後続車の追突を受ける。通院を継続していたところ、再び追突事故に遭う。

【問題点】

ふたつの事故により、同じ個所をそれぞれ痛めたと相談に来たが、1回目事故では頚、腰部痛、手関節痛を認めていたが、2回目の事故は診断書上、手関節について途中から診断されているように記載されていた。なお、事故はそれぞれ別々ではあるが、同じ医師が治療していた。

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 続いて、佐藤の近時の仕事です。

 ムチウチや腰椎捻挫は、常に相手損保から疑いの目でみられます。たかがムチウチ、打撲・捻挫の類だからです。何ヶ月も通院することなど、そもそも異常なのです。そして、保険会社から被害者感情が高じた「賠償病」とまで揶揄されています。確かに、相談会に同症状で参加される相談者さんの多くは、大げさな方が多いように思います。一方、明らかに神経症状が発症し、症状が長引く被害者さんも一定数は存在しています。残念ながら、被害者ご本人の症状、苦しみの度合いは他人からは分かりづらいものです。それでも、私達なりに症状の真偽、軽重を検討します。本当に苦しんでいる方を助けなければなりません。

 以下、3例も自賠責に信じてもらえましたが、いずれも認定・非該当のどちらにも判断されうる際どいものです。とくに、3例目の整骨院・接骨院での施術は、その治療効果は別として、後遺障害認定には大変に不利に働きました。弊所の認定例からも、整骨院・接骨院を治療・リハビリの中心にした場合の認定率は著しく低いのです。もっとも、優れた施術によって症状が緩和され、結果として後遺障害にならずに良かったと思います。 (じゃあ、なんで後遺障害申請したのよ?と言いたくはなりますが)

整骨院・接骨院の役割・効果は認めますが・・  

14級9号:腰椎捻挫(50代男性・山梨県)

 

14級9号:頚椎捻挫(40代男性・東京都)

 

非該当⇒併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代女性・山梨県)

 

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 事務所の受任の半数以上はムチウチ・頚椎捻挫・外傷性頚部症候群の範疇になります。重症案件には入りませんが、被害者の苦しみや解決の難しさは特有のものがあります。全件の実績はUPしきれませんが、山本による近時認定の2件を紹介します。    1件は、相手が無保険(任意保険)かつ、逆切れ支払拒否のところ、相手の自賠責からきっちり回収を果たしたケース。

 もう1件は、相手保険会社の治療費打ち切りに対し、健保通院を継続して14級認定に導いたケース。

 いずれの策も、弊所ではお手のもの。 ケガの症状が酷ければ早めの相談をお待ちしています。   対策を誤ると賠償金の多くを失います。  

 併合14級:頚椎・腰椎捻挫(30代男性・埼玉県)

 

 14級9号:頚椎捻挫(50代男性・静岡県)

   

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 いや~盆地の暑さは釜の底で煮られるよう・・それでも昼間の暑さに比して夜は東京よりは涼しいです。

 相談会の前夜は秩父の皆さんと飲み会でした。今回もY先生はフェラーリ話に白熱! 趣味話だけでではなく、交通事故業務はもちろん、ビジネス展望など硬軟入り乱れての話題が続きました。    お店はDAdA 地方に必ず小粋なお店があるものです。

   秩父ウィスキーと言えば、Ichiros。今年、秩父の依頼者様にも贈っていただきましたが、当地ではテレビ出演を果たしたウィスキー通のH取締役の案内付き! この写真が、メニューにない、もう樽が底をついた貴重品です。香り・味のバランスが完成されきった文句のつけようがない逸品、ストレートで3杯連続しました。恐らく人生で最も美味しいウィスキーでした。

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 他記事からの引用で恐縮ですが、損保会社の気になる新システムです。完全普及と言えそうなスマホを活用した新システムは、各分野で近々の課題となっています。弊所でも応用したシステムが望まれます。本格的な導入は無理としても、アイデアは参考にしたいものです。   「視界共有システム」の全国展開  ~迅速な損害調査でお客さまを全力でサポート!!~

 MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(社長:金杉 恭三)は、ICT(Information and Communication Technology) を活用した商品・サービス強化の一環として、2016年度よりスマートフォンを活用した「視界共有システム」を、一部の提携修理工場との間でトライアル導入を進めてきました。6月より全国の修理工場へ対象範囲を拡大し、動画と音声によるリアルタイムな損害調査を実現し、これまで以上に迅速な対応でお客さまを全力でサポートしていきます。

1、「視界共有システム」導入の背景

 当社の損害サービス業務は、゛お待たせしないサービス゛、゛親身な対応゛、゛プロフェッショナルの安心゛を提供する「全力サポート宣言」を掲げ、サービスの向上に努めています。とりわけ、事故車両の見積業務の精度向上と修理期間短縮を目指して取り組んできました。  事故車両の損害調査は、技術アジャスター(物損事故調査員)が修理工場などに出向き損害を直接確認する方法、工場から伝送された静止画像にて確認する方法、または写真プリントで損傷を確認する方法を用いていますが、いずれの方法も損害確認・修理開始までに一定の時間を要していました。

2、リアルタイム損害調査を可能にした「視界共有システム」

 スマートフォンを活用した「視界共有システム」は、高品質な動画映像により、静止画像では確認が困難であった細かい線傷やパネルの歪みなどが確認でき、遠隔地の修理工場ともリアルタイムで修理内容の打合せ・決定が可能となります。その結果、修理工場はお客さまへ修理 内容・金額を早期に案内することができ、迅速な修理着工・納車や保険金支払いが可能となりました。

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 法人会社の移転登記も終わって、行政書士会、税務署、労働基準監督署への届出も今週で目処が付きそうです。慌しい日々も落ち着いてきました。    さて、遅くなりましたが、事務所の新兵器をご披露したと思います。普通の士業系事務所にはないものばかりです。しばし、自慢話にお付き合い下さい。  

(1)大型有機ELモニター

   業務ではレントゲン、CT、MRI画像を観ることが多いので、相談者さんと一緒に観るためにもできるだけ大型にしました。

 以下、電気屋さんでの購入の場面・・・   秋葉:「大きいテレビを下さい」

店員:「何インチがよろしいでしょうか?」

秋葉:「う~ん、32インチ以上の画面は想像つかないのですが・・・(壁に並ぶ大型テレビを指さし)あれ位の大きさなら、貞子も簡単に出て来れますね」

店員:「はい、65インチなら貞子もひとまたぎです」

秋葉:「では、それ下さい」

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受傷機転とは、簡単に言えば、どんな事故だったのか、ということです。

自動車同士の事故だったのか、オートバイと自動車との衝突事故だったのか、歩行者がオートバイにはねられたという事故だったのか、自動車運転中に追突されたのか等、被害者(相談者)がどこで、どのように衝撃を受けて、どんな怪我を負ったのか、を相談者から確認します。

何故なら、自賠責の後遺障害等級申請手続きや保険手続きだけでなく、弁護士が相手方保険会社に請求するときにも極めて重要な情報になるからです。

過去の例をあげていきたいと思います。

(1)交通事故で肩腱板を損傷しました、という相談者がおりました。 診断書には肩腱板損傷とありますが、画像所見が明確ではありませんでした。受傷機転を確認すると、自動車運転中、後ろから相手方自動車が追突してきたというものでした。肩に直接衝撃を受けたわけではなかったのです。 通常、交通事故の強い衝撃で肩腱板を損傷するような場合、受傷直後は激痛で動けなかったり、MRIで明確な水分反応があったりする等、損傷箇所が素人でもわかります。また逆を言えば、それだけの強い衝撃が肩になければ、通常、事故によって損傷することはありえないのです。通常、自動車乗車中に追突されたようなレベルの衝撃では、完全に損傷することはないといえます。よって、受傷機転から、その相談者には自賠責等級の認定は厳しい旨伝えました。 その後、後遺障害等級を被害者請求で申請したようですが、案の定、非該当となりました。

(2)膝の靱帯を損傷しました、という相談者がおりました。 画像上、靱帯損傷が認められそうでしたが、診断名が上がったのが事故から何カ月も経過してからでした。保険会社も治療費をこれ以上出すのが厳しいという対応で、症状固定はやむを得なかった状況でした。 他方、受傷機転を確認したところ、オートバイ運転中に大型トラックが衝突してきたというもので、はねられた後、相談者は身を投げ出されてアスファルトに激突の上、ガードレールにあたってひどい痛みを発症したそうです。相談者はすぐに救急搬送されました。 事故の衝撃から、靱帯損傷をしても無理はない事故状況であったことから、必要な検査を十分にした上で、後遺障害等級申請をして、ギリギリ、等級が認定されました。

これらのことからいえるのは、受傷機転は怪我や症状の確認の基本と言えることです。

受傷機転で発症した症状とその原因をしっかり説明が出来なければ、どんな素晴らしい(?)診断名があったとしても、自賠責調査事務所は診断名を疑い、症状を疑ってきます。他方で、画像所見が明確であったとしても、受傷機転からそのような怪我をするはずがないと判断されてしまうと、事故と怪我との因果関係を疑ってきます(実際に、事故以外の怪我であったことが判明したケースもあります)。

当たり前といえば当たり前の話だと思われますが、どんな時であっても基本(常識)を忘れるようなことがあってはならないということでしょうか。

 

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交通事故で肩腱板を損傷しました、膝の半月板が損傷しました等、過去に様々な相談がきました。

相談会では診断書だけでなく、画像も可能であれば持参して頂いて、総合的に判断します。

ここで注意が必要になるのが、まず、診断書に明確に診断名がない場合とある場合とがあることです。例えば、相談者は骨折したと主張していますが、診断書上では「不全骨折」や「骨挫傷」とあるだけ、もっと酷ければ「骨折の疑い」とされている状態で、完全に骨折したと主張してくる相談者もおりました。

医師が明確に診断できない場合もありますが、実際に明確な所見がない場合もあります。保険手続き上の観点でしか確認することはできませんが、念の為、画像も確認させて頂くようにしています。

他方で、明確に診断名がある場合でも、画像を確認すると、明確でない場合もあります(実際に病院同行して確認すると、医師の方から明確ではない、次回に書く診断書に「疑い」と記入したりすることもありました)。

明確な診断ができる場合とできない場合があることはよくあることですが、交通事故被害者にとっては心配の種です。その場合、専門医に診て頂き、診断名を確定した上で治療方針を相談されるのが理想です。

画像を診て診断できるのは医師のみです。あくまで診断等はせず、保険手続き上の観点で画像上、所見が明確はどうかを判断することがあります。何故なら、交通事故の場合、後遺障害等級の判断に直接影響があるからです。

しかし、今まで見た画像の中には画像所見が不明確な場合も多く、専門医でないとわからないようなことがありました。

それでは、そのような場合、他に判断材料はないのかという問題になってしまいますが、私たちは診断書や画像の他に、もう一つ注目することがあります。それが表題に上がっている「受傷機転」です。  

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 本日は、千葉県我孫子市へ出張相談。手賀沼へは、子供の頃にヘラブナを釣りに来たことがありましたが、それ以来です。

 交通事故の被害者さん、とくに重傷の方の労苦は言うまでもありません。治療努力や賠償請求で大変な時間とエネルギーを取られます。これは、後の保険請求・賠償請求で回復を果たすことになります。一方、それまでの間、被害者さんを最も不安に陥れるのは、「先の見えない戦い」だと思います。この不安が精神的な負担となり、治療の妨げになると思っています。今後、起き得る事とその対策、仮に予想に過ぎなくとも解決までの過程を知っておくこと、事前に打合せしておくことが重要です。少なくとも先の見えない不安を拭うことができます。

 本日も、治療方針、保険会社対策、後遺障害の予断、賠償金の相場、今後の見通しとやるべき事を小一時間打合せし、解決までのロードマップをひきました。後は臨機応変を加味して進めるだけです。  

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 八丁堀界隈には、地名の通りお堀が残っています。

 東京駅八重洲口を出て、そのまままっすぐ八重洲通りを進むと、順番に外堀通り、中央通り、昭和通り、首都高速、平成通りを横断して新大橋通りに到達します。この新大橋通りの交差点が八丁堀です。バス停の名前は「亀島橋」です。この八丁堀交差点を横断したお堀に懸かる橋の名前です。ご存知の通り、昭和の高度成長期、急ピッチで開発が進み、多くのお堀が高速度道路になってしまいました。もし、先を見越して景観を優先させていたら・・水路の街、東洋のベニスになっていたかも知れません。惜しいことをしたもんです。  このような夜景が折り重なった東京を想像します。水上タクシーが行き交えば、渋滞も少しは緩和されそうです。次のオリンピックを契機に、水路の復活ができないものでしょうか。  

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 骨折した椎体はどこですか?   ⇒ 前回    主に圧迫骨折する椎体としてあげられるのは、頚椎、胸椎、腰椎、とあります。  頚椎はC1~7まで、腰椎はL1~L5までと見ればすぐに数えられる数しかない上、頚椎や腰椎は範囲が狭いため、どこが骨折していて、それが何番目の椎体なのかをすぐに判断できます。これに対して厄介なのが、胸椎です。

 胸椎はT1~12までと頚椎や腰椎に比べて、数が多いです。さらに、胸椎は首の根本あたりからみぞおちあたりまでありますので、範囲がとても広いです。以上から、胸椎を数えるのは、頚椎や腰椎に比べると大変な作業です。

 これは医学について素人ではもちろんですが、医学のプロである医師でも数え間違えたりします。例えば、胸椎の12番目と11番目を数え間違えたり、胸椎の12番目と腰椎の1番目とを数え間違えていたりしたことがあります。圧迫骨折は安静にして(保存療法)、骨の癒合を待つことが多いため、リハビリ等は通常せず、圧迫骨折の部位については、臨床上、痛みの部位と骨折箇所が一致していれば、大きな問題はなさそうです。しかし、圧迫骨折が交通事故によるものの場合、医師に診断書を書いて頂く必要があり、また、後遺障害の手続きがありますと、後遺障害診断書はもちろん、骨折部位の画像を保険会社や自賠責調査事務所に提出する必要があります。書いて頂いた診断書に誤りがあった場合、修正が必要になる場合もあります。

 椎体の番号を数え間違えている診断書や後遺障害診断書はこれまでたくさん見てきました。臨床上では大勢に影響はなくても、保険手続上では所々で大切になってきます(例えば、労災申請や保険申請時に傷病名がはっきりしないと書類が書けないという相談者が過去におりました)。  

 保険手続きをしっかりやるには、画像を見れることが必要です。交通事故や保険手続きに力を入れている事務所であるならば、もし相談者が診断書や画像を持参してきた場合には、画像をしっかり見てあげてください。  

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 東京オリンピックを前に、事務所周辺のホテル建設ラッシュはすさまじいものがあります。既に事務所から半径500m以内に軽く20軒のホテルがありますが、まだまだ足りないようです。そこで、近年注目されている民泊すが、法整備も進みましたので、次いで新しい保険の開発となりました。以下、概要がわかりましたので、周辺知識として書き留めておきたいと思います。

 

MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(社長:金杉 恭三)は、2018年6月の住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)施行を踏まえ、民泊事業に伴うリスクに対応すべく、民泊事業者向け商品を発売します(2018年6月15日以降保険始期契約より)。   1、背景

・近年、外国人観光客の急増に伴う宿泊施設の不足等を背景に、民泊事業への期待が高まっています。

・法制度面でも、民泊新法施行により、旅館業法の許可を取得していない事業者についても、一定条件を満たすことで民泊事業(住宅宿泊事業)を営むことが可能となりマーケットの拡大が予想されます。

・一方で、事業リスクへの対応の必要性も増していくものと思われることから、民泊事業者(ホスト)と宿泊者(ゲスト)のリスクに対応した「民泊事業者向け商品」を開発し、販売を開始しました。    2、商品改定の概要

民泊新法に基づく「住宅宿泊事業者」向けのプランと旅館業法の許可が必要となる「簡易宿泊事業者」向けのプランを用意しました。

対象商品

施設所有(管理)者賠償責任保険(住宅宿泊事業者向け)   旅館賠償責任保険(簡易宿所事業者向け)   商品概要

住宅宿泊事業者・簡易宿所事業者を対象とした保険で、損害賠償責任とそれに伴う費用をカバーする商品です。    この保険は、施設賠償責任保険が元になっています。簡単に言いますと、受け入れ側の不手際で、宿泊客に損害を与えてしまった場合、その賠償金を肩代わりする保険です。従来からの宿泊施設の専用商品として、旅館賠償責任保険もあります。一般住宅への宿泊、いわゆる民泊は施設賠の特約に、簡易宿泊施設には従来の旅館賠の特約でカバーするようです。   

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 もう、これは毎年300件の病院同行をしている経験からのため息です。    交通事故外傷で、珍しい傷病名であるはずの診断名、例えば、脊髄損傷、TFCC損傷、手根菅症候群、関節唇損傷、胸郭出口症候群・・・これが、町の個人開業医の診断書からみられるのです。もちろん、診断した医師の診断名が正しいこともあります。しかし、半分以上は疑いをもってみています。おそらく、保険会社の対人担当の熟練者や自賠責保険・調査事務所の皆さんも同じく、毎度のごとく懐疑的に見ているはずです。

 つまり、医師が必ずしも検証を重ねた診断名をつけているわけではなく、恐らく「○○の疑い」の域を出ていない診断名だと思います。毎度、肩腱板損傷、膝の半月板損傷の診断名に際し、その手術適用を視野に専門医を訪ねます。専門医は症例数が桁違いで、多くの患者さんを診ていますし、手術数も相当です。ところが、専門医ほど診断名の断定に慎重なのです。まず、CTやMRIだけでは判断しません。初診で患者から、問診(質問)で入念に症状を聞き取ります。続いて触診などを行い、もう1度、画像を撮ります。丁寧にMRI画像と比較しています。初診では断定せず、数日の検査・検討の後に診断名と治療方針を打出します。

 豊富な経験と高度な診断力を持つ専門医ほど、軽々しく予想的な診断はしないのです。その点、なんで個人開業医の先生は、簡単に診断名を口にする、あるいは、診断書に書くのか・・・。診断名を聞いた患者は、すっかり自身を○○損傷と信じ込みます。これが、後の賠償問題を紛糾させる原因となります。てきとうな、否、疑いレベルの診断名によって被害者と保険会社が対立、保険会社から医療調査で真偽をせまられると、当の診断した医師は手を返したように「○○の疑いかなぁ?」と逃げ腰になります。こうして、はしごを外された患者は取り残されるのです。

 このような診断名を巡る争いが、交通事故賠償の世界では日常茶飯事です。医師の診断名を信じるな!とは言いませんが、専門医でもない、あくまで最初に観る一般の整形外科医は、もっと謙虚な態度で診断すべきと思っています。実際、優れた医師ほど専門性を要する患者には、セカンドオピニオンを含め、自身より専門性の高い医師にコンサル(紹介)を行います。経験・実力のある医師や、誠実な医師ほど安易に診断名をつけないのです。

 

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 都心も梅雨明け以来、連日33~35°で、道行くサラリーマンの皆さんもすっかりお疲れのようです。幸い36°を越すようなことはありませんが、夜になっても気温があまり下らず、寝苦しい夜が続いています。

 この時期の病院同行は、普段より3割増に体力が奪われます。夜はしっかり睡眠をとって、体調管理に気をつけたいものです。私はこの一ヶ月、通勤時間の節約の為に、事務所周辺のホテルに寝泊りの毎日です。連日、寝床が変わると落ち着きませんが、学生時代のバックパッカーのようで、けっこう楽しんでいます。普通のビジネスホテルは快適ですが、画一的で面白みがありません。一方、相部屋=ドミトリーは各国の旅行者と枕を並べますので、にぎやかで面白いものです。まさに旅行中である各国の皆さんに囲まれて、自身も旅行中の錯覚を覚えるのです。

 ここ八丁堀でも、2年前にできたバックパッカー御用達のふくろうホテルがあります。事務所から徒歩2分ですので、今夜もお世話になります。ここは、受付に本物の生きたふくろうがいます。ホテルの女将だそうです。併設のレストランはおでん屋さんで、周辺の会社員・OLも普通に利用しています。地下はDJブースを備えたバーで、週末はイベントが入ります。 部屋はドミトリーと言うより、カプセルホテルのようにベット間が木壁で区切られています。男女同室でも安心感があります。トイレやシャワーブースも鍵がついており、こぎれいです。これは当たり前のことではありません。ドイツのユースホステルを除いて、ドミトリーと言えば、どの国もそれなりの設備・清潔感・安全性なのです。

 今月中は何日か利用しますので、また写真を撮ってレポートしたいと思います。  

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