現在、人身傷害の支払基準は各社、一応の落ち着きをみせたようです。

 平成24年2月の最高裁判決「裁判基準差額説」を受けて、敗訴となったあいおいさんがいち早く約款を現在に近い内容に改定し、各社もそれぞれ知恵を絞って(?)、人身傷害基準での支払で済ますように工夫した結果です。他の2グループを復習します。   ○ 東京海上日動さん

なお、賠償義務者があり、かつ、判決又は裁判上の和解において、賠償義務者が負担すべき損害賠償額がこの人身傷害条項の別紙の規定と異なる基準により算定された場合、であって、その基準が社会通念上妥当であると認められるときは、自己負担額(被害者の過失分)の算定にあたっては、その基準により算定された額を(2)の規定(=人身傷害の支払保険金)により決定された損害額とみなします。    私が読んだ保険約款でもっとも難解な文章です。弁護士先生も理解に苦しんでいます。

 この条項で、「人身傷害を先行し、後に裁判で勝ち取った額から返す分は、裁判で決まった総額を基に計算します」と、裁判基準差額説に適応させましたが、判決で宮川判事が宿題とした・・「人傷か賠償か、請求の順番で被害者が得る保険金が変わるのはおかしい」という問題は解決していません。完全にスルーされています。事実、この数年間、連携弁護士はがいくつかの事案で、賠償先行の末、人身傷害に被害者の過失分を請求したところ、「上の規定は求償の場合であって、賠償先行し、そこで決まった裁判基準額を丸々払う規定など約款のどこにもありません」とはねつけられています。約款解釈ではそうなりますが、これは約款の不作為であって、納得できないものです。   ○ 三井住友さん

第5条(損害額の決定)

(2)賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、(1)の区分(=傷害、後遺障害、死亡)ごとに<別紙)(=人身傷害支払基準)に定める基準により計算された金額のうち、賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る額を除いた金額のみを当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として、当社に請求することができます。

 太字は、つまり、自身の過失分を指します。私達はこの条項を「過失分限定払い」と呼んでいます。この条項によって、人身傷害に先に請求しても、人身傷害発売以来の売りだった「夢の(過失減額のない)全額補償」はダメになったのです。三井住友さんやあいおいニッセイ同和さんは、人身傷害そのものを改悪させたと言っていいでしょう。さらに、

① 当社と保険金請求者との間の協議

②  ①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停。    支払保険金はこの2行で決定すると・・つまり、「加害者との裁判で決まった額を認める」とはしていません。まず、協議、そして、まとまらなければ、「うちに保険金請求訴訟を起してね」と居直り約款で締めくくっています。なんとしてでも裁判基準では払いたくない強い信念を感じます。この点のみでは、損J日興は潔いと思います。    そして、両グループとも、無保険車傷害保険は人身傷害に組み込まれ、支払基準を同じくしています。

 つづく  

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 昨日の約款条項を、損保ジャパン日本興亜さん(平成30年1月版)から確認してみましょう。

第6条(損害額の決定)

(3)(1)および(2)の規定にかかわらず、賠償義務者があり、かつ、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額をこの人身損害条項における損害額とみなします。 ただし、その損害額が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

※ 緑字は弊社が定める損害算定基準に従い算定された金額=人傷基準 を指しています。    普通なら、ここで、「あぁ、ついに裁判基準を認めてくれたのだな」と思ってしまいます。    ところが、以下の8条で、「ただし、限度額があります。それも人身傷害の基準額です」と・・   第8条 (支払保険金の計算)

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毎度お馴染み、人身傷害ウォッチャーの秋葉です。 久々にこのシリーズを続けます。    以前まで・・・人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ①    今回の問題ですが、以前から損保ジャパン日本興亜のグループは賠償先行でも人傷先行でも、裁判となれば、その基準を総損害額とみなす規定であることを評価して、「24年2月最高裁判例に応じた約款改定をして、潔い」としました。しかし、ある約款条文を見落としていました。これは既に、あいおいニッセイ同和さんが採用していた、上限規定です。これについては過去記事をご覧下さい。    人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ③    この③で指摘していることは・・・「人身傷害の損害額について、裁判で決まった額を総損害額と認めますが、支払う人身傷害保険金は限度があり、その限度額は人身傷害基準で計算された額です」との条項によって、以下の不都合が起きることです。

 自身に過失が大きい場合、例えば80:20ですと、裁判で相手から20%を回収し、次いで自契約の人身傷害に80%を請求しても、人身傷害の限度額規定によって、この裁判基準の80%は確保できない、つまり、総損害額の全額確保はできない問題です。

 これが、損保ジャパン日本興亜の約款にも含まれていたのです。書き方が巧妙で、気付くのが遅れました。この条項は、日本興亜と合併を機とした約款改定(平成26年7月1日~27年9月30日)から確認できます。この約款によって、裁判基準額で人身傷害(無保険車傷害)を回収する方法が潰されています。具体的に説明します。

 加害者が無保険で過失割合は0:100、相手が一方的に悪い事故です。この場合、相手からの回収は諦め、自契約の人身傷害に請求することが、残念ながら普通のことでした。多くの交通事故相談でも、そのように回答しているようです。しかし、私達が以前から推奨してきた策は、「まず、相手と裁判して、(すんなり回収できれば解決ですが)、相手の支払可能の有無に関わらず、判決額を確保します。

 そして、その額を人身傷害、あるいは無保険車傷害に請求するものです。

 この、いわゆる宮尾メソッドを全国の弁護士に流布してきました。

 人身傷害の約款では裁判基準で支払うか否か、長い間、不明瞭な記載が続きました。これが平成24年2月の最高裁判例で定まったのですが、定まったのはあくまで、人身傷害の先行請求後の求償額についてです。これを受けて、各社、約款改定しましたが、どうもスッキリしません。東海のグループは求償規定のみで、賠償先行については記述無し(つまり、無視?)、三井住友のグループは「協議」で逃げて(?)います。

 また、無保険車傷害保険が人身傷害に併存しており、その支払基準は、そもそも「まず、保険会社基準で計算しますが、裁判となればその額を支払う」としていましたので、支払基準のダブルスタンダード状態だったのです。

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 先日の代理業協会のセミナーから、反響が大きかったテーマを少し取り上げます。    私の保険会社での研修時代は、SC配属時も含め、徹底的に知識を詰め込まれましたが、何故か後遺障害の知識だけはポッカリ穴が空いたように、学ぶ機会がありませんでした。あたかも後遺障害だけを避けているかのようです。

 また、ある代理店さんから聞きましたが、「秋葉事務所は保険会社の支払を増大させる、リザルトを悪化させる立場の人間」であり、拒絶感をもっているそうです。しかし、講義を聴いた皆様はお分かりと思います。保険とは適正な支払と、それに応じた掛け金によって、制度が保たれているものです。支払いの増大は、掛金値上げ、あるいは補償内容の縮小で調整するものです。本来、保険会社が払い渋りをする必要などないのです。それなのに、保険会社や代理店さんが、自らのお客様に対して後遺障害を秘匿し、不当に低い支払いをすることは、むしろ、このバランス・均衡を阻害するものです。

 そして、真にリザルトを悪化させる者は不正請求者のはずです。この者達が共通の敵であり、保険会社や代理店さん、そして交通事故に携わる者すべてが、協力してその排除に注力すべきなのです。適正な保険金支払と、リトン・ベイシス・ロスレシオから適正な保険料が算出されること、これこそ、人智が生み出した保険と言うシステムだと思います。  

排除すべき被害者御三家

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(Q1) 会社で禁止されているマイカー通勤で交通事故受傷したのですが、通勤災害の適用はできますか?

(A) 通常用いられる交通方法である限り、通勤災害となります。 労災保険法7条の2では、「通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路および方法によって往復することをいい、業務の性質を有するものを除く、」 と規定しています。つまり、勤務先がマイカー通勤を禁止していたとしても、先の要件に合致しているか否かで判断がなされます。したがって、労災はOKですが、会社は嫌な顔をすると思います。やはり、会社のルールも守るべきでしょうか。   (Q2) 出張中の事故?  弊社の社員の井上さんが鹿児島に出張しました。駅近くの酒屋で土産の焼酎を物色中に、酒屋の店舗に運転を誤って飛び込んだ自家用車の衝突を受け負傷し、現在入院を続けています。 土産物の物色中は、厳密には業務ではありませんが、業務災害の適用は可能でしょうか?

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 秋葉事務所では、交通事故被害者が労災も併せて請求できる場合、積極的にお手伝いをしています。自賠責で揃えた書類のコピーが使えますので、その申請作業など、行きがけの駄賃に等しいものです。

 後遺障害は労災と自賠、両方に請求はできますが、丸々二重取りはできません。どちらか先に入金した場合、片方は重なる部分を計算・控除します。これを、支給調整と言います。

 問題は労災7級以上の重傷者です。7級以上は一時金ではなく、年金払いとなりますので、支給調整の計算が困難です。そこで、特別給付金などの一時金は即時に支払われますが、年金は数年間、支給据え置きの措置となります。この据え置き年数は長らく3年でしたが、最近、改正されました。詳しくは、以下、労災の文章を読んでみましょう。(通達を原文のまま転載しました)

第三者行為災害事案に関する控除期間の見直しについて

{現状}

○ 災害事故が第三者の行為によって生じた事案については、被災労働者が、労災保険の請求権と第三者に対する損害賠償請求権を同時に取得する場合がある※。

※ 例えば、仕事中の交通事故について、被労働者が、労災保険の請求権に加え自賠責等の損害賠償請求権を取得する場合   ○ 被労働者が第三者から損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険供給を控除することができるとされており、現行では控除を行う期間を3年間としている※。

〔控除期間が3年である理由〕

○ ...

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 今月号の通信で特集した「労災」ですが、よくまとまっていましたので、こちらにも掲載したいと思います。    労災は大きく分けて、「業務災害」と「通勤災害」です。補償内容については、労働基準法に「災害補償」に関する条文が定められています。条文に沿って、補償内容を確認しましょう。   【1】補償内容(第8章 災害補償)    (1)療養補償(第75条)

・・・労働者が業務上、ケガもしくは病気にかかった場合、その治療費を支払います。

(2)休業補償(第76条)

・・・ケガや病気での療養で仕事を休んだ場合、賃金の60/100(平均賃金)を休業4日目から支払います。 (3)障害補償(第77条)

 ・・・ケガや病気で障害が残った場合、その程度(1級~14級)に応じて、補償金がでます。7級以上の重い障害には年金での支払いとなります。

(4)遺族補償(第79条)

(5)葬祭費(第80条)

 ・・・死亡の場合、平均賃金の1000日分が支払われます。   葬祭費は平均賃金の60日分。   【2】労災使用のメリット   続きを読む »

 週末、伊那から東京に戻りましたが、休むまもなく山梨へ。写真の通り、冠雪の富士は右頬を赤らめています。

   今回のテーマは、原点に戻って、「交通事故・後遺障害のすべて」としました。概論的な話は久しぶりです。それでも、聴講される皆様、あるいは交通事故にまつわるすべての人達に問題を突きつけた感があります。

 被害者救済との言葉は美辞麗句です。しかし、何事も光と影があるものです。とくに影の部分、問題点を共有し、皆で考えていくことが大事ではないでしょうか。   続きを読む »

 長野代協・伊那支部からセミナー講師を拝命、雪での電車遅延の懸念から、前日入りしました。深夜に到着、既に積雪状態でした。長野は実に南北に長い・・松本・塩尻より南に行くのは初めてでした。   (大雪のホームに降り立つ ↓) 続きを読む »

 週末から、甲信地方の代協セミナーが控えています。雪が心配ですが、しっかり務めてきたいと思います。

 1月2月は通常の月に比べ、可動日数が少なく、大変に忙しい月となります。よく、2月8月はニッパチと呼ばれ、どの業種でも閑散期とされています。うちはあまり関係ないかな。

 また、先月末から待望の新スタッフが2名加わりました! いすれ紹介したいと思います。

 忙しい事は、それだけ皆様に頼りにされている証拠です。新しいメディカルコーディネーターも随時探していますが、なかなか・・今は既存のメンバーで繁忙を乗り切りたいと思います。

 

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続いて任意保険です   ③ 任意保険会社への損害賠償請求の時効の起算点・時効期間    損害賠償請求権は、民法724条が適用されるので、被害者(死亡事故の場合は相続人)が「損害及び加害者を知った時」を起算点として3年間行使しないときは時効によって消滅します。具体的には、

A:物損による損害は事故日の翌日から起算して3年

B:傷害による損害は事故日の翌日から起算して3年(後遺障害による損害は症状固定日の翌日からです)

C:死亡による損害は死亡日の翌日から起算して3年

なお、ひき逃げ等で加害者が不明の場合は、除斥期間により、事故から20年で請求権は消滅します。   これまで述べてきた時効消滅を中断させる方法として、被害者から加害者側に事故に関するなにかしらの請求をするか、加害者から債務の承認がなされること、があげられます。    債務の承認とは、被害者に損害賠償請求権があることを加害者側が認めることをいいます。

 具体例としましては、加害者側の任意保険会社や、労災から治療費等の支払があったこと、加害者側の任意保険会社等が作成した債務の存在を認める何かしらの通知(日付のある書面)があること等があげられます。

 仮に、時効期間を経過した場合でも、加害者側が、その時効を援用(時効を主張すること)しない限り、被害者は請求が可能です。

 任意保険会社や自賠責保険等は時効期間が経過した場合でも、あえて援用しないで支払対応してくれる場合も多いものです。保険会社は、やはり人を助ける企業ですので、良心的と言えます。しかしながら、他方で請求内容に不正、疑問がある場合や、保険会社から完全に相手をしたくない人と思われてしまった被害者の場合は、遠慮なく時効を援用してきます。

 保険会社担当者も感情ある人間です。どんな時でも紳士的に対応することは損ではないということでしょうか。  

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時効について復習します    被害者請求や任意保険会社への請求は事故後、いつでも必ずできるわけではなく、時効期間を経過すると請求できなくなる可能性があります。

 交通事故で時効が問題になる主な場合として、①自賠責保険への被害者請求権の行使の場合、②労災の場合、③任意保険会社への損害賠償請求の場合、の3点があげられます。

① 自賠責保険への被害者請求権の時効の起算点・時効期間

 まず、自賠責法が改正されたため、(1)平成22年4月1日以降に発生した交通事故と、(2)平成22年3月31日以前に発生した交通事故とで、時効期間に変化があります。なお、自賠責法改正により、時効期間が2年から3年となりました。

(1)平成22年4月1日以降に発生した交通事故の場合

A:傷害による損害の場合は、事故日の翌日から起算して3年 B:死亡による損害の場合は、死亡日の翌日から起算して3年 C:後遺障害による損害の場合は、症状固定日の翌日から起算して3年

(2)平成22年3月31日以前に発生した交通事故の場合は、上記各3年がすべて2年になります。   ② 労災への時効の起算点・時効期間

(1)療養補償給付のうち、療養費用の支給の場合は療養に要する費用を支払った日、又は費用の支出が具体的に確定した日ごとにその翌日から起算して2年

(2)休業補償給付の場合は、療養のため労働することができないために賃金を受けない日ごとにその翌日から起算して2年

(3)介護補償給付の場合は、介護補償給付の対象となる月の翌月の1日から起算して2年

(4)葬祭料の場合は、労働者が死亡した日の翌日から起算して2年

(5)障害(補償)給付の場合は、傷病が治った日(治ゆ日)の翌日から起算して5年

(6)遺族補償給付の場合は、労働者が死亡した日の翌日から起算して5年    わかりやすく言えば、上記のうち、(5)障害(補償)給付の場合と、(6)遺族補償給付の場合とは、時効期間が5年であり、その他は2年です。  

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 交通事故業界では、弁護士は別として、後遺障害の専門事務所が存在します。ここ数年、その多くは行政書士が担ってきました。しかし、行政書士の資格は医療調査に必要ありません。試験内容もまったくと言っていいほど関わりのないものです。行政書士の医療調査の実力は保険会社側の充実に比べ、圧倒的に乏しいと言えます。組織力で劣るだけではなく、たった一人の先生がこなす件数は高が知れていますので、どうしても経験・実力が不足します。

 中には法人のYさんをはじめ、独自に注力し開拓してきた書士もおります。しかし、全体として一時の隆盛はあったものの、交通事故を主業務とする行政書士は衰退の一途です。これだけ、弁護士が交通事故に乗り出してきた現在、賠償交渉に関わる非弁書士は追放され、残った先生も集客力なく、青色吐息のようです。

 それでも、全国各地から救済の声が届いてきます。地元の弁護士さんは14級の異議申し立てには積極的ではありません。「等級が取れてから来て下さい」との対応に終始します。そこで、行政書士に相談したのですが、どうも自信なさそうです。「等級が取れるのか、取れないのか」断言できるほど経験がないのでしょう。確かに年間30件程度の受任件数では酷な話です。

 秋葉事務所は重傷案件が多く、それこそ北海道から九州・沖縄まで飛んでいます。むちうち14級を軽視するわけではありませんが、遠隔地の受任は交通費がかさむだけではなく、きめ細かな対応を考えると、やはり地元の先生にお任せすべきと思います。全国各地にチーム行政書士と連携弁護士がおりますが、限界があり、東北地方はとくに手薄に感じています。

 東北地方の人材確保は常に課題です。被害者救済業を担う草莽の士はどこに・・今、このご時勢で、交通事故を学びたい行政書士はいるのでしょうか? 

 電話・メールと郵便だけでは行き届かないことが多いのです  

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫(40代男性・宮城県)

【事案】

高速道路を自動車で運転中、前方に事故車(停車中)を確認したが、ブレーキが間に合わず衝突し、道路右端に停車中のもう一台の事故車に追突してしまう。さらに、後ろから同じように事故車にぶつかった相手方自動車が追突してきた。受傷直後から腕のしびれ等の神経症状に悩まされる。

【問題点】

当事者が多く、責任関係が複雑で直ちに賠償請求することが困難であったため、依頼者は自らが加入の人身傷害特約を利用して治療を継続した。その後症状固定し、依頼者ご自身で当事者の一人の自賠責先に被害者請求をしたが、非該当となった。依頼者は納得いかず、はるばる東北から東京相談会に参加した。

【立証ポイント】

通院回数は80回を超えており、さらにMRIも撮影していた。さらに、手のしびれも受傷直後から発症し、症状固定時まで継続していた。明白な画像所見はないものの、通常であれば14級9号が認定されていてもおかしくない内容であった。

症状固定後であっても治療継続していることを確認し、初診日から症状固定時、その後の診察時の症状等を、「頚椎捻挫の症状の推移」「神経学的所見の推移」にそれぞれまとめて頂くため、主治医のいる宮城県へ向かった。続いて、未提出画像等、集積し直して異議申立書をまとめ、再申請した。

程なく、14級9号が認定された。  

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 昨年まで、地方へ飛び回っていた秋葉事務所ですが、今年最初のセミナーは東京都足立区でした。    気温4℃位?の檄寒の中、北千住の通称しょんべん横丁を抜け、会場に到着しました。9階の窓からスカイツリーが望めます。

 参加者は少なかったのですが、新たな出会いもあり、まずは良いスタートとなりました。セミナーの目的は営業的なPRですが、様々な業種の皆様と勉強会をすることで、お互いの情報交換の場になり、得た知識は被害者さんに還元することになります。体力が続く限り、利益など度外視で続けていきたいものです。

 帰りは寒さに身を屈め、熱燗のあるオアシス(居酒屋)で一息、冷めないうちに事務所に戻りました。  

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(時事ネタからの所感)

 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、これら感覚器の障害は、まず、事故受傷との因果関係が問われます。脳外傷や顔面骨折があれば、神経に直接のダメージが想定されますので、立証は容易になります。一方、頚椎捻挫などで障害が生じた場合、交通事故との因果関係の立証に大変な苦労を強いられます。なぜなら、ストレスや疾患(病気)で一時的に耳鳴りや、聴覚が低下・消失することもあるからです。

 わかりやすく言えば・・、

KEIKOさんの場合⇒くも膜下出血による聴覚障害 = 立証は容易

小室 哲哉さんの場合⇒介護の過労、ストレスによる聴覚障害 = 因果関係?、一過性?から認定は困難

 となるわけです。   (少しマニアックな所感)

 過去に味覚・嗅覚をそれぞれ脱失した場合、自賠責はどちらか片方のみを認定するケースが少なからずみられました。本件では両方、認められました。脳外傷起因は確実で、検査結果も万全であったからだと思います。  12級以上が複数認定されると、等級は一つ繰り上がり、12級相当が2つならば併合11級となるが、本件では高次脳機能障害で7級4号が認定されているので併合6級となる。この場合、12級がいくつ認められても、自賠責の併合ルール上、併合6級の結果は変わらない。偏見を持ってはいけませんが、自賠責は味覚・嗅覚の両方申請の場合、因果関係と検査結果が甘ければ、バランスを見て一つだけ12級認定している印象をもってしまう。そのようなケースではシビアに立証しなければならない。秋葉事務所としても、課題としている分野です。

 常に味覚・嗅覚のダブル認定を目指しています  マーク・パンサーさん(パニック障害と報道されていましたが・・)は元気かな?  

12級相当:味覚・嗅覚障害(50代女性・埼玉県)

【事案】

オートバイで直進中、交差点で左方から相手方自動車が進入し、衝突、受傷した。

【問題点】

事故当初は頭部外傷の治療をメインにしていたため、味覚・嗅覚の検査が後回しになった 続きを読む »

 昨夜は依頼者様のご好意で料亭に。ふぐのコースをご馳走になりました。

 ひれ酒、先つけ、椀物に始まり、刺身、揚げ物、白子の焼、ふぐちり、雑炊まで。デザートは珍しい白小豆と黒小豆の2色ぜんざい、写真の通り、ハーフ&ハーフです!(食事とお話に夢中で、写真はぜんざいのみを辛うじて撮影)

 勉強にもなり、楽しいひと時でした。また、S先生は、秋葉事務所の仕事を水戸黄門になぞらえて、こう説明してくれました。   「弁護士は印籠を持った黄門さまで、最後の場面でドーンと解決するもの。しかし、前半の風車の弥七の隠密活動、つまり、裏づけ調査が重要で、これがなければ黄門様も活躍のしようがない。秋葉事務所の仕事はまさに弥七だね」 続きを読む »

 東京はじめ関東地方は4年ぶりの大雪となりました。昨日、社員は3時に帰宅としましたが、少し遅れて退社した者は渋谷の大渋滞に引っかかってしまいました(帰宅まで3時間半もかかったそうです)。

 火災保険の家庭用商品の多くで、雪災は支払いの対象となっております。この機に火災保険の雪災について復習しましょう。以下、ベーシックな商品の解説で、最新の商品までチェックしていません。詳しくは保険証券と約款を確認して下さい。

 また、転倒してケガをした場合(入院・通院を伴うケガ)は、ほとんど傷害保険で支払い対象です。火災保険に傷害特約が付いている場合は要チェックです。     (1)風災・雹災(ひょうさい)・雪災

 風災・雹災(ひょうさい)・雪災により家屋が損傷した、などの損害に、保険金をお支払いします。対象は家屋のみならず、通常、ガレージ・物置・門塀垣根も含まれますので証券にそれらが含まれているか確認して下さい。今回もガレージが潰れた被害が多かったようです。また雨どいが落ちたなどの損害も対象なので、家の周りをチェックして下さい。

★ フランチャイズ20万とは?

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   かつて、安西先生は言った・・・名作バスケ漫画、スラムダンクからの名言です。全国の体育会男子の胸を熱くしたこの言葉、学校を卒業して社会人になっても、様々な場面で蘇ります。

 秋葉事務所は、「後遺障害は認められるでしょうか?」と質問する相談者様に、あいまいな回答をせず「ダメなものはダメ」と断言するようにしています。認定が取れない仕事など、被害者さんに無駄な時間と費用を浪費させるだけです。なにより、期待を持たせる事自体、罪なことです。常日頃から、クールに認定率100%を目指すことがプロの仕事と思っています。それでも、本件はあきらめたくなかった。

 交通事故の解決において、警察・病院・保険会社の関与があまりにもシステム化して、被害者の症状・訴えに誰も耳をかたむけない。依頼者様の熱意もさることながら、そのような体制に抵抗したかったのです。クールな事務所も、時に熱血になってしまうのです。

  (私、佐藤は)野球部出身です。9回裏サヨナラ逆転タイムリーを打ちました!  

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近時の認定経験から   ② 距骨骨折について

 距骨とは、かかとの骨(踵骨)と、足のすねの脛骨、腓骨との間にある足首の骨です。この距骨を中心に足首(足関節)を曲げますので、歩行や背伸び等の運動でスムーズに足を動かすために重要な役割を持ちます。  距骨を骨折した場合、少し骨が欠けたような骨折だと、ギプス固定して、骨の癒合を待つ場合があります。軽い骨折の場合、症状固定時期に痛みやしびれなどの神経症状が残存している場合、14級9号が認定される可能性があります。他方で、骨折がひどい場合にはプレートやネジで固定して癒合を待つ場合があります。

 このような重い骨折の場合、事故前の距骨と比較して、多少変形や偽関節が生じてしまうことがあります。また、距骨は筋肉などとつながっておらず、血流が他の骨に比べて非常に悪く、骨折がひどい場合は壊死する恐れもあります。

 距骨の変形や偽関節、壊死等によって、足首の動きが悪くなることがあります。また、プレートやネジで固定した際に、ひっかかって足首の動きが悪くなってしまうことがあります。症状固定時期に足首の動きが悪くなってしまっていた場合、可動域制限で等級が認定される可能性があります。但し、それはリハビリ等の治療努力をした場合で、それでも可動域制限が残存した場合に限ります。(骨折状況によってはリハビリそのものが無理な方もいらっしゃいますので、治療内容はケースバイケースです。)

※ 過去の相談者の中には可動域制限で等級が認められる話を聞いて、リハビリをさぼろうとする人がいましたが、リハビリをさぼって出来上がった可動域制限は単なる筋拘縮によるものにすぎず、器質的損傷による可動域制限とは認められません。どのようなことがあっても治療をさぼるようなことは絶対にしないで下さい。急性期の治療が後の後遺症を左右します。

 仮に、可動域制限が残らず、治療が良好に進めた場合は、画像所見が認められ、かつ痛み等の神経症状のみが残存した場合、12級13号が認定される可能性があります。  

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